クワコの飼育記録#2
2011年8月下旬・室温24〜26℃
クワコ(Bombyx mandarina)の終齢幼虫を採集してから丁度1週間後にようやく一頭(体長〜50mm)が繭を紡ぎ始めました。
5秒間隔のインターバル撮影を行ない、撮り貯めた写真を素材に20fpsの動画を作成しました
11:02〜23:30(約12.5時間)の様子をときどき休みながら記録したものです。
食樹クワの若葉の表側に乗った終齢幼虫が首を振りつつ口元から絹糸を吐き、左右から少しずつ葉を引き寄せて自らを包み込む初期段階の様子が印象的でした。
ときどき方向転換して頭の向きを変えながら繭を紡いでいきます。
繭本体から抜け出しクワの葉の上部に移動して、念入りに葉柄を絹糸でグルグル巻にします。
これはおそらく、葉が枯れても大切な繭が落ちたり風に飛ばされたりしないよう補強するためだと思います。
クワコ幼虫は営繭の合間にも脱糞していました。
尾端をシェルターの外に出してから排泄するという行儀良さで、繭の中を汚したりしません。
作業の後半(映像では4:40頃)、作りかけの繭から下半身を思いっ切り出して大量の液体を排泄しました。
残念ながらこの映像では画面から見切れてしまっているのですが、初めて見る私が少したじろぐ程の量でした(びっくり!)。
別なカメラで撮った動画をそのうち公開する予定です。
つづく→シリーズ#3:「繭作り中に排泄するクワコ幼虫(脱糞と排尿)」
翌日、薄い黄色のかわいい繭が完成しました。
昔の人はこれから絹糸を取って養蚕業が始まり、カイコへと品種改良を進めていったのだと思うと感慨深いものがあります(遥かなるシルクロード!)。
『イモムシハンドブック』によると本種は卵で越冬するらしいので、今年中に成虫の羽化が見れそうです。
【追記】
53日後、この繭から♀成虫が無事に羽化しました。
『糸の博物誌:ムシたちが糸で織りなす多様な世界』第6章:チョウとガの糸 p154によると、
クワコの繭にはフラボノイド色素が含まれており、その緑色は紫外線から蛹や前蛹を防護する効果があるらしい。
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