ラベル 植物・菌類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 植物・菌類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016/11/19

メマツヨイグサの花粉は糸を引いて粘る



2016年8月上旬

▼前回の記事



ピッキオ著『花のおもしろフィールド図鑑 夏』p161に興味深い記述が書いてありました。

夜行性のスズメガに花粉を運んでもらうことが多いのですが、スズメガの体は鱗粉でおおわれて花粉がつきにくくなっています。そのため、マツヨイグサの花粉は糸でつながっていて、ちょっとでも引っかかると一度にたくさん運んでもらえるという仕組みになっています。


夜に咲いているメマツヨイグサOenothera biennis)の花で早速、試してみました。
雄しべに指で触れると確かに花粉が粘り、糸を引きました。
面白いですね!



▼関連記事メマツヨイグサの粘る花粉を舐めるホソヒラタアブ♂


【追記】メマツヨイグサの英名について

YouTubeでは動画の説明を英語で書くようにしているのですが、メマツヨイグサの英名はsundropではなくevening primroseではないかとsquito94氏から御指摘を受けました。
日本の生物の和名と学名が決まってから、それに対応する適切な英名を探すのにいつも苦労します。
この記事を書く際は英語版wikipediaを参照したのですが、その冒頭でOenothera biennis を指す複数の英名が列挙されていた中にsun dropも含まれていたのです。
Oenothera biennis (common evening-primrose,[2] evening star, sun drop, weedy evening primrose, German rampion, hog weed, King's cure-all, or fever-plant.[3])
さて、浅井康宏『緑の侵入者たち―帰化植物のはなし (朝日選書)』という本を読んでいたら、ちょうど私が求めていた解説を見つけました。
和名のマツヨイグサやツキミソウは、文字どおり夕暮れに咲くところから生まれた名である。英語では、「夕暮れのサクラソウ」の意味のイブニング・プリムローズ(Evening primrose)、ドイツ語では「夜のろうそく」の意味のナハトケルツェ(Nachtkerze)といわれる。ところがマツヨイグサ属は、夜咲くものばかりとは限らず、なかには昼間咲く種類もある。ヨーロッパやアメリカでは、昼咲き系のものをサン・ドロップ(Sun-drop)といい、鮮黄色の花が太陽のもとで鮮やかに開いている様子は、なるほど「太陽のしずく」の表現にぴったりである。(p205~206より引用)


メマツヨイグサの花は夜に咲きますから、どうやら英語版wikipediaの情報が間違っていたようです。(英名にsun dropを含めるべきではない)
YouTubeの記述を訂正しておきました。


2016/11/18

ネムノキの開葉運動【微速度撮影】



2016年8月上旬・午前3:40〜6:01

夜間に蒸散を防ぐために閉じていたネムノキAlbizia julibrissin)の葉が夜明けとともに開いていく様子を微速度撮影してみます。
夕方に就眠運動を記録したのと同じ灌木aを反対側から(堤防の東側の枝を)撮影します。

現場に着いてすぐ、未だ暗いうちに赤外線の暗視カメラで閉じた葉の状態を動画に撮っておきます。(午前3:40)
快晴で満天の星空が広がっています。



20秒間隔のインターバル撮影を2時間20分間行いました。
撮影対象の枝の東側に三脚を立てると朝日で影になってしまうので、南側に三脚を据えました。
早朝は完全な無風なので、微速度撮影には最適です。
途中でカメラのバッテリーを交換する羽目になったのは反省です。
バッテリーを十分に充電した状態で撮影を始めるべきでした。
連続写真にEXIFから時刻を焼き込んでから15fpsで動画に変換しました。
ただただ真っ暗なだけの前半部はカットして、2時間分(午前4:00〜6:01)の写真を使いました。
早回し映像にすると、明るくなるにつれてみるみる内に葉が開いている様子がよく分かります。



