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2019/06/28

ドバト♀♂:電線上での求愛は実らない?(野鳥)



2019年4月下旬

池の上に張り渡した電線にカワラバト(=ドバト;Columba livia)が並んで止まっています。
画面の右端にいる2羽の行動が気になりました。
足元が不安定なのに♂が右隣の♀に向かってお辞儀を繰り返していました。
どうやら求愛しているようです。


▼関連記事
ドバト♀♂の求愛・交尾(野鳥)
ドバトの求愛行動(野鳥)

見た目の体格は♂>♀ですが、♂が体を膨らませているから大きく見えるだけなのかな?
♂が横歩きで♀ににじり寄ろうとすると、♀がさり気なく離れて距離を保ちます。
痺れを切らした♂が羽ばたきながら飛び上がって♀の背に強引にマウントしようと試みたものの、♀は電線から飛び降りて下の橋の欄干に逃げました。
♂もすぐに追いかけましたが、♀は石造りの欄干から下の道に飛び降りて逃走。

後半はアングルを変えて撮った別のペアです。(@0:51〜)
電線に止まった♂Rが左隣りの♀Lに近づこうと綱渡りしても、♀は距離を保ちます。
この♂は求愛の手順が雑で、♀にお辞儀もしませんでした。
♂が羽繕いしたのは♀へのアピールなのでしょう。
鳩の背後は桜の花(ソメイヨシノ)が満開に咲いていて、どうしても肝心の鳩にピントが合いません。
最後は♀、♂の順に電線から飛び降りました。

今回の観察では、交尾前のキスにも至りませんでした。
ドバト♂に追い回されてしつこいセクハラに辟易している♀は、電線に止まればしばらく交尾を回避できるようです。


※ 撮影する私の背後で通りすがりの花見客が際どい会話をしてたので、面白かったのですけど映像では消音しました。


ドバト♀L♂R(野鳥)@堀池:電線+求愛失敗

2019/06/16

満開の桜並木にてクマバチ♂の占有飛翔と闘争



2019年4月下旬

ソメイヨシノの桜並木のあちこちで、キムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が満開に咲いた花の周囲に縄張りを張って占有飛翔していました。

桜に訪花する♀と交尾しようと空中でホバリング(停空飛翔)しながら待ち構えているのです。
しかし、実際に桜の花で吸蜜・採餌するクマバチは一匹も見かけませんでした。
クマバチの交尾シーンも私は未見です。
周囲を飛ぶどんな昆虫にも敏感に反応して迎撃にすっ飛んで行くので、蜂にピントを合わせてズームインする暇がありません。
雄蜂にはのんびり花見する余裕など無く、忙しなく必死で飛び回っています。

縄張り内で2匹の♂が出会うと、空中で睨み合いつつ天高く飛び上がりました。
見失ってしまい、その後どうやって勝負の決着が付いたのか分かりませんでした。

5年前にも同じ状況を撮影していますが、♂同士の縄張り争いも観察することが出来たのが今回の収穫です。
▼関連記事
桜の花とクマバチ♂の占有飛行

ホーホケキョ♪と鳴くウグイス♂の囀りさえずりが辺りから聞こえています。


クマバチ♂@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔
クマバチ♂@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔
クマバチ♂2@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔+闘争

路地裏でキスするドバト♀♂(野鳥)



2019年4月下旬

街中の路地裏のしもた屋1階部分の庇の上に2羽のカワラバト(=ドバト;Columba livia)♀♂が寄り添うように並んで止まっていました。
仲睦まじい様子の♀♂カップルです。

初めは各自が羽繕いしていました。
1羽がもう1羽の背後を回り込んで、左右の位置が逆になりました。
右側の個体Rが鳩胸をつきだしながら羽繕いでアピールすると、口づけ(キス)を交わしました。
ところが、近くで見ている私を警戒してか、すぐに離れてしまいました。
別れ際に首元を軽く相互羽繕いしました。(♀→♂?)
少し離れても、各自が羽繕いを続けています。(求愛アピール?)

