2015/09/21
死んだフキバッタに群がるクロオオアリ♀
2015年7月中旬
山間部の車道でロードキルと思われるフキバッタの一種の死骸にクロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀が群がっていました。
死骸を噛み千切って解体しようとしています。
もはや残っているのはフキバッタの胸部、頭部の一部と左後脚だけです。
時間に余裕があれば解体ショーを微速度撮影で記録したかったのですが、先を急ぎます。
更に下山する道中で車に轢かれたフキバッタを何匹も見かけました。
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2015/07/02
死んだムクドリ(野鳥)に群がるミドリキンバエ
2015年6月上旬
堤防の階段にムクドリ(Sturnus cineraceus)の死骸が一羽転がっていました。
羽根の黒色が薄いので若鳥(巣立ち雛)なのかな?
成鳥でも死後は血の気が引いて褪色する、なんてことはないですよね?
丁度樹の下だったので、樹上の巣から落鳥したのかと探してみたものの、巣は見当たりませんでした。
死骸に外傷や出血は認められず、死因は不明です。
鳥インフルエンザの流行は最近とんと聞きません。
バードストライクやロードキル(交通事故の轢死体)を誰かが道端から投げ捨て、たまたまここに落ちたのかもしれません。
巣立ち雛が何か有毒植物を誤って食してしまった(食中毒)という可能性も考えられます。
解剖して胃内容物を調べたら空腹による餓死ではありませんでした。(詳細は別の記事に書きます)
写真に撮りつつ死骸を裏返したら緑色の美しい(ミドリ)キンバエが数匹、死臭を嗅ぎつけて飛来しました。(※追記参照)
開いたままの眼球に興味を示しました。
♀が産卵(産仔)しに来たのかもしれません。
(ハエの種名は全然まじめに検討してません。)
ムクドリの死骸をどうするか迷いました。
現場に放置して生物分解される様子を定点観察したかったのですが、檻にでも入れない限り野生動物にすぐ持ち去られそうなので却下。
頭骨標本作りのために持ち帰りました。
つづく
※【追記】
大園享司『生き物はどのように土にかえるのか: 動植物の死骸をめぐる分解の生物学』によると、
動物のからだを構成する細胞は、酸素が不足すると、細胞自身のもつ酵素のはたらきによって分解しはじめます。これが、自己消化です。(中略)自己消化は、死後数分のうちに始まります。自己消化が始まるのとほぼ同じタイミングで、クロバエやニクバエが遺体に飛来して卵を産みはじめます。 (p37より引用)
15cm定規を並べる |
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2015/07/01
アメリカザリガニの死骸に群がるクロヤマアリ♀【微速度撮影】
2015年6月上旬
堤防の階段に死んだアメリカザリガニ(Procambarus clarkii)の上半身だけが転がっていました。(頭部、ハサミと脚1対)
近所の子供がザリガニ釣りをした後なのか、それともタヌキや野鳥の食べ残しですかね?
クロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀がザリガニの死骸に群がっていました。
肉片を持ち去る解体ショーが見られそうだと思い、三脚を立て10倍速の微速度撮影してみました。
大きさを比較するために一円玉を並べて置きました。
アリは死骸の切り口から潜り込んで屍肉を食い荒らしているようです。
小さな白い肉片を咥えて持ち去るアリを見かけたのですけど、早回し映像では撮れていませんでした。
アリの行列はできていないので、アリ自身もそれほど魅力的な餌場とは評価していないようです。
もしかすると、祭りの後なのかもしれません。
甲羅の上で時間をかけてのんびり身繕いしている個体がいます。
同じ巣から来た2匹が出会うと口づけの挨拶を交わします(栄養交換?)
劇的に面白い展開にこそなりませんでしたが、遅い昼飯を食べるついでに撮ったネタです。
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2015/03/11
七面鳥の死骸に群がり貪り食うハシブトガラス(野鳥)
2014年11月中旬
郊外の某農園でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が広い畑の奥に群がり、何か黒っぽい死骸を啄んでいました。
この時点で死骸の正体は不明ですが、翼があるのでおそらく鳥類でしょう。
まさか共食い?
