ラベル 産卵 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 産卵 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018/01/09

クロイトトンボの産卵連結飛翔で主導権を握るのは♀【ハイスピード動画】



2017年8月上旬
▼前回の記事
連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ

睡蓮池で尾繋がり状態(連結態)のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)ペアは頻繁に産卵ポイントを変えていました。
卵塊として産みつけるのではなく、おそらく1粒ずつあるいは少数の卵を浮葉植物の組織内に埋め込むのでしょう。
飛び立つ際に♀♂どちらが主導権を握っているのでしょうか?
240-fpsのハイスピード動画で連結飛翔を撮ってみました。(@0:15〜)

スローモーションで確認すると、決して♂が♀の首根っこを掴んで無理やり引き回している訳ではないと判明しました。
♀が産卵を終えたり場所が気に入らなかったりしたことで先に離陸を開始すると、僅かに遅れて♂も追従して飛び立っています。
必ず♀が先に飛び立ち、♂も瞬時に反応して追随するのです。
お手数ですがYouTubeの再生速度を0.25倍速のスローモーションに切り替えてご覧頂くと、よく分かるはずです(リアルタイムに対して1/32倍速の映像となります)。
クロイトトンボの♀♂カップルは亭主関白というよりもかかあ天下でした。
産卵のための飛翔ですから♀が主導権を握るのは別に不思議なことではありませんが、スーパースローの映像で突き止められたのは嬉しいことです。

ただし、一度だけ例外がありました。(@3:29〜4:17)
珍しく♂が先に飛び立とうとしたものの、♀はピクッとしただけで産卵を続けます。
結局はタンデムで飛び立ちました。(改めて♀が先行離陸)

最後の例はまた興味深いです(@4:20〜)。

♀が腹端で睡蓮の葉を探りながら軽く羽ばたいても、♂は無反応で飛び立ちませんでした。
♀の羽ばたきが激しくなり♀の脚が睡蓮の葉から完全に離れると(離陸)初めて♂が羽ばたき始めました。

イトトンボの連結飛翔をハイスピード動画で撮るのは意外にも今回が初めてでした。
タンデム(連結態)でパラパラと羽ばたくペアの影が美しいですね。
離陸後はどこへ向かって飛び(方向転換)、どこに着陸するのか、その主導権も♀が握っているのか、それとも♂が力強く♀をリードしているのか、気になるところです。

しかし、映像ではよく分かりませんでした。
♀が先に産卵地点に着陸する場合が多いようです。
連結飛翔中は一心同体に見えますが、どのように意思疎通をしているのですかね?

プロペラではなくトンボの羽ばたきを模倣したドローンを作り、列車のように何台も連結して飛ばしたら面白そうです。


腹部背面は黒いが、♂の腹端は水色。



2018/01/07

連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ



2017年8月上旬

平地の睡蓮池で尾繋がりの状態で産卵中のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)を見つけました。
体色は背側が黒っぽいものの性的二型で、前の♂が水色(白い粉を吹いた青色)、後ろの♀が黄色でした。
♀は腹端でスイレンの葉表を腹端で探り、葉の縁や裂け目(虫食い穴)から水を探り当てると葉裏に産卵しているようです。
頻繁に飛んで場所を変え、あちこちに産卵しています。

植物組織内に産卵管を差し込むのか、葉裏の表面に貼り付けるだけなのか、映像だけからは分かりません。
図鑑の記述によれば、植物組織内に産卵するのだそうです。
水中には小魚が泳いでいるのが実際に見えますから、卵を捕食されないように植物組織の中に隠すように産卵するのでしょう。

『日本のトンボ(ネイチャーガイド)』でクロイトトンボの項を参照すると、

交尾を終えたペアは、おもに連結態で水面付近の植物組織内に産卵し、潜水産卵も観察される。♀単独でも産卵する。(p127より引用)