やがて右側の個体Rが庇の上で方向転換して尻を向けると庇の縁に白い糞をポトリと排泄しました。(@1:04)
脱糞で軽量化したので今に飛び立つぞ…と予想しつつ見ていると、案の定、左の個体Lが先に飛び去りました。
続いて右の個体Rも飛び立ちました。

路地を見上げると、飛び上がったドバト♀♂は、同じ建物の屋上の鉄骨に止まって居ました。
鳩胸の♂が♀に求愛を迫っても、♀は飛んで路地を挟んで反対側のビルの屋上へ逃げました。
♂もすぐに飛んで追いかけます。
この間、鳩は小声でグルルルル…♪と鳴いていましたが、あまり聞き取れませんでした。

引きの絵にしたときに分かるように、実を言うとこの庇は、約40日前にドバトが潜んでいた換気扇口のすぐ下にあります。
(この路地を通りかかる度に換気口フードの中をチェックしているのですけど、鳩が隠れていたのは一度だけでした。)

▼関連記事
排気口のフード内に潜むドバト【冬の野鳥】

ドバトにも縄張りがあるのですかね?
もし足環が付いているドバト(逃げたレース鳩?)であれば、素人にもきっちり個体識別できて、縄張りについて調べられそうです。
できれば営巣地も突き止めたいものです。


ドバト♀♂(野鳥)@路地:庇+求愛
ドバト♀♂(野鳥)@路地:庇+羽繕い

2019/05/31

池の水面で求愛・交尾するカルガモ♀♂【冬の野鳥】



2018年12月下旬

池の岸で羽繕いしているカワウを撮影していたら、背後の水面でカルガモAnas zonorhyncha)の♀♂カップルがいちゃつき始めました。
画面の左上角にご注目。

向かい合った♀♂ペアがお辞儀(首を上下に伸縮)を交互に繰り返しています。
これが求愛行動のようです。

左に居た個体♂が♀の背後に回り込むとマウントし、交尾に成功しました。
♂を背負った♀は、ほぼ水没してしまい、辛うじて頭だけが水面に浮いている状態です。
慌ててカルガモにピントを合わせたものの、時すでに遅し。
交尾は数秒で終わり、♀♂ペアは別れました。
この間、カルガモの鳴き声は何も聞き取れませんでした。


※ いつものように動画編集時に手ブレ補正すると副作用で却って不自然な映像になったので、今回はそのままお届けします。



八木力『冬鳥の行動記:Ethology of Wild Ducks』を紐解いてカモ類の交尾行動を調べると、

 交尾には♀との合意が必要なので、♂が♀に近づきながら頭部を上下させるヘッドトッシングを行なって交尾を促し、これに♀が同調して頭部を上下させれば同意の合図。
 ♀は交尾受け入れの姿勢をとります。♂は♀の後頭部をくわえてマウンティング。
 交尾終了後、♀は必ず(儀式的水浴びと)転移性羽ばたきを行ない、♂はまれに行なうことがあります。 (p58より引用)

抜粋部の前の章に書いてあった求愛行動についての解説を読むと、どうやら今回は、求愛行動の前半と交尾後の行動を見逃してしまったようです。
カルガモの配偶行動は冬に行われると知ったので、次こそは一部始終をしっかり動画に記録しようと心に決めました。
しかし意気込んで水辺に通っても、残念ながらこの冬は物に出来ませんでした。
ごくありふれた普通種の留鳥なのに、なかなか手強いです…。


【追記】
1年後、川で交尾するカルガモをじっくり観察することが出来ました。

▼関連記事(1年後の撮影@川面)
カルガモ♀♂の求愛・交尾行動(冬の野鳥)


カルガモ♀♂(野鳥)@池水面+交尾
カルガモ♀♂(野鳥)@池水面+交尾

2019/05/11

モンシロチョウ♂同士の誤認求愛



2018年10月下旬・午後15:25頃

郊外の広い畑でダイコン(大根)の葉表にモンシロチョウ♂a(Pieris rapae)が翅を広げて止まり、日光浴していました。
しばらくすると自発的に飛び立ちました。
大根畑をせわしなく飛び回り、茂みの下方を重点的に探雌飛翔しています。

