2023/12/24

ススキの葉裏に作られたヒメクモバチの泥巣

2022年7月下旬・午後16:00 

里山で幅が狭く人通りの少ない山道を下っていると、ススキの葉の裏に付着した小さな泥玉を見つけました。 
これはおそらくヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の作った泥巣と思われます。 

完成後に閉じられた育房が2つ並んでいました。 
白っぽく乾いた育房の方が先に作られ、やや黒っぽく湿った育房はその後に作られたと推理できます。
葉裏の主脈に沿って巣材の泥玉を付着させようと試みた跡が残っていました。 
作りかけの泥玉が剥落してしまったのかもしれません。
地上から泥巣までの高さは約80cm。 
近くに母蜂の姿はありませんでした。

私が通りすがりに営巣基のススキの葉身をうっかり折ってしまったので、ヒメクモバチ♀が造巣を続けるかどうか疑問です。 
次回に来たときは泥巣を採集して育房の中身を発掘調査してみようと計画していたら、山道の整備に伴って草刈りされてしまいました…。

送電塔に作られたカラスの古巣を調べるチゴハヤブサ♀♂(野鳥)

 

2023年5月中旬・午前11:20頃・晴れ 

高圧線を支える送電塔にカラスが営巣したかどうか、繁殖期にライン・センサスしています。 
郊外に建てられた鉄塔#20に小枝を組み合わせた巣がいつの間にか作られていて、しかも意外な珍客が来ていたので驚きました。 
チゴハヤブサFalco subbuteo)の♀♂つがいです。 
猛禽がこんな街なかの鉄塔に営巣するとは意外でした。 
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』を紐解いてチゴハヤブサの生態について調べると、
巣を自分で作ることは少なく、木立ちの上にある古巣を拝借することが多い。筆者が見たものはすべてカラスの空巣であったが、カケスや他のタカの巣を利用することもあるという。5月下旬〜6月に2〜4卵を産む。(p166より引用)

両隣の送電塔#21および#19で毎年のようにハシボソガラスやハシブトガラスが営巣しているのですが、今季はなぜか#19と#20に造巣したようです。 
(送電塔#19の営巣状況については、映像を公開予定)

カラスは天敵の猛禽類が大嫌いで、見つける度にモビング(擬攻撃)して縄張りから追い払います。 
しかしチゴハヤブサは飛翔能力が高いので、カラスがモビングを挑んでも空中戦で負けてしまうのでしょう。 
もしかすると、カラスが作りかけた巣#20をチゴハヤブサが強引に乗っ取ったのかもしれません。 
そのドラマチックな過程を観察できなかったことが悔やまれます。 

あいにく午前中は逆光で、チゴハヤブサの姿が黒っぽく見えてしまいます。 
快晴で気温が高く、陽炎が立ち昇っています。 
ズームインしてもやや遠くて、私には2羽の性別を外見から見分けることができません。 
体格差があるそうです(♀>♂)。 
小林正之、五百沢日丸『ハヤブサ 隼』という写真集によれば、
♀は胸の横に赤味があり、すね毛に縦斑がある。(p52より引用)
とのキャプションが付けられていました。 
ただし、これが全てのチゴハヤブサ♀に共通した特徴(性差)なのか、それともたまたま写真に撮れた個体(@山形県)だけの特徴なのか、不明です。 

カラスの古巣をじっくり内見している個体が♀で、横の鉄骨に止まって見張っている個体が♂ではないか?と私は推測しています。 

斜めの鉄骨(腕金吊材)に止まった♂が断続的にキィキィキィ♪と甲高い高音で鳴く声がかすかに聞こえました。 
嘴を開閉する動きと同期しているので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

しかも近所で飼い犬がずっと鳴いています♪ 

左の鉄骨に止まっていた♂が右に少し飛んで、在巣の♀に合流しました。 
撮影中はてっきり♂が♀に求愛給餌したのかと思ったのですが、1/5倍速のスローモーションで動画を見直すと、私の勘違いでした。
♂は巣内の座り心地を確かめてから、送電塔の左へ飛び降りました。 
巣の縁に立っている♀は、その様子を見守っています。 

出巣した♂は高速で右に滑空してから旋回し、同じ送電塔#20に舞い戻ってきました。 
今度は右側の腕金主材に着地すると、足で顔を掻いたり足元の鉄骨で嘴を拭ったりしています。 
カメラを向けている私に対する苛立ちの現れだとしたら、申し訳ないです。 
一方、♀は巣内で座り心地を確かめているようです。 

もしかして、性別は逆ですかね?
つまり、古巣を先に見つけた♂が♀に対して巣内に入って調べるように促しているのかもしれません。

内見中のチゴハヤブサ♀♂にあまりストレスを与えないように、早々に撮影を打ち切って立ち去りました。


約4時間後に現場の送電塔#20を再訪すると、チゴハヤブサの♀♂つがいは留守でした。 
私が無遠慮にカメラを向けたせいで営巣を止めてしまったのではないか?と心配です。 
♀が巣内に身を伏せて抱卵している可能性はあります。

