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2018/08/15

電柱で空中戦を繰り広げるハシボソガラス(野鳥)



2018年5月下旬


▼前回の記事
ニセアカシア樹上のハシボソガラス幼鳥に巣外給餌しに通う親鳥(野鳥)

ハシボソガラスCorvus corone)の巣立ち雛に巣外給餌する合間に一羽のハシボソガラスが川の堤防の横にある電柱の天辺の外灯カバーに止まりました。
定点観察している縄張り内で親鳥がよく使わう止まり木の一つなので、おそらく親鳥のうちの一羽αだろうと思いました。
動画に撮っていると、もう一羽βが飛来しました。
襲われる寸前にαは身を交わして逃げ、飛び去りました。

堤防の陰に飛び去ってしまったので、小競り合いの結末は不明です。
喧嘩中に鳴き声は聞こえませんでした。(鳴いていないと思うのですが…)

私の勝手な第一印象では、家族群の中の2羽のカラスが遊んでいる微笑ましい光景に見えました。
先に巣立った幼鳥同士が遊んでいるのかな?
あるいは、育雛が一段落した♀♂つがいが、ふざけて模擬戦をやってるだけ(遊びの空中戦)なのかと想像しました。
少し遠いので、幼鳥なのか成鳥なのか、見分けられていません。

しかし一瞬の空中戦を1/5倍速のスローモーションで見直すと、空中ですれ違いざまに互いに足の爪を相手に向けていました。
縄張りに侵入した別個体を追い払う闘争行動なのかもしれません。

カラスを個体識別できれば、観察した一挙手一投足にもっと深い解釈ができて更に面白くなるのになぁ…。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→ハシボソガラスの親鳥♀♂が協力してノスリ?を縄張りから追い払う(野鳥)


2018/08/13

ウワミズザクラ訪花中にビロウドツリアブを襲うハナアブの謎【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月中旬


▼前回の記事
ウワミズザクラの花で吸蜜ホバリングするビロウドツリアブ【HD動画&ハイスピード動画】

里山のウワミズザクラ老木で満開に咲いた花を訪れて吸蜜しているビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)を動画に撮っていると、ときどき別種のハナアブ類が飛来して追い払われることが何度もありました。
240-fpsのハイスピード動画でも異種間のニアミスが撮れています。(@0:05〜)

このハナアブの種類や性別を私は見分けられないのですが、そそっかしい♂が訪花中のビロウドツリアブを交尾相手の♀と誤認して飛びつこうとしたのでしょうか?(誤認求愛)

▼関連記事
ウワミズザクラの花蜜を吸うアカタテハにサカハチチョウが誤認求愛?

それとも、ハナアブ類の間にあると言われている順位制を反映しているのですかね?
これは最近、田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本で読んで初めて知った話です。

優位の昆虫が来たら席をゆずる。それが昆虫社会の食事のマナー。
ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。
こうしたマナーが、蜜の多い大きな花には大きな昆虫が、蜜の少ない小さな花には小さな昆虫が訪れる要因の一つになっているのだ。(p113〜114より引用)


夏の雑木林で樹液酒場に集まる様々な昆虫の間に力関係の序列があるのと似ています。
しかし今回の映像をよく見ると、後から飛来したハナアブも先客のビロウドツリアブを追い払った後に蜜源の花を奪い取ってはおらず、共に飛び去ってしまっています。
つまり勝者も敗者も居ないのです。
また、ウワミズザクラの花は満開ですから、先客に占領されていない花も近くに幾らでも咲いています。
したがって、ハナアブ類がわざわざコストを掛けて(ギスギス、ピリピリしてヘトヘト、腹ぺこになる)縄張り争いするというのは、にわかには信じ難い話です。

ハナアブ類の配偶行動について何も知らないのですけど、もしかすると交尾相手の♀が来てもらえるように魅力的な餌場(蜜源)を♂が確保しておく必要があって、縄張りの占有行動をするのかもしれません。

2018/08/02

蛹化したばかりのナミテントウが背筋運動でアブラムシを撃退



ナミテントウの飼育記録#10



▼前回の記事
ナミテントウの蛹化【60倍速映像】

2018年5月下旬

蛹化したばかりで未だ黄色のナミテントウHarmonia axyridis)蛹aが自発的に背筋運動を繰り返す様子を動画で記録してみました。
ヨモギの葉表に固定した腹端を支点にして、ときどき上半身をぐいっと持ち上げています。
しばらくすると脱力してゆっくりと体を伏せます。
この個体は斜めに伸びたヨモギの葉に対して頭を下向きに蛹化したので、わざわざ重力に逆らって体を背筋で持ち上げていることになります。
背筋運動で起立する際に、腹部の下半身がプクッと膨らむことがありました。(@2:20)
この自発的な背筋運動にどういう意味があるのか、私には分かりません。(※追記参照)

こんな鮮やかな黄色で動いていたら天敵(捕食者)に対して目立って仕方が無いと思うのですけど、体内に毒を持っていることを示す警告色なのでしょうか?