土手の斜面の上部に生えたネムノキの方が早く朝日を浴びることになります。
上の方の枝から日光を浴び始め、下の枝にはなかなか日が当たりません。
隣で白い花が咲いているネムノキにはマメ科特有の実がついていました。



午前4:02には空がやや明るくなり、星がほとんど見えなくなりました。
ちなみに、この日の公式な日の出時刻は午前4:45
実際は裏山から日が昇るので、もう少し遅くなります。
午前5:02にようやく東の山の稜線から日が昇りました。
照度計がバッテリートラブルのため使えないのが残念。

以下は現場の気象データ。
午前3:39の気温は25℃、湿度52%。
午前3:56の気温は21.6℃、湿度66%。
午前4:15の気温は19.7℃、湿度73%。
午前4:55の気温は18.7℃、湿度80%。
午前5:02の気温は18.9℃、湿度80%。


植物学の用語に私は疎いのですけど、この現象を展葉と呼ぶのは違うらしい。
展葉てんようとは、畳まれて発芽した葉が開くこと。





2016/11/13

ネムノキの葉が夜に閉じる就眠運動【微速度撮影】その3:全景



2016年7月下旬

堤防に自生するネムノキAlbizia julibrissin)の小葉が晩に閉じる就眠運動を動画に記録しようと、あの手この手で試行錯誤しています。
この日は新兵器を実戦投入します。
タイムラプス撮影専用のカメラ(Brinno TLC200)を購入したのです。


通常のカメラによる微速度撮影(連載記事その2参照)と同時並行でやります。
少し離れた場所に生えた別の灌木bを選んで三脚を立てました。
なぜか咲いている花が少ない木でした。
三脚の影が被写体に落ちないように注意しました。
明るいうちにまず、葉の開いた状態をハンディカムの動画で記録しておきます。
この冒頭部(〜0:34)のみ動画編集時に自動色調補正を施しています。

日没前後の約2時間半(午後17:16〜19:43)、20秒間隔のインターバル撮影しました。
連続写真に日時と時刻を焼き込む設定にしました。
撮影終了後は15fpsの設定でAVI動画に変換しました。
やや引きの絵(全景)にしてみたら、葉の就眠運動はいまいち分かり難くなってしまいました。
(Night Sceneモードで撮れば少しはましだったかな?)
完全に暗くなってから(微速度撮影終了後)、葉の閉じた状態を赤外線の暗視カメラで記録しました。



ちなみに、この日の公式な日の入り時刻は午後18:51。
実際はそれよりも早く裏山に日が沈んで暗くなります。

次は、夜明けにネムノキの葉が開く運動を撮影してみます。

つづく→ネムノキの開葉運動【微速度撮影】




2016/11/12

夜メマツヨイグサの花でホバリング吸蜜するスズメガの一種【暗視映像】



2016年7月下旬

住宅地の道端に咲いたメマツヨイグサの群落で夜、スズメガ科の一種が訪花していました。
暗闇でホバリング(停空飛翔)しながら吸蜜する様子を赤外線の暗視カメラで撮り始めたものの、すぐに逃げられてしまいました。
同定用の、写真も撮れていません。



Newton special issue『植物の世界―ナチュラルヒストリーへの招待〈第2号〉』p12によると、
淡い光でも目立ち、やわらかな香りを放つこの花(オオマツヨイグサ)には、スズメガの仲間がよく訪れる。花粉は粘着糸でつづられていて、ガに一部でもつくと、ぞろぞろと多量の花粉がからみついていく。



十亀好雄『ふしぎな花時計:身近な花で時間を知ろう』によれば、
マツヨイグサの仲間は、花粉がねばりけのある糸で数珠のようにつながっていて、夜、スズメガなどがやってくるとその体にまとわりついて、たくさんの花粉を一度に運ばせることができるしくみをもっています。(p113より引用)