肋骨に残った肉が赤く見えて生々しいです。
ハシブトガラスばかりが最大で9羽も死骸に集まっていました。
意外にも餌をめぐる喧嘩は起こらず、仲良く分かち合っている印象です。
ハシブトガラスに特有の澄んだ声でカーカー♪鳴く声も聞こえてきます。
(食べながら鳴いているのではなく、食事にありつけず遠巻きにしている個体の鳴き声です。)
獲物が何か知りたくても他所の畑にずかずか勝手に入り込む訳にはいきません。
事情を聞いて回ると、近くで飼養しているシチメンチョウ(Meleagris gallopavo)が2羽ネコに襲われたとのことでした。
実際に、カラスが群がる現場の近くで野良猫を目撃しました。(映像は撮り忘れ)
もしかすると初めはネコが食べていた獲物をカラスが群れで強奪したのかもしれません。
死骸が黒焦げに見えたのは、七面鳥の丸焼きを焼き過ぎたのではなく、もともと七面鳥の羽毛は黒いらしい。
ハシボソガラスが英語でcarrion crowと呼ばれているからと言って屍肉食がハシボソガラスの専売特許ではない、ハシブトガラス(英名:jungle crow)もまた屍肉を食べる、ということを再認識しました。
▼関連記事(2013年5月下旬)
川で死肉を漁るハシブトガラスのつがい(野鳥)
『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p170によるとハシブトガラスは
死体や腐肉、他の動物の糞なども食べ、サバンナのハイエナのような掃除屋(スカベンジャー)としてのはたらきもしている。
2015/02/28
死んだヤマドリ♂(野鳥)に集まるミドリキンバエ
2014年10月上旬
▼前回の記事
カーブミラーに激突したヤマドリ♂(野鳥)の断末魔
私の目の前で絶命したヤマドリ(Syrmaticus soemmerringii)の亡骸を持ち帰り、とりあえず重量を量ってみると1,020gでした。
精密な秤ではないので、凡その目安です。
新鮮な死骸が天から突然降ってきた(落鳥)時にどうするか、ナチュラリストとしての総合的な実力が試されますね。
- 生物分解の過程を定点観察する?
- 解剖して胃内容物を調べる?
- 剥製を作る? (細々とした道具を買い揃える必要がある。)
- 骨格標本を作る? (首の骨が折れているのでは?)
- 解体して肉を食べる?(ジビエ料理)
しかし構想が先走っても道具やノウハウが無かったり実力が伴わないのが実情です…。
大型の冷凍庫があれば解剖セットなどを買い揃えるまで待てるのですが、死骸が腐り始める前に決断しなければいけません。
死んだ翌日から死骸をひと気のない秘密の場所に隠し、屍肉食の昆虫(スカベンジャー)によって分解される様子を定点観察することに決めました。
開けた場所に置くと上空からカラスやトビなどに見つかりそうなので、クルミの樹の下を選びました。
ゴム手袋着用で検死の真似事をします。
ヤマドリの脚を掴んで持ち上げて全身を見せます。
次に死骸を地面に置き、翼を広げて見せます。
死後硬直していないようです。
尾羽が長いのは♂の特徴ですが、約40cmもありました(根元をどこから測れば良いか迷いました)。
足には蹴爪がありました。
私の鼻では未だ死臭を感じないのに、林床に死骸を置くと早速ミドリキンバエの仲間が群がり始めました。
ハエの性別が分からないのですが、歩き回りながら羽毛の表面を口吻で舐めています。
死骸を頑丈な檻に入れたり埋めたりしないと、タヌキなどの野生動物に食い荒らされたり丸ごと持ち去られたりしそうです。
理想を言えば赤外線監視カメラを仕掛けてみたいものです。
カメラトラップ(トレイルカメラ)が欲しい…。
死骸を持ち去られるリスクを考え、自分で頭骨の標本を作ることにしました。
「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで…ってウソ(Pyrrhula pyrrhula)ちゃうわ!ヤマドリ(Syrmaticus soemmerringii)や!」と寒いノリツッコミをしながら現場で首を切り落とし、頭部だけ持ち帰りました。
つづく→頭骨標本作り
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2015/01/19
クルミを食べ損ねたハシボソガラス(野鳥)
2014年9月下旬
クルミを咥えたハシボソガラス(Corvus corone)が飛んで来て電柱の天辺に止まりました。
クルミの実を足で押さえつけながら嘴でコツコツ啄んでいる途中で、うっかり落としてしまいました。
空中から路上に投げ落として割る行動を習得していない、若くて未熟な個体なのでしょうか?