ヨモギの葉を徘徊中のアブラムシが近寄って来たり這い登りそうになると、ナミテントウ蛹はパタパタと激しく背筋運動して追い払いました。(威嚇、撃退)
「変態中の蛹は死んだように動かないもの」という先入観を昆虫に対して抱いている人がいるかもしれませんが、テントウムシを飼育するとこれが覆されます。
蛹は移動性を失っているので天敵(捕食者、寄生者)に対して無防備ですが(逃げられない)、これだけ元気ならアリぐらいなら背筋運動で追い払えそうです。

つづく→#11:羽化前の眠でも微動だにするナミテントウの蛹RL【50倍速映像】




※【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』でテントウムシの蛹について調べてみると、面白い解釈が書いてありました。
第4〜7腹節背面の前縁が大きく抉れ、ジン・トラップとなっている。蛹は赤と黒の警戒色で、成虫のように毒液は出しませんが、秘密兵器を備えています。(中略)蛹が通常の状態では腹脚の溝は開いていて、その溝に何者かが触れると腹部を伸ばすことで溝が閉じ、侵入者を挟みます。撃退対象はおそらく、寄生バチやアリでしょう。 (p50より引用)


2018/07/23

アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ



ナミテントウの飼育記録#5


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫

道端からヨモギを採集してくる際に、一緒についてくるアリを完全に取り除いておく必要があります。
アブラムシが分泌する甘露を報酬として、アリはアブラムに随伴し、その天敵から守るボディーガードとして働きます。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)を捕食中のナミテントウHarmonia axyridis)若齢幼虫に対してボディーガード役のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が激しく噛み付いたり腹端から蟻酸を吹きかけたりしていました。
ところがナミテントウ幼虫はアリから攻撃を受けても平然と捕食を続け、逃げたりしませんでした。
テントウムシの幼虫は体表のトゲトゲで自衛しているようです。
逆になぜかアリの方がどこかへ行ってしまいました。
アリを同定する前に素早く逃げられてしまったのが残念です。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】



【追記】
今村寿明『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』によると、
テントウムシ自体もなにせ1cm満たない昆虫だから、アリなどに寄ってたかられると食べられてしまう。このときにはテントウムシの方がコシネリンという化学物質を放出するが、このコシネリンは10^-3mol/d㎥程度の溶液でもアリが嫌がる。つまり、ナナホシテントウの対蟻防衛物質というわけである。 (p57より引用)
テントウムシの幼虫も成虫と同じくコシネリンを放出するのだそうです。
今回の動画でナミテントウ幼虫が対蟻防衛物質を含む液体を分泌している様子は写っていませんでした。



2018/07/08

樹上のトビを激しく襲うカラス混群【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2018年4月下旬

川沿いでトビMilvus migrans)が飛来してアカマツの樹冠の横枝に止まりました。
背後は杉の木で守られていますが、怯えたように辺りをキョロキョロ見回しています。
その周囲を数羽のカラスが飛び回り、樹上のトビを繰り返し襲い始めました。
近くの河畔林にカラスの営巣木がありますから、天敵の猛禽類を縄張りから追い払おうと激しいモビング(擬攻撃)を加えているのでしょう。
防戦一方のトビはピーヒョロロ♪と甲高い悲鳴を上げています。(威嚇の鳴き声?)
空からカラスが高速で向かってくると、頭を下げてお辞儀のような迎撃体勢になります。
ぶつかりそうになる寸前でトビが翼を広げて威嚇しました。
このとき翼裏面の白斑が見えたので、襲われている猛禽類の正体がトビと判明しました。
カラスもトビに対して神風特攻隊のように嘴でぶつかって行く意図は無く、あくまでも脅しのための擬攻撃で、トビの頭上すれすれを飛び交います。

モビングするカラスの動きが速過ぎて、なかなか外見から種類を見分けられません。
騒ぎの間、カーカー♪澄んだ声で鳴いていたので、ハシボソガラスではなくハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。
仲間を呼び寄せる声なのか、トビに対する威嚇の鳴き声なのでしょう。
3羽のカラスが代わる代わるモビングしていました。
つがいとヘルパーなのか、あるいは隣の縄張りのカラスが加勢しに来たのかもしれません。

途中から240-fpsのハイスピード動画に切り替えてカラスのモビング行動を記録してみました。(@1:50〜3:21)
カラスはとにかく天敵の猛禽類を飛び立たせて縄張りから追い出したいようです。
トビの頭上をかすめるように飛んだり、トビが止まっている横枝のすぐ下を高速でくぐって飛ぶこともあり、なかなかスリリングです。
トビが翼を広げて威嚇した拍子に白い羽毛が1枚抜け落ちて飛び散りました。

スローモーションでじっくり見てもなかなかカラスの種類を同定できません。
しかし一羽が樹間の空を背景に飛んだ瞬間に横向きの頭部のシルエットが一瞬見え、ようやくハシボソガラスと分かりました。
ということは、ハシブトガラスだけでなくハシボソガラスも共同戦線を張って共通の天敵に対してモビングしているようです。

今思うと、直接トビに飛びかかっている個体と遠巻きで鳴き騒いでいるだけ(野次馬)の個体とを区別して見分けるべきでしたね。(動画撮影に集中していると、なかなかそこまで気が回りません)

後半はHD動画に戻しました。
カラスの中には空中戦に加勢せずにすぐ左のアカマツの枝に止まって鳴き騒ぎ、トビに圧力をかける個体も居ます。(松葉の茂みに隠れて映像ではよく見えません)

頭上スレスレのモビングをかわす際にトビが堪りかねたようにフワリと飛び上がり、右の枝先へ移動しました。(@3:35)
枝先は細いので、ますますトビの足場が不安定になります。(トビが動く度に枝が激しくしなります)
再びトビがフワリと飛び上がり、横枝の中間部へ戻りました。(@4:05)
ここなら足場が比較的安定しています。