▼関連記事
メマツヨイグサの花粉は糸を引いて粘る



翌日の晩にも現場を再訪しました。
記録映像として同じ群落のメマツヨイグサを白色LEDで照らしながら撮っていたら偶然、開花の瞬間に立ち会えました。
微速度撮影や早回し映像にしなくてもリアルタイムで蕾がポンと解けて直径5cmほどの黄色い花がみるみる内に広がります。
花の芳香が強く素晴らしいのは、夜行性のスズメガを誘引して花粉を運んでもらうためです。
昨年は切り花を室内に持ち込んで開花の瞬間を撮影しましたけど、野外で直に観察できたのは非常に幸運でした♪

▼関連記事
夜に開花するメマツヨイグサ




【追記】
加藤真『夜の送粉共生系』によると、
アカバナ科のマツヨイグサ類などはスズメガ媒花として適応放散した一群である。日本のスズメガ媒花はひじょうに少ない。(中略)日本産スズメガの種数はけっして少なくはないが、琉球列島を除けばその多くはマルハナバチ媒花の盗蜜者の地位にあると思われる。 (『花の自然史:美しさの進化学』p82より引用)



【追記2】
夜行成果薄明薄暮性の蛾に受粉を依存する植物(ガ媒)の花は、以下の特徴をもつことが多いといわれています。
  • 夜か薄明の時間帯に咲く。
  • 花の色は白科緑、薄色系、または褐色。
  • 花筒か距が発達して細長く、花蜜が奥深くに隠れている。
  • 葯や柱頭が外に向かって飛び出しているものも多い。
  • 強くて甘い香りをもつ。
  • 花蜜の濃度は薄い。 (p65より引用)

2016/11/09

トチノキの種子に残るアカネズミ?の食痕

大きさの比較のため、一円玉を並べてみる。

2016年7月下旬

低山の峠道にトチノキの種が落ちていました。
その種子に大きな丸い穴が一つ開いていました。
これはアカネズミApodemus speciosus)が食べかけた食痕でしょうか。
普通は穴が2つ残るはずですが、この種に穴は一つだけです。
なぜか途中で採食を止めたのですかね?

それともアカネズミとは別な種類の齧歯類による食痕なのかな?

『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p132より

アカネズミの代表的なフィールドサインといえば、オニグルミの「2つ穴食痕」だ。両側の合わせ目上に2つの穴を空け、穴から中身をかき出して食べる。内部にはかき出した際についた門歯(切歯)のひっかき傷が残る。固い殻のある食べ物は共通してこの食べ方をするらしく、オニグルミだけではなく、サワグルミやウメの種子も同じような2つ穴食痕になる。

インターネットで検索してみると、「吉野・大峰フィールドノート」というサイトで次の記事を見つけました。

●アカネズミとトチノキとの関係について
豊凶の差が少なく、毎年確実に大きな実をつけてくれるトチノキの堅果が、アカネズミの社会を維持していくには、とても重要となってくる。
 トチノキの種子には、非常に毒性の強いサポニンが含まれていて、人がこれを食用にする際にもたいへんな手間と時間がかかる。したがって、アカネズミにとっては、まさに命がけの知恵比べがここでも繰り広げられているはずだ。


その場で見上げるとトチノキが枝葉を茂らせていました。
枝に実がなっていたかどうか、現場で確認するのを忘れました。
写真を見ても見当たりません…。

※ この記事は動画ネタではなく写真のみです。



2016/11/03

ネムノキの葉が夜に閉じる就眠運動【微速度撮影】その2



2016年7月下旬

ネムノキAlbizia julibrissin)の小葉が夜に閉じる就眠運動を動画に記録しようと頑張っています。
前回と同じネムノキの株aの前に三脚を立てて微速度撮影の準備をします。
まず明るいうちに葉の開いた状態の全景を記録しました。
この冒頭部のみ(@0:00〜0:23)動画編集時に自動色調補正を施しています。

