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2012/03/16

コカマキリの危険な情事(性的共食い未遂→マウント→交尾器結合)


コカマキリの飼育記録
2011年10月中旬・室温24℃

しばらく飼育してきたコカマキリStatilia maculata )♀bに婿入りさせようと、新たに採集してきた♂2匹と順番にペアリングしてみました。
初めに同居させた♂bとは相性が悪かったのか、マウントするものの交尾器の結合まで至りませんでした。
この♂bはぐったりしていて、ひどく体力の弱った個体のようでした。

諦めて次の♂c(左の触角が途中で折れ曲がった個体)と入れ替えました。
初めは飼育容器からとにかく逃げ出そうと暴れる♂c。
ガラス板を被せてしばらくするとようやく落ち着いてくれました。
♂cが身繕いする間、♀bは油断なく見張っていました。

煩雑なので以下は個体の記号を略して♀、♂と表記します。
(映像はここから。)



止り木で♂が動いた瞬間、♀が反射的に鎌で襲いかかりました。
(攻撃の決定的瞬間は撮り損ねてしまいました。)
驚いた♂は威嚇誇示。
翅を目一杯広げ、腹部を膨らませつつ反らせシューシュー♪と威嚇音を発しています。
下にいる♀と互いに鎌が絡まっています。
軽量の♂は下に引きずり下ろされた格好。
♀の射程距離ですけど、♀の側に追撃、捕食の意志は無いようです。
しばらくすると♀が呆然と♂を離しました。
この♀は産卵間近でここ数日は食欲が無いのです。
性的共食い」はカマキリの交尾行動の代名詞のように言われていますが、未遂に終わりました。
隅に追い詰められた♂は身がすくんだのか、まるで擬死したみたいに全く動かず♀と対峙。
どこかに致命傷を負ったようには見えないので、おそらくショック状態(動物催眠状態?)なのでしょう。
襲われるまで♀の存在に気づかなかったのかもしれません。
しばらくして♂がようやく復活し、身繕いを始めました。
果たしてこのトラウマを乗り越えてもう一度♀に挑むでしょうか?

止り木の端に妙な姿勢でぶら下がっている♀に♂がアプローチ。
♀は油断無く睨みつけています。
緊張感のある対峙が続きます。
今度の♂は慎重です。
ここで♂は鎌(前脚)を揃えて謎の「前ならえ運動」を行いました。
これは採集前に単独の♂が野外でやった前ならえ運動と同じです。
♀との距離を測るための行動でしょうか。
それとも「同種の♂だよ」と求愛ディスプレーを行い、♀の攻撃性を宥めようとしているのだろうか。
この間、♀は静止したままです。

♀は壁を登ろうともがいています。
それを止り木から見下ろす♂。
遂に♂が意を決して、♀に飛びつきざまに鎌で♀の胴体を捕獲しました。
♀は特に驚いた素振りは示さず、咄嗟に反撃することもありませんでした。

♀が妙な体勢でいるため(止り木から中途半端にぶら下がっている)、♂がうまく背中に乗り移れないでいます。
♂が完全に止り木を離れたものの、♀の背に前後逆に乗ってしまいました。
♂を背負ったまま遂に♀が床へ落下すると、その隙に♂がマウントの向きを変えました。
これ以降、♀は落ち着いて交尾できる場所を探してしばらく徘徊を続けます。

マクロレンズの装着にもたついている間に交尾器が結合する肝心の瞬間は撮り損ねてしまいました。
♀は大人しく静止しており、ときたま暇そうに身繕いします。
この♂は経験豊富(床上手)なのか♀との相性が良いのか、一発でがっちり結合に成功。
長時間の交尾中、鎌で♀の背にしがみついたままの♂がときどき身震いするのが気になりました。
移精に伴う運動なのだろうか。
それとも♀の徘徊を抑制したり攻撃性を宥めたりする合図なのかな?と想像を逞しくしました。

(映像はここまで。)

翌朝も同じ姿勢で交尾を続けていました。
やがて♂は♀に食われることなく無事に離れました。
隔離した♀に水と生き餌を与えると、その日の晩に産卵していました。
本個体は前回も交尾直後に産卵しています。



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