一層激しくなったカラスの波状攻撃に耐え切れず、遂にトビがアカマツ樹上から飛び立ちました。(@4:28)
空中でもカラスが容赦なく襲いかかります。
急激な方向転換など飛翔時の敏捷性はトビよりもカラスが上手です。
トビはピーヒョロロ♪と甲高く鳴きながら羽ばたきと旋回(滑翔)を繰り返し、必死で逃げ惑います。
追い回すカラスがガーガー♪と濁った声で鳴いていたので、やはりカラスの連合軍にはハシボソガラスが混じっているようです。
最後に右手(川の上流)へ飛び去るつがいのシルエットもハシボソガラスでした。
一方、アカマツの樹上には2羽のハシブトガラスが残っていました。
このつがいは左手(下流へ)へと澄んだ声で鳴きながら飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

7日前に対岸から撮影したモビングも丁度この辺りで行われたことに気づきました。
トビとカラスは人知れず連日のように神経戦を繰り返しているのでしょう。

▼前回の記事
河畔林でトビを追い回すカラスのつがい(野鳥)



【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読むと、2種類のカラスの関係性について興味深い記述がありました。

ボソとブトの両種は鳴き声が違うだけでなく、お互いの言葉が通じていないという説もあります。ただ、悲鳴の声(Distress Call)などは種を超えて理解しあっているようにも思います。 (p48より引用) 
大人のボソとブトが仲良くすることはない。 p66より引用)


トビ(野鳥)@アカマツ樹上

トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング
トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング

ハシブトガラス2(野鳥)@アカマツ樹上+モビング後

2018/07/01

河畔林でトビを追い回すカラスのつがい(野鳥)



2018年4月中旬

河畔林でトビMilvus migrans)が2羽のカラスと激しい空中戦を繰り広げていました。
翼の下面に白斑を確認したので、この猛禽類はトビで間違いありません。
トビは必死で逃げ回りながらピーヒョロロ♪と悲鳴を上げている声が対岸までかすかに聞こえました。

つがいのカラスが凄い剣幕で天敵を追い回しているので(モビング、擬攻撃)、おそらく近くにカラスの巣があるのでしょう。
ハシブトガラスなのかハシボソガラスなのか、遠くてカラスの種類は見分けられませんでした。

川の対岸から望遠レンズで撮影しました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

▼関連記事(1週間後にも激しくやり合っていました)
樹上のトビを激しく襲うカラス混群【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)


トビ(野鳥)vsカラスsp2(野鳥)@河畔林上空+モビング
トビ(野鳥)vsカラスsp2(野鳥)@河畔林上空+モビング

2018/05/27

ノスリを追いかけモビングするハシボソガラス(野鳥)



2017年5月上旬

住宅地と農耕地が混在する郊外の上空で、猛禽類とハシボソガラスCorvus corone)が1対1で空中戦を繰り広げていました。
繁殖期のカラスが天敵にモビング(擬攻撃)を行い縄張りから追い払おうとしているようです。
近くにハシボソガラスの巣があるのでしょう。

猛禽類の翼の下面をよく見ると、ノスリButeo japonicus)でした。

途中から攻守交代し、追い回されていたノスリがカラスに反撃しました。
カラスが必死に逃げ出した隙に、ノスリは戦闘空域を離脱しました。


※ 今回は動画編集時に手ぶれ補正処理はしていません。
背景がほとんど何もない青空だと、あまり効果が無いのです。



2018/05/19

熟柿を採食中にヒヨドリ同士で競り合い(野鳥)



2017年11月上旬

民家の庭木として植栽されたカキノキで果実がしっかり熟したようです。
3羽のヒヨドリHypsipetes amaurotis)が熟柿を採食しに来ていました。

互いに少し離れた枝で採食しているのに、ときどき飛びかかって行くのは、餌場を独り占めしたいという占有行動なのかな?
遊びのような小競り合いなのかもしれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/05/15

ヒヨドリ2羽の空中戦(野鳥)



2017年11月上旬・午後16:32(日の入り時刻は午後16:31)

某大型店の駐車場に植栽された見慣れない街路樹(樹種不明)で2羽のヒヨドリHypsipetes amaurotis)が大声で鳴き交わしていました。
一体何事か?と思ってカメラを向けると、急に樹冠から飛び上がり空中戦が勃発しました。
映像の冒頭から空中戦を1/4倍速のスローモーションでご覧下さい。

夕焼け空がきれいでした。
ヒヨドリの塒入りは未だ観察したことがないのですが、ちょうど日没したばかりなので、それに関連する小競り合いなのでしょうか?
こんな季節(初冬)にも縄張り争いがあるのかな?

ところで、常緑樹と思われるこの木なんの木気になる木?
名前も知らない木ですから…。



2018/05/12

休耕地で採食しながら喧嘩するハシボソガラスの群れ(野鳥)



2017年10月中旬・午後16:02〜16:05

山麓の農村部の原っぱ(休耕地)でハシボソガラスCorvus corone)の群れが採食していました。
枯れ草を嘴でかき分けたり地面をつついたりして、食べ物を探しています。
横の道を私が通ったせいで一時避難していたカラスが少しずつ戻って来たのです。

先客が採食している近くにわざと舞い降りて攻撃する意地悪な(?)個体が居て、小競り合いが頻発していました。
餌場でのパーソナルスペースを侵害されると怒るようで、ガーガー♪鳴き騒いでいます。
未だ着陸飛行のコントロールが下手糞な若鳥なのでしょうか?
遊びのようにふざけて挑発し合っているだけのか、群れ内での順位(序列)を決める争いがあるのか、漠然と見ているだけではよく分かりません。(カラスに足輪を付けて個体識別した上で群れを観察する必要があるでしょう)
喧嘩が次にどこで勃発するかも予測できないので、どの個体を撮るべきか目移りしてしまいました。

