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2011/02/12

在巣のキアシナガバチを一斉捕獲(炭酸ガス麻酔)



2009年9月下旬

キアシナガバチPolistes rothneyi)の定点観察を続けていますが、個体識別のため成虫をマーキングしたくても巣から安全に一匹ずつ捕獲する方法が分からず試行錯誤していました。





そんなときYouTubeでこの動画↑(by BRIGHTDOOR1氏)を見て閃きました。
在巣の蜂を一網打尽にするため、ガス室を自作してみました。
1.5Lペットボトルの透明容器をカットし、蓋に穴を開け炭酸ガスのボンベからチューブを通しました。


容器の直径が巣の大きさにピッタリでした。
これを下からそっと近づけると在巣の蜂は警戒したものの、飛んで逃げたり攻撃してくることはありませんでした。
軒下の天井板に押し付けると適度に密閉されて炭酸ガスを注入すれば即効性のCO2ガスで麻酔されます。
全ての蜂がガス室の底に転がり落ちたところで蓋を被せて捕獲完了。
既に標識済みの個体(W桃水、W銀)は早目に取り出して逃がしてやりました。
あとはいつものように12色セットの油性ペンで背中に標識しました(二色の組み合わせ)。


この日は計9匹の♀を新たに標識しました。
在巣の個体は♀のみ計11匹でした。
♂はもう全て巣立ったようです。
処置の済んだ蜂は麻酔から醒めるのを待って一匹ずつ巣に戻してやりました(数匹は自力で帰巣)。
成功したので来年はこの方法で試してみます。
しかし成虫が新たに羽化する度にこの作業を繰り返すことになるので、古株(早生まれ)の蜂に麻酔の副作用(?)が蓄積されるのではないかと少し心配です。

【追記】
この年は軒下に一つしか巣を作りませんでしたが、創設女王が二巣並行営巣する場合があります。
この場合、上述の方法で蜂を一網打尽にしようとすると危険です。
ガス室に閉じ込められ炭酸ガスを吹きかけられると、蜂は麻酔状態になる寸前に反撃体勢となり揮発性の警戒フェロモンを発するようです。
蜂が大人しくなったのを待ってガス室を天板からそっと外すと、ガス室に充満した警戒フェロモンが辺りに拡散します。
その結果、隣のサテライト巣にいる蜂が刺激され一斉に飛び立って攻撃してきます。(一斉蜂起!)
実際に刺されそうになりました。
二巣並行営巣のメリット(防衛力向上)を実感したときでもありました。
誰かに手助けを頼んで二つの巣を同時に麻酔処理すれば安全だと思います。

つづく→シリーズ#32



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