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2018/05/20

ノシメトンボ♀♂の交尾と連結打空産卵



2016年9月下旬

稲穂が実る田んぼでノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)が尾繋がり状態で飛びながら卵をばらまいていました(連結打空産卵)。
タンデムで停空飛翔(ホバリング)し、卵をほぼ同じ地点に何度も繰り返し産み落としています。
飛翔中は空気抵抗を減らすために、脚を体に引き寄せていることが分かります。
稲穂に別の♀♂カップルが止まって交尾しています。

稲田のあちこちでノシメトンボ♀♂が何組も同様に産卵していました。

図鑑『日本のトンボ』によると
(ノシメトンボは)連結産卵から♀単独での産卵に移行することも多く、♂が近くを飛んで警護する
らしいのですが、単独産卵は未だ見たことがありません。

▼関連記事(丁度2年前に撮った映像は短いので、撮り直しました。)
ノシメトンボの連結打空産卵

ノシメトンボ♀♂@飛翔+連結打空産卵
ノシメトンボ♀♂@飛翔+連結打空産卵+交尾

2018/04/08

トノサマバッタ♀緑色型の産卵未遂



2017年9月中旬・午後16:49〜16:55

田園地帯の砂利が敷かれた農道で緑色型のトノサマバッタ♀(Locusta migratoria)が産卵を始めていました。
私がすぐ横を通り過ぎても跳んで逃げずに、身じろぎするだけでした。
(映像はここから。)


腹端を器用に開閉して地表面を探りながら、少しずつ掘り進めています。
西日を浴びて影が長く伸び、なかなかフォトジェニックです。
トノサマバッタ♀は太陽に対して横を向いていました。
この個体は、左の後脚が欠損しています。(-L3)

長期戦になるかと思い、少し離れた位置に三脚を立てて微速度撮影で記録してみることにしました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。(@1:47〜1:57)
しかし残念ながら、このトノサマバッタ♀はじきに穴掘りを中断してしまい、農道を歩き始めました。
おそらく土質が硬すぎるなど産卵に適さないと判断して諦めたのでしょう。
小さなクロアリ(種名不詳)が産卵中のバッタにつきまとったので、煩く思ったのかもしれません。

トノサマバッタ♀は砂利道を横断し、草むらへ逃げ込みました。
次回は産卵シーンを最後まで見届けたいものです。
♀を採集して飼育下で産ませるのが成功への早道かもしれません。


『カラー自然シリーズ44:バッタのくらし』によると、

(トノサマバッタは)一生のあいだに、多いものは20個近くの卵塊を産み残します(p25より引用)





2018/04/04

ミヤマアカネ♀♂連結打水産卵からの♀単独打水産卵



2017年9月上旬・午後12:13〜12:16

正午過ぎに街中の側溝でミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が連結飛翔しながら連続で打水産卵していました。
用水路を流れる水深はかなり浅かったです。
産卵地点は流れの中央ではなく、コンクリートの護岸付近のようです。(死角でうまく撮れず)
本種は卵で越冬するそうです。

しかし、こんな水草も生えていない殺風景なコンクリート三面張りの水路に産卵しても、無事に孵化してヤゴが育つとは思えません。
冬は融雪溝として使われるため水量が激増し、大量の雪が連日投下されるからです。

やがて、この♀♂ペアは尾繋がりを解消してしまいました。
私が近づいたから焦って連結が外れてしまったのかと申し訳なく思ったのですけど、後に本種の産卵習性を知るとどうやら自然に別れたようです。
驚いたことにミヤマアカネ♀は単独でも産卵を続け、♂はその近くでホバリング(停空飛翔)しながら警護していました。
本種は分かりやすい性的二形(雌雄異型)なので、観察しやすくて助かります。
成熟した♂は目にも鮮やかな「赤とんぼ」ですが、♀は地味な黄色っぽい体色です。

