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2017/09/13

ジギタリスに正当訪花して採餌するクロマルハナバチ♀



2017年6月中旬
▼前回の記事
ジギタリスの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀

道端の畑の隅に咲いたジギタリス(=キツネノテブクロ)の群落で、セイヨウミツバチの他には、クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀も訪花していました。

マルハナバチの仲間では舌の短いクロマルハナバチは、穿孔盗蜜の常習犯として有名です。
ところが今回は、ジギタリスの花でいつも律儀に正当訪花していて意外でした。
花筒に潜り込めないほど大型の♀(創設女王またはワーカー)なら穿孔盗蜜したはずです。

複数個体を撮影してみると、後脚の花粉籠に橙色の花粉団子をつけた個体がいました。
胸背が白い花粉で汚れている個体は、花筒に潜り込むときに雄しべの葯に触れて花粉が付着したのでしょう。
(ジギタリスの花粉は白なのか橙色なのか? ネットで画像検索すると白〜橙色のようです。)

私がこれまで本で学んできた知識からすると、「同じ蜜源植物に対してミツバチが盗蜜して、体がより大きなクロマルハナバチが正当訪花する」という現象は理解に苦しみます。(あべこべの世界!)
盗蜜していたセイヨウミツバチは自分で花筒の根本を噛んで穿孔したのでしょうか?
苦し紛れのシナリオですが、大型のクロマルハナバチ創設女王が穿孔し、後になってその穴をミツバチが二次盗蜜者として利用していただけかもしれません。
最近羽化したクロマルハナバチのワーカー♀は創設女王よりも小型なので、花筒に潜り込んで正当訪花できている、と考えれば一応は説明がつきます。
クロマルハナバチも花筒の穿孔の存在に気づけば、学習して盗蜜するようになるかもしれません。
穿孔盗蜜の常習犯であるクマバチの姿を今回は1匹も見ていませんが、二次盗蜜者として他にも大型のクマバチ♀が怪しいですね。
別の可能性として、クロマルハナバチのワーカーはコロニーの食糧事情から今はたまたま花粉を必要としていて、(盗蜜しようと思えばできるけれども)今回は正当訪花で花粉集めに専念しているのかもしれません。
マルハナバチは巣の育房を作るのにも花粉が必要なのです。
しかし、この日は午後に2時間40分の間隔を開けて2回観察しても、2種の採餌行動はそれぞれ変わりませんでした。
これらの仮説をどうやったら実証できるか?、となると私には良いアイデアが浮かびません。
とりあえずジギタリスが開花したばかりの頃にしっかり観察して、一次盗蜜者の正体を突き止めるのが肝心でしょう。

自然観察は一筋縄ではいかないのが面白いですね。
本に書いてある単純な知識では説明できない(例外的な?)現象に遭遇して、あれこれと思索を巡らせるのが、フィールドに出かける醍醐味です。

▼関連記事(4年前の撮影)
ジギタリスに訪花するトラマルハナバチ♀
このときは正当訪花していました。
舌の長いトラマルハナバチなら当然です。

余談ですが、これまでゴマノハグサ科とされてきたジギタリスが新しい植物分類体系ではオオバコ科に移動されていたことに驚きました。
植物ではゲノム解析や分子系統学の結果があまりにも我々の形態分類学的な直感に反することが多くて、戸惑ってしまいます。
それだけ植物の形態は収斂進化が多くて、マクロな形質は分類の当てにならないのかもしれません。
素人考えですけど、例えば分子時計の進み方が植物では一定ではない、とか何か重大な落とし穴を見落としているのではないでしょうか?
葉緑体のゲノムの一部がウイルスによって種を超えて水平感染してしまうとか?
(勉強不足なので、迂闊なことは言えません。)


正当訪花するクロマルハナバチ♀と穿孔盗蜜するセイヨウミツバチ♀

2017/09/12

ジギタリスの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀



2017年6月中旬

道端の畑の隅に咲いたジギタリス(=キツネノテブクロ)の群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
この春はなぜか昆虫の活動が激減していて心配しましたが、ようやくミツバチの個体数がフィールドで増えてきた(回復してきた)印象です。