なるべく同一ペアをひたすら追いかけて撮影するようにしました。
ときどき単独♂が飛来するものの、♀の奪い合いにはならず、連結ペアは産卵場所を変えるだけでした。
尾繋がりで連結していれば♂の配偶者ガードは完璧なのでしょう。
映像の最後は、スイレンの葉で翅を休めているあぶれ♂です。

クロイトトンボを観察したのは未だこれが2回目であまり馴染みがないのですが、採集しなくてもなんとか写真同定できました。

▼関連記事(2年前の撮影)
クロイトトンボ♀♂の交尾

つづく→連結飛翔のハイスピード動画

スイレン葉で休む単独♂。腹端の上付属器が「ハ」の字状に開いているのがクロイトトンボ♂の特徴。

2017/12/25

苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】



2016年11月下旬

山麓を流れる用水路でコンクリート上に生えた緑色のコケ(種名不詳)でガガンボの一種が腕立て伏せのような屈伸運動をひたすら繰り返していました。
これは♀の産卵行動なのか?と思いついて興味を持ったものの、背側からのアングルでは腹端の様子が分かりません。

ときどき屈伸運動を一瞬だけ止めて、腹端をコケの中に押し込みました。
スロー再生すると、腹端をコケに突き立てているのがよく分かります。

そっと回り込んで、逆からも撮影しました。
今思うと、どうせなら側面から撮るべきでしたね。
残念ながら、翅に隠れて腹端の様子があまり見えません。

同定するために採集したかったのですけど、逃げられてしまいました。(無念!)
このガガンボと苔の名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
ガガンボには翅に独特の縞斑紋があります。

辺りには雑木林の落ち葉が散乱していて、タヌキの溜め糞がすぐ側にありました。
実はこの溜め糞を撮ろうと私が近づいたら、このガガンボに気づいたのです。

産卵していた苔ごと採集して、卵の状態を接写すればよかったですね。
ガガンボの卵は見たことがありませんが、おそらくかなり微小なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ガガンボの仲間の産卵行動を観察したのはこれで三回目です。
どれも同定できていないのが残念です。

種類によって産卵場所がそれぞれ異なるのでしょう。

▼関連記事
地面に産卵するガガンボ♀
ミカドガガンボ♀?の打水産卵

翅の模様にピントが合う前に逃げられました。



2017/10/12

農道の枯草に産卵するウラギンヒョウモン♀



2016年9月下旬

稲刈りが一部で始まった田んぼの農道(やや幅広い畦道)でウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が謎の行動をしていました。
本種の食草はスミレのはずなのに、草刈り後の枯れ草に卵を産み付けているのです。
少し飛んでは地上の枯草で同じ産卵行動を繰り返しています。

春にこの農道でスミレの花が咲いていた記憶が無いのですけど、春になったら調べに来ないといけません。
…と思っていたら忘れてしまいました。(※追記2参照)


英語版のwikipediaに本種の産卵行動について詳しく書かれていましたので、以下に引用してみます。
食草が近くに無くても構わず産卵することがあるそうです。
今回の♀は腹端で産卵に適した場所を探っていただけかもしれません。
撮影後に枯草を掻き分けて卵を確認すべきでしたね。

Observation of fritillary egg laying is difficult as the eggs are very similar in color to the female's ovipositor. It has been seen that eggs may not even be laid after extensive enquiry by the female of potential egg sites. Females also prefer to lay eggs that are on firm ground rather than ground with loose plant matter. In outcrops eggs are laid in short vegetation next to limestone that offers good moss cover. In Bracken eggs are laid in groups in the midst of thick Bracken clumps. Dead Bracken litter is a popular site for egg laying, as well as moss and other decaying vegetation.[2]

Eggs are laid in spots conducive to sun bathing,....