ヘマをしたのは初めて見ます(失敗例)。
(改めて映像を見直すと、既に殻を割った後のクルミを食べている途中だったかもしれません。)
カラスは慌てて飛び降りるも、電柱の根元に生い茂ったエノコログサなどの雑草に紛れて見失った模様。
電柱の周りを何度も探しても落とし物は見つからず、諦めました。
カラスに「何か失敗して、それを見られてバツが悪い」という恥の感情はあるのかな?
ハシボソガラスはそのまま歩きながら車道にこびり付いた何かをこそげ取るように拾い食いし始めました。
車が通り過ぎると飛び立つも、すぐに路上へ舞い戻って来ます。
車に轢かれてペシャンコに干からびた死骸(ロードキル)のようです。
おそらくカエルだと思います。
死骸を始末してくれる掃除屋(scavenger)の面目躍如。
歩道の縁石に登ると、飛び去りました。
随分と人馴れした個体で、最後はかなり近くまで来てくれました。
田んぼ上空を旋回して、遠くの木に着陸。
ロードキル採食 |
2015/01/15
トノサマガエルの死骸を食すハシボソガラス(野鳥)
2014年9月下旬
電柱の天辺に止まったハシボソガラス(Corvus corone)が足で押さえつけながらトノサマガエル(Pelophylax nigromaculatus)の死骸を啄んでいました。
周囲の環境は、稲刈りが進む田園地帯です。
カエルは干からびて見え、自分で狩りをした新鮮な獲物では無さそうです。
車に轢かれたロードキルなのか、稲刈りに巻き込まれた死骸でしょうか。
まさにcarrion crow(ハシボソガラスの英名:死肉を食うカラス)の面目躍如。
カラスaはときどき向きを変えたり、電柱の横棒(金属製)に移動して食事を続けています。
途中で食事を中断すると、獲物を咥えて警戒しています。
何事かと思いきや別個体bが飛来し、すぐ横の横木に止まりました。(@1:38)
獲物を横取りに来たのでしょうか?
カラスbは電線にへばり付いた別の獲物を啄み始めました。
カエルなど小動物が感電死したものか、カラスが貯食していたものか、あるいはモズの速贄かもしれません。
やがてカラスaが獲物を咥えたまま飛び立ち(@1:57)、一つ隣の電柱に止まり直しました。
するとすぐにもう一羽(b?)が追いかけてきて(@2:25)電柱の横棒に止まりました。
その奥に実は先客(3羽目の個体c)が居ました。
カラスaは一番上の電線に止まったまま油断なく食事を再開。
ここで私も撮影を中断し、距離を詰めてから撮影再開。(@2:58)
ハシボソガラスaはトノサマガエルの肉片を小さく千切って食べ、汚れた嘴を頻繁に電線に擦りつけて拭っています。
食事風景を見ていると、カエルの干物もなんだか美味しそうです。
獲物を咥え、不安定な電線から電柱の横棒(狭いが平坦)へ移動しました。
電柱の天辺に登り辺りを見渡してから、すぐ横棒に戻りました。
私がしつこくカメラを向けていることを嫌ったのか、遂に獲物を咥えたまま飛び去りました。(@5:45)
田んぼを横切り遠くの樹上(山麓の民家の庭木?)に着陸しました。
2015/01/08
交尾中のオオヒラタシデムシ♂は♀の触角を噛む性癖がある
2014年9月下旬
川沿いの遊歩道でミミズの死骸にオオヒラタシデムシ(Necrophila japonica)が群がっていました。
橋の下に近く、小径の両側はニセアカシアなどの河畔林でした。
死骸を覆い隠していたクズの葉を撮影のために取り除いたら、一部のオオヒラタシデムシが慌てて逃げ出しました。
ミミズの死骸は喰い千切られ、内臓が露出しています。
食事中の♀に♂が背後からマウントしています。
交尾器の結合状態はよく見えません。(交尾後ガードの可能性もあります。)
♀は頻りに脚を動かして、マウントする♂を払い除けるような仕草をしました。
交尾中のペアを接写してみると、♀の左触角を♂が噛んで引っ張りながらマウントしていることが分かりました。
この性癖は本に書いてある通りでした。
▼関連記事
クロボシヒラタシデムシ♂は交尾中♀の触角を噛む性癖がある
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p103によると、
シデムシ亜科の多くは、交尾をするとき、♂が♀の背中に乗り、大顎で♀の触角の左右一方を掴む。そして♂は交尾がすんだ後も触角を捕らえたまま♀の背中に乗っていることがあり、時に産卵がすむまで放さず、ほかの♂を寄せつけないこともある。
色気より食い気の♀は構わずに食事を続けます。