ジギタリスの筒状の花の入り口は太いのでミツバチは容易に潜り込めるはずなのに、花筒の根元を外から食い破って(?)蜜腺を舐めていました。
このような採餌行動は盗蜜と呼ばれ、花の授粉に関与しません。
ミツバチの体に雄しべの花粉が全く触れないので、後脚の花粉籠が空荷なのは当然です。

盗蜜行動は学習を要するのだとすれば、外役に出たばかりの若い未熟なワーカーは正当訪花する気がします。
ところが私が見る限り、どの個体も決して正当訪花せずに盗蜜ばかりしています。(複数個体を撮影。)
萎れかけの花に対しても盗蜜していました。

ミツバチの盗蜜行動は以前も観察していたので、それほど珍しくはありません。

▼関連記事
ヒレハリソウの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀
サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀
ブルーサルビア?の花で盗蜜するニホンミツバチ♀

花筒が狭くて入りにくい花なら盗蜜しても仕方ないのですけど、今回は花筒が太いジギタリスでわざわざ盗蜜していたので意外に思ったのです。

ジギタリスの花壇で初めに穿孔したのはおそらく盗蜜の常習犯として悪名高いクロマルハナバチで、ミツバチはその穴を利用する二次盗蜜者だろうと予想しました。
ところが、この花壇でしばらく観察していると、とても意外な展開になりました。

つづく→あべこべの世界(ジギタリスに正当訪花して採餌するクロマルハナバチ♀




【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
ミツバチは、マルハナバチのどの種よりも短舌であるが、自分の舌の長さに応じて訪花植物を選定するので、盗蜜はほとんどみられない。 (p150より引用)



【追記2】
岩田久二雄『自然観察者の手記3』で「盗蜜」と題した章を読んでみると、1948年に庭のジギタリスを訪花する蜂について記録を残しています。
クマバチ以外の10種の蜂は、正常な様式で筒状花の中に頭からもぐりこんで吸蜜するのであったが、花筒の基部上面にクマバチのあけた小孔のある花にくると、ミツバチとクロマルハナバチと、コハナバチの一種だけは、花筒の中に入らずにその背面にまたがって、クマバチの舌の傷跡から舌をさしこんで、盗蜜をするのであった。クマバチの頻訪で傷跡のある花筒が多くなるにつれて、これら3種の盗蜜度も次第に大きくなった。それはどうやら傷口からの花蜜の匂いが、花の筒口からの匂いよりも、手早く彼らを惹きつけるように見えた。(p158より引用)
それに対して、「(ハキリバチやヒゲナガハナバチ類など)単独性の花蜂は盗蜜は行わないのではなかろうか」という仮説を立てています。
筆者は狩蜂の専門家なのですが、そのためか「花蜂の盗蜜行動には資料が少ない」とぼやいているのが印象的でした。(p157より)



2017/09/08

ムラサキツメクサの花で盗蜜するクマバチ♀



2016年10月上旬

農道(堤防)沿いの草地に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。

クマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠は空荷でした。
ムラサキツメクサの花は鞠状の集合花序です。
筒状の小花の一つ一つに丁寧に舌を差し込む(正当訪花)のではなく、クマバチは小花を掻き分けるとその根本を噛んで穿孔盗蜜していました。(※追記参照)
この吸蜜法では雄しべの花粉に触れませんから、クマバチの後脚の花粉籠が空荷なのは当然です。
クマバチはハナバチ類の中でも舌が短いため、盗蜜の常習犯なのです。
(もしかすると、クマバチの舌はムラサキツメクサの小花に差し込むには太過ぎるのかもしれません。)
同一個体をひたすら追跡して撮影しました。

3年前にはほんの一瞬しか撮影できず悔しい思いをしたのですが、今回ようやくじっくり観察することができて感無量です。

▼関連記事
ムラサキツメクサを訪花するクマバチ♀

藤丸篤夫『花の虫さがし』という私の大好きな本によると、

(ムラサキツメクサの花で)蜜を吸いに来るハチの種類が、シロツメクサより少ないわけは、花の長さがシロツメクサより長いために、舌の短いハチでは、蜜が吸えないからです。(p29より引用)



石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』を読むと、アカツメクサは長花筒花、シロツメクサは短花筒花という用語で呼ばれていました。(kindle版 p141より)