Oviposition
The egg laying process begins when a female does low passes above bracken fronds and drop down when they find a suitable spot. Females will then crawl on the bracken littered ground and use their abdomens to probe for likely egg laying spots. Eggs are normally laid once a female crawls over a plant that can serve as a food resource. Eggs may also be laid without any area observation, and without any food plants nearby, as females have been observed to lay eggs within seconds of landing. False egg laying is also common.[2]


【追記】
古い図鑑ですが、保育社『原色日本蝶類生態図鑑II』p99によると、
 (ウラギンヒョウモンの)産卵は9月に入ってから行われると思われるが、正確な開始時期は不明である。母蝶は食草がたくさん自生している付近の地面にとまり、触角を上下に動かし、翅を立てたままで腹端を強く曲げながら歩行し、枯れ枝、枯れ葉、木片などの他物に1卵ずつ産みつける。 
 1回の産卵行動で、断続的に別位置に5〜6か所産付する場合もある。(中略)本種の産卵位置は森林性のヒョウモンチョウ類より一般に地表に近い。







※【追記2】
7年後の2023年11月上旬、稲刈り後に同じ田んぼの農道を歩いていると、季節外れに狂い咲きしているスミレの花をいくつか見つけました。
花が咲いていないと私はスミレの仲間を見分けられないのが問題です。
しかしウラギンヒョウモン♀はしっかり食草の匂いを嗅ぎ分けて、その近くに産卵したようです。
ずっと気になっていた懸案事項がようやく解決しました。

2017/08/18

キアゲハ♀の異常産卵?(食草選択ミス)



2017年5月下旬

農地の用水路沿いの草むらをキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が忙しなく飛び回っていました。
本種の食草はセリ科植物のはずなのに、セリ科以外の葉に止まって吟味していました。
腹端を曲げて白っぽい卵を一粒ずつ産みつけました。(@0:19)

残念ながらこの植物の名前が分かりません。
ご存知の方は教えてください。
実は私が知らないだけで、セリ科なのですかね?
この草むらは頻繁に草刈りされてしまうため、花などの特徴が出るまで育つのを待てないのです。

この用水路沿いを少し歩くとオオハナウド(セリ科)の群落があり、後日キアゲハの幼虫を確認しています。
今回の謎の植物はオオハナウドではないと思うのですが…?

それから、同じ用水路沿いで少し離れたところにノダケ(セリ科シシウド属)が自生していたのを思い出しました。

▼関連記事 
ミツバの葉に産卵するキアゲハ♀【ハイスピード動画】

【追記】
図鑑で調べると、キアゲハ♀は稀にミカン科の植物にも産卵することがあるそうです。
ここは雪国(寒冷地)なのでミカン科の植物はほとんど自生していませんし、サンショウならさすがに私にも見分けられます。


【追記2】
保育社『原色日本蝶類生態図鑑I』を紐解いてキアゲハの項目を調べてみると、幼虫の食餌植物として膨大な種類のセリ科植物が列挙してあり圧倒されました。そして更に、
 このほか、キハダ、カラタチ、サンショウ、ミカン(ミカン科)、ベニバナボロギク(キク科)、ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)、ミツバオウレン(キンポウゲ科)、ギョリュウ(ギョリュウ科)を食べる幼虫が自然状態で観察され、セリ科を食べたものと同じように成長し、正常の成虫が羽化した例が知られる。また、ガーベラ(キク科)への産卵例がある。(p100-101より引用)
この中ではベニバナボロギクが怪しそうです。(実際に用水路沿いに生えているのを思い出しました)





2016/12/19

セスジスカシバ♀(蛾)の探索飛翔と産卵



2016年9月上旬

峠道の横に生えた木苺(種名不詳)の群落でセスジスカシバ♀(Pennisetia fixseni fixseni)が産卵場所を探し求めて飛び回っていました。
幼虫の食草がキイチゴ類なのです。

葉裏を何度か腹端で探ったものの、実際に産卵したのは一度だけでした。
葉表にしがみついて曲げた腹端を葉裏に押し付け、飛び去りました。
産卵中は羽ばたきを止めました。