別個体が死んだミミズのご馳走をめがけて交尾中の♀の腹の下に潜り込んできたせいで、♀が転倒してしまいました。
先程逃げた個体が次第に戻ってきた結果、計4匹が死骸に密集しています。
あぶれた独り身の2匹は交尾干渉するでもなく、食餌に夢中です。
形態による性別判定法を知りませんが、おそらく♀なのでしょう。
『山渓フィールドブックス13甲虫』p37によると、本種の生活史は
オオヒラタシデムシも年1世代で、越冬した成虫が4月から7月にかけて現れ、土中に1個ずつ卵を産みつける。孵化した幼虫は腐敗動物質を食べて8月末頃までに成虫になる。
2014/12/26
ショウリョウバッタ♀の死骸に群がるクロヤマアリ♀
2014年9月中旬
砂利が敷かれた農道でショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)の死骸にクロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀が群がっていました。
おそらく車に轢かれたのでしょう(ロードキル)。
ショウリョウバッタ成体♀の破裂した腹部から黄色い卵が漏れ出ています。
解体しないと運べない大きさです。
1匹のアリが内臓を咥えて力任せに引っ張るとゴムのように伸びました。
そのまま引きちぎって巣に運搬開始。
時間があれば解体ショーを微速度撮影してみたかったのですが、先を急ぎます。
それにしても、立派なショウリョウバッタを見るのはすごい久しぶりでした。
子供の頃は原っぱでよく見かけたのですけど。
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2014/10/18
死んだハシボソガラス幼鳥(野鳥)の生物分解
2014年7月下旬
山麓にあるクリ園の横の路肩にハシボソガラス(Corvus corone)の新鮮な死骸が仰向けに転がっていました。
死顔を見ると、眼球が白濁しています。
嘴の中が赤いのは幼鳥の特徴です。
落鳥して間もないのか、生物分解の役者はハエ成虫が集まってきているだけです。
死骸に徘徊性のクモ(種名不詳、コモリグモ科?)が2匹乗っていることが気になりました。
獲物を待ち伏せしているのでしょうか。
3日後に再訪すると、連日の酷暑で死骸は干からびていました。
腐臭は特に感じませんでした。
死骸が持ち去られていないことが意外でした。
カラスの屍肉はスカベンジャー(掃除屋)の間で不人気なのかな?
動物の死体に群がるカラスは仲間の死体も食べてしまう。 (矢崎葉子『カラスバトル』p220より引用)
ウジ虫など分解者の活動はもう下火になったのでしょうか。
ハエも来ておらず、眼球は食べ尽くされていました。
白骨になるまで生物分解を定点観察したいのですが、住宅地が近いのでじきに撤去されそうです。
ビニール袋でこっそり持ち帰り、頭骨の標本を作ってみることにします。
死骸を持ち上げてみると、その軽さに少し驚きました。
つづく→頭骨標本作り
ところで、このブログ記事に載せるAmazonの広告で『カラスの死骸はなぜ見あたらないのか』なる本をうっかり選びそうになりました。知る人ぞ知るトンデモ本らしく、内容は私の大嫌いなオカルト(反科学)のようでした。
われわれは冷静に反例を一つ一つ積み重ねて突きつけるしかありません。
一方、似た題名で『死んだ魚を見ないわけ』はれっきとした生物学の本で、私も読みましたがとても優れています。
「海の分解者の話」と言ってもそんな単純な話ではないのですけど、ネタバレになるので良質なミステリーの謎解きを是非お楽しみ下さい。
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2014/09/01
ヒメヤママユ(蛾)幼虫の死骸を食すハネカクシ【名前を教えて】
2014年6月下旬
里山の山道にてイタヤカエデ灌木の葉裏でヒメヤママユ(Saturnia jonasii jonasii)の幼虫が死んでいました。
梅雨時に死んだ毛虫は大部分が腐って黒変しています。
破れた皮の一部だけで枝に引っかっています。
モズの速贄(はやにえ)として串刺しにされたのかと一瞬思いましたが、こんな山中でモズを見かけたことはありません。
なんとなく素人目には虫カビに感染した死骸あるいは寄生ハエ幼虫の脱出した死骸のような気がします。
よく見るとその死骸にハネカクシの一種が取り付いて、死んだ毛虫を食べたり身繕いしたりしています。