【追記】
鈴木和雄『蜜を盗むハチ:マルハナバチの盗蜜行動』によると、
 盗蜜には二つのやり方があります。一つは蜜を吸うために花の一部に穴をあけたりする破壊行為を伴う場合で、「略奪」(Nectar robbing)、もう一つは破壊が起こらない場合で、「窃盗」(Nectar theft)といいます。略奪は短く丈夫な口吻をもったオオマルハナバチ、クマバチなどが行う場合が多く、窃盗は細長い口吻をもったガやハチドリなどにみられます。(ポピュラーサイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p66-67より引用)

これらのハチは口吻が短い代わりに丈夫にできていて、穴をあけやすくなっています。穴は顎で噛んであける場合もありますが、多くは口吻を突き刺してあけているようです。(同書p69より)


実は今回の映像でも、クマバチはムラサキツメクサの花の基部を大顎で噛み切ったのではなくて口吻を突き刺して穿孔したような気がしました。
そのように記述してある専門家の総説にようやく巡り会えたので、引用しておきます。


最後のスナップショットでは珍しく正当訪花している?

比較のために、舌の長い他のハナバチの吸蜜シーンをご覧ください。

アカツメクサに訪花するトラマルハナバチ♀

アカツメクサを訪花するシロスジヒゲナガハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でアカツメクサの項を参照すると、

シロツメクサよりは花の筒状の部分が長いため、ミツバチより大きいハナバチだけが蜜と花粉の両方を利用することができる。(p39より引用)

確かに言われてみれば、ムラサキツメクサの花で採餌するミツバチを一度も見たことがありません。



▼関連記事(4年後の撮影:シロツメクサには正当訪花)
シロツメクサの花で吸蜜するクマバチ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017/08/30

タツタナデシコの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀(盗蜜?)



2017年6月上旬・午後17:57~18:04

夕暮れの住宅地で、道端の花壇に咲いたタツタナデシコフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が訪花していました。




初めは正当訪花で吸蜜していたのに、咲いた花の根本(緑色の萼?)にしがみついて口を付けている行動が気になりました。

もちろん巣材集めではありません。
花は大きく開いているのに、わざわざ穿孔盗蜜するでしょうか?
ナデシコに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。
甘露を出すアブラムシが群がっている様子もありません。

アシナガバチを夢中にさせる媚薬のような化学物質(フェロモン様物質)を分泌しているのでしょうか?
だとしたら蜂がもっと殺到している気がします。
フタモンアシナガバチが花弁の表面を舐め回しているようにも見えるときもありました。

フィールドノートを見返してもこの日に雨が降った記憶が無いので、花に水滴が付いていたのではないと思います。

アシナガバチが盗蜜する例は既に観察しているので、そのこと自体はさほど珍しいとは思いませんでした。
フタモンアシナガバチ♀がユリズイセンの花で盗蜜!? 
ユリズイセンに訪花するフタモンアシナガバチ♀2つの採餌戦略(正当訪花/盗蜜)



※ あまりにも薄暗い映像に対して、動画編集時に自動色調補正を施しています。



2016/06/23

タニウツギの花で盗蜜するクマバチ♂



2016年5月中旬

未だ満開ではないのですが、ようやく里山に咲き始めたタニウツギの灌木でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がせっせと訪花していました。
一瞬見えた顔が白く複眼が大きく発達していることから、雄蜂ですね。
採餌行動をよく見ると、体が大きいため狭い花筒の中に潜り込んで正当訪花するのではなく、花筒の根元を外から噛んで穿孔盗蜜しています。
植物の立場からしてみると、盗蜜する蜂は受粉を助けてくれないので花蜜を盗まれ損です。
クマバチ♀の盗蜜は珍しくありませんが、雄蜂と見分けた上で盗蜜を撮影できたのは初めてです♪


▼関連記事
クマバチ♀の盗蜜行動@タニウツギ


2016/01/04

ブルーサルビア?の花で盗蜜するニホンミツバチ♀



2015年9月下旬

民家の花壇にニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
採餌シーンをよく見ると正当訪花ではなく、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
雄しべに触れないため当然ながら、後脚の花粉籠は空荷です。
複数個体を撮影。