産卵の瞬間は羽ばたきを止めた。


セスジスカシバ♀が産卵したばかりの葉をめくってみると、やや楕円球で濃い褐色(焦げ茶色)の卵がひと粒だけ葉裏(葉縁に近い部分)に見つかりました。
この時期はあまりにも忙しくて飼育する余力がなく、卵を採集しませんでした。
今後の宿題です。

▼関連記事





2016/12/10

水の無い路面で打水産卵するヤンマ♀の謎



2016年9月上旬

峠道を往復して飛ぶヤンマの一種を見ていたら、奇妙な行動をしていました。
水溜りが無いのに、乾いた路面にときどき打水産卵しているのです。
おそらくトンボの複眼では陽炎や逃げ水のように水面だと錯覚してしまう場所なのでしょう。
トンボが騙された場所を偏光フィルターや紫外線フィルターで写真に撮ってみれば何か分かるかもしれません。
乾いた地面に銀マットやビニール袋を敷いて産卵を誘発できるかどうか試してみれば面白い自由研究になりそうです。
ヤンマの種類が見分けられなかったのが残念です。
♂は尾繋がりも随伴もしておらず、♀が単独で産卵しています。(例えばオニヤンマ♀の産卵がこのタイプです。)

実は1年前にも似た映像を撮っていました。
あまり説得力のある動画ではないのでお蔵入りしていたのですが、ついでにブログ限定で公開します。



2015年9月中旬

また別の峠道で撮りました。
路上の木漏れ日を水面の反射と誤認したヤンマの一種♀(種名不詳)が打水産卵を試みています。
飛んでいる虫を狩る行動ではなさそうです。


2016/12/09

エゾクロツリアブ♀の産卵飛翔【ハイスピード動画】



2016年8月下旬

雪囲い用の材木を冬まで保管してある軒下の資材置き場でエゾクロツリアブ♀(Anthrax jezoensis)が停空飛翔(ホバリング)していました。
これは産卵行動だ!とピンと来たので、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
実はこの直前には、近くの板壁の節穴に興味を示していたのです。(映像公開予定

杉の丸太の切り口に小さな穴のように朽ちた部分があり、エゾクロツリアブ♀は飛びながらその穴を重点的に調べています。
おそらくその穴の奥に寄主のマメコバチ?が営巣しているのでしょう。(蜂の出入りは確認していません。)
背後から撮った映像では、飛んでいるエゾクロツリアブ♀と産卵標的との距離感が分かりにくいですね。
エゾクロツリアブ♀はしばらくホバリングしてから狙いを定め、飛びながら腹端を前方に勢い良く振り出して卵を射出します。
白くて小さな粒が穴の奥に飛んでいくのが一度だけしっかり見えました。(@2:08)
産卵そのものはトンボみたいに何度も連続するのではなく、ひと粒ずつ大事に産むようです。
1回産む度に、産卵の成否を確認しているのかもしれません。
ときどき丸太の断面(産卵地点から少し離れた位置)に着陸して翅を休めています。
私は休息だと解釈したのですが、飛び立つまでに次に産む標的をじっくり調べているのかもしれません。(後述する論文の著者による解釈)

後半は私が横にそっとずれて、側面からの撮影アングルを確保しました。
これで産卵標的とエゾクロツリアブ♀との距離感がはっきり見えるようになりました。
停空飛翔中は後脚を後ろに向けていますね。
後脚を垂らして飛ぶアシナガバチの飛行姿勢とはまるで異なります。
その一方で、前脚は前方に揃えています。
ホバリング中に産卵標的との距離は近づいたり遠ざかったりと、安定しません。

色々と調べていたら興味深い文献を見つけました。

Wijngaard, Wopke. "Control of hovering flight during oviposition by two species of Bombyliidae." Netherlands Entomological Society (2012): 9.(無料公開のPDFファイル
同じツリアブ科で2種の産卵行動を300-fpsのハイスピード動画に撮って詳細に比較した論文です。
エゾクロツリアブと同属の近縁種(Anthrax anthrax)とビロウドツリアブ♀(Bombylius major)が登場します。
今回私が観察したエゾクロツリアブはこの論文に記述されたAnthrax anthraxの産卵行動と同じでした。

