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2018/07/20

ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#3


▼前回の記事
ナミテントウ一齢幼虫の孵化


2018年5月中旬

ナミテントウHarmonia axyridis)幼虫が孵化してから4日目です。

肉食性の昆虫を飼うときは毎日のように生き餌を調達するのがとても大変です。
獲物が少ないとすぐに共食いを始めるそうです。
卵塊から一気に30匹も孵化したので、口減らししないと、とても全ては世話し切れなくなりそうです。
私の身の回りで手軽に手に入るアブラムシは、ヨモギの群落に集るヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)?のコロニーです。

初めは密閉容器でナミテントウ幼虫を我流で飼ってみたのですが、アブラムシの付いたヨモギの交換が難しいことに気づきました。
容器内は蒸れるので、萎れたヨモギからカビが生えそうです。
虫の飼育書を参考にして、開放環境で飼うことにしました。
アブラムシのコロニーが発生したヨモギの株を道端から採取して水差しにしてやり、そこへナミテントウ幼虫を放ちました。
幼虫を移動させるときは決して手で直に触らず、必ず筆の毛先に乗せてやります。

ナミテントウの幼虫は6本の歩脚と腹端の吸盤を使ってヨモギの葉や茎を徘徊し始めました。
獲物となるアブラムシを探索しているようです。
私は甲虫の幼虫を飼育を飼育した経験があまりないので、若齢幼虫でも意外に動きが速いのに戸惑いました。

ナミテントウの幼虫は垂直のプラスチック壁面も難なく登れることが分かりました。
脱走されないよう注意しないといけませんが、あえて「去る者追わず」で自然に数が減ってくれることを期待して、気楽に飼うことにしました。
ナミテントウは害虫ではなく益虫とされていますから、飼育中にたとえ何匹か外へ逃げ出しても誰にも迷惑をかけません。
とにかく数が多すぎて観察の目が行き届かず、何齢かも分からなくなってしまいました。
もしかすると、既に脱皮して二齢になった個体もいるかもしれません。
生活史の一部始終をきっちり観察したければ、ナミテントウ幼虫を一匹ずつ小分けに飼うべきでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→#4:アブラムシの捕食


2018/07/18

ナミテントウ一齢幼虫の孵化



ナミテントウの飼育記録#2



▼前回の記事
卵塊から孵化するナミテントウ一齢幼虫【60倍速映像】

2018年5月上旬

タニウツギの葉裏に産み付けられたナミテントウHarmonia axyridis)の卵塊から幼虫が続々と孵化する様子を微速度撮影する合間に、通常のリアルタイムHD動画でも記録してみました。
黒っぽい一齢幼虫が蠢いています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


ナミテントウ一齢幼虫群れ@孵化直後


【追記】
孵化翌日の幼虫の写真も載せておきます。
卵殻が食べられずに残っていて、その周囲に依然として群れを形成しています。
2匹だけが群れから離れ分散しつつあります。



2018/07/16

卵塊から孵化するナミテントウ一齢幼虫【60倍速映像】


2018年5月上旬

ナミテントウの飼育記録#1


タニウツギの開花運動を微速度撮影するつもりで、膨らんだ蕾の付いた小枝を夜に採取してきました。
家に持ち帰って花瓶(ペットボトル)に生けるとき、一枚の葉の裏面に黄色い卵塊があることに気づきました。
数えると31個の黄色い卵が産み付けてありました。
これはテントウムシの卵だろうと予想しました。
そこで予定を変更して、テントウムシを飼育観察してみることにしました。





卵塊を側面から接写してみると↑、孵化しない未受精卵が1個写っていました。(最前列の右から3個目)
表面の橙色が不均一で、見るからに異常な卵でした。



翌日、卵塊が黒っぽく変色していました。
卵殻を通して中の黒い幼虫が透けて見えるようになったのです。
この時点でも、卵塊に未受精卵が1個混じっているのが分かります。
卵の色の変化が孵化の前兆らしいので、微速度撮影で記録することに。



60倍速の早回し映像をご覧下さい。(午後17:06〜23:34)
孵化寸前には白い卵殻を通して幼虫の黒い体節が縞模様のように透けて見えるようになります。
卵から出てきた一齢幼虫の頭部と胸部は初め黄色(橙色)でした。
上半身が外に出ると、黄色の長い脚が固まる(黒化する)までしばらく休息します。

黒っぽい幼虫が続々と孵化してきました。
映像では幼虫の集団が少しずつ下方へ移動しているように見えますが、実はタニウツギの葉が少しずつ萎れて垂れ下がっているせいです。
定規を写し込んで卵塊や幼虫を採寸するのを忘れてしまいました。