空色の花はブルーサルビアですかね?(=サルビア・ファリナセア=ラベンダーセージ;Salvia indigo spires)
花が散りかけで、園芸図鑑と見比べてもよく分かりませんでした。
間近で花や葉を調べたくても他人の庭に勝手に踏み込む訳にいかず、横の公道から望遠で撮るだけなのはもどかしい。
園芸植物は苦手で全く自信がないので、もし間違っていたら教えてください。
濃青い花のサルビア・ガラニチカと並んで花壇に咲いていました。

▼関連記事
サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀

この花壇を定点観察していて、舌が短く盗蜜行動の常習犯であるクマバチクロマルハナバチの犯行現場を目撃しています。
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのクマバチまたはクロマルハナバチでしょう。



2015/12/28

サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀



2015年9月下旬

道端の花壇に咲いたサルビア・ガラニチカクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
本種は舌が短く盗蜜の常習犯として有名ですから採餌シーンをよく見ると案の定、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
雄しべに触れないので、当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。
しがみついた花筒が抜けてしまい、一緒に落下する微笑ましいシーンも撮れました。

後半は、飛来したクマバチ♀とニアミスする度にクロマルハナバチは遠慮して逃げました(クマバチに追い払われた)。
クマバチの方がクロマルハナバチよりも個体数がやや多いというだけでなく、餌場での力関係もクマバチ>クロマルハナバチのようです。

▼関連記事
ブルーサルビア?の花で盗蜜するクマバチ♀

私も幼少期に赤いサルビアの花を片っ端から抜き取って根本を吸蜜(盗蜜行動!)して遊んものですけど、青い品種でも可能かどうか、興味があります(味見してみたい!)。
さすがに成人すると人様の花壇を勝手に荒らす行為はできませんから、自分で庭に栽培するところから始めないといけません。
青い花は蜂が好んで来るようですから、ビオトープの蜜源植物として良さそうです。



2015/12/24

サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀



2015年9月下旬

道端の花壇に咲いたサルビア・ガラニチカ(=ガラニティカセージ)をセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
複数個体を撮影。
採餌シーンをよく見ると正当訪花ではなく、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
当然ながら、後脚の花粉籠は空荷です。
同じ花で2匹が鉢合わせのニアミス(蜂合わせ)することがありました。

映像後半(@1:00〜)に登場する空色の花はブルーサルビアですかね?(=サルビア・ファリナセア=ラベンダーセージ;Salvia indigo spires)
花が散りかけで、図鑑を見比べてもよく分かりませんでした。
園芸植物の名前は全く自信がないので、もし間違っていたら教えてください。
濃淡2種類の青いサルビアが花壇に並んで咲いていました。


舌が短く盗蜜行動の常習犯であるクマバチクロマルハナバチも同じ群落で盗蜜する様子を観察しています。
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのクマバチまたはクロマルハナバチでしょう。



2015/12/12

ブルーサルビア?の花で盗蜜するクマバチ♀



2015年9月下旬

青いサルビアの花が咲き乱れた秋の花壇でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
少なくとも2匹が採餌に来ています。
花の手前で見事なホバリング(低空飛翔)を披露してくれました。
採餌シーンをよく見ると正当訪花ではなく、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
当然、後脚の花粉籠は空荷です。
一般的な(昔ながらの)赤いサルビア・スプレンデンスなら私も幼少時に花筒を引っこ抜いて根本の蜜腺から盗蜜していたことを懐かしく思い出します。




さて、この花はサルビアの一種だと思うのですが、園芸種にまるで疎い私は名前を知りませんでした。
調べてみると、濃い青色の花はサルビア・ガラニチカでしょうか?
映像でクマバチが来ていた水色の花はブルーサルビアかな?(=サルビア・ファリナセア=ラベンダーセージ;Salvia indigo spires)
自信がないので、もし間違えていたらご指摘願います。


サルビア・ガラニチカ?
サルビア・ガラニチカ?
ブルーサルビア?
ブルーサルビア?