飛翔中にもう1頭とニアミスするも、求愛せず。
飛び疲れたのか、再びダイコンの別な葉表に止まりました。
やはり翅を広げたまま休んでいます。
そこへ別個体の♂bが飛来し、そそっかしく♀と誤認して
♂aの背後から迫ると求愛しました。
葉上の個体♂aは迷惑そうに開いていた翅をパタパタと動かしただけで、モンシロチョウの♀がやる交尾拒否姿勢(腹端を持ち上げる)にはなりませんでした。
過ちに気づいた♂bは、諦めてすぐに飛び去りました。
まずは1/5倍速のスローモーションでじっくりご覧下さい。(続けて通常の1倍速の動画が流れます。)

フィールドガイド『日本のチョウ』という図鑑を手に入れてモンシロチョウの性別を見分けられるようになったおかげで、配偶行動の解釈が捗ります。


最後にカメラを横にパンすると、ダイコンの周囲は白菜?、チンゲンサイ、キャベツなどアブラナ科の作物ばかりでした。
(他にはネギを植えた畝もありました。)
アブラナ科を食草とするモンシロチョウにとっては天国みたいな畑です。
多数のモンシロチョウが飛び回っているのも納得です。


モンシロチョウ♂a@ダイコン葉+日光浴
モンシロチョウ♂a vs ♂b@誤認求愛

2019/04/20

ブロッコリーの花でモンシロチョウ♀が交尾拒否



2018年10月中旬

ブロッコリー畑で育ち過ぎた(とうが立った)株に菜の花のような黄色い花が咲いています。
アブラナ科を食草とするモンシロチョウPieris rapae)が忙しなく飛び回っていました。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。(その後で通常速度の映像が流れます)
紫外線カメラを使わない限り、飛んでいるモンシロチョウの性別は見分けられないので、行動から推測するしかありません。
交尾相手を求める♂の探雌飛翔なのでしょう。
あるいは♀が産卵する場所を物色しながら飛んでいるのかもしれません。
3、4頭が乱舞に参加したものの、交尾には至らずすぐに解散してしまいました。

後半は、ブロッコリーに訪花する個体を撮っていたら、♀の交尾拒否行動も偶然記録されていました。
同じ株の花に複数の個体が相次いで飛来します。
吸蜜中に別個体の接近を感じる度に、閉じていた翅を広げ腹端を高々と持ち上げました。
これはモンシロチョウで有名な♀の交尾拒否行動です。
おそらくこの個体は既に交尾済みの♀で、♂に追い回されたり求愛されるのは煩わしいだけなのでしょう。
飛来した個体も♀にしつこくつきまとったりせずに自分も近くで吸蜜を始めたので、こちらも♀なのかもしれません。(私には外見で性別を見分けられません)
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/04/19

連結打水産卵する2組のアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年10月中旬・午後12:17

土の農道の轍にできた水溜りで、おそらくアキアカネSympetrum frequens)と思われる赤トンボが盛んに産卵していました。
尾繋がりで連結した2組の♀♂2ペアが互いに競うように近くで連結打水産卵しています。
水溜りの中央部ではなく、浅い岸辺付近を好んで水面を♀の腹端で打つように産卵します。
狙いが外れて水溜りの外の泥に産卵することも多々ありました。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@00:49〜)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ネイチャーガイド『日本のトンボ』という図鑑でアキアカネの産卵行動について調べると、
交尾後のペアは連結態で湿地や水たまりを訪れ、泥や水面を腹端で連続的に打って産卵する。(中略)個体数が多いときには、しばしば集団での産卵もみられる。(中略)生殖活動は午前中から正午過ぎに集中する。 (p389より引用)
今回の撮影時刻も確かに正午過ぎ(午後12:17)でした。



アキアカネ?♀♂:2ペア@連結打水産卵@水溜り
アキアカネ?♀♂:2ペア@連結打水産卵@水溜り

2019/04/16

アキアカネ♀♂の交尾



2018年10月中旬・午前10:54

稲刈りが済んだ田んぼの横を私が通りかかると、交尾態の赤トンボが飛来し、刈田に着陸しました。
そのまま地上で交尾を続けています。
♀の腹端と結合している♂副性器の辺りがヒクヒク動いていました。
♂は交尾中も油断なく辺りを見回していて、ときどき頭部がグリグリと動いています。
一方、首根っこを♂に掴まれている♀は頭部を自由に動かせないようです。

背側から撮った後に、しっかり同定するために胸部側面の斑紋を撮ろうと私が回り込んだら、逃げられてしまいました。
残念!
おそらくアキアカネSympetrum frequens)だと思うのですが、どうでしょう?