全身が黒化すると幼虫は卵殻から完全に抜け出て徘徊を開始。
しかし互いに離れようとしないで群れを形成しています。
卵嚢から出てきたばかりのクモ幼体が団居まどいを形成する様を連想しました。
テントウムシ一齢幼虫の体表にあるトゲトゲは共食いされないための武装なのかな?と妄想してみました。
腹端に吸盤のようなものが見えます。
体を基質に固定するための粘液(糞?)を腹端から分泌しているようです。



卵塊から無事に孵化した一齢幼虫は30匹でした。
計31個の卵塊だったので、96.8%(30/31)という高い孵化率でした。
1個の未受精卵は幼虫によって共食いされたようです。(食卵)
初めての食事として白い卵殻も少しは食べるのかもしれませんが、私は確認していません。
一齢幼虫が群れを解消して分散した後も卵殻は完食されず残っていました。


中公新書:鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く 』を読むと、テントウムシ幼虫の食卵行動について私の知らなかったことが書いてありました。

アブラムシを食べる肉食性のテントウムシの仲間は、黄色の卵を数十個まとめて卵塊として産みつけます。しばらくすると一斉に幼虫が孵化しますが、一部の卵は孵化が遅れるか、あるいは孵化すらしません。すると先に孵化した幼虫は、こうしたなかなか孵化しない卵を生涯最初のエサとして食べ始めます。同種の卵、しかも同じ母親から生まれた兄弟姉妹を食べているわけですから、この行動は「共食い」と呼ばれています。 (p48-49より引用)

孵化して間もない幼虫はまだ運動能力が低いために、アブラムシをうまくハンティングできません。特に、体も大きくすばやく歩き回る種類のアブラムシは、テントウムシの幼虫にとっては手強いエサです。そこで、孵化した直後に共食いをすることで、幼虫は苦労することなく成長し、アブラムシを効率よく捕まえられるようにしているのです。 (p49より引用)

多くの昆虫と同様に、テントウムシの母親は産卵後に子(卵)の元を離れ、その後もいっさい面倒を見ません。しかし、母親は不測の事態に備えてわが子に「お弁当」を持たせてあげていると見なせるでしょう。テントウムシの孵化しない卵は、母親からの幼虫に対する追加的な投資なのです。  先に孵化した幼虫の栄養となるような、子の生存に役立つ卵は「栄養卵」と呼ばれています。 (p50より引用)
栄養卵はテントウムシの他に、カメムシやアリなどの昆虫、カエルやサンショウウオといった一部の脊椎動物にもみられます。それほど多くの種で採用されているわけではありませんが、広い分類群にまたがっているという意味で普遍的な戦略です。 (p50より引用)


詳しいメカニズムは分かっていませんが、ナミテントウはアブラムシの量に応じて栄養卵の供給を調整しているようです。だからこそ、孵化しない卵が単なる発生上のバグではなく、「母親の積極的な戦略」として捉えることができるのです。 (p58より引用)




この本の記述通りならば、今回の孵化率が高かったので、卵塊の周囲の餌環境が良好だと母親♀が産卵前に評価したことになります。
しかし、タニウツギの枝葉にテントウムシの餌となるアブラムシのコロニーは見当たりませんでした。(私の探し方が不十分だった?)
日当たりの悪い場所にあった株で、生育が悪い灌木でした。

タニウツギは落葉樹ですから、越冬したナミテントウの母親♀が春になって開いた葉裏に産卵したのです。

テントウムシの卵塊が孵化のタイミングを揃える秘密は何でしょう?
互いに密かに「今から孵化するぞ」とコミュニケーションしているのかな?

卵塊としてまとめて産めば気温など周囲の微気象も同じになるので、孵化までにかかる時間もほぼ同じになる、ということで単純に説明できるのかもしれません。
出遅れると共食いされてしまうので、卵塊が同期して孵化するように進化したのでしょう。


以下は、撮影中の気温を記録したデータです。
午後17:02 室温21.9℃、湿度43%
午後17:40 室温21.5℃、湿度43%
午後18:55 室温21.1℃、湿度43%
午後19:52 室温21.0℃、湿度43%
午後21:27 室温20.9℃、湿度44%
午後23:14 室温20.6℃、湿度43%