この仲間のツリアブは産卵前に、卵がべたつかないように砂粒でコーティングするのだそうです。
そのために腹端を砂やゴミなどに擦り付ける行動をするらしく、「sand chamber」と呼ばれる部位に砂を貯えておくらしい。
今回の映像にその行動は写っていない…ですよね?
欲を言えば産卵行動をマクロレンズで接写したかったです。





2016/11/05

アカソの葉裏に産卵を試みるアカタテハ♀



2016年7月下旬・正午頃

山間部の道端に生えたアカソの群落でアカタテハ♀(Vanessa indica)が思わせぶりに飛び回っていました。
葉裏に腹端を擦り付けてから飛び去りました。
葉に止まる時間が短くて、本当に産卵したのか不明です。
最後は斜面に生い茂ったアカソの群落の方へ行って茂みに隠れてしまいました。

蝶が止まった葉を撮影直後にめくって調べてみたものの、アカタテハの卵を見つけられませんでした。
ときどきフィールドで遭遇するこういうケースは、どう解釈したら良いのですかね?

  • 私の探し方が未熟なだけで卵を見落とした?
  • ♀が食草を腹端で探ったものの気に入らずに飛び去った?
  • 卵巣が未だ発達していない未成熟な♀?
  • あるいは逆に老いた♀で、卵がもう体内に無い?
そのような成虫♀を採集して人工的に採卵を試みれば、解明できるかもしれません。


【追記】
『チョウのはなしI』p80(第11章:ヒメアカタテハの不思議な生活)によると、
普通のチョウの♀は羽化したときに成熟した卵をもっています。ところが、秋に発生して冬をチョウのままで過ごす種類では、羽化したときまったく卵をもっていません。(中略)春になるとふたたび日の長さを感知して次第に卵が成熟して、越冬後交尾、産卵して一生を終えるのです。
アカタテハも成虫越冬する種類ですが、撮影時期は真夏ですから今回の個体がそのまま越冬するには早い気がします。(秋までにもう一回世代を重ねるのでは?)





2016/10/16

イヌガラシの葉裏に産卵するモンシロチョウ♀



2016年7月中旬

水田の畦道にイヌガラシの花が点々と咲いています。
飛んでいたモンシロチョウ♀(Pieris rapae)がそこに一瞬止まって葉裏に腹端を一回付けるとすぐに飛び立ちました。

直後にその葉を裏返して調べると案の定、主脈の脇に砲弾形の白い卵が1粒産み付けられていました。
隣の葉には3個の卵をバラバラに発見。
同一個体の♀が産んだ卵なのかもしれません。
卵を接写していたら、ホソヒラタアブがたまたま飛来し、黄色い花の手前で停空飛翔(ホバリング)を披露してくれました。
一瞬だけ花に止まって舐めたものの、すぐに逃げられました。


モンシロチョウの飼育もいつかやってみたいのですけど、今回は余力がなくて見送りました。


▼関連記事
スジグロシロチョウ♀の産卵


2016/09/28

ヒダリマキマイマイ産卵直後の卵塊



2016年6月下旬


▼前回の記事
産卵のため苔に潜るヒダリマキマイマイ【60倍速映像】

湿らせたコケを敷き詰めた深さ7cmの苺パック内に潜り込んだヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が、気づいたら苔の外に出ていました。
どうやら産卵を終えたようです。
容器の底に白くて丸い粒々が透明の苺パック越しに見えました。
慎重にコケを掘り起こし、卵塊を少しほぐして数えてみると卵は10個でした。
粘液で互いに軽くくっついています。
容器の下に1mm方眼紙を敷いて採寸の代わりとします。