赤トンボの交尾を撮れたのは、意外にもこれが初めてかもしれません。
図鑑『日本のトンボ』でアキアカネの習性を調べると、

生殖活動は午前中から正午過ぎに集中する。
成熟♂は朝方に草地や樹上で探雌飛翔するほか、日中は水辺の植物や地面に止まって縄張り占有し、♀を見つけると捕えて交尾する。(p389より引用)

ということは、私は午前中にもっとフィールドに出掛けるべきですね。
確かに今回の撮影時刻も午前11時頃でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アキアカネ?♀♂@刈田+連結交尾

2019/01/10

オビガ♀(蛾)のコーリング行動:性フェロモン放出【10倍速映像】




オビガ(蛾)の飼育記録2018年#13



▼前回の記事
性フェロモンを放出するオビガ♀(蛾)のコーリング行動

2018年9月下旬・室温23.0℃

深夜にコーリングするオビガ♀e(Apha aequalis)を次は微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
腹端にある誘引腺の伸縮と共に腹部もヒクヒク動いています。

腹端が接していたティッシュペーパーの匂いを後で嗅いでみたのですが、オビガの性フェロモンはヒトの鼻には無臭でした。
残念ながら同時期に羽化した成虫♂が居なかったので、その後の交尾に至る配偶行動を観察できませんでした。
野外の暗闇で飛んでいるオビガ♂が♀の性フェロモンを嗅ぎつけて窓から室内に殺到し…といった『ファーブル昆虫記』に書かれているようなドラマチックな展開もありませんでした。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#14:産卵


2018/12/30

性フェロモンを放出するオビガ♀(蛾)のコーリング行動



オビガ(蛾)の飼育記録2018年#12


2018年9月下旬・室温22.9℃、湿度55%

▼前回の記事
羽化後に蛹便を排泄するオビガ♀e【蛾:HD動画&ハイスピード動画】

羽化したオビガ♀e(Apha aequalis)の初飛行を動画に撮りたくて何度もつついてみたのですけど、止まり木から無様に落ちたり下でバタバタと暴れたりするだけなので、体力の消耗を避けるために諦めました。

しばらくすると、卓上のティッシュペーパーの上に静止していたオビガ♀がコーリングを始めたことに気づきました。
翅を開いて、腹端が露出した姿勢になっています。
その腹端から性フェロモンを放出する誘引腺と呼ばれる袋を出し入れしていました。
しかしヒトの嗅覚では何も匂いは感じません。
オビガ♀の誘引腺は、腹部に密生する毛と同じく濃い黄色でした。

▼関連記事
クワコ♀(蛾)の羽化と性フェロモン放出


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#13:オビガ♀(蛾)のコーリング行動:性フェロモン放出【10倍速映像】


オビガ♀e(蛾)腹端:誘引腺@コーリング:性フェロモン放出
オビガ♀e(蛾)腹端:誘引腺@コーリング:性フェロモン放出
オビガ♀e(蛾)腹面@コーリング:性フェロモン放出

2018/12/21

堤防で求愛・採食するキジバトの♀♂ペア(野鳥)



2018年9月中旬・午後16:08〜16:14

郊外を流れる川の対岸で2羽のキジバトStreptopelia orientalis)が採食活動をしていました。
おそらく2羽は、この辺りを縄張りとする♀♂のつがいなのでしょう。

冒頭のシーンは♂が♀に求愛中だったようです。
左の♂が胸を膨らませお辞儀をしながら♀に近づくも、♀は走って逃げました。
交尾には至らなかったのは、もしかすると対岸で見ている私の存在を警戒していたからかな?

