2009年5月上旬
(つづき)
右手からまた別のネコハエトリ♂(-L1歩脚欠損;Carrhotus xanthogramma)が♀住居に近づきます。
気づいたα♂(-R2-L3歩脚欠損)が下の隠れ家から飛び出して応戦。
長い示威行動の後、挑戦者♂(-L1)が上に逃げ出しました。
追跡するα♂(-R2-L3)。
二匹の♂が戦っている間、♀は住居入り口でのんびり見物しています。
いつの間にか挑戦者が♂(-L1)が右手に回り込み、再び♀住居に忍び寄ります。
途中パイプから落ちかけるも命綱でからくも助かりました。
上で見張っていたα♂(-R2-L3)がようやく異変に気づき、駆け下りて喧嘩再開。
激闘の末、挑戦者♂(-L1)はパイプから懸垂下降で逃げました。
今回の挑戦者♂(-L1)は威嚇ディスプレーに用いる第一脚を片方欠損しているにも関わらず、百戦錬磨のα♂(-R2-L3)に対してほぼ互角に戦えたことは大きな驚きでした。
※ 長い示威行動の応酬に続き、両手を下ろしたまま組み合って停止するとこれはホンチ用語で「地取り」と呼ばれ、二匹のクモの力が紙一重である証拠であるとみなされる。
参考:『クモ合戦の文化論:伝承遊びから自然科学へ』大日本図書
(第五話につづく)
【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p200によると(第25章 クモ合戦)、
ハエトリグモの♂同士のたたかいは「威嚇誇示行動」とよばれます。♀をめぐる争いのひとつです。斎藤さんはこの行動を七段階に分けました。(1)注視期(2)前進期(3)差し手争い期(4)四つ組み期(5)地取り期(6)第二次差し手争い期(7)決着期です。これはすぐれた分類でした。すべての争いが最後まで進むとはかぎらず、それぞれの段階ごとに、そこまででやめることがあるからです。
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