もう少し引きの絵で群れ全体の動向を撮ればよかったですね。
仲間とのトラブルを避けるために少し飛んで採餌場所を移動する個体もいます。

ちなみに、少し離れた(民家の裏手)刈田ではハシボソガラスの別の群れが平和に落ち穂拾いしていました。(→映像
つまり、この地域でカラスの深刻な餌不足が起きている訳ではありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/05/11

イチジク熟果を占有するオオスズメバチ♀の威嚇行動



2017年10月上旬

▼前回の記事
熟したイチジクの果実を食害するオオスズメバチ♀


民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹でオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀が熟果に居座っています。
イチジク果頂部のいわゆる「目」と呼ばれる穴に頭を突っ込んで果肉を吸汁しています。
日本の昆虫界では最強のオオスズメバチは満腹になってもこの餌場を独り占めしているようです。(占有行動)

【シーン1】
甘い匂いに誘われたニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が後から飛来すると、オオスズメバチはその場で扇風行動のように翅を軽く震わせました。(@0:23)
威嚇されたニホンミツバチはすぐに逃げ去りました。
オオスズメバチの重低音の羽音を聞かせるだけで、他の昆虫は恐怖で逃げていくのでしょう。

【シーン2】
微小なショウジョウバエ(種名不詳)が飛来した時も熟果上のオオスズメバチ♀は急に向き直って再び軽く扇風行動で威嚇しました。(@2:12)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


余談ですが、日が落ちると夜行性の吸蛾類がイチジク熟果を吸汁しに来るのではないかと予想して、何度か夜回りしてみました。
しかし残念ながら空振りに終わりました。(観察する時間帯の問題かもしれません。)
夜行性のモンスズメバチも来ていませんでした。
昼間は様々なハチ類やハエで賑わっていたイチジク熟果も夜は静まり返っていました。



2018/05/09

縄張りを巡り空中戦を繰り広げるハクセキレイ(野鳥)



2017年10月中旬・午後15:42

河川敷の上空で2羽のハクセキレイ♂♀(Motacilla alba lugens)が激しい空中戦を繰り広げていました。
ハクセキレイの繁殖期はとっくに終わっているはずですが、未だに縄張り争いがあるとは少し意外でした。
河川敷を行き来する追いかけっこの動きがあまりにも速いので、高速飛行を1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。

侵入者を空中で散々追い回した後に河川敷の芝生に残った勝者が背中の黒い♂であることは確認できました。
スロー再生すると、逃げている個体は体色がくすんで見えたので、若鳥または♀のようです。
(セグロセキレイなど別種の野鳥である可能性もありますが、この辺りでセグロセキレイを見かけることは滅多にありません。)
必死で飛んで逃げる個体は最後に左急旋回した後、追っ手♂をまくことに成功し、私も見失いました。
最後は勝者の♂が着陸するまでの流し撮りで、セキレイ類に特徴的な波状の飛び方が撮れました。
争いの原因は何だったのでしょう?(領空侵犯? 子別れ?)



▼関連記事(3年後の撮影)
川岸で縄張り争いするハクセキレイ♂の誇示行動(野鳥)


ハクセキレイ♂(野鳥)縄張り争い勝者@河川敷

2018/04/06

スズバチ♂同士の空中戦



2017年8月下旬

民家の庭の片隅に咲いたキャットミントの群落でスズバチ♂(Oreumenes decoratus)が訪花の合間に葉に乗ってしばし休んでいました。
やがて探雌飛翔のために葉から飛び立つと2匹(♂同士?)が出会い、空中で互いに睨み合いながら空高く急上昇しました。
♂同士?による一瞬の空中戦を1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみます。
もし相手が♀なら♂はすぐに飛びついて交尾を試みるはずです。

見失ってしまいましたが、すぐに一匹だけキャットミントの花壇に戻って来ました。
しばらく探雌飛翔してから葉上で休息。
訪花する♀と交尾しようと待ち伏せていて、ライバルの♂が飛来すれば追い払うのでしょう。(縄張り争い?)



2018/04/01

苔むしたコナラの樹液酒場で吸汁・排尿するオオスズメバチ♀



2014年9月上旬

里山の雑木林でコナラの苔むした幹の根元付近でオオスズメバチVespa mandarinia japonica)とモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が小競り合いしていました。
体格で圧倒的に勝るオオスズメバチがモンスズメバチを追い払うと(@〜0:05)、大顎で激しく噛み付いて苔を円形に剥ぎ取り樹皮を露出させました。
しかし、ここは樹液の出が悪かったようで離れました。
あちこち飛んで移動すると、苔むした幹で樹液の滲むスポット(樹液酒場)を探索しています。
おそらく樹液の微かな匂いを頼りに探し回り、あちこちで幹を覆う苔を試しに剥ぎ取っています。

