2008年8月下旬
コンクリート壁面にヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の仲間(種名不詳)が泥巣を並べて作っています。
泥巣cを作っている♀cの巣材集め行動を見ていたら、なんと90cm左隣の泥巣dから土を失敬して自分の巣材としていました。
泥巣dはどうやら古巣のようでいつも成虫の姿は無く、表面には羽化孔が幾つも開いています。
まさに「空き巣」の現行犯。
こそ泥の泥は泥巣の泥?
♀cは手軽な盗みに味をしめたようで、何度も繰り返し通っては大顎で土を削り取り(盗掘)咥えて持ち帰ります。
機会があれば少しでも楽をして巣材を集めようとする行動(盗み寄生、労働寄生)は蜂の頭の良さを物語っているようで、とても感銘を受けました。
興味深いことに、近くなのに盗みの現場に直接向かうことはありません。
固く乾いた土を溶かすために水が必要なので、毎回先ずどこかで水分補給して来るのでしょう。
一度♀cは大胆にも壁の更に左に位置する泥巣aにまで遠征しました。
しかし主♀aが在宅(在巣)で追い払われました。
全く困った隣人です。
もしかしたら「盗み」と言うよりも「巣材の再利用」と捉えた方が良いのかもしれません。
同じ♀が前に作った巣が用済みになったので再利用しているのか?
自分が羽化した古巣を使っているのか?
など疑問が次々に出てきます。
何れにせよ、とてもエキサイティングな事件でした!
つづく→シリーズ#7
【追記】
『ハチの生活』岩波科学の本 岩田久二雄 p158より引用
ヒメベッコウ類は、材料の土を、きわめて手近な場所で手に入れる性質があるのでした。少し前に自分の作った瓶でさえ、簡単に水で濡らして削ったり形を変えたりするのでした。だから、他のハチの作った材料(オオフタオビドロバチの古巣)を、もう一度利用するなどは、このハチにとっては当然なやり方だったのです。
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