飼育を続けると、これはナナホシテントウではなくナミテントウHarmonia axyridis)の一齢幼虫と後に判明します。







↑【おまけの動画】

早回し速度を少し落とした40倍速映像をブログ限定で公開します。


つづく→#2:ナミテントウ一齢幼虫の孵化


2018/05/06

アシナガオトシブミ♀の身繕い



2016年6月上旬

山麓の道端の草むらで見慣れない甲虫を見つけました。
甲虫にあまり詳しくない私は、オトシブミなのかハムシの仲間なのか、よく分かりませんでした。
この個体は腹部が膨満していて鞘翅が閉まらないようです。
鞘翅が半開きのままなのでこれから羽ばたいて飛び立つのかと期待して接写してみました。
ところが、葉上をウロウロと歩きまわるだけでした。
葉の上で立ち止まり、足先を互いに擦り合わせています。

図鑑やネットで探し回ったところ、ホソクビナガハムシと似ているかな?と迷ったりしたものの、ようやくアシナガオトシブミ♀(Phialodes rufipennis)だろうと見当がつきました。


(アシナガオトシブミ)♀の前脚、口吻、触角は長くならない。(『オトシブミハンドブック』p24より)
次に機会があれば揺籃作りを観察してみたいものです。



2018/04/28

飛べ!キボシカミキリ♂



2017年9月中旬

飛来したキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)が用水路のフェンスの手すりに止まりました。
触角が長いのでおそらく♂だと思います。

カメラのレンズを近づけたら警戒され、すぐに横を向くと飛び立って逃げました。
開いた後翅が赤褐色で印象に残ります。
すぐ上のクリの木に着陸しました。
風が吹いてクリの枝葉が揺れてもあまり動きません。
本種のホストはイチジクや桑の木らしく、クリ(栗)は特に関係ないようです。


キボシカミキリ♂@用水路柵:鉄パイプ
キボシカミキリ♂@クリ葉

2018/04/02

ツリフネソウの花粉を食すコアオハナムグリ



2017年9月上旬

山麓の湿地帯(休耕田)に咲いたツリフネソウの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花に潜り込んで花粉を食べているようです。
ツリフネソウの花蜜は、花の後部でくるりと巻いた距の先端にあるのですが、図体の太いコアオハナムグリは蜜腺までとても口が届きません。

とても長くてしなやかな口器を有するトラマルハナバチやスズメガ類を送粉者として指名するようにツリフネソウは花の形状を共進化させてきたのです。

一方、コアオハナムグリはツリフネソウの花粉を報酬にして送粉を助けていると言えそうです。


2018/03/25

カクトラノオの花に潜り込んで食事するコアオハナムグリ



2017年9月上旬

花壇に咲いたハナトラノオ(別名カクトラノオ)コアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
「ハナムグリ」の名前の通り、薄紫色の花筒にすっぽりと潜り込んで花粉や花蜜を食べています。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/03/19

ハチミツソウの花で食餌する赤銅型コアオハナムグリ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲いたハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落で赤銅色型のコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
筒状花に潜り込んで花粉や花蜜を食べているようです。



▼関連記事 (通常の緑色型)
ハチミツソウの花で食事するコアオハナムグリ



2018/03/13

ミソハギを訪花するコアオハナムグリ



2017年9月上旬

山麓の小湿地帯(休耕田)に咲いたミソハギの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
茎を登ったり花から花へゆっくりと歩き回っていました。
花粉や花蜜を食べるシーンを撮りたかったのですが、花に静止しても口器は動いていません。

複数個体を撮影。

※ ラスト20秒のみ動画編集時に自動色調補正を施しています。


コアオハナムグリ@ミソハギ訪花
コアオハナムグリ@ミソハギ訪花
コアオハナムグリ@ミソハギ訪花

2018/02/23

ナガボノシロワレモコウの花で食事するコアオハナムグリ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花穂の先端部で雄しべの花粉や花蜜を食べているようです。
後半は花穂の根元(蕾の部分)に移動して休息。
飛び立つかと思いきや、再び先端に降りて食事を再開。

※ 背景をぼかしていても絶え間なく動く激しい流水のため、いつものように動画編集時に手ぶれ補正処理すると副作用が酷いことになりました。
仕方なく、今回はそのままお届けします。



2018/02/15

ミズキの花に来たクロハナムグリとコアオハナムグリ赤銅型



2016年5月中旬

沢筋に生えたミズキの高木でクロハナムグリGlycyphana fulvistemma)と赤銅型のコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
コアオハナムグリは通常の緑色型の個体も後半に写っています。

▼関連記事 (緑色型)
ミズキの花で食事をするコアオハナムグリ
今回の記事の主役はレアな赤銅型です。
白い花に潜り込んで花蜜や花粉を食べています。

頻繁に風が吹いて枝が激しく揺れるので、撮影に苦労しました。


コアオハナムグリ赤銅型@ミズキ訪花摂食
クロハナムグリ@ミズキ訪花摂食。上に通常型(緑色)のコアオハナムグリもいる。

2018/02/01

ハチミツソウの花で食事するコアオハナムグリ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲いたハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
頭状花に潜り込んで花蜜や花粉を食べています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事ハチミツソウの花で食餌する赤銅型コアオハナムグリ