日没前後の2時間20分間(午後17:11〜19:30)20秒間隔のインターバル撮影した連続写真にEXIFから時刻を焼き込んでから改めて早回し映像を制作しました。
前回の動画は30fpsでしたが、今回は15fpsに設定したら動きが滑らかになりました。
ちなみにこの日の公式な日の入り時刻は午後18:51。
今回はやや引きの絵にして葉と一緒に花も写し込むようにしました。
前回撮った枝よりも上にあり若い枝なので、葉が閉じる運動性は高いだろうと期待しました。

撮影はカメラに任せて私は同じ木aの日陰側(東側)の枝を見ていました。
すると、葉の先は閉じるのが遅い傾向にありそうに感じました。
根元の小葉からジッパーのように閉じていく様子を想像したのですが、完成した早回し映像を見直してもはっきりしません。(ほぼ同時に一気に閉じています)

日が沈んで完全に暗くなってから微速度撮影を終了し、後半(@0:38〜)は葉の閉じた全景を赤外線の暗視カメラで記録しました。

この日は並行して微速度撮影の新兵器も投入しました。
つづく→ネムノキの葉が夜に閉じる就眠運動【微速度撮影】その3:全景



【追記】
瀧本敦『花を咲かせるものは何か―花成ホルモンを求めて (中公新書)』によると、
オジギソウ、ネムノキ、インゲンマメなどの葉は昼間ほぼ水平に開いて太陽の光をよく受け取るようにしているが、夜になると葉を閉じる。葉の閉じ方は植物の種類によってまちまちで、オジギソウやネムノキでは小葉が上に向かって重なり合って閉じ、インゲンマメの葉は下方に折り畳まれる。また、クローバーの葉は立ち上がって閉じるが、カタバミの葉は下方に折り畳まれる。(中略)シソの葉はこわばったようにすべて下を向いて体を包んでいるように見える(p178より引用)このような植物は昼間、太陽の光を受けて葉を開き、夜暗くなると葉を閉じるものと思っていたヒトが多いと思うが、夜間電灯照明を行っている温室でも夜になるとこれらは葉を閉じるのである。(p179より)



2016/10/25

ネムノキの葉が夜に閉じる就眠運動【微速度撮影】



2016年7月下旬

「動く植物」も魅力的な撮影テーマです。
ネムノキは夜に小葉が閉じる就眠運動で有名です。
堤防に生えたネムノキ(Albizia julibrissin)の灌木を選んで微速度撮影してみました。



西日が逆光にならないように、土手の上側に三脚を設置し順光で撮るようにします。
なるべく風で枝が揺れないように、茂みの下方の枝を被写体に選びました。(後にこれが問題になります。)
FZ300カメラに内蔵されたインターバルショット機能を初めて使ってみました。

  • 暗い条件下で撮影すると「長秒ノイズ除去」してくれる。
  • インターバル撮影終了直後に動画へ自動変換してくれる。
  • オリジナルの連続写真は消去せずに残してくれる。
時刻を動画内に焼き込みたくて、結局は素材の写真から加工編集し直しました。

日没前後(午後17:07〜19:21)の2時間14分間、20秒間隔でインターバル撮影してみました。
この日の公式な日の入り時刻は午後18:55。
ただし、裏山の陰に日が沈んだ18:21以降は一気に薄暗くなりました。
照度計が欲しいところです。
辺りが暗くなるとAFピント合わせのための赤いLED(補助照明)がインターバル撮影の度に点灯するようになります。
この不自然な光が植物の就眠運動に影響したら困るので、途中からMF(固定焦点)に切り替えました。

撮影しながら観察してみると、ネムノキ木の個体として全ての枝が一斉に葉を閉じるのではないことが分かりました。
同じ木でも日陰(土手の下側、東側)の葉は早く閉じました。
樹冠の若い枝の葉
は早く閉じる傾向あり、根元に近い古い枝の葉は反応が鈍い印象を受けました。
古い枝は小葉が固くなるのかな?
根元の枝は日中も日陰になりがちなので光量のコントラストが低く、閉じにくくなるのでしょうか?
葉を閉じるのに必要なエネルギー(光合成)の蓄えが乏しく、反応が鈍くなるのかな?