【参考】
ヒダリマキマイマイを扱った本ではありませんが、『講談社カラーサイエンス6:カタツムリ』p32-35によれば、

土のなかに産卵しています。頭の近くにある生殖孔から1つぶずつ卵をうみます。卵の大きさは、2mmくらいです。1つぶの卵をうむのに、10分くらいかかります。
カタツムリは、卵を40〜60つぶくらいうみます。産卵にかかる時間は、10時間くらいです。



【追記】
佐藤信治『庭にきた虫―いのちのドラマを親子でみる』によると、
産卵孔は貝の巻き方向の内側にあるので、ヒダリマキマイマイは向かって右側、ミスジマイマイは左側から卵がでてくる。 (p92より引用)



苺パックの底に1mm方眼紙を敷いた。

その後、産卵床をカタツムリの飼育容器とは別にして毎日コケに霧吹きして見守りました。
ところが、なかなか孵化してくれません。
冷房の入らない暑い部屋で飼わないといけない事情があり、もしかして暑さで卵が死んでしまったのかと諦めてしまいました。
しかし放置された卵塊を忘れた頃に(秋に)見てみると、いつの間にか幾つかの卵が割れていました。
どうやら孵化を見逃してしまったようです。


割れずに残ったのは未受精卵?

2016/09/27

産卵のため苔に潜るヒダリマキマイマイ【60倍速映像】



2016年6月下旬

飼育中のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)3匹は何度も交尾を繰り返したので、そろそろ産卵する頃でしょう。


ヒダリマキマイマイを扱った本ではありませんが、『講談社カラーサイエンス6:カタツムリ』p32-35によると、

カタツムリの産卵
 カタツムリは、交尾を終えてから8日間くらいたつと、土にあなをほって産卵をします。
 土のなかは、温度やしめりけがあまりかわらないので、卵が育つには、とてもよい場所なのです。あなのふかさは2センチメートルくらいです。腹足をつかって2時間以上かかってほります。

産卵をするために、やわらかい土を探しています。

野外で適当に採取してきたコケ(種名不詳)を苺のパック容器に何層も敷き詰めて、充分に霧吹きしてやりました。
これを飼育容器に入れてやると、早速ヒダリマキマイマイは苔の中に自分から潜り込み始めました。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
ぐいぐいと意外に力強く潜って行きます。
ヒダリマキマイマイの殻は完全に地中に埋まりました。(苔を入れた苺パックの深さは7cm)
容器の底で方向転換したり動き回っているものの、産卵しているかどうかよく分かりません。

産卵シーンを微速度撮影で記録したかったのですけど、カメラをどのようにセッティングしたらよいのか困りました。
最大の問題として、地中に潜ったカタツムリはどうも撮影用の照明を嫌っている印象です。
(赤外線の暗視カメラなら上手く撮れたかな?)
諦めて放っておくと…。

つづく→ヒダリマキマイマイ産卵直後の卵塊




【おまけの映像】オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開します。


2016/09/09

シリアゲコバチ♀の探索飛翔【ハイスピード動画】



2016年6月下旬

冬に使う雪囲い用の材木を保管している軒下の資材置き場で寄生蜂のシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)が寄主の巣を探して飛び回っていました。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
やがて杉の材木に止まって産卵を始めました。
産卵シーンを寄りの絵で撮ろうとしたら逃げられてしまい残念。

▼関連記事:6年前の撮影
シリアゲコバチ♀の産卵:スロー再生


2016/08/03

ヤドリバエの卵を付けたツマジロカメムシ



2016年6月上旬

山間部のガードレール脇に生えたタニウツギの灌木でツマジロカメムシMenida violacea)を見つけました。
葉上を歩き回り今にも飛び立ちそうな予感がしたので、飛翔シーンを撮ろうと粘ってみたものの、空振りに終わりました。

途中でクロオオアリ♀とニアミスしても互いに無関心でした。

背中の小楯板に目立つ白点は寄生者(ヤドリバエ類)に産み付けられた卵だと思われます。

身繕いで落としたくても足が届かない場所にあります。
ヤドリバエの幼虫が孵化して捕食寄生する様子を観察するのも面白そうですが、寄主となったカメムシ成虫を飼育法(餌は?)が分からないことには難しそうです。




2016/08/02

笹の葉裏にクロヒカゲ♀が産卵未遂?