その後、♀だけが近くの路上で暫し休息(日光浴?)しました。
私が♀の写真を連写している間に♂の姿を見失ってしまいました。
次の♀を探しに行ったのかもしれません。


図鑑『日本のトンボ (ネイチャーガイド)』でミヤマアカネについて調べると、まさに観察した通りの産卵行動が書いてありました。

交尾後のペアは連結態のまま浅い流れを訪れ、水面や泥面を腹端で打って産卵する。♂の警護飛翔を伴い、♀が単独で産卵することもある。飛翔中は翅の模様がちらつくように目立つ。(p405より引用)

wikipediaでも同様の記述でした。

産卵は打水産卵または打泥産卵で、緩やかで浅い流れの上を通常は雌雄が連結して行う。流速が早い場所、水深の深い場所は産卵には適していないようである。産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。その後連結を解いて雌の単独で産卵に移行することもあり、その場合は短時間ではあるが雄が上空で警護飛翔をする。


ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵
ミヤマアカネ♂@用水路+警護飛翔
ミヤマアカネ♀@路上+休息:産卵直後

2018/01/25

アオイトトンボ♀♂がサジオモダカ?の茎に連結産卵



2016年9月下旬

平地の浅い沼(湿地)でアオイトトンボ♀♂(Lestes sponsa)が連結状態(尾繋がり)で飛び回っていました。



初めはヨシの枯れた茎に連結状態で止まっていました。
休んでいる♀を急かすように♂が羽ばたいて、離陸を促しています。
ペアが連結飛翔で移動すると、サジオモダカと思しき抽水植物の茎に掴まりました。
アオイトトンボ♀は腹端を植物体に押し当てると、尖った産卵管を刺し込み、産卵を始めました。
茎に産卵管を軽く押し当てた状態で錐揉みするように左右にねじるような動きをして穿孔しています。
その間、アオイトトンボは♀♂ともに翅は半開きでした。
産卵を済ませると♀が主導して飛び立ちました。
(飛び立ちのシーンをスロー再生で見直すと、やはり♂が先に羽ばたきを始め♀をリードしていました。)

浅い水から生えている抽水植物の茎から茎へ点々と移動しながら産卵を続けます。

イトトンボをしっかり同定するために、胸部の斑紋を真横から撮りたいところです。
しかし意外に至近距離だったので、私が下手に動くと飛んで逃げられてしまいそうな気がしました。
仕方なく、我慢して産卵行動の動画撮影を優先しました。
遅ればせながらネイチャーガイド『日本のトンボ』という図鑑を手に入れたおかげで、苦手なトンボの名前調べも捗るようになりました。

やはり、収録種数の少ないミニ図鑑を何冊持っていても、埒が明かないですね。



産卵していた植物の名前も調べるのに苦労しました。
ただでさえ挺水植物の知識も図鑑も無い上に、花も咲いていないのでは、難問過ぎます。
ネットであちこち調べ回り、なんとなくサジオモダカかな?と思うものの、あまり自信がありません。
花期に現場を再訪して、しっかり突き止めるつもりです。

アオイトトンボ♀が後半に産卵した細い茎の植物は、ミクリじゃないし、何ですかね?(@3:09〜)
卵を産み付ける植物の種類は特に選り好みしないようです。

普段ヒトがあまり踏み込まない湿地帯に長靴を履いて出かけると、何かしらの新しい発見がありますね。

水深は浅く、長靴のくるぶしぐらいでした。
水面に油が浮いていて、お世辞にも水質はあまり綺麗とは言えませんでした。


アオイトトンボ♀♂@サジオモダカ?茎+連結産卵
この挺水植物の名前は?

サジオモダカ?・全景(水面に油が浮いている)
サジオモダカ?葉
サジオモダカ?(この粒々が蕾なのか実なのか、よく分かりません)

2018/01/09

クロイトトンボの産卵連結飛翔で主導権を握るのは♀【ハイスピード動画】



2017年8月上旬
▼前回の記事
連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ

睡蓮池で尾繋がり状態(連結態)のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)ペアは頻繁に産卵ポイントを変えていました。
卵塊として産みつけるのではなく、おそらく1粒ずつあるいは少数の卵を浮葉植物の組織内に埋め込むのでしょう。
飛び立つ際に♀♂どちらが主導権を握っているのでしょうか?
240-fpsのハイスピード動画で連結飛翔を撮ってみました。(@0:15〜)