送電塔の周囲をぐるぐる回って、いろんなアングルから古巣を写真と動画で記録しました。 (@3:50〜)
4時間前に撮った写真を見比べると、巣材の小枝が増えた形跡はありません。 

交通量がそこそこ多い交差点の近くですけど、果たしてチゴハヤブサ♀♂はこの古巣を気に入って繁殖を始めてくれるでしょうか? 
ここは落ち着いてじっくり観察できないのも難点です。 
撮影のために身を隠すブラインドを張れそうな場所もありません。 
(街なかでは不審者扱いされて通報されそうです。)


つづく→

2023/12/23

一晩で単独毛繕いと相互毛繕いを繰り返すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:5倍速の暗視映像】

 



2023年5月上旬 

二次林にあるニホンアナグマ♀(Meles anakuma)営巣地に2台のトレイルカメラを設置して見張っています。 
とある1日の毛繕い行動をまとめてみました。 
自分独りで毛繕いする場合と、2頭が相互毛繕いする場合があります。 
これほど頻繁に毛繕いするということは、♀が授乳の合間に自分の乳首をきれいにしているのではないか?と推測しています。
それにしては、仰向けになったときに腹面に乳首が見えません。
赤ちゃんの排泄した糞尿が♀の毛皮に付着してしまうのかもしれません。
長いので5倍速の早回しでお届けします。 


シーン1:5/5・午前2:29・(@0:00〜) 
未明にアナグマ♀が左手前の巣口Rに座り込み、毛繕いしています。 
右の林縁広場に移動して、体の手入れを続けます。 


シーン2:5/5・午前2:32・気温12℃(@0:18〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Rに座っている♀が、カメラの方を頻りに気にしています。 
カメラ目線になると、右目の小さな♀であることが分かります。 
後足で体を掻いたり、仰向けになって毛繕いしたりしています。 
最後はようやく入巣R。 


シーン3:5/5・午前2:31(@0:33〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラにも写っていました。 
ここまでが深夜未明の行動です。 


シーン4:5/5・午後19:14(@0:47〜) 
基本的にアナグマは夜行性で、明るい昼間は巣内で寝ています。
晩になってからも、♀が同様の行動を繰り返しています。 
巣口Rで身震いしてから中に入りました。 


シーン5:5/5・午後20:03(@0:58〜) 
約50分後、♀が出巣Rした直後のようです。 
広場から巣口Rに近寄って座り込み、体の手入れを始めました。 
♀の後頭部(首の後ろ)に見える白斑は、たまたま毛並みが乱れているだけかもしれませんが、もしかすると個体識別に使えるかもしれません。 


シーン6:5/5・午後21:20(@1:16〜) 
♀とヘルパー♂(若い息子)と思われる2頭が巣外の林縁広場で互いに毛繕いし合ってます。 
仲睦まじく相互毛繕いを長々と続けています。 


シーン7:5/5・午後21:41(@2:28〜) 
♀が独りで広場に座り、いつものように仰向け毛繕いしています。 
仰向けに寝転がって目をつぶりました。 
すぐにまた目を開けましたが、育児の疲れで眠そうです。 


シーン8:5/5・午後21:47(@2:46〜) 
巣口Rから♀が飛び出して、広場に居た別個体と対峙しました。 
追い払わずに広場で仲良く相互毛繕いを始めたので、相手は余所者の夜這い♂ではなくヘルパー♂だったようです。 

やがて2頭は各自で仰向け毛繕いを始めました。 


シーン9:5/5・午後21:49(@3:04〜) 
相互毛繕いの最中に軽い小競り合いになることがあります。 
軽い唸り声が聞こえました。 
相手の毛皮を甘噛みしていたのに、噛み所が悪かったのでしょうか? 


シーン10:5/5・午後21:51(@3:22〜) 
相互毛繕いの合間に再び軽い小競り合いが勃発♪。 
♀?が入巣Rし、残った個体(ヘルパー♂?)が巣穴RLの間に移動しました。 


シーン11:5/5・午後21:53・気温22℃(@3:40〜) 
別アングルの監視カメラにも撮れていました。 
2頭が広場に寝そべり、相互毛繕いしています。 
互いに相手の毛皮を舐めたり口で甘噛みしたりしています。 
急に離れると、1頭が入巣Rし、もう一頭は左へ移動。 

どうやらヘルパー♂が採餌に出かけたようですが、その後巣穴に戻ってくるシーンが撮れていない点が気になります。 
トレイルカメラの技術的な問題で撮り損ねているだけなのか、それとも私の知らない別の巣穴があるのでしょうか? 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

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