2018/01/25

スペアミントの花で食餌をするコアオハナムグリ



2017年8月下旬

民家の庭に咲いたスペアミントの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花に頭を突っ込んで花粉や花蜜を食べています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コアオハナムグリ@スペアミント訪花
コアオハナムグリ:側面@スペアミント訪花

2017/12/22

オオハナウドの花に群がるコアオハナムグリ



2016年6月上旬

農村部の用水路沿いに咲いたオオハナウドの花序にコアオハナムグリGametis jucunda)の群れが集まっていました。
花に潜り込んで花粉や花蜜を食べているようです。
餌場の奪い合いなのか、ときどき出会うと互いに小競り合いになります。



2017/12/02

獣糞を食べるオオヒラタシデムシ



2016年10月中旬

郊外の道端に落ちていた獣糞にオオヒラタシデムシNecrophila japonica)が来ていました。
採寸代わりに一円玉を並べて置きます。

飼い犬の糞かもしれませんが、この辺りだと野生動物の糞でもおかしくありません。
糞に獣毛が混じっているのは、自分で毛繕いした際に飲み込んでしまったのか、それとも肉食獣が食べた獲物の体毛かもしれません。

オオヒラタシデムシは、黒っぽい糞に胸部も頭も突っ込んで夢中で食糞しています。
触角だけが動いています。

小枝を使ってオオヒラタシデムシを裏返そうとしたら、慌てて逃げ出しました。
急いで仰向けに裏返すと、この個体の腹面にダニは寄生していませんでした。

▼関連記事
オオヒラタシデムシに便乗するダニ
すぐに横に寝返りを打って自力で起き上がると、道端の草むらに逃走。
とても元気な(健康な)個体でした。



2017/11/12

オオヒラタシデムシに便乗するダニ



2016年10月中旬

郊外の工場地帯でオオヒラタシデムシNecrophila japonica)を発見。
歩道をなぜか後退していました。
よくみると、胸背と鞘翅に赤いダニ(種名不詳)が何匹も寄生しています。

採寸代わりに直径2cmの一円玉を並べて置いてみました。
オオヒラタシデムシは立ち止まったまま後脚で腹部を掻いています。
昆虫にもダニに集られて「痒い」という感覚があるのでしょうか?

直接触れないように硬貨を使ってシデムシを仰向けに裏返してみました。
すると胸部の裏面にも大量のダニが付着していました。
シデムシの性別の見分け方を知らないのですけど、腹端が細長いのは♂の交尾器なのかそれとも♀の産卵管なのかな?
必死で暴れるものの、舗装路では足先が上手くひっかからず起き上がれないようです。
いつまで経っても自力では起き上がれないので、最後は手助けしてやりました。
道端の草むら(落ち葉)へ早足で逃げて行きました。

見事な精密画でヨツボシモンシデムシの生態を丹念に描いた本、舘野鴻『しでむし』を読むと、寄生ダニのことが書いてありました。
オオヒラタシデムシにつくダニはまた違う種類なのかもしれませんが、似たような生態なのでしょうか。

シデムシの成虫や幼虫の体には、必ずといっていいほどオレンジ色のダニがくっついています。このダニは、シデムシの体液を吸っているわけではなく、シデムシをタクシーのような移動手段として利用しているのです。ダニの狙いは死体。かれらもここで繁殖します。とても足が速く、シデムシが死体にたどりつくと、さっさと下車します。
生まれたダニの子どもたちは成虫だけでなく、巣をはなれる終齢幼虫にものっかっていきます。そのままさなぎのへやへも同行、新しく羽化したシデムシの成虫は、幼なじみのダニとまた旅をはじめます。 (p35より引用)


私も冒頭でこれを「寄生」ダニと書いてしまったのですが、それは間違いで片利共生の一例の「便乗」かもしれません。

片利共生
[英commensalism 仏commensalisme 独Kommensalismus, Karpose 露комменсализм]
種間相互関係の一形態で,それによって共生者の片方の適応度は増すが,他方の適応度は変わらない状態.ふつう前者をcommensal,guest,あるいはsymbiont,後者をhostとよぶ.(中略)相手の体に付着して移動のための利益を得ているような関係を運搬共生(phoresy)とよぶこともある. (『岩波生物学辞典 第4版』より引用)