スローモーションで確認すると、決して♂が♀の首根っこを掴んで無理やり引き回している訳ではないと判明しました。
♀が産卵を終えたり場所が気に入らなかったりしたことで先に離陸を開始すると、僅かに遅れて♂も追従して飛び立っています。
必ず♀が先に飛び立ち、♂も瞬時に反応して追随するのです。
お手数ですがYouTubeの再生速度を0.25倍速のスローモーションに切り替えてご覧頂くと、よく分かるはずです(リアルタイムに対して1/32倍速の映像となります)。
クロイトトンボの♀♂カップルは亭主関白というよりもかかあ天下でした。
産卵のための飛翔ですから♀が主導権を握るのは別に不思議なことではありませんが、スーパースローの映像で突き止められたのは嬉しいことです。

ただし、一度だけ例外がありました。(@3:29〜4:17)
珍しく♂が先に飛び立とうとしたものの、♀はピクッとしただけで産卵を続けます。
結局はタンデムで飛び立ちました。(改めて♀が先行離陸)

最後の例はまた興味深いです(@4:20〜)。

♀が腹端で睡蓮の葉を探りながら軽く羽ばたいても、♂は無反応で飛び立ちませんでした。
♀の羽ばたきが激しくなり♀の脚が睡蓮の葉から完全に離れると(離陸)初めて♂が羽ばたき始めました。

イトトンボの連結飛翔をハイスピード動画で撮るのは意外にも今回が初めてでした。
タンデム(連結態)でパラパラと羽ばたくペアの影が美しいですね。
離陸後はどこへ向かって飛び(方向転換)、どこに着陸するのか、その主導権も♀が握っているのか、それとも♂が力強く♀をリードしているのか、気になるところです。

しかし、映像ではよく分かりませんでした。
♀が先に産卵地点に着陸する場合が多いようです。
連結飛翔中は一心同体に見えますが、どのように意思疎通をしているのですかね?

プロペラではなくトンボの羽ばたきを模倣したドローンを作り、列車のように何台も連結して飛ばしたら面白そうです。


腹部背面は黒いが、♂の腹端は水色。



2018/01/07

連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ



2017年8月上旬

平地の睡蓮池で尾繋がりの状態で産卵中のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)を見つけました。
体色は背側が黒っぽいものの性的二型で、前の♂が水色(白い粉を吹いた青色)、後ろの♀が黄色でした。
♀は腹端でスイレンの葉表を腹端で探り、葉の縁や裂け目(虫食い穴)から水を探り当てると葉裏に産卵しているようです。
頻繁に飛んで場所を変え、あちこちに産卵しています。

植物組織内に産卵管を差し込むのか、葉裏の表面に貼り付けるだけなのか、映像だけからは分かりません。
図鑑の記述によれば、植物組織内に産卵するのだそうです。
水中には小魚が泳いでいるのが実際に見えますから、卵を捕食されないように植物組織の中に隠すように産卵するのでしょう。

『日本のトンボ(ネイチャーガイド)』でクロイトトンボの項を参照すると、

交尾を終えたペアは、おもに連結態で水面付近の植物組織内に産卵し、潜水産卵も観察される。♀単独でも産卵する。(p127より引用)



なるべく同一ペアをひたすら追いかけて撮影するようにしました。
ときどき単独♂が飛来するものの、♀の奪い合いにはならず、連結ペアは産卵場所を変えるだけでした。
尾繋がりで連結していれば♂の配偶者ガードは完璧なのでしょう。
映像の最後は、スイレンの葉で翅を休めているあぶれ♂です。