2015/07/10

コンフリーで採餌戦略(正当訪花/穿孔盗蜜)を切り替えるオオマルハナバチ♀



2015年6月中旬

道端に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)がせっせと訪花していました。

小型なのでおそらくシーズン初期のワーカー♀と思われる同一個体を追跡して撮影すると、初めは穿孔盗蜜ばかりしていました。
雄しべに触れない筈なのに後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けているのが不思議に思っていたら、途中から(@0:20〜)正当訪花にスイッチしました!

コンフリーの花を舞台としたこのような採餌戦略の切り替えをクロマルハナバチ♀およびセイヨウミツバチ♀でも観察しているので、どうやらハナバチでは一般的な行動のようです。(珍しい行動ではない)

訪れた花筒の深さの微妙な違いに応じて臨機応変に切り替えるのですかね?(正当訪花で舌が蜜腺に届かないと予測すれば盗蜜する?)
しかしこの個体はオオマルハナバチにしては小型なので、素人考えでは正当訪花でも花筒の奥まで潜り込み易いと思うのですけど、盗蜜する理由がよく分かりません。
既に穿孔盗蜜痕があれば、それを積極的に利用するのでしょうか?(二次盗蜜)
気紛れな日和見主義は柔軟な採餌戦略だと評価すべきなのでしょうか?



【追記】
『クモを利用する策士、クモヒメバチ』p123によれば
行動学では戦略と戦術は、明確な使い分けがされている。どのような状況でどのようなふるまいを選択するかを戦略と呼び、個々の状況でのふるまいを戦術と呼ぶ(東京化学同人『行動生物学辞典』より)。

正当訪花(手前に見える花筒2つに穿孔盗蜜痕)
正当訪花
盗蜜
穿孔盗蜜痕

2015/07/03

ヒレハリソウで正当訪花および盗蜜するセイヨウミツバチ♀



2015年6月上旬

▼前回の記事 
ヒレハリソウの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀

水田の畦道に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
複数個体を撮影。
花筒に潜り込んで正当訪花している個体も後脚の花粉籠は空荷でした。
2匹が隣り合う花で吸蜜するシーン(正当訪花)も見れました。



その一方で、盗蜜している個体もいます。
つまり、セイヨウミツバチは正当訪花しても舌が蜜腺に届くのに、あえて穿孔盗蜜することがある、と分かりました。
目移りしてしまうほど忙しなく飛び回るため、同一個体が正当訪花と盗蜜の採餌戦略を花によって(花筒の深さに応じて臨機応変に)切り替えるかどうか確認できませんでした。
経験豊富な個体が学習の結果として盗蜜を覚えるのかな?
生まれつき舌の短い個体が盗蜜しがちなのでしょうか?
それとも気紛れな日和見主義なのでしょうか?



『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ:その生態と保護』p69によると

盗蜜は、クマバチ類だけの専売特許ではなく、ハキリバチ類、マルハナバチ類、セイヨウミツバチなど多くの種類で見られる。


舌が短く盗蜜行動の常習犯であるオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)も同じ群落で盗蜜していました。(映像のラスト)
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのオオマルハナバチでしょう。


2015/06/07

ヒレハリソウの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀



2015年6月上旬

道端に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
ところが花筒に潜り込んで正当訪花するのではなく、花筒の根本を外から噛んで穴を開けて盗蜜していました。
まさかミツバチが盗蜜するとは予想外で、衝撃映像に興奮しました。
この吸蜜法では雄しべの花粉に全く触れないので、後脚の花粉籠は空荷です。

更によく観察すると、既に穿孔した穴から盗蜜しているので二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)かもしれません。
実は直後に同じヒレハリソウの群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花しているのを見ています。
舌の短いクロマルハナバチは穿孔盗蜜の常習犯ですので、一次盗蜜者はおそらくクロマルハナバチでしょう。
(クロマルハナバチの盗蜜行動は過去に散々撮ってきたので今回はスルー)

この映像は、同一個体のセイヨウミツバチを追いかけて撮影したものです。
この個体はどの花でも毎回盗蜜していました。
ミツバチがヒレハリソウで正当訪花する例があるのかどうか、つまり正当訪花で舌が蜜腺に届くのか?、これから注意して観察します。
これまで撮っていないのも意外ですけど。