2016年6月上旬

山間部の道端に茂る笹(種名不詳)の群落で夕方(午後16:41)にクロヒカゲ♀(Lethe diana)が飛び回っています。
葉表の縁に止まると、腹端だけを葉裏に押し付けてからすぐに飛び去りました。
これは産卵か?と思い、直後に笹の葉をめくって調べてみました。
ところが、なぜか卵が見つかりませんでした。
クロヒカゲ♀は腹端で探って食草の適否を調べただけで、結局は産卵未遂だったのでしょうか?

インターネット検索で調べたサイト(大阪市とその周辺の蝶)によると、本種は笹の葉裏に白くて丸い卵をひと粒ずつ産むらしい。


蝶が止まった笹の葉裏を調べても卵が見当たらない。
15cm定規を並べて置く




2016/07/03

ルイスアシナガオトシブミ♀bの揺籃作り【10倍速映像】



2016年5月中旬・午後15:32〜17:34
▼前回の記事
ハルニレの葉裏で交尾するルイスアシナガオトシブミ♀♂

里山に生えたハルニレの幼木で若葉を巻いて揺籃を作っているルイスアシナガオトシブミHenicolabus lewisii)♀が数匹いました。
その中の一匹♀bに注目して、微速度撮影で作業の一部始終を記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
ただし、映像のラスト22秒間のみ5倍速に落としました。(♀が揺籃を切り落とし始め、受け止めて揺籃と♀bを採集するまで)
この日は風が絶え間なく吹く悪条件でしたので、マクロレンズによる接写は早々に断念しました。
山の陰に日が沈み夕方になると風が止んで助かりました。
余談ですが、野外に持ち運べる風除けのための衝立があれば虫を楽に接写できるのになーといつも夢想します。
巨大なテントを立てても良いのでしょうが、被写体が暗くなったり中が暑くなったりと、色々と副作用がありそうです。
大名行列のように助手を何人も引き連れて出かけ、被写体を取り囲むように円陣を組んで長時間立たせるのも現実的ではありませんね。
閑話休題。

ルイスアシナガオトシブミ♀bが加工に適したハルニレ葉の吟味を終え、葉の根本(短い葉柄の少し上)で両裁型の加工を始めました。
残った主脈に傷をつけると葉が垂れ下がりました。
体重を利用しているのでしょう。
次に♀bは垂れ下がった葉の下方に移動しました。
いつの間にか♂が来ていて、作業中の♀の背後からマウントしていました。
交尾器が結合しているのか、それとも交尾後ガードでマウントしているだけなのか、接写しない限り分かりませんね。
♂を背負ったまま♀はハルニレ葉裏の主脈に噛み傷をつけているようです。
動きがあまり無くて退屈ですが、♀は葉が適度に萎れるのを待っているのでしょう。

しばらくすると、別のライバル♂が上から登場しました。(@3:30)
♀をめぐって♂同士が闘争を始めました。
♀はその喧騒から離れて黙々と作業と続けます。
交尾後ガードしていた♂も含めて、♂は2匹とも落下してしまいました。(喧嘩両成敗@3:48)
『オトシブミハンドブック』p26-27によると、

(ルイスアシナガオトシブミの)♀をめぐる♂同士の闘争では、向かい合って長い前脚を振り上げ合ったり、レスリングのように組み合う行動が見られる。
興味深い♂の闘争シーンを微速度撮影ではなくリアルタイムのマクロ動画でじっくり記録したかったです。
残念ながら撮影中はこの闘争シーンに気づきませんでした。
おそらく他の虫のことに気を取られていたのだと思います。