クロイトトンボを観察したのは未だこれが2回目であまり馴染みがないのですが、採集しなくてもなんとか写真同定できました。

▼関連記事(2年前の撮影)
クロイトトンボ♀♂の交尾

つづく→連結飛翔のハイスピード動画

スイレン葉で休む単独♂。腹端の上付属器が「ハ」の字状に開いているのがクロイトトンボ♂の特徴。

2017/12/25

苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】



2016年11月下旬

山麓を流れる用水路でコンクリート上に生えた緑色のコケ(種名不詳)でガガンボの一種が腕立て伏せのような屈伸運動をひたすら繰り返していました。
これは♀の産卵行動なのか?と思いついて興味を持ったものの、背側からのアングルでは腹端の様子が分かりません。

ときどき屈伸運動を一瞬だけ止めて、腹端をコケの中に押し込みました。
スロー再生すると、腹端をコケに突き立てているのがよく分かります。

そっと回り込んで、逆からも撮影しました。
今思うと、どうせなら側面から撮るべきでしたね。
残念ながら、翅に隠れて腹端の様子があまり見えません。

同定するために採集したかったのですけど、逃げられてしまいました。(無念!)
このガガンボと苔の名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
ガガンボには翅に独特の縞斑紋があります。

辺りには雑木林の落ち葉が散乱していて、タヌキの溜め糞がすぐ側にありました。
実はこの溜め糞を撮ろうと私が近づいたら、このガガンボに気づいたのです。

産卵していた苔ごと採集して、卵の状態を接写すればよかったですね。
ガガンボの卵は見たことがありませんが、おそらくかなり微小なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ガガンボの仲間の産卵行動を観察したのはこれで三回目です。
どれも同定できていないのが残念です。

種類によって産卵場所がそれぞれ異なるのでしょう。

▼関連記事
地面に産卵するガガンボ♀
ミカドガガンボ♀?の打水産卵

翅の模様にピントが合う前に逃げられました。



2017/10/12

農道の枯草に産卵するウラギンヒョウモン♀



2016年9月下旬

稲刈りが一部で始まった田んぼの農道(やや幅広い畦道)でウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が謎の行動をしていました。
本種の食草はスミレのはずなのに、草刈り後の枯れ草に卵を産み付けているのです。
少し飛んでは地上の枯草で同じ産卵行動を繰り返しています。

春にこの農道でスミレの花が咲いていた記憶が無いのですけど、春になったら調べに来ないといけません。
…と思っていたら忘れてしまいました。(※追記2参照)


英語版のwikipediaに本種の産卵行動について詳しく書かれていましたので、以下に引用してみます。
食草が近くに無くても構わず産卵することがあるそうです。
今回の♀は腹端で産卵に適した場所を探っていただけかもしれません。
撮影後に枯草を掻き分けて卵を確認すべきでしたね。

Observation of fritillary egg laying is difficult as the eggs are very similar in color to the female's ovipositor. It has been seen that eggs may not even be laid after extensive enquiry by the female of potential egg sites. Females also prefer to lay eggs that are on firm ground rather than ground with loose plant matter. In outcrops eggs are laid in short vegetation next to limestone that offers good moss cover. In Bracken eggs are laid in groups in the midst of thick Bracken clumps. Dead Bracken litter is a popular site for egg laying, as well as moss and other decaying vegetation.[2]

Eggs are laid in spots conducive to sun bathing,....

Oviposition
The egg laying process begins when a female does low passes above bracken fronds and drop down when they find a suitable spot. Females will then crawl on the bracken littered ground and use their abdomens to probe for likely egg laying spots. Eggs are normally laid once a female crawls over a plant that can serve as a food resource. Eggs may also be laid without any area observation, and without any food plants nearby, as females have been observed to lay eggs within seconds of landing. False egg laying is also common.[2]


【追記】
古い図鑑ですが、保育社『原色日本蝶類生態図鑑II』p99によると、
 (ウラギンヒョウモンの)産卵は9月に入ってから行われると思われるが、正確な開始時期は不明である。母蝶は食草がたくさん自生している付近の地面にとまり、触角を上下に動かし、翅を立てたままで腹端を強く曲げながら歩行し、枯れ枝、枯れ葉、木片などの他物に1卵ずつ産みつける。 
 1回の産卵行動で、断続的に別位置に5〜6か所産付する場合もある。(中略)本種の産卵位置は森林性のヒョウモンチョウ類より一般に地表に近い。







