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2011/03/14

帰る泥巣が見つからないエントツドロバチ♀



2008年6月下旬

蜜蜂の古典的研究で有名なように「蜂は巣の位置を正確に覚えている」という先入観がありました。



しかし実際はそうでもない個体もいるようです。
迷って繰り返し帰巣に失敗するエントツドロバチ♀(=オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)を目撃しました。
垂木?を挟んですぐ左の区画に行けば泥巣が3つ並んでいるのに、何度も同じ壁を登っては巣が見つからないという迷子の行動を繰り返します。
例えば区画の左端に固執する個体は、隣区画左端にある泥巣1に帰るべき♀ではないかと思われます。
記憶力の悪い同一個体なのかどうかは不明。
木造家屋がハチにとって単調な繰り返し構造なため、巣の位置の記憶・認知に混乱を生じ易いのでしょう。
意外に近視眼的な手がかりを元に覚えているだけかもしれません。
相同パーツの繰り返し構造は自然界に本来存在しない人工物ですから視覚記憶するのが苦手なのかも。
本能行動の脆さを垣間見た気がします。
虫は一見高度に適応した行動でも決められた(プログラムされた)ことしか出来ません。
本三部作は同じ日に撮りました。 


新しい営巣地を探している別個体という可能性も一応考えられますが、♀の個体識別をしていないので分かりません。ちなみにその後この位置に新巣は作られていないので※、この解釈には否定的な印象を得ています。 
※《追記》 後日、軒下の奥をよく調べたら初期段階の泥巣が区画ごとに同じ位置(右隅)に並んでいるのを発見。下から見上げていると存在に気付きませんでした。やはり巣の位置を正確に覚えられない♀が混乱して巣を幾つも重複して作ったのだろう。生き物相手の自然観察は一筋縄では行きません。

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