完成した早回し映像を見ると、確かに葉が閉じていました。
ネムノキの閉じた葉は、知らない人が見たら水不足(日照り)で萎れたように見えるかもしれません。
しかし今回の被写体に選んだ枝があまり良くなかったようで、小葉の一部がなぜか閉じ切りませんでした。
動画の出来にいまいち満足できなかったので、反省点を活かして後日もう一度挑戦してみます。

つづく→その2






2016/10/23

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#5



2016年7月中旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#5


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を見るため、15日ぶりに足を運びました。
虫こぶはコルク質に変化し、乾いて固くなっていました。

今回も小蜂(ナラメリンゴタマバチ?;Biorhiza nawai)の姿はありません。

つづく→#6



2016/10/02

サーターアンダギーと化したナラメリンゴフシ【虫こぶ】



2016年7月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#4


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を見るため、9日ぶりに足を運びました。

梅雨のせいか、表面が柔らかく脆くなっていました。
湿ったサーターアンダギー(揚げドーナッツ)を連想しました。
なんか美味しそうですね。
虫こぶ上を徘徊する小蜂(ナラメリンゴタマバチ?;Biorhiza nawai)も居なくなったようです。

つづく→#5



2016/09/14

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#3:



2016年6月下旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#3


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を12日ぶりに見に行きました。
虫こぶの表面が茶色で、触るとブヨブヨしわしわになっていました。
腐ったリンゴのフカフカ、シワシワした感触と少し似てるかもしれません。
多少手荒く扱っても中から蜂が飛び出して来ることはありませんでした。
表面に多数の穴が開いているのはナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の羽化孔なのかな?
虫こぶ上を微小な昆虫が徘徊しています(正体不明)。

つづく→#4



2016/08/10

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#2:ナラメリンゴタマバチの羽化?



2016年6月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#2


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子をちょうど1週間ぶりに見に行きました。

虫こぶ(虫えい、虫瘤)は表面の桃色が褪せていました。
リンゴというよりもジャガイモっぽく見えます。
触ってみると表面の張りが失われ、ブヨブヨのしわしわでした。
奥が硬くて木質の感触がありました。
虫こぶを圧しても中から蜂が飛び出して来ることはありませんでした。
虫こぶの表面を徘徊している超微小の虫こそが、虫こぶから羽化したナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)なのでしょうか?
それとも寄生蜂なのかな?
採集するか、もしくは現場で微小蜂をマクロレンズで接写すべきだったのに、横着してしまいました。
『虫こぶハンドブック』p23によれば、「5〜6月に雌雄(ともに有翅)が羽化」するらしい。
写真を拡大して初めて気づいたのですが、虫こぶの表面に小さな穴が多数開いています。
おそらくこれがナラメリンゴタマバチの羽化孔なのかもしれません。(非力なタマバチが内部から食い破れるのだろうか?)

それとも虫こぶの上部に初めから凹んでいた開孔部から羽化するのでしょうか?

つづく→#3



2016/07/24

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1



2016年6月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#1


山間部の道端に生えたミズナラの幼木で枝先に大きな虫こぶ(虫えい、虫瘤)を見つけました。
大きさはピンポン球ぐらいで表面はやや桃色に色づいて張りがあり、上部は割れていました。
帰ってから調べてみると、虫こぶの名前はナラメリンゴフシと判明。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。

『昆虫コレクション』p67によると、

(ナラメリンゴフシは)日の当たるところは赤くなり、よく目立つ。

虫こぶを採集して飼育してみようか、切って中を調べてみようか、しばし悩みました。

私が枝を切ってしまうと水揚げに失敗するリスクがあります。
もし枝が枯れると虫こぶの成長が止まってしまうのか、中のタマバチも死んでしまうのかどうか、知識がうろ覚えで分からなかったのです。
色々と忙しくて手が回らないので、このまま現場に残して通りかかる度に定点観察してみることにしました。

つづく→#2:ナラメリンゴタマバチの羽化?