※【追記2】
7年後の2023年11月上旬、稲刈り後に同じ田んぼの農道を歩いていると、季節外れに狂い咲きしているスミレの花をいくつか見つけました。
花が咲いていないと私はスミレの仲間を見分けられないのが問題です。
しかしウラギンヒョウモン♀はしっかり食草の匂いを嗅ぎ分けて、その近くに産卵したようです。
ずっと気になっていた懸案事項がようやく解決しました。

2017/08/18

キアゲハ♀の異常産卵?(食草選択ミス)



2017年5月下旬

農地の用水路沿いの草むらをキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が忙しなく飛び回っていました。
本種の食草はセリ科植物のはずなのに、セリ科以外の葉に止まって吟味していました。
腹端を曲げて白っぽい卵を一粒ずつ産みつけました。(@0:19)

残念ながらこの植物の名前が分かりません。
ご存知の方は教えてください。
実は私が知らないだけで、セリ科なのですかね?
この草むらは頻繁に草刈りされてしまうため、花などの特徴が出るまで育つのを待てないのです。

この用水路沿いを少し歩くとオオハナウド(セリ科)の群落があり、後日キアゲハの幼虫を確認しています。
今回の謎の植物はオオハナウドではないと思うのですが…?

それから、同じ用水路沿いで少し離れたところにノダケ(セリ科シシウド属)が自生していたのを思い出しました。

▼関連記事 
ミツバの葉に産卵するキアゲハ♀【ハイスピード動画】

【追記】
図鑑で調べると、キアゲハ♀は稀にミカン科の植物にも産卵することがあるそうです。
ここは雪国(寒冷地)なのでミカン科の植物はほとんど自生していませんし、サンショウならさすがに私にも見分けられます。


【追記2】
保育社『原色日本蝶類生態図鑑I』を紐解いてキアゲハの項目を調べてみると、幼虫の食餌植物として膨大な種類のセリ科植物が列挙してあり圧倒されました。そして更に、
 このほか、キハダ、カラタチ、サンショウ、ミカン(ミカン科)、ベニバナボロギク(キク科)、ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)、ミツバオウレン(キンポウゲ科)、ギョリュウ(ギョリュウ科)を食べる幼虫が自然状態で観察され、セリ科を食べたものと同じように成長し、正常の成虫が羽化した例が知られる。また、ガーベラ(キク科)への産卵例がある。(p100-101より引用)
この中ではベニバナボロギクが怪しそうです。(実際に用水路沿いに生えているのを思い出しました)





2016/12/19

セスジスカシバ♀(蛾)の探索飛翔と産卵



2016年9月上旬

峠道の横に生えた木苺(種名不詳)の群落でセスジスカシバ♀(Pennisetia fixseni fixseni)が産卵場所を探し求めて飛び回っていました。
幼虫の食草がキイチゴ類なのです。

葉裏を何度か腹端で探ったものの、実際に産卵したのは一度だけでした。
葉表にしがみついて曲げた腹端を葉裏に押し付け、飛び去りました。
産卵中は羽ばたきを止めました。

産卵の瞬間は羽ばたきを止めた。


セスジスカシバ♀が産卵したばかりの葉をめくってみると、やや楕円球で濃い褐色(焦げ茶色)の卵がひと粒だけ葉裏(葉縁に近い部分)に見つかりました。
この時期はあまりにも忙しくて飼育する余力がなく、卵を採集しませんでした。
今後の宿題です。

▼関連記事





2016/12/10

水の無い路面で打水産卵するヤンマ♀の謎



2016年9月上旬

峠道を往復して飛ぶヤンマの一種を見ていたら、奇妙な行動をしていました。
水溜りが無いのに、乾いた路面にときどき打水産卵しているのです。
おそらくトンボの複眼では陽炎や逃げ水のように水面だと錯覚してしまう場所なのでしょう。
トンボが騙された場所を偏光フィルターや紫外線フィルターで写真に撮ってみれば何か分かるかもしれません。
乾いた地面に銀マットやビニール袋を敷いて産卵を誘発できるかどうか試してみれば面白い自由研究になりそうです。
ヤンマの種類が見分けられなかったのが残念です。
♂は尾繋がりも随伴もしておらず、♀が単独で産卵しています。(例えばオニヤンマ♀の産卵がこのタイプです。)