その後は堤防の草むらを歩き回りながらあちこち啄んでいます。
♂は♀に求愛を断られた後も、付かず離れず、地上採食を続けています。

採食メニューを知りたいのですが、残念ながら茂みに隠れてよく見えません。
草の実や種子を食べているのでしょう。
一羽がドングリのような丸くて大きな種子?を採食しています。(@1:49、3:42)
周囲の草むらに生えている植物として見分けられたのは、イヌタデ、エノコログサ、アメリカセンダングサ、オオバコ、アキノノゲシ等々。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
今回も求愛中の鳴き声を聞き取れなかったのは残念でした。
大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』によると、
 繁殖期の(キジバトの)♂は、低い声でデデポーポーと繰り返して鳴き、♀を見ると御辞儀をするような動作をしながらクークッと鳴いて求愛し、ときにプンとかクゥとおならのような奇妙な音も発します。 (p198より引用)


キジバト♀♂(野鳥)@堤防+求愛♂→♀
キジバト(野鳥)@堤防+採食
キジバト(野鳥)@堤防+採食

2018/11/30

スジグロシロチョウ♀♂の求愛飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月中旬・午後16:21

里山の麓の林縁で2頭の白い蝶が猛烈な勢いで絡み合うように飛び回っていました。
スジグロシロチョウPieris melete)またはヤマトスジグロシロチョウPieris nesis)の♀♂ペアによる求愛飛翔のようです。
ゼフィルスの卍巴飛翔を思わせる激しい乱舞が繰り広げられています。

すぐに240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:15〜)
なかなか見応えのあるスローモーションが撮れたのに、残念ながら私には性別を見分けられないので行動を解釈できません。(※ 追記参照)
2頭は暗いスギ植林の林縁の方へ飛んで行きます。
♀♂ペアの乱舞は結構長く続いたものの、交尾には至らず別れました。

桑原保正『性フェロモン―オスを誘惑する物質の秘密 (講談社選書メチエ)』によると、

 (蛾とは異なり、:しぐま註)蝶には♀が分泌し、♂を誘引する性フェロモンがない。蝶の性フェロモンは♂が分泌するのである。♀に結婚を承諾させる媚薬的な働きをするフェロモンと考えられている。人間の鼻にも強烈に香る化合物である場合が多い。
 たとえば、モンシロチョウに似ているが、黒いスジが目立つスジグロシロチョウの♂はシトラール(ゲラニアールとネラールの65対35の混合物)を分泌する鱗粉をもっており、レモンのような強烈な香りがある。(p191より引用)


しかし今回の撮影中に柑橘系の芳香は嗅ぎ取れませんでした。
性フェロモンはごく微量しか放出されないのでしょう。
機会があればスジグロシロチョウ♂を採集して、発香鱗の匂いを実際に嗅いでみたいものです。



※【追記】
小原嘉明『進化を飛躍させる新しい主役:モンシロチョウの世界から』(岩波ジュニア新書)によると、
(スジグロシロチョウの)♂の翅には、強いにおいを発する発香鱗という鱗粉があります。このにおいは人間がかいでもはっきりわかります。(中略)配偶行動にも(モンシロチョウと:しぐま註)大きなちがいがあります。その一つは♀が未交尾の段階から、モンシロチョウの既交尾♀と同じ交尾拒否姿勢をとって♂を拒否することです。その♀もいずれは交尾するのですが、なぜ♀が未交尾の段階で♂を拒否するのか、またその後なぜ♂を受け入れるようになるかについては、まだわかっていません。
 もう一つ、強いにおいを発散する♂は、あたかもそのにおいを翅をはばたいて♀に浴びせかけるかのように、♀の近くで滞空飛翔をして求愛します。このにおいが、交尾を拒否する未交尾♀を交尾に誘導する性フェロモンとして機能している可能性がありますが、それについてはまだたしかめられていません。(p166〜167より引用)
この本の記述と私が今回観察した行動はどうも合わない気がします。
もしかすると、今回の映像は♀♂ペアによる求愛飛翔ではなく、♂同士の縄張り争いなのでしょうか?
スジグロシロチョウの配偶行動があまり解明されていない理由は、ヒトの目にはフィールドで性別を見分けられないからでしょう。

2018/11/24

ドバトの求愛行動(野鳥)



2018年8月中旬・午後15:02〜15:06

公園に集まるカワラバト(=ドバト;Columba livia)の群れの中に、ナンパ(求愛)している♂が居ました。
地上で餌を啄んでいる♀を♂が必死で追い回しています。
なんとか♀の前に回り込むと、精一杯膨らませた鳩胸を見せつけます。
一緒に見ている観客のお姉さんの解説が的を射ていますね。
このペアの体格は一見すると♂>♀ですが、♂が体を膨らませているからそう見えるだけなのかな?