苔を毟る作業中に腹端を少し持ち上げると、透明の液状便(尿)を勢い良く排泄しました。(@4:35)
オオスズメバチのおしっこを撮影できたのは、これが二度目です。

▼関連記事
ミズナラの樹液を吸いつつ排泄するオオスズメバチ♀
排尿したということは、それまで樹液を大量に吸汁していたと思われます。
しかし私の目には、この幹から樹液が分泌しているようには見えません。
通常スズメバチは樹皮に噛み傷をつけて樹液の分泌を促すのですが、もしかするとこのコナラ幹では柔らかい苔に樹液が染み込んでいて、オオスズメバチ♀はそれを大顎でスポンジを搾り取るように吸汁しているのかもしれない…と想像を逞しくしてしまいました。
もし樹液が全く出ていないのなら、スズメバチは長居せずにすぐ立ち去るはずです。

樹液の匂いに惹かれて近づいてくるハエやクロアリ(種名不詳)をオオスズメバチ♀は嫌がり、牽制しました。
その場で短く羽ばたいて威嚇したり、強大な大顎を見せつけたりしています。

チャイロスズメバチ♀が守っている樹液スポットの付近を飛び回ったときは、不思議とオオスズメバチ♀は喧嘩を挑みませんでした。
樹液酒場でチャイロスズメバチの序列(力関係)はオオスズメバチに次いでナンバー2ですから、手強い相手だと認識しているのでしょうか。

このオオスズメバチ♀の腹端付近をよく見ると、スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されているようです。

▼関連記事
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁

※ どなたかこのコケ(苔)の名前をご存知でしたら教えて下さい。


2018/03/24

チャコウラナメクジに襲われ泡を吹くヒダリマキマイマイ 【10倍速映像】



2016年10月下旬・午後22:39〜23:23

夜、いつものように飼育容器内に霧吹きしようと蓋を開けたら、その蓋の裏にへばりついて居たヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が大量の泡を吹いていました。
同居させているチャコウラナメクジAmbigolimax valentianus)がヒダリマキマイマイの殻に乗って攻撃しているようです。

2匹の軟体動物による緩慢な闘争・逃走シーンを微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
(もう少し早く気づいて撮り始めていれば…。)

泡を吹きながら逃げ回るヒダリマキマイマイをチャコウラナメクジが執拗に追い回しています。
野菜屑などの餌をきちんと与えているつもりでしたが、このナメクジはひどく飢えているのでしょうか?
カラスのモビング行動(擬攻撃)を連想しましたが、まさか縄張り争いではないでしょう。
カタツムリの分泌する粘液を舐めているだけかもしれません。
ヒダリマキマイマイが這った跡に残した粘液を頼りにチャコウラナメクジが追跡していることは確かです。(本来ナメクジは夜行性ですし、その眼は光の明暗を感じる程度で周囲のものの形をみることはできないらしく、視覚で追跡しているのではありません。)

ヒダリマキマイマイが嫌がって逃げているのは分かりますが、ナメクジがカタツムリの殻に乗っているのは果たして偶然でしょうか?
映像ではどう見ても獲物として繰り返し襲おうとしているようです。
ナメクジがカタツムリを襲うとは予想だにしなかったので、初めて見る光景に仰天しました。
宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』という本を紐解いてみると、ナメクジが時に獰猛な肉食性になることを初めて知りました。

ナメクジは肉も食べるということがわかる。
 実は、多くのナメクジはタンパク質を食べなくては成長することができない。ナメクジにとって一番身近にあるタンパク質は、同じ仲間のナメクジなので、生きているナメクジを積極的に食べるわけではないようだが、死んだ(または弱っている)ナメクジを食べることはある。
 日本にいるナメクジは基本的に草食・雑食性であるが、海外には肉食性のナメクジもいて、彼らはミミズや他の陸貝をエサとしている。 (p27より引用)


また、侵入生物データベースのサイトにてチャコウラナメクジが「ハマキガ類の卵塊を捕食する」との記述がありました。


徘徊速度を比べると殻を持たない身軽なナメクジにカタツムリは負けていて逃げ切れないのかもしれません。
ヒダリマキマイマイはナメクジに正面から触れた瞬間にビクッと身を縮めました。
殻口から奥に侵入できる捕食者に対しては殻の中に軟体を引っ込んで籠城するだけでは身を守れません。

サザエとは違ってカタツムリは殻口を閉じる固い蓋を持たないからです。
このような緊急時にカタツムリが自衛のために激しく泡を吹くらしいのですが、実際に見るのは初めてでした。
この泡は苦い分泌物(毒?)が含まれているのだそうです。
容器の蓋の縁を乗り越えようとするついでに、ヒダリマキマイマイは殻を大きく振り回してナメクジを振り落とそうとしました。(@1:06〜1:15)
この動きはカタツムリの第二の自衛手段です。
最後にヒダリマキマイマイが殻の中に籠城すると(第三の自衛手段)、ナメクジはようやく諦めて立ち去りました。
このときヒダリマキマイマイは殻口を容器蓋のプラスチック面に伏せているため、ナメクジは攻撃できませんでした。

思い返してみると、以前にも同居しているヒダリマキマイマイの殻や軟体部にナメクジがへばりついていることがありました。
徘徊中に偶然出会っただけかと思って見過ごしていました。
実はナメクジが競争相手を密かに一匹ずつ殺そう(捕食しよう)としていたのか?と戦慄しました。
無知な私は横着してナメクジとカタツムリを同居させてしまいましたが、別々の容器で飼うべきでしょう。