実は1年前にも似た映像を撮っていました。
あまり説得力のある動画ではないのでお蔵入りしていたのですが、ついでにブログ限定で公開します。



2015年9月中旬

また別の峠道で撮りました。
路上の木漏れ日を水面の反射と誤認したヤンマの一種♀(種名不詳)が打水産卵を試みています。
飛んでいる虫を狩る行動ではなさそうです。


2016/12/09

エゾクロツリアブ♀の産卵飛翔【ハイスピード動画】



2016年8月下旬

雪囲い用の材木を冬まで保管してある軒下の資材置き場でエゾクロツリアブ♀(Anthrax jezoensis)が停空飛翔(ホバリング)していました。
これは産卵行動だ!とピンと来たので、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
実はこの直前には、近くの板壁の節穴に興味を示していたのです。(映像公開予定

杉の丸太の切り口に小さな穴のように朽ちた部分があり、エゾクロツリアブ♀は飛びながらその穴を重点的に調べています。
おそらくその穴の奥に寄主のマメコバチ?が営巣しているのでしょう。(蜂の出入りは確認していません。)
背後から撮った映像では、飛んでいるエゾクロツリアブ♀と産卵標的との距離感が分かりにくいですね。
エゾクロツリアブ♀はしばらくホバリングしてから狙いを定め、飛びながら腹端を前方に勢い良く振り出して卵を射出します。
白くて小さな粒が穴の奥に飛んでいくのが一度だけしっかり見えました。(@2:08)
産卵そのものはトンボみたいに何度も連続するのではなく、ひと粒ずつ大事に産むようです。
1回産む度に、産卵の成否を確認しているのかもしれません。
ときどき丸太の断面(産卵地点から少し離れた位置)に着陸して翅を休めています。
私は休息だと解釈したのですが、飛び立つまでに次に産む標的をじっくり調べているのかもしれません。(後述する論文の著者による解釈)

後半は私が横にそっとずれて、側面からの撮影アングルを確保しました。
これで産卵標的とエゾクロツリアブ♀との距離感がはっきり見えるようになりました。
停空飛翔中は後脚を後ろに向けていますね。
後脚を垂らして飛ぶアシナガバチの飛行姿勢とはまるで異なります。
その一方で、前脚は前方に揃えています。
ホバリング中に産卵標的との距離は近づいたり遠ざかったりと、安定しません。

色々と調べていたら興味深い文献を見つけました。

Wijngaard, Wopke. "Control of hovering flight during oviposition by two species of Bombyliidae." Netherlands Entomological Society (2012): 9.(無料公開のPDFファイル
同じツリアブ科で2種の産卵行動を300-fpsのハイスピード動画に撮って詳細に比較した論文です。
エゾクロツリアブと同属の近縁種(Anthrax anthrax)とビロウドツリアブ♀(Bombylius major)が登場します。
今回私が観察したエゾクロツリアブはこの論文に記述されたAnthrax anthraxの産卵行動と同じでした。

この仲間のツリアブは産卵前に、卵がべたつかないように砂粒でコーティングするのだそうです。
そのために腹端を砂やゴミなどに擦り付ける行動をするらしく、「sand chamber」と呼ばれる部位に砂を貯えておくらしい。
今回の映像にその行動は写っていない…ですよね?
欲を言えば産卵行動をマクロレンズで接写したかったです。





2016/11/05

アカソの葉裏に産卵を試みるアカタテハ♀



2016年7月下旬・正午頃

山間部の道端に生えたアカソの群落でアカタテハ♀(Vanessa indica)が思わせぶりに飛び回っていました。
葉裏に腹端を擦り付けてから飛び去りました。
葉に止まる時間が短くて、本当に産卵したのか不明です。
最後は斜面に生い茂ったアカソの群落の方へ行って茂みに隠れてしまいました。

蝶が止まった葉を撮影直後にめくって調べてみたものの、アカタテハの卵を見つけられませんでした。
ときどきフィールドで遭遇するこういうケースは、どう解釈したら良いのですかね?