ハネカクシにはまるで疎いので、もし名前が分かる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
接写しようと近づいたらうっかり枝に触れてしまい、飛んで逃げられてしまいました。
ヒメヤママユ幼虫の食餌植物リストにはカエデ科が含まれています。
イタヤカエデの葉が丸坊主になっているのは、ヒメヤママユ幼虫が食べ尽くしたのでしょうか。
だとすれば食物連鎖の縮図がここにあります。
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2014/03/06
アズマモグラの死骸に群がる虫
2013年6月中旬
山間部の路上にモグラの死骸が仰向けに転がっていました。
頑丈な手の形状からヒミズではなくアズマモグラだと思います。
キンバエやニクバエの仲間(種名不詳)、ムネアカオオアリとクロアリ(種名不詳)などが死骸に群がっています。
食い荒らされた内臓を覗くと、ハエの幼虫(蛆虫)が蠢いていました。
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2014/01/24
ニホンザルの屍肉と獣毛を食すフキバッタ
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#21
2頭の死骸それぞれにフキバッタ(種名不詳)が一匹ずつ居座り、摂食していました。
1匹目のフキバッタは死骸の頭部で眼窩の縁の組織(干からびた瞼?)を齧っていました。
てっきり草食性だとばかり思っていたフキバッタが獣毛や、脊椎動物の屍肉も食べる(腐肉食、屍肉食)とは衝撃的でした。
「死骸の掃除屋としてのフキバッタ」というのは私にとって新鮮な発見でした。
飼育経験のある方には周知の事実なのかもしれませんけど…。
もう一匹のフキバッタは左後脚が根元から欠損しており、3日前の定点観察で見たフキバッタ♀(右後脚欠損)と同一個体かと早とちりしたのですが、左右逆の脚なので別個体でした。
関連記事→「死んだ猿の毛を食すフキバッタ♀」
これらのフキバッタは檻に閉じ込められている訳ではありません。
金網の隙間をくぐり抜けて、外の草むらと自由に出入りできます。
同時並行で死骸の全身像を微速度撮影した監視映像を見直すと、猿の死骸に居座るフキバッタは何度も繰り返し訪れていることが分かりました。
関連記事→生物分解が一段落したニホンザルの死骸【微速度撮影】草むらを徘徊中にたまたま檻に迷い込んだというよりも、明らかに屍肉を目当てに続々とやって来るようです。
未採集ですが、もしこのフキバッタの性別および正式な種名(せめて属名だけでも)が分かる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
つづく→シリーズ#22
【追記】
虫好きな私は推理小説の中でも法医昆虫学が登場するミステリを愛読しているのですが、興味深い記述を見つけました。
川瀬七緒『水底の棘:法医昆虫学捜査官シリーズ』p46より
わたしがハワイに留学していたときに、こんなことがありました。腐敗の進んだ遺体が見つかった。遺体についた虫のグループにおかしなところはなかったんですが、なぜかばらばらになったバッタのかけらがあちこちに落ちていた。バッタは屍肉食種の昆虫じゃないうえに、みんな揃って千切れている。
これが重要な手掛かりとなって殺人事件が解決したという話です。
下線部を読んで「でも私(しぐま)は例外を見ているぞ」と思ったのですが、法医昆虫学が扱うのはあくまでもヒトの遺体ですから、体毛の多いニホンザルの死骸に来る昆虫相とは異なるのかもしれません。
また、ハワイよりも日本の里山の昆虫相の方が断然豊かですから、それでも説明できそうです。
もちろん専門書ではない推理小説ですから正確な情報かどうか鵜呑みにはできませんが、個人的な備忘録として書き記しておきます。
【追記2】
現役の法昆虫学者が書いた本、三枝聖『虫から死亡推定時刻はわかるのか?―法昆虫学の話』を読むと、死体を食糧とする昆虫を順に概説した最後に、次のように書いてありました。
ゴキブリ(網翅目)、コオロギ(直翅目)なども雑食性で、死体の軟部組織を食べることがある昆虫である。 (p52より引用)アメリカに比べて日本の法昆虫学は未だ遅れているのだそうです。
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2014/01/23
猿の死骸に来たヒメクロシデムシ?