逆に言えば、素人ならではの失敗が転じて興味深い発見(セレンディピティ)ができました。


その後、ヒダリマキマイマイとチャコウラナメクジの同居飼育を続けても捕食シーンを二度と観察できませんでした。(私が見逃しただけ?)
必死で防御・抵抗するヒダリマキマイマイを手強い相手だとチャコウラナメクジが記憶して、襲わなくなったのでしょうか。
襲われた蝸牛が泡を出し始める様子をいつかじっくり見てみたいものです。
唾液で泡を立てるのでしょうか?
呼吸孔からブクブクと息を吹き込んで泡立てるのかな?
泡立ちやすい界面活性剤を含んだ特殊な粘液を急激に分泌するのですかね?
今回の映像を見直すと、ナメクジの執拗な追跡をやり過ごし殻の中に籠城したヒダリマキマイマイが泡を出したのは左側からでした。(@3:20〜3:28)

なぜ粘液を泡状にするのか?という理由を私なりに考えてみると、SF映画などでお馴染みの「バリアを張る」作戦なのでしょう。
つまり、生身の体(軟体部)に到達される手前に忌避剤を含む軽い膜を素早く張って防衛線とするのだと思います。
もし相手がアリのように小さな虫なら、何重ものバリアを突破する必要があり、かなり有効そうです。


2018/03/12

川面で争うオナガガモ♀♂の群れ(冬の野鳥) 【HD動画&ハイスピード動画】



2016年12月中旬

冬の川面で群れをなしてくるくると泳ぎ回るオナガガモ♀♂(Anas acuta)を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:19〜)
群れ内でときどき勃発する小競り合いが気になったので、長撮りした素材からそんなシーンばかりをまとめてみました。

オナガガモは性別を外見から容易に見分けられるので助かります。
(真っ黒な頭部と白い首のツートンカラーが目立つのが♂で、♀は全体が地味な茶色。)



・♂vs♂ 正面から嘴で軽くつつき合う。

・♀vs♂ 羽繕い中の♀が前方に居た♂の尾羽を突いた。(@0:19-0:55)
♂は驚いて向き直っても反撃しませんでした。
再び♀に軽くつつかれて、♂はたまらず離れて行きました。

・♂vs♂ 「邪魔だ! どけ!」とばかりに前方の♂を嘴でつついた。(@0:55-1:20)
突かれた方は驚いて向きを変えたが、反撃せず離れました。
やられた個体が直後に尾羽をフリフリ。

・♂vs♀ ♂が♀の正面から近づき、顎で♀を下に押し付けました。(@1:21-1:47)
その後の展開を見ても求愛行動には思えません。

♀はぼーっとしていて♂の接近に気づかなかったのでしょうか? 
慌てて逃げる♀を♂は追いかけず、共に尾羽を左右にフリフリしています。(転移行動?)



オナガガモの群れにはつつきの順位があるのでしょうか?
これだけ群れが大きくても互いに個体識別して順位を覚えていられるのか、私には疑問です。

餌を奪い合うための争いでないことは確かです。

こうした小競り合いの個人的な解釈としては、オナガガモ同士がパーソナルスペースを保ち互いに近づき過ぎないように突いて牽制し合っているのかと、なんとなく想像しました。

満員電車内の人々の殺伐とした行動を連想してしまいます。
一方では群れとして集まりたいという矛盾した衝動もある訳ですから、なかなか大変ですね。


小競り合いの後に尾羽を左右にフリフリする行動がよく見られました。

これは、降参のポーズもしくは和睦の挨拶なのかな?
対立の気まずい感情を和らげて気分転換する転移行動?
ただし、何かに驚いたのか急に少し飛んで着水した直後にも尾羽を左右にフリフリしています。(♂@1:51-2:19)
八木力『冬鳥の行動記』を読むと、「儀式的水浴び→転移性はばたき→尾を振る」という一連の流れがカモ類の転移行動らしい。

尾羽を左右に振るだけでは転移行動とは呼べないのですかね?



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


今回観察したオナガガモの小競り合いが繁殖期に特有の求愛行動や♀の取り合いと解釈すべきなのかどうか私には分からず、ずっと気になっていました。
『動物たちの気になる行動(2)恋愛・コミュニケーション篇』という動物行動学の研究を紹介する本を読んでいたら、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』という総説が収録されていました。

読んでみると、とても勉強になりました。
私の興味を引いたポイントをかいつまんで引用します。
 日本に渡来するカモ類のつがい関係は、一回の繁殖期の間だけのものです。(中略)日本で過ごす間につぎの繁殖期のために、新しいつがいをつくります。(中略)カモたちは、いったんつがいになると、ほとんど別れることはなく、連れ添って行動し、繁殖地へ帰って行きます。(p26より引用)

囲い込み行動はオナガガモだけにみられるもので、他種のカモ類は行いません。オナガガモが多数飛来した水辺で、1〜2月ごろに注意深く観察していると、数羽以上の♂が一羽の♀を囲むようにして、追いかけながら泳いでいく光景がよくみられます。(中略)「囲い込み」が始まると、集まったメンバーはほとんど入れ替わることなく続けられます。(中略)そしてこの集団の♂たちが、♀に対して求愛のディスプレイを繰り返し行います。(p22より引用)

オナガガモの代表的な(求愛)ディスプレイには、つぎのものがあります。(あご上げ、げっぷ、水はね鳴き、そり縮み)ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。(それぞれの詳細は割愛)(p22-29より引用)

つがい形成とその後の行動についても、♂の「後頭さし向け」と♀の「けしかけ」ディスプレイについて解説されていました。(p30-31より)