後で思うと、折角の機会なのでマクロレンズでダニをしっかり接写すれば良かったですね。


2017/10/30

セマダラコガネを捕食吸汁するシオヤムシヒキ♂



2017年7月下旬・午前8:17

アベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の生け垣で、シオヤムシヒキ♂(旧名シオヤアブ;Promachus yesonicus)が葉の上に止まっていました。
腹端に白い毛束があるので♂ですね。
抱えている獲物はセマダラコガネAnomala orientalis)でした。
その胸背(頭部?)から吸汁しているようですが、口器の状態はよく見えませんでした。
シオヤムシヒキ♂は腹部をヒクヒクさせて腹式呼吸しています。
最後は獲物を抱えてどこかに飛び去ってしまいました。

アベリアに訪花していたセマダラコガネを狩ったのでしょうか?
それとも横の芝生で狩ったのかもしれません。
いつか狩りの瞬間を観察してみたいものです。(飼育すれば見れるかな?)



2017/09/29

エゴノキから飛び立つジョウカイボン



2017年6月上旬

平地で満開に咲いたエゴノキの花でジョウカイボンLycocerus suturellus)を見つけました。
本種は肉食らしいので、花に来る昆虫を探していたのでしょう。
花から葉によじ登ると、翅を開いて飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2017/08/21

ハンノキカミキリを見つけた!



2017年5月下旬・午前6:40頃

朝の散歩をしていると、郊外の道端に生い茂ったススキの葉に見たことのないカミキリムシを発見。
赤と黒のツートンカラーで、かなり目立ちます。
帰ってから調べてみるとハンノキカミキリCagosima sanguinolenta)と判明。
この属名のCagosimaは鹿児島から来てるのですかね?(人名? 調べても分かりませんでした。)

じっとしているハンノカミキリに指を近づけると触角が動きました。
体に触れても方向転換するだけで、擬死落下したり飛んで逃げたりしませんでした。
気温が上がるまで日光浴していたのかもしれません。

すぐ近くに大規模な貯木場があるので、てっきりそこから来たのかと推測しました。
ところが本種のホストは「ヤマナラシ、シラカンバ、ヤシャブシ類、ハンノキ類、カキ」とあり、林業で伐採される樹種(スギ)とは違うようです。
横の河畔林などで発生したのかな?



2017/06/05

河川敷の芝生でコガネムシ幼虫を捕食するハシボソガラス(野鳥)



2016年10月中旬

夕方の河川敷でハシボソガラスCorvus corone)が芝生をほじくり返して虫を探していました。
橋桁の近くで2羽が付かず離れず地上採食しています。

松原始『カラスの教科書』によると、

・ハシボソガラスの文字通り「草の根分けても探し出す」というテクニックは農耕地や河川敷では大きな武器となる。 (p152)
「探りを入れる」行動はプロービングと呼ばれるが、くちばしでかきわける、くちばしを差し込んで押し開く、上を覆っているものをどける、ひっくり返す、と多岐にわたる。草の間には昆虫が潜んでいることがあるし、落葉の下には種子や昆虫やミミズ、石をひっくり返せばその下に何かがいる、かもしれないからである。ハシボソガラスの行動の基本は「かもしれない」なのだ。 (p148-149)


最後は相次いで飛び立ち、土手を越えて市街地の方へ向かいました。



【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読んでいたら、この採食行動の謎が解けました。
毎年春になると、コガネムシ類が産卵のために芝生に集合して芝生の土中に産卵するのです。初夏には孵化して幼虫が誕生します。コガネムシは(中略)幼虫は芝生の根を食べて成長し、そのまま越冬するのです。 カラスたちはこの幼虫に目がありません。特に9月以降になると、プリプリに成長した幼虫は動物性たんぱく質の塊になります。これを食べるためには、どうしても芝生をはがしてしまわないといけないわけです。 これがボソだと、嘴が細くて尖っているので、芝生の根の部分をうまく突き刺して幼虫を取り出すことができる(中略)カラスたちが幼虫を食べてくれることによって、コガネムシによる芝生の食害の拡大を食い止めている (p184より引用)

そう言われてから改めてこの動画を見直すと、確かに丸々と太った白い幼虫を次々と捕食していました。(@0:01、0:49、2:08、2:35、2:51、3:51、4:13
あちこちの芝生をほじくっているものの闇雲に探している訳でもなさそうで、捕食の成功率はかなり高いようです。
カラスはどうやってコガネムシ幼虫の隠れている居場所を突き止めるのでしょうね?
という訳で、曖昧だった記事のタイトルを「河川敷の芝生で採食するハシボソガラス(野鳥)」から変更します。



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