2015/10/18

夜に開花するメマツヨイグサ



2015年8月中旬

近所に生えたメマツヨイグサの群落から夕方(17:30PM)に蕾を採集してきました。
茎を水切りして、水差しに生けました。
メマツヨイグサが夜に開花する瞬間を記録するために、動画の長撮りで監視します。
予習してみると開花は一旦始まればあっという間に進行するらしいので、微速度撮影ではなく通常のHD動画で録画しました。

室内の照明以外に撮影用の補助照明としてUSBリングライトを点灯しましたが、悪影響を及ぼすこと(撹乱)を恐れ、途中から消灯しました。
どうしても画面はかなり暗くなってしまいますが、動画編集時に自動色調補正を施してあります。

そのまま放置して別の作業をしていたら夜21:30頃、室内に漂う花の芳香に気づきました。
振り返るといつの間にか開花していました。
このときの室温は26.4℃、湿度は73%。
咲くと予想していた蕾とは逆の方が咲きました。
植物に疎い私が初めもう一つの蕾だと思い込んでいたのは、花が萎んだ後だったと判明。

撮れた動画を巻き戻して見てみると、蕾がほころび始めてから一気に弾けるように咲きました。
開花時刻は午後18:52。
咲いた花に偶然にも照明が当たって良い感じに撮れていました。
ちなみにこの日の正式な日の入り時刻は18:31と発表されていました。
光が開花に及ぼす影響は1回の観察だけではよく分かりませんでした。(※追記3参照)
光ではなく気温の低下を感知して咲くのだと仮定すると、熱帯夜は開花しないことになってしまいます。
切り花にしても植物の体内時計が働いて夜に正しく開花するのでしょうか。
次回は暗い野外で赤外線の暗視動画に記録してみようと思います。



この花も翌朝には閉じていました。
夜間に昆虫が訪花せず受粉に失敗しても萎むのは何故でしょう?
咲き続けるのはコストがかかると考えれば、受粉しなかった花は潔く諦めて捨て(枯らし)、翌日の晩に次の花を咲かせて受粉のチャンスを待つ方が得策なのでしょうか?
次はメマツヨイグサの花が萎む過程を微速度撮影してみるのも面白いかもしれません。

採集現場に花の種類を同定しに行くこと。



【追記】
当初、オオマツヨイグサとして記事を書きましたが、メマツヨイグサに訂正します。


【追記2】
Newton special issue『植物の世界―ナチュラルヒストリーへの招待〈第2号〉』p12によると、
暦の上の日没時刻を20分ほどすぎたころが(オオマツヨイグサの)開花の最盛期である。(中略)マツヨイグサでは、いましがた沈んだ太陽の方を向いて開く花が多い。夜行性のガといっても、やはり光をたよりに花を訪れるからであろう。



※【追記3】
浅井康宏『緑の侵入者たち―帰化植物のはなし (朝日選書)』p206によると、
「マツヨイグサの仲間はどうして夜咲くのか…」この疑問に答えたのは、オオマツヨイグサを材料として研究した、日本の植物生理学者たちであった。これによると、萼の基部にある1センチぐらいの部分に開花の決め手があり、この部分に当たる特定の波長の光線が、開花に影響を与える。太陽の光線は、開花を抑えるように働くのである。