さすがプロの研究者による専門的な解説はとても勉強になりました。
しかし、記述された一連のディスプレイはあまりにも細かな行動で、観察歴の浅い私にはしっかり見分けられそうにありません。
撮影時期が12月で、求愛するには少し早かったのかもしれません。
オナガガモを観察する上で目の付け所がこれで分かったので、今後の宿題です。




【追記】
渥美猛『オナガガモの奇妙なつがい形成』によると、
多くの渡り鳥は、繁殖地でつがいを形成します。(中略)同じ渡り鳥でもカモの仲間は、つがいを形成する場所と時期が違います。なんと、越冬地である日本で繁殖とは関係のない越冬期につがいを形成するのです。 (上越鳥の会 編『雪国上越の鳥を見つめて』p125より引用)


日本に渡ってきた頃は、♂の羽の色は♀にとてもよく似ています。 オナガガモは10月下旬から求愛を始め、12月下旬からつがいを形成します。♂は♀の気を引くために鮮やかな羽毛に換羽するのです。(中略)つがいを形成する時期以外は地味な迷彩になる (同書p126より引用)

鮮やかな羽毛に換羽した♂は、♀に気に入られようと、ポンプ、げっぷ、水はね鳴き、そり縮みといったさまざまな求愛行動をします。つがいになった♂と♀は、一定の距離を保って、寄り添うように行動します。(中略)つがい♂は、つがい♀に求愛したり、接近する他の♂に対して攻撃します。この行動を配偶者防衛行動と呼びます。 (同書p126より引用)



♂は♀を獲得すると採餌に専念できるのです。(中略)攻撃する頻度が一番多いのはつがい♂です。攻撃される相手はつがい♀に近づく独身♂やつがいにうっかり近づく独身♀でした。つがい♀はつがい♂に守られているため攻撃される頻度はごくわずかでした。(同書p127より引用) 
この報文には「オナガガモの求愛行動 水はね鳴き」および「オナガガモの求愛行動 そり縮み」を描いた♂のイラストも掲載されていて、素人にはとても参考になりそうです。


オナガガモ♀(右)♂(左)
オナガガモ♀♂(野鳥)群れ@川面

2018/02/19

水路を往復し、抜け殻を味見するアメリカザリガニ



2017年8月下旬


▼前回の記事
川底の泥を採食するアメリカザリガニ

日本庭園の睡蓮池から、そこに流れ込む細い水路を上流に向かって真っ赤なアメリカザリガニProcambarus clarkii)αが遡上を始めました。
浅い水路を前進だけでなく後退もできるようです。(@0:40)

流れる水面をすいすい泳ぐアメンボがいます。
しばらく歩くと、もう一匹の個体βと出会いました。(@1:14)
体格差はさほどありません。
上流を向いて静止していた2匹目の個体βは、体色の赤色が薄く、ハサミは右しか無くて小ぶりです(左のハサミは更に小さな再生肢)。
αは右の触角でβの存在に気づくと、攻撃したりせずに迂回しました。
同時にβも上流へ移動し始めました。(前回の記事の採食行動に続く)

水路内をどんどん上流へ移動するαを追いかけると、3匹目の小型個体γと出会いました。(@1:53)
とても小さなγは体色も未だ赤味が無くて土色です。
若い個体で脱皮直後なのかな?
(私は水性動物にまるで疎いので、もしかしてアメリカザリガニではない在来種のザリガニとか川エビだったりしたら恥ずかしい…)
体格で圧倒的に勝るαがγを襲って捕食(共食い)するかと思いきや、αは岸沿いに残されていた脱皮殻を見つけました。
おそらくこれはγの抜け殻なのでしょう。
αをこの抜け殻ハサミで引き寄せると、食べ始めました。
もしかすると、αはこの匂いに誘引されて水路をはるばる遡上してきたのか?と想像したりしました。
なぜか獲物を抱えたままどんどん後ずさりを始めました。(獲物を独り占めするため?)
このとき大きなハサミを獲物の保持には使わず左右に大きく広げているのは威嚇でしょうか?
どこかでゆっくり食べるのかと思いきや、味見をしただけで、なぜか途中で抜け殻を捨ててしまいました。(@2:17)
死骸だと思ったのに、食べる身が残っていない抜け殻だと気づいたようです。
今思えば、捨てられた抜け殻を記念に採集すればよかったですね。

後退を続けるαが急に後ろへ跳んで逃げ、川底の泥が舞い上がりました。(@2:20)
体の向きを変えて石橋をくぐり、下流に向かって前進します。
ここで採食中のβと再会しました。(@2:33)
βは川底の泥を掘って口にせっせと運んでいます。
今回もαはβに遠慮するかのように迂回して、下流への移動を続けます。
最後は睡蓮池への流れ込みを乗り越え、池の水中に戻りました。
乗り越える際に体が自ら少し出ても平気なようです。

※ α、β、γとは、3匹を区別するため登場順に付けた名前で、必ずしも集団の順位制(強い者順)を表すものではありません。

※ やや濁った川底での行動を明瞭に記録するため、動画編集時に自動色調補正を施しています。
そのために、アメリカザリガニ本体の赤味がやや不自然にどぎつく強調されてしまっています。

以下の写真も自動色調補正済み。



アメリカザリガニα@水路徘徊
アメリカザリガニαvsβ@水路
アメリカザリガニαvsβ@水路
アメリカザリガニαvsγ@水路
アメリカザリガニα@水路+脱皮殻捕食