独り残された♀は垂れ下がった葉の主脈を中心に葉裏が表になるように二つ折りにします。
そして葉先から巻き上げ始めました。
この辺りで♀は産卵したはずですが、接写しないと産卵行動の詳細が分かりませんね。

再び♂が飛来して辺りを徘徊し始めました。(@4:57)
揺籃製作中の♀をランダムウォークで探し当てると♂は直ちにマウントしました。(@5:15)
先程争っていた♂の一方が戻って来たのでしょうか。
♂を背負ったまま♀bは葉の巻き上げ作業を続けます。

オトシブミ♀が揺籃を巻く向きを考えて撮影アングルを決めないと、♀が作業する裏側ばかり撮ることになります。
画面に写っているのは、交尾後ガードで♀に付き添いウロウロと徘徊する♂ばかりかもしれません。
しかしフィールドの現場では他の茂みがあったり斜面だったりと諸事情により、三脚を立てて撮影できるアングルに制限があるので仕方がありません。

明らかに産卵が済んだ揺籃作りの後半になっても♂がしつこく交尾後ガードを続けている点が不思議に思いました。
素人目には♂はただ♀の作業を邪魔しているだけのように見えますし(お邪魔虫)、♂の立場で合理的に考えれば次の交尾相手の♀を探しに出かけた方が良さそうな気がします。
ライバル♂から♀を守るだけでなく、労働寄生種のオトシブミ♀に托卵されないように献身的に警護する意味もあるのでしょうか?
葉の巻き上げが完了するとようやく♂が交尾後ガードを止めて♀から離れました。
マウントを解除しても♂はしばらく揺籃上をウロウロ徘徊しています。

完成した揺籃を切り落とす最後の工程を微速度撮影と同時並行で別アングルでも撮影しました。
真下に受け皿を置いて、完成した揺籃を採集します。
揺籃がポトリと落ちる肝心の瞬間がピンぼけになってしまいました。

カメラのバッテリー交換に手間取ったせいです。
『オトシブミハンドブック』p26-27によれば、ルイスアシナガオトシブミの♀は完成した揺籃を切り落とす場合と切り落とさない場合があるらしい。
実際にこのハルニレ幼木で探すと、切り落とされず枝に残ったままの揺籃も見つけました。


3日後の揺籃

採集した揺籃をそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を執筆中の現在(7月上旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みます…。

以下は、採集したルイスアシナガオトシブミ♀bの標本写真です。(掲載予定)


2016/06/06

ヨシの葉に残るオツネントンボの産卵痕



2016年5月上旬


▼前回の記事
♂が離れた後も単独で産卵するオツネントンボ♀

オツネントンボ♀(Sympecma paedisca)の産卵地点となった湿地帯を4日後に再訪してみると、水溜りの水が少し干上がりかけていました。

産卵したヨシの生えた手前の岸辺から水溜りが干上がってる。

2日前に産卵したヨシの葉を探してマクロレンズで接写してみると、粒状の点列が並んでいました。
葉縁に朝露の水滴が光っています。

ミミズ腫れのような刺青のような産卵痕が並んでいます。
強拡大しても残念ながら倍率不足で卵の中はよく見えませんでした。
胚の頭の向きは♀の産卵姿勢に対してどちら向きなのか知りたかったのですけど、やはり本格的な顕微鏡が必要になりそうです。
もしかすると、葉裏から観察した方が見え易いのでしょうか?

孵化のシーンを観察したいので、葉ごと採集して持ち帰り飼育すべきかどうか悩みます。
現場に残しても、このまま雨が降らなければ水溜りが完全に干上がってしまい、孵化したヤゴは生き残れないでしょう。
未経験の私が採取したら植物体を枯らしてしまいそうですが、中の卵も死んでしまうのではないか?という不安があります。
「近畿地方のトンボ雑記」サイトでオツネントンボの孵化を観察した記録を見つけました。
それによると、

最短卵期は11日,平均卵期(半数孵化)は13日でした.


つづく→





ランダムに記事を読む