ようやく♀が興味を示してくれると♂は立ち止まり、首を曲げて自分で羽繕いを始めました。
これも首元の美しい羽毛を♀に誇示しているのでしょう。
羽毛を逆立てたり身震いしたりもして、デートの前に身だしなみを整えています。

♀は♂を意識しつつも地上採食を続けています。
砂利道を離れて木の下に来ると、遂に♀が♂の前で静止しました。
♀の方から♂に歩み寄り、キスをせがみました。
熱烈なキスが始まりました(ビリング)。
互いに嘴を噛み合いながら首を上下に動かし、全身を震わせています。
一旦離れると♀が食後のように嘴を動かしていることから、おそらく求愛のキスは♂から口移しでピジョンミルクを求愛給餌してもらっているのでしょう。

平凡社『日本動物大百科4鳥類II』によれば、

ヒナの食物であるピジョンミルクは、哺乳類とは異なり雌雄ともに分泌し、♂もヒナへの給餌を行なう。(p23より引用)

その間、♂は羽繕いで美しい羽毛を♀に誇示します。
再び♀の方からキスをせがみ、♀が♂の首に嘴でちょっと触れたように見えました。(♀が焦っただけ? 対他羽繕い?)
♂が嘴を開くとその中に♀が嘴を突っ込みました。

せっかく熱いキスを交わして♀♂ペアが盛り上がっているのに、別のライバル♂が2羽も乱入し、自らの首を誇示する求愛行動を始めました。
♀は♂の品定めをするでしょうか?
初めの♂はさり気なく♀をガードし、ライバル♂を追い払いました。
♀を巡り♂同士で激しい喧嘩にならなかったのが意外でした。

恋敵♂が居なくなった後で、♂は求愛(首の誇示)からやり直し
かなり紳士的で慎重な振る舞いですけど、なかなか交尾しないので、見ている私は焦れったくなります。
ところが通行人の誰かがドバトの群れを驚かせてしまったようで、鳩は一斉に飛び立ちました。
交尾まで見届けられず、残念無念。
それでもドバトの求愛を間近でじっくり観察できたのは収穫でした。

▼関連記事
ドバト♀♂の求愛・交尾(野鳥)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ドバト(野鳥)@公園+求愛♂→♀
ドバト(野鳥)@公園+求愛♂→♀
ドバト(野鳥)@公園+求愛キス
ドバト(野鳥)@公園+求愛キス
ドバト(野鳥)@公園+求愛キス

2018/11/06

ドバト♀♂の求愛・交尾(野鳥)



2018年8月中旬・午後17:38〜17:42

市街地の某施設の屋上で2羽のカワラバト(=ドバト;Columba livia)が並んで奇妙なダンスをしていました。
やがて熱烈なキス(口づけ)を始めたので、求愛中の♀♂つがいと分かりました。
ドバトの前戯はなかなか官能的ですね。
求愛中のキスは♂の嘴の中に♀が嘴を入れるらしいので、もしかすると求愛給餌の一種かもしれない、と思いつきました。
鳩は雛に給餌する際に、ピジョンミルクを吐き戻して口移しするからです。

【参考】:

キジバトの求愛は、♀のそばで♂がクークー鳴くクーイングの後、♂の嘴の中に♀が嘴を入れるビリングを行います。(『しぜんのせかい11:きじばと』p14-15より引用)