【追記4】
田中修『つぼみたちの生涯―花とキノコの不思議なしくみ (中公新書)』によると、
ツキミソウというのは、マツヨイグサ属の特定の一種に対する呼び名である。しかし、一般的には、夕暮れに開花するオオマツヨイグサ、マツヨイグサなどのマツヨイグサ属のすべてを含めることが多い。最近、都市郊外に多いのは、アレチマツヨイグサである。オオマツヨイグサはあまり見かけなくなっているが、実験でていねいに調べられているのは、オオマツヨイグサである。
この植物は、夏の夕暮れ、日が沈むと、暗くなるのを待ちわびていたかのようにつぼみを開く。しかし、開花当日、暗くなってから開く準備を始めるのではない。その前日の夕暮れから時を刻み始め、2段階に分けて仕度をしている。
(中略)
 第二過程が終わると、つぼみはいつでも開ける状態にある。ところが、夏の晴れた日の夕方6時ころには、この植物のつぼみにとっても、まだまだまぶしい強い光がさしている。そのため、開花できない。準備が終わっても、最後の過程が強い光で阻害されるのだ。
 開花準備の終わったつぼみは、夕方からじっと暗くなるのを待つ。夏の夕暮れ、日が沈むと、暗くなるのを待ちわびていたかのように、花が開くのは、このためである。曇っていたり、雨雲が覆っていたりする日には、夕方6時ころ、開花準備終了と同時に、つぼみが開く。
ツキミソウは、このように「暗くなること」を刺激として、つぼみの開く時刻を決めている。(p132-133より引用)





2015/02/24

杉林の斜光



2014年11月上旬

朝の静謐なスギ林に斜光が射していました。
私にしては珍しく(柄にもなく)フォトジェニック路線のスナップショット映像です。
微速度撮影するとか、林内をゆっくり水平移動しながら撮れば更にドラマチックな映像になりそうです。






2015/02/15

倒木でキノコを食す黄色いナメクジ【名前を教えて】



2014年10月下旬

里山の雑木林でコナラの倒木に白っぽく傘の大きなキノコ(種名不詳)が群生していました。
そのキノコで黄色いナメクジ(種名不詳)を2匹見つけました。
ナメクジの食事シーンを微速度撮影したかったのですが(究極のスローフード!)、この日は先を急いでいたので断念。
午前中で気温が低く縮こまっていた印象です。
もしかすると夜行性だったりするのかもしれません。
3年前に見たナメクジと同じく眼柄が黒いかどうかも確認していません。

▼関連記事
キノコを食べるナメクジ【名前を教えて】
インターネット検索すると、ナメクジはキノコ栽培の害虫扱いされているらしい。

今思うと、ナメクジを採集して飼育すればよかったですね。
キノコを餌に与えて育つのであれば飼育も難しくなさそうです。
2匹のナメクジが居たので、同種ならば飼育下で交接を観察できたかもしれません。

ナメクジの体表を徘徊している数匹の微小な黒い虫が気になりました。
偶然ナメクジの粘液にへばりついているだけなのか、それともナメクジ専門に取り付いて吸血する虫がいるのですかね?
とにかく急いでいたため、悠長にマクロレンズで接写する余裕がありませんでした。


図鑑で調べてみてもキノコの名前が分かりません。
素人目にはブナシメジやヒラタケと似ているかな?と思うものの、キノコは勉強不足でまるで自信がありません。
お分かりの方はご一報下さい。






2015/02/12

天然ナメコの群落



2014年10月下旬

里山の雑木林で山道を塞ぐ倒木に赤褐色のキノコが群生していました。
指で触れると粘液のぬめりがありました。
キノコに疎い私ですが、これはナメコの幼菌ですよね?
いつかキノコが育つ様子を微速度撮影してみたいのですが、野外では照明機材が要りそうです。

せっかくなのでナメコを採集すればよかったですね。
後日再訪したら誰かに根こそぎ採られていました。
昔毒キノコに当たって酷い目に遭ったことがあるので、素人判断で食べる気になれません…。

『ヤマケイポケットガイド15:きのこ』で「ナメコ」を調べると(p152-153)、

完全に傘を開いた野生の成菌を見ると、あまりの違いにびっくりする。
傘の粘液は生長すると失われ、色も淡色になる。
北日本に多い。




2015/01/03

ミズナラ樹液の分泌と泡立ち♪



2014年9月中旬

今季、里山の雑木林で定点観察に通っているミズナラの樹液酒場です。
なぜか樹皮が焼け焦げた状態の立木です。
白く泡立つ樹液が発酵し、甘い芳香を放っていました。(発泡酒!)
樹皮の穴からプスプス♪と音を立てて樹液が滲み出ています。
いつも様々な昆虫が吸汁に訪れているのですが(千客万来)、客足が途切れたときを狙って動画に撮影しました。