  • 私の探し方が未熟なだけで卵を見落とした?
  • ♀が食草を腹端で探ったものの気に入らずに飛び去った?
  • 卵巣が未だ発達していない未成熟な♀?
  • あるいは逆に老いた♀で、卵がもう体内に無い?
そのような成虫♀を採集して人工的に採卵を試みれば、解明できるかもしれません。


【追記】
『チョウのはなしI』p80(第11章:ヒメアカタテハの不思議な生活)によると、
普通のチョウの♀は羽化したときに成熟した卵をもっています。ところが、秋に発生して冬をチョウのままで過ごす種類では、羽化したときまったく卵をもっていません。(中略)春になるとふたたび日の長さを感知して次第に卵が成熟して、越冬後交尾、産卵して一生を終えるのです。
アカタテハも成虫越冬する種類ですが、撮影時期は真夏ですから今回の個体がそのまま越冬するには早い気がします。(秋までにもう一回世代を重ねるのでは?)





2016/10/16

イヌガラシの葉裏に産卵するモンシロチョウ♀



2016年7月中旬

水田の畦道にイヌガラシの花が点々と咲いています。
飛んでいたモンシロチョウ♀(Pieris rapae)がそこに一瞬止まって葉裏に腹端を一回付けるとすぐに飛び立ちました。

直後にその葉を裏返して調べると案の定、主脈の脇に砲弾形の白い卵が1粒産み付けられていました。
隣の葉には3個の卵をバラバラに発見。
同一個体の♀が産んだ卵なのかもしれません。
卵を接写していたら、ホソヒラタアブがたまたま飛来し、黄色い花の手前で停空飛翔(ホバリング)を披露してくれました。
一瞬だけ花に止まって舐めたものの、すぐに逃げられました。


モンシロチョウの飼育もいつかやってみたいのですけど、今回は余力がなくて見送りました。


▼関連記事
スジグロシロチョウ♀の産卵


2016/09/28

ヒダリマキマイマイ産卵直後の卵塊



2016年6月下旬


▼前回の記事
産卵のため苔に潜るヒダリマキマイマイ【60倍速映像】

湿らせたコケを敷き詰めた深さ7cmの苺パック内に潜り込んだヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が、気づいたら苔の外に出ていました。
どうやら産卵を終えたようです。
容器の底に白くて丸い粒々が透明の苺パック越しに見えました。
慎重にコケを掘り起こし、卵塊を少しほぐして数えてみると卵は10個でした。
粘液で互いに軽くくっついています。
容器の下に1mm方眼紙を敷いて採寸の代わりとします。


【参考】
ヒダリマキマイマイを扱った本ではありませんが、『講談社カラーサイエンス6:カタツムリ』p32-35によれば、

土のなかに産卵しています。頭の近くにある生殖孔から1つぶずつ卵をうみます。卵の大きさは、2mmくらいです。1つぶの卵をうむのに、10分くらいかかります。
カタツムリは、卵を40〜60つぶくらいうみます。産卵にかかる時間は、10時間くらいです。



【追記】
佐藤信治『庭にきた虫―いのちのドラマを親子でみる』によると、
産卵孔は貝の巻き方向の内側にあるので、ヒダリマキマイマイは向かって右側、ミスジマイマイは左側から卵がでてくる。 (p92より引用)



苺パックの底に1mm方眼紙を敷いた。

その後、産卵床をカタツムリの飼育容器とは別にして毎日コケに霧吹きして見守りました。
ところが、なかなか孵化してくれません。
冷房の入らない暑い部屋で飼わないといけない事情があり、もしかして暑さで卵が死んでしまったのかと諦めてしまいました。
しかし放置された卵塊を忘れた頃に(秋に)見てみると、いつの間にか幾つかの卵が割れていました。
どうやら孵化を見逃してしまったようです。


割れずに残ったのは未受精卵?

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