熱いキスを交わしながら♀♂カップルは首を上下に動かしています。
一旦離れると♂は鳩胸を誇示し、頭を下げて羽繕い。
すると♀が再びキスをせがみます。
鳩胸の効果で、見た目の体格は♂>♀でした。
熱いキスを繰り返して盛り上がると、♂が♀の背後から飛び乗りました。
マウントしながら♂が羽ばたき、交尾が無事に成立しました。
交尾が終わると♀Lは♂Rから少し離れ、自分で羽繕いを始めました。
後戯で仲睦まじく相互羽繕いするのかと思ったのですが、私の予想は外れました。
♀だけが羽繕いするのも、ドバト特有の儀式的な求愛行動の一環なのでしょうか?
♂が鳩胸を強調しなくなると、つがいの体格差は素人目には分からなくなりました。
夕日を浴びた事後のカップルが艶めかしいですね。
交通量の多い大通りに面しているので様々な騒音がうるさく、一連の配偶行動中のドバト♀♂ペアの鳴き声は聞き取れませんでした。

野鳥の求愛・交尾行動の一部始終をしっかり観察できたのはこれが初めてで、ようやく悲願達成です。
▼関連記事(3年前の撮影)
キジバト(野鳥)の交尾と三角関係

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/10/25

訪花中のキアゲハを襲うトモンハナバチ♂【ハイスピード動画】



2018年7月下旬

農道沿いでムラサキツメクサに訪花するキアゲハを240-fpsのハイスピード動画で記録していたら、とても興味深いシーンがたまたま撮れていました。

キアゲハPapilio machaon hippocrates)が花から飛び立つまで長撮りしていると、途中から1匹のトモンハナバチ♂(Anthidium septemspinosum)が登場しました。
初めはニアミスしても互いに無関心でムラサキツメクサ(=アカツメクサ)から吸蜜し、トモンハナバチ♂は花から花へ飛び回っています。
トモンハナバチ♂がキアゲハの下をくぐって飛ぶこともありました。(@0:33〜)

やがて驚いたことに、トモンハナバチ♂がキアゲハの背後から狙いを定めてコツンと突撃しました。(@1:43)
不意に追突されたキアゲハは驚いて前方に飛び去りました。
それをトモンハナバチ♂は少し追尾してから戻って来ました。
トモンハナバチは狩蜂ではなくハナバチの仲間ですから、この攻撃性は意外でした。
これは探雌飛翔のパトロールをしていたトモンハナバチ♂が交尾相手の♀と間違えてキアゲハに誤認求愛したのでしょうか?

▼関連記事
訪花中のクマバチ♂を襲うトモンハナバチ♂【ハイスピード動画】

それなら初めにキアゲハを見つけた途端に飛びつこうとするはずです。
初めは見逃していた(無視していた)のに、しばらく経ってから急に交尾を挑むのは謎です。
確かにキアゲハの翅には黄色と黒の斑紋があり、トモンハナバチの配色と似ていなくもないですが、いくら何でもサイズや形が違い過ぎるでしょう。

同じ花に長時間居座って吸蜜していたキアゲハに対して、「いい加減、もうそろそろ縄張りから出ていけよ!」と攻撃的な占有行動をしたのではないか?という気がします。
トモンハナバチ♂には蜜源植物が咲いている一帯を縄張りとして、交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せする習性がありそうです。
だとすれば他種の昆虫と言えども、縄張り内の餌資源(花蜜や花粉)をあまり奪われないように追い払おうとしても不思議ではありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

(登場したトモンハナバチが1匹ではなく複数個体だった可能性は?)

トモンハナバチは蜂類にしては珍しく、♂の体長が♀よりも大きい性的二型です。
これは♀を巡って♂同士で激しい闘争行動が繰り広げられることを示唆しているのですが、私は未だ見たことがありません。

2018/10/24

交尾したまま死んだアオカナブン♀♂

アオカナブン♀♂:死骸@交尾中
アオカナブン♀♂:死骸@交尾中

2018年7月下旬

里山の登山道に交尾中のアオカナブンRhomborrhina unicolor)♀♂ペアが死んで転がっていました。
腹面を見ると左右の後脚の根元が接していることから、カナブンの緑化個体ではなくてアオカナブンと確定できました。