2014/05/24

この桜吹雪が目に入らぬか〜!【ハイスピード動画】



2014年4月下旬

ソメイヨシノがようやく満開になりました。
夕暮れ時に桜の花弁が舞い散る様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
ときどき風が吹くと枝が揺れて花びらがはらはらと落ちて来るものの、盛大な「桜吹雪」、「花吹雪」と言うには物足りません。
明るい空を背景にすると、白い花びらが飛んでも逆光になってよく見えず結構難しいです…。


『科学のアルバム:サクラの一年』p17によると、

サクラの花は、離弁花といって、花びらが一枚ずつ独立しているためにちりやすい。



2014/05/20

カイワレ大根の生長【早回し映像】



2014年4月下旬〜5月上旬

ホームセンターで買ってきたカイワレ大根の種
¥100円を撒いてみました。
ありあわせの入れ物(DVDスピンドル容器を再利用)にスポンジを敷き、種子を撒いてから水を含ませました。
発芽するまでは遮光します。
(発芽の様子も微速度撮影したかったのですが、赤外線の暗視カメラが無いので毎日1回写真に撮っただけ。)
3日目から明るい所に移し、5分間隔のインターバル撮影で芽生えの生長を記録しました。
光に当てると双葉が緑色になり、光合成で茎も急速に伸びていきます。
写真のEXIFから撮影時刻を焼き込む方法を最近覚えたので、デジタル時計を横に置いて写しこんだのですけど要らなかったですね。
むしろ温度計を置けばよかったかもしれません。

早回し映像で見ると、植物のダイナミックな動きに驚かされます。
微速度撮影の定番ネタですけど、植物は決して「静物」ではなく、「動物」であることが実感できます。

カイワレ大根を初めて育ててみましたが、良い経験になりました。

スポンジの裏側まで根が伸びていました。
残念ながら収穫量は大したことなくて、ラーメンのトッピングにしたら僅かひと摘みでした。
大量生産で売られているカイワレ大根がいかに安いか、実感しました。
反省点としては、明所に移すタイミングが早過ぎたことと、私の水やりが足りなかったかもしれません。

『科学のアルバム:植物は動いている』によれば、

ダイコンの苗も太陽の方向へ動きます。光の来る反対側の茎の方が早く生長します。そのため、茎は光の方向に曲がります。(p13より)
生長運動。茎は光の方向に伸び、根は反対の方向に伸びる。(p42より)
今回は撮影のため蛍光灯で同じ角度から終日照らし続けましたが、次回は自然光で観察してみたいです。



映像に登場する蜂について
昨年秋に回収したエントツドロバチOrancistrocerus drewseni)の竹筒トラップを室内に保管して前蛹を越冬させたら、ゴールデンウィーク中に成虫♀が泥巣から羽化しました。
水耕栽培の容器から水分を舐めに来たようです。


2013/04/13

ホコリタケの胞子放出【ハイスピード動画】



2012年10月中旬

薄暗い杉林の林道でキツネノチャブクロ(=ホコリタケLycoperdon perlatum)と思われるキノコの群落を見つけました。
胞子の放出を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
自然光では光量不足なので、マグライトで照らしながら撮影しました。

本当は雨水を模した水滴を垂らして胞子を放出させたかったのですが、持参したドリンクは残り少ないので諦め、小石を上から落としてキノコにぶつけることにしました。
衝撃で凹んだキノコはゆっくり元の形に戻り、実験を繰り返しても胞子が出てきます。
風に舞う白い胞子の雲がスローモーションで撮れました。








ランダムに記事を読む