【追記】
意外にもすぐに懸案事項が解決しました。
▼関連記事 
ヒレハリソウで正当訪花および盗蜜するセイヨウミツバチ♀

※ 「養蜂業界ではミツバチが他の個体や巣箱から蜜を奪うことも盗蜜と言い習わす」(wikipediaより)のですが、今回のトピックはそれとはまた違った採餌行動です。



2015/04/02

タニウツギの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀



2014年5月下旬

水辺の階段に咲いたタニウツギクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
花筒の根本を外側から噛み切り、吸蜜しています。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる行動です。
花の雄しべに触れないため、後脚の花粉籠は空荷です。
この個体は正当訪花せずに盗蜜ばかりしています。

▼関連記事(同日、少し離れた群落で撮った別個体の映像)
タニウツギで採餌戦略(正当訪花/穿孔盗蜜)を切り替えるクロマルハナバチ♀



同定のため撮影直後に同一個体を採集しました。
以下は標本写真
後脚基跗節の形状を見ると、幅が広く外縁が弓なりに弧を描くことから、よく似たコマルハナバチではなくクロマルハナバチと判明。
時期的に創設女王かな?と思いきや、体長が〜14mmしかないのでワーカー♀ですね。
参考:『日本産マルハナバチ図鑑』


腹端に毒針
右マーラースペース
左後脚脛節:花粉籠
左後脚基跗節


【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
盗蜜をするマルハナバチの中舌は、正常な吸蜜行動をする種にくらべて短いものの、硬質化して、基部で幅広くなり、花管を突き破りやすい構造になっている。 (p150より引用)


2015/03/15

コンフリーの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀



2014年6月中旬

山裾にに咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
花筒の根本を外から穿孔盗蜜していました。
雄しべに全く触れないため、後脚の花粉籠は空荷でした。

この日この群落で採餌活動を見たのはコマルハナバチ、トラマルハナバチ、オオマルハナバチがメインで、クロマルハナバチの個体数は少なかったです。



2015/03/08

ツノアオカメムシの幼虫がホウチャクソウの花で盗蜜?



2014年5月下旬

里山の草地に咲いたホウチャクソウの白い花筒にツノアオカメムシPentatoma japonica)の幼虫が静止していました。
花弁の根元にできた隙間に口吻を差し込んで花蜜を吸っているように見えてドキッとしました。
もしそうなら盗蜜行動になります。

▼関連記事
ホウチャクソウの花で盗蜜するマドガ(蛾)
残念ながらマクロレンズを装着する前にツノアオカメムシ幼虫は花を登って葉に移動してしまいました。
カメムシの幼虫は羽がないので飛べません。
訪花中は背側のアングルから撮っただけなので口吻の状態がしっかり見えず、本当に吸蜜していたかどうか疑問です。
思わせぶりな位置に止まっていただけかもしれません。
そもそも、カメムシが花蜜を吸いますかね?



2015/03/05

クマバチ♀の盗蜜行動@カクトラノオ



2014年8月中旬

平地の用水路沿いの民家の庭に咲いたカクトラノオ(=ハナトラノオ)にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
白い花筒の根元を外側から食い破って穿孔盗蜜していました。
雄しべに全く触れないので、当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。


▼関連記事(2013年の映像)
ハナトラノオの花で盗蜜するクマバチ♀
興味深いことに、近くで訪花していたクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)に最後は追い払われてクマバチ♀は逃げてしまいました。
異種のハナバチ間で蜜源の占有行動らしき振る舞いを初めて見たのですが、動画には撮れず残念でした。



2014/09/13

ヒレハリソウの花で盗蜜するクマバチ♀



2014年7月中旬

山村の用水路沿いに生えたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)がせっせと吸蜜していました。
訪花シーンをよく見ると、漏斗状の花筒の外に止まる度に根元を食い破って穿孔盗蜜しています。
受粉に寄与しないので当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。
蜂が飛び去った後も花をよく見ると盗蜜痕の穴が見えます。

途中でクマバチ♀がトラマルハナバチのワーカー♀とニアミスしました。
舌の長いトラマルハナバチは正当訪花しているのに、こちらも花粉籠は空荷でした。



2014/09/12

タバコの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀



2014年7月中旬

タバコを栽培している畑でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
漏斗状の花筒の外に止まると、根元を食い破って穿孔盗蜜しています。
雄しべに全く触れず、花の受粉に寄与しないため、後脚の花粉籠は空荷です。

