2009年9月上旬
飼育を続けているイオウイロハシリグモ♀(Dolomedes sulfueus)が3個目の卵嚢を作りました。
「どうせ前と同じ行動の繰返しだろう」とろくに観察もせずに油断していたら、吃驚することが起きました。
なんと産卵直後の♀が卵嚢を噛み破り、中の卵を食べていたのです。
噛み切られた卵嚢の半分は下に落ちていました。
産卵中にまた卵を下に落としてしまったことをきっかけに卵嚢作りを中断して食卵を始めたのではなくて、卵嚢を完成させた後に噛み破ったと考えられます。
途中の過程を見過ごしたこともあり、食卵の理由は不明です。
今回は空腹(産卵後の消耗)が激しかったのだろうか。
この♀は未交接なので3回目の産卵ともなると無精卵であることを自覚・学習し(当然、幼体が孵化してこない)、無駄な投資を直ちに回収しようとしたのだろうか。
色々と考えられますけど答えは出ません。
しかし受精の有無に関わらず、クモが飼育下のストレスなどで食卵するのは結構よくあることだそうです。
(つづく)
《追記》
闇クモ画像掲示板にて情報提供して頂いたのですが、 ハエトリグモやコモリグモの一部には、産卵期になると交尾してもしなくても、一定日数をおいて卵のうを造り産卵する種がいるそうです。
交尾していないメスが生んだ卵を含む卵のうや卵を含んでいない卵のうを「偽卵のう」と呼び、偽卵のうを造ると、クモはそれを食べてしまうという。(吉倉眞『クモの生物学』」より)
【追記2】
コモリグモとイオウイロハシリグモは違う科ですけど、忘備録。
『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化のなぞを探る』藤井靖浩 第8章「コモリグモの母子のきずな」 p63より
飼育されているコモリグモの♀は交尾の機会を与えられなくても産卵し、未受精卵の入ったぶよぶよの卵嚢をつくりますが、すぐこの異常にきづいて一日以内にはこれを食べてしまいます。しかしこのほかの異常※にはほとんど無頓着です。※卵嚢交換実験をしたときや、寄生蜂に産卵されて卵嚢が変形したとき。
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