2023/04/06

夜の林道で幼獣を引率してミゾソバを一緒に採食するニホンカモシカ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年10月上旬・午後23:00頃 

里山の林道で水溜りのある区間をトレイルカメラで監視していると、深夜にニホンカモシカCapricornis crispus)の親子が通りかかりました。 
ちなみに、冒頭のシーンは数日前の明るい昼間に撮った現場の様子です。 
画面の右に水溜りの泥濘があります。 
林道一面にミゾソバなど湿った土壌を好む下草が覆い尽くしています。 
画面の奥(上)は林道脇の法面(斜面の山側)になっていて、カメラの背後が斜面の谷側です。 

まず初めに、カモシカの成獣が林道を右から現れました。 
水溜りの手前でミゾソバを採食しています。 
半身になってくれたのですが(@0:30〜)、右肩に黒点はありませんでした。 
右から左へ林道をゆっくり移動しながら採食を続けています。 
林道の右端を歩くので、林道脇の法面に生えた雑草もたまに食べています。 

やがて、画面の右端から幼獣が登場します。(@2:34〜) 
親子のペアなので、先行する成獣はおそらく♀だろうと判明しました。 
暗闇でカモシカの母子がつかず離れず採食行動しているのに、コンタクトコールで互いに鳴き交わしていませんでした。 
月明かりがあるのかと思い調べてみると、この日は月齢7.2の半月で、撮影時刻は月が沈んだ後でした。 
つまり、月明りは無かったことになります。 
辺りは鬱蒼とした雑木林の山林ですから、たとえ晴れていたとしても星明りもほとんど届かない闇夜ではないかと思います。 

その後はニホンカモシカの母子が仲良く並んでひたすら採食しています。 
幼獣の体高は、母親の半分ぐらいでした。 
以前、この林道の下草が延々と泥で汚れているのを見つけたのですが、てっきりイノシシが泥浴びをした後に走り回ったからだと思い込んでいました。 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(2)獣道の下草
ひょっとするとイノシシの仕業ではなくて、体高の低いカモシカ幼獣が母親について林道を歩き回った痕跡かもしれない、と今回の映像で気づきました。 
もしも幼獣の腹の毛が泥水で濡れていれば、下草にも擦れて泥汚れが付きそうです。 

カモシカ幼獣の背中には「ひっつき虫」が大量に付着しています。 
獣道の茂みを通った際に草の実がカモシカの毛皮に付着し、遠くに運ばれて種子散布されるのでしょう。 

採食の合間に幼獣が右後脚の蹄?で右首?(耳?)を掻き、身震いしました。(@4:27〜) 
ヤブ蚊など吸血性の昆虫に刺されて痒かったのでしょう。 

先行する母親が林道を左に立ち去りかけると、後に続く幼獣は眼の前にある母親の尻の匂いを嗅ぎました。(@5:22〜) 
授乳するかと思ったのですが、違いました。
カモシカのおっぱいは後ろ足の間にあり、赤ちゃんカモシカは、お母さんの後ろ足の内側に頬をくっつけるようにしてお乳を飲むのです。(武田修『ロッキーへの手紙』p19より引用)
もう完全に乳離れしているのでしょう。 
暗闇でうっかり母親にぶつかりそうになっただけのようです。
ちなみに、幼獣の頭部にはかなり短い角が生えかけていました。 

親子水入らずの採食シーンを自動撮影カメラの前で長々と披露してくれました。 
カモシカは草食獣有蹄類の中でも採食様式がbrowserに分類され、灌木の葉を主に食べると本には書いてあるのに、この動画では明らかにミゾソバなど草本植物ばかりを食べていました。 
画面の手前(林道の左端)に雑木林の幼木が点々と生えているのですが、その葉をカモシカ親子は全く口にしませんでした。 
少なくともこの時期はミゾソバが美味しい食べ頃(旬)らしく、カモシカは大好物なようです。 
ここは東北地方日本海側の多雪地帯でニホンジカ(採食様式grazer)は進出できませんから、カモシカには餌植物を巡って競合する強力なライバルが居ません。 
したがって、当地のカモシカは選り好みせずに機会があれば木の葉だけでなく草も食べる、ということなのかもしれません。
(grazerのニッチが空いていればカモシカも時にはgrazerのように草を採食する) 

※ 動画編集時に暗い映像は自動色調補正を施して明るく加工しています。 



ヒガンバナの花蜜を吸うキタキチョウ

 

2022年10月上旬・午後16:00頃・晴れ 

民家の庭に咲いたヒガンバナ(別名:彼岸花、曼珠沙華)キタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。 
真っ赤な花を咲かせるヒガンバナは季節の風物詩ですが、訪花昆虫を見たのはこれが初めてです。
とても嬉しい出会いでした。 
ヒガンバナに訪花する蝶と言えばクロアゲハの仲間という先入観があったので、黄色いキタキチョウとの組み合わせにちょっと驚きました。 
赤い花を訪れる蝶は珍しいので、その点でも興味深いです。
 
ヒガンバナの群落と言うほどではなく、庭に2本しか生えていなかったのに(そのうち1本は未だ蕾)、キタキチョウはヒガンバナの花蜜をよほど気に入ったようで、何度も飛び立っては同じ花序に舞い戻ります。
キタキチョウは翅をしっかり閉じたまま吸蜜します。 
クロアリ(種名不詳)も2匹ヒガンバナに訪花していました。

眩しい西日が逆光になってしまいましたが、反対側に回り込みたくても他人様の庭には勝手に入れないので、仕方がありません。 
 

2023/04/05

下草が生い茂る真夜中の林道で餌を探し歩くホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月上旬・午前2:50:頃 

画面の右端に黒々と写っている水溜りをトレイルカメラで見張っています。 
前回の映像とは逆方向から狙うようにカメラを設置しました。
ミゾソバなど湿地を好む下草が一面に繁茂する林道をホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が深夜に右から左へ歩いて行きます。 
頭を下げて鼻面で下草を掻き分け、匂いを嗅ぎながらゆっくり進みます。 
カモシカとは違って、タヌキはミゾソバそのものをむしゃむしゃと食べることはありません。 
獲物となる昆虫やカエルなどの小動物を探しているのでしょう。 
最後は林道を手前に渡り、画面の左下隅に消えました。 
どうやら谷へ降りて行く獣道を利用したようです。

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