さてタバコは南米原産の栽培植物ですが、日本でタバコを正当訪花する送粉者は誰なのでしょうか?
舌の長いトラマルハナバチでも奥の蜜腺に届かないような気がします。
非常に長い口吻を持つスズメガ科が夜に訪花するのかな?と予想してみました。
現地ではハチドリや、タバコの害虫として悪名高いタバコスズメガが送粉者の役割を担っていそうです(害虫ではなく持ちつ持たれつの共進化なのかも?)が、日本には生息していません。



【追記】
タバコがニコチンという有毒物質(神経毒)を根で合成して葉や花、花蜜に貯めこむのは草食動物(昆虫)による食害を防いだり盗蜜者を排除するためと考えられているそうです。
だとすれば、今回クロマルハナバチ♀が平気で盗蜜していたのは定説に反するかもしれません。
クロマルハナバチは進化でニコチン耐性を獲得しつつあるのでしょうか?
それとも、このタバコは花弁のニコチン含有量が少ない品種なのかな?

【参考サイト】
「Unpredictability of nectar nicotine promotes outcrossing by hummingbirds in Nicotiana attenuata」というとても興味深い論文を日本語で解説してあるブログ花蜜に含まれる毒の効果を見つけました。


【追記2】
今村寿明『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』によると、
ニコチン(葉の1〜9%)は(タバコスズメガの)他の昆虫にはたいてい、毒作用がある。0.001〜4g/kgで中毒、死。 (p33より引用)


2014/08/09

ヒレハリソウの花で盗蜜するコマルハナバチ♂【ハイスピード動画&HD動画】



2014年6月中旬

山麓林縁の草地に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でレモン色の小さなコマルハナバチ♂(Bombus ardens ardens)が多数訪花していました。
花から花へ忙しなく飛び回る様子(複数個体)を240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました。

訪花シーンをスローモーションでよく見ると、花筒の外から根元に穴を開け吸蜜するという穿孔盗蜜を毎回行っています。
したがって、ヒレハリソウの受粉には寄与していません。
コマルハナバチは体が小さいので花筒に潜り込めそうな気もするのですけど、舌が短くて正当訪花では奥の蜜腺まで届かないのでしょう。
盗蜜で雄しべに触れないことと、そもそも雄蜂は幼虫のために花粉を集めないので、後脚の花粉籠が空荷なのは当然です。

前回は同じヒレハリソウの群落でコマルハナバチ♀もせっせと盗蜜していました。

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雄蜂による盗蜜行動を見たのはこれが初めてです。
『日本産マルハナバチ図鑑』p61でコマルハナバチ♂の主な訪花植物リストにコンフリーが含まれていましたが、雄蜂による盗蜜行動の記述はありません。一方、北海道に分布する近縁亜種の

エゾコマルハナバチ♂は各種の花でエゾオオマルハナバチ♀が開けた盗蜜穴を利用して吸蜜するケースがしばしば見られる。(同図鑑p65より)


確かにこの日は同じ群落でオオマルハナバチ♀も盗蜜していました。

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ヒレハリソウの花で盗蜜するオオマルハナバチ♀


最後に、たまたま並んで吸蜜していたトラマルハナバチ♀と比べてみましょう。(@7:34〜8:22)
体格差も歴然としていますが、トラマルハナバチ(ナガマルハナバチ亜属)はヒレハリソウに正当訪花して長い舌を花筒の奥に差し込み吸蜜しています。

中舌の長さは、同一のカーストを比較すればナガマルハナバチ亜属で顕著に長く、ユーラシアマルハナバチ亜属、コマルハナバチ亜属、オオマルハナバチ亜属と徐々に短くなる。(『同図鑑』p166より)



コマルハナバチ♂の盗蜜シーンを通常のHD動画でも撮ってみました。
複数個体を撮影。



撮影の合間に1匹だけ採集しました。
以下に標本写真を掲載。
どうせならついでに、「雄蜂は毒針を持たず捕まえても刺してこない」ことを実演して動画に撮ればよかったですね。



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