【追記】
岩波科学ライブラリー『ザリガニ:ニホン・アメリカ・ウチダ』によると、
脱皮の時間は短く、わずか数分間です。これには理由があります。脱皮直後の身体はブヨブヨなので、このときに敵や他の個体に襲われたら大変だからです。 エビカニの仲間は通常、夜間に活動します。昼間に脱皮すると、他の個体が休んでいる最中なので仲間に襲われる可能性が低くなるのだと思われます。ところがアメリカザリガニの成体は、昼間に脱皮します。ただし、小さな個体は脱皮してから比較的短い時間で通常の動きができるようになるためか、夜間に脱皮する例も多く見られます。 (p62より引用) 

脱皮が終わった個体は、しばらくすると脱いだ殻を自ら食べ始めます。カルシウムは殻を硬くする作用がありますが、淡水中では不足気味です。もしかしたら、古い脱皮殻には新しくて柔らかい殻を硬くするのに必要なカルシウム成分が、たっぷりと含まれているのでしょうか。脱皮殻を繰り返し取り上げてしまうと、その個体は死亡しやすくなるという実験結果もあります。 (p63より引用)
ということは、今回の映像で抜け殻をαに横取りされた個体γはカルシウム成分を補給できずに困ったことになりましたね。
αが脱皮直後のγを襲って捕食しなかったのは、さほど飢えていなかったからかな?
それなら、抜け殻を独り占めしようとしたのは気まぐれなのか? と堂々巡りになります
いつか私もアメリカザリガニを自分で飼育して、脱皮の一部始終を観察してみたいものです。


【追記2】
小田英智、大塚高雄『ザリガニ観察ブック』によれば、
 小さなザリガニの子どもは、脱皮したあとで脱皮殻をたべます。殻にのこったカルシウムや養分を再利用しているのです。(p29より引用)
どうやら大きなザリガニは抜け殻を食べなくなるようです。

2017/12/23

コシアキトンボ♂の縄張り占有飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月上旬

お堀の池でコシアキトンボ♂(Pseudothemis zonata)が水面近くを飛んでいました。
一匹の動きを追ってみると、池の中央の上空を飛ぶのではなく、石垣の護岸に沿って繰り返し往復しています。
縄張りをパトロールしているのでしょう。

図鑑『日本のトンボ (ネイチャーガイド)』に書いてある通りでした。

(コシアキトンボ)♂の縄張り争い(Territorial conflict): 成熟♂は池の岸に沿って往復飛翔し、縄張り占有する。♂同士が出会うと激しい争いが繰り広げられる。 (p425より引用)


平凡社『世界大百科事典』でコシアキトンボを調べてみると、

6月中に羽化し,7〜8月には平地の木陰のある比較的有機物に富んだ池沼の水面上を飛び回る。成熟した雄は水面に近く飛翔(ひしよう)するが,未熟な雄はより上空8mくらいまでの空間を,未熟な雌はそれより上空にいることが多い。


途中から飛翔ルートの水面に置きピンをして待ち伏せ、240-fpsのハイスピード動画で飛翔シーンを撮ってみました。(@2:08〜4:23)
スローモーションにすると羽ばたきや滑空、旋回する様子がよく分かります。
実は翅をほとんど動かさずに滑空している時間が多いようです。

一度だけ、縄張り争いの片鱗が撮れました。(@2:29〜2:38)
一匹が急旋回したと思ったら、もう一匹の♂が左から飛来しました。
縄張りの主は慌てて侵入者を追撃するも、すぐに画角の外に出てしまいました。

ときどき水面をアメンボが横切るものの、コシアキトンボがアメンボを襲って狩ることはありませんでした。
(飛翔昆虫を狩るシーンも未見です)

後半は岸に沿ってもう少し先に進んでから、隣の縄張りに居る別個体♂を通常のHD動画で撮影しました。(@4:24〜6:58)
短時間の観察ですが、岸辺の歩道に立つ道路標識の白いポールを縄張り境界の目印にしてコシアキトンボ♂は引き返している印象を受けました。
前半に撮った個体では、護岸から少し生えたメヒシバの穂を目印にしていたのかもしれません。
(私が突っ立っていることで警戒され、飛翔ルートに影響した可能性もありそうです。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2017/12/22

オオハナウドの花に群がるコアオハナムグリ



2016年6月上旬

農村部の用水路沿いに咲いたオオハナウドの花序にコアオハナムグリGametis jucunda)の群れが集まっていました。
花に潜り込んで花粉や花蜜を食べているようです。
餌場の奪い合いなのか、ときどき出会うと互いに小競り合いになります。



2017/12/05

ノスリを追い回すハシボソガラスのモビング飛翔(野鳥)



2017年6月中旬

郊外の交差点で信号待ちしている間に撮影。
必死に飛んで逃げ回るノスリButeo japonicus)をハシボソガラスCorvus corone)が単独で追い回しています。
なかなか迫力のある空中戦が続きますが、見上げたときの電線が邪魔で、どうしても前ピンになりがちです。
後半は攻守が逆転して、ノスリがカラスを追い回す形になりました。
映像では高度の遠近感が分からないのですが、おそらくカラスが失速した結果、高度を保ったノスリが有利になったのでしょう。
カラスが堪らず空域を離脱し、ノスリは青空で弧を描く帆翔を続けています。

実はこの辺りは高圧線鉄塔#21に営巣していたつがいの縄張りです。
ちょうどこの日は最後の雛が巣立った日でしたが、親鳥は天敵の猛禽類が縄張りに侵入するのを許さず、単独モビング(擬攻撃)で追い払っているのでしょう。


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巣立ち後のハシボソガラス親鳥の行動(野鳥)



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