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2011/01/09

集団でハエを捕食するクサグモ(蜘蛛)幼体



2009年12月上旬

クサグモAgelena silvatica)幼体の飼育容器に小さなハエ(種名不詳)を投入してみました。
出嚢して以来、初めて与える生き餌です。
もう冬なので雪国では餌となる虫を見つけてやるのも一苦労です。
容器内に不規則に張り巡らせた棚網の糸に粘着性は無いものの、ハエは網に足を取られて歩きにくそうです。
やがて腹を空かせたクサグモ幼体が何匹も集まってきました。
ハエの方が大きいので警戒してしばらくは遠巻きに様子を眺めています。
飛ぶ元気もないようですが身の危険を感じたのかハエが暴れて網を壊しながら容器の下に落ちると、一斉にクサグモ幼体が食いつきました。
ハエはあっという間に体液を吸い尽くされてしまいました。
後半は獲物の横でクサグモ幼体同士の小競り合いも見られました。 
クモが集団で捕食するシーンを初めて目撃して興奮しました。
なかなか凄い迫力です。
日本にはいない珍しい社会性クモの狩りの話を彷彿とさせ、興味深く思いました。
ただし、狭い容器に閉じ込めたままクサグモ幼体を高密度で同居させているので、かなり不自然な状況である可能性が高いでしょう。
自然界では出嚢した幼体はすぐ分散して各自が単独生活を送るものと思われます。
共食いさえ防ぐことが出来れば、集団で飼育すると棚網が出来上がるのも早く、好都合かもしれません。
つづく


【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p186-187によると(第24章 社会生活をするクモ)、

 アゲレナ・コンソシアタ ――この社会性のクサグモ(タナグモ科)は西アフリカのガボン共和国に棲んでいて、一次林のやぶに直径三メートルにも及ぶ巨大な棚網をつくります。この網の中には最大1000匹をこえるクモが共同生活をしていて、網づくりも餌とりも共同でなされます。そうすることで彼らは単独では捕獲できないような大きな餌をとれるのです。


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