小雨が降っていたのでスナップ写真を撮っただけで、すぐに死骸を採集しました。
もし晴れていれば、死骸に群がり始めたアリの様子を動画に記録していたでしょう。

森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p49にもアオカナブンの「交尾する個体」の写真が掲載されており、「♂は長大な交尾器をもつ」との記述がありました。


帰宅後に、交尾器の結合部を接写してみました。
小型の♀に大型の♂が背後からマウントし、無理やり交尾しようとして交尾器が抜けなくなったのかな?
♀にしてみれば酷い災難です。
♂の後翅が鞘翅の下に完全には畳み込まれておらず、腹端から後翅の端がはみ出ていました。
カナブンのように前脚の形状に性差があるかどうか、要確認。


アオカナブン♀♂標本:交尾中@方眼紙
アオカナブン♀♂標本:交尾中@方眼紙
アオカナブン♀標本:背面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♀標本:腹面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:背面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:顔+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:側面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:交尾器+交尾中@方眼紙
アオカナブン♀♂標本:交尾器結合部@方眼紙

2018/10/21

訪花中のクマバチ♂を襲うトモンハナバチ♂【ハイスピード動画】



2018年7月下旬

民家の庭に咲いたセイヨウニンジンボクの灌木でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が吸蜜に来てしていました。
前回撮り忘れた240-fpsのハイスピード動画で訪花シーンを撮ってみました。(前回とは撮影地点が違います。)

▼前回の記事
セイヨウニンジンボクの花蜜を吸うクマバチ♀の群れ

花から花へ飛び立つ瞬間を狙ってクマバチ♂の羽ばたきに集中していたら、小型のトモンハナバチ♂(Anthidium septemspinosum)も素早く飛び回っていたことに現場では気づきませんでした。
スーパースローで見直すと、とても興味深い瞬間的な行動が記録されていました。

セイヨウニンジンボクの花で吸蜜中のクマバチ♂の背後からトモンハナバチ♂が飛来しました。
トモンハナバチ♂はホバリング(停空飛翔)して狙いを定めると脚を前方に伸ばして相手に掴みかかりました。
一瞬早くクマバチ♂が花から飛び立ち、間一髪で攻撃?を交わしました。
空中でホバリングしながらクマバチ♂とトモンハナバチ♂は睨み合いました。
2匹はすぐに別れたのですが、迫力たっぷりの一瞬の空中戦でした。
似ても似つかないのに(大きさも色も明らかに別種)、そそっかしいトモンハナバチ♂がクマバチ♂を交尾相手(トモンハナバチ♀)と誤認したのかもしれません。
探雌飛翔中のトモンハナバチ♂は、とりあえず蜂らしい物なら何でも飛びついてみる作戦なのでしょう。

▼関連記事(5年前の撮影)
トラマルハナバチ♀とトモンハナバチ♂のニアミス【ハイスピード動画】

Take2の映像でも、奥の花に移動したクマバチ♂の背後から再びトモンハナバチ♂が急襲していました。
この出来事に全く気づかずに撮影を止めてしまったのが残念です。

おそらく誤認求愛だろうと考えていたら、特定の蜜源植物の周囲に縄張りを張って守ろうとする(クマバチ♂などのライバルを追い払う)占有行動の可能性も出てきました。
実は同じ日に別な場所で観察したのですが、訪花中のキアゲハに対してもトモンハナバチ♂が背後から飛びかかって追い払っていました。
▼関連記事
訪花中のキアゲハを襲うトモンハナバチ♂【ハイスピード動画】
さすがに大型の蝶に対してトモンハナバチ♂が誤認求愛するとは考えにくいので、占有行動の習性もありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
アメリカの公共放送局PBSが近縁種Wool Carder beeを扱った動物番組を公開しました。
見事なスーパースロー映像を駆使していて、見応えがあります。
雄蜂♂が蜜源植物の群落で縄張りを張り、同種の♂や他種のハナバチ(マルハナバチなど)を激しく追い払うと紹介されていました。
つまり、縄張り防衛の占有行動という解釈でした。
闘争の際には腹端の刺を使うそうです。
同種の♀が訪花に来ると交尾を挑むのです。

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