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#20
見慣れない黒い甲虫が毛皮の上を徘徊し、あちこちに頭を突っ込んでいます。
ヒメクロシデムシ(Nicrophorus tenuipes)ですかね?
全身真っ黒なのに、触角の先端だけがオレンジ色。
鞘翅(前翅)が短く、腹端が露出しています。
死骸の肛門から体内に侵入することもありました。
中で何をしているのか、暗くて見えません。(屍肉食? ウジ捕食? 産卵?)
つづく→シリーズ#21
2014/01/22
生物分解が一段落したニホンザルの死骸【微速度撮影】
2013年9月下旬・気温31℃@日向
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#19
3日ぶりの定点観察。
死骸の厚みが更に無くなり、毛皮がぺしゃんこに潰れていました。
文字通り骨と皮だけになっています。
毛根から脱落した毛が益々広範囲に散乱しています。
体内の肉や内臓を食い尽くした大量のウジ虫はもう殆ど死骸に残っていません。
死骸から一斉に離脱して地中で蛹になったのでしょう。
2頭のうちで生物分解が早く進んだ死骸Lにはもはやハエの成虫もあまり来ていません。
腐臭が大分収まり、内心ホッとしました。
臀部に「尻だこ」が丸ごと残っていますけど、分解されにくい軟骨なのかただの角質なのか気になります。
【追記】 尻だこ,尻胼胝[英ischial callosity]旧世界ザルの尻の坐骨結節に相当する部位にある,無毛の非常に丈夫な結合組織性の皮膚.知覚神経がほとんど分布せず,それで長時間,枝の上に尻だこをのせて睡眠・休息していても痛くならない.これを木の枝にうまくひっかけ,体を支えるのであり,樹上生活に対する適応例の一つ.大形類人猿では,あまり発達していない. (『岩波生物学辞典第4版』より引用)
未だ虫が来ている方(死骸R)の全身像を10秒間隔で2時間インターバル撮影した計705枚の連続写真を素材に早回し映像を作成しました。
檻の金網から落ちる影が日時計のように死骸の上を移ろい行きます。
(メッセージ性がありフォトジェニックかもしれませんが、記録映像としてはちょっと目障り…)
特筆すべきは、この日もフキバッタが毛皮の上を徘徊していることです。
関連記事→#17「死んだ猿の毛を食すフキバッタ♀」
同じ連続写真を素材に、更に2倍早いタイムラプス映像も作ってみました。
せっかちな方はこちらをご覧ください。
つづく→シリーズ#20
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2014/01/20
死んだ猿の毛を食すフキバッタ♀
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#17
フキバッタの一種がニホンザルの死骸Lの毛皮に陣取り、歩き回っています。
右の後脚が根元から欠損している個体です。
頻りに口器を動かしているのでよく見ると、驚いたことに、ときどき死骸の長い毛を口にしていました。
たとえ死んだ獣毛を噛み切ることが出来たとしても、草食性のフキバッタが果たして毛のタンパク質(ケラチン)を消化分解できるのかな?
ミネラル補給のため、毛を舐めているだけかもしれません。
単なる気紛れや暇潰しでモグモグしているだけかもしれませんが、とにかく不思議な摂食行動でした。
本気になって調べたければ、このフキバッタを解剖して消化管の内容物を調べれば答えが判明したと思います。
当時はそこまで思いつきませんでした。
まさかバッタが生物分解に参加するとは思いもよりませんでした。
(もちろん獣毛を分解する主役ではないでしょうけど…。)
ヒトや猿などでは栄養価の無いものを食べる異常行動はストレスによる異食症(食毛症)が疑われますけど、バッタではどうなんでしょう?
このフキバッタは檻に閉じ込められている訳ではありません。
金網の隙間をくぐり抜けて、外の草むらと自由に出入りが可能です。
同時並行で死骸の全身像を微速度撮影した監視映像(連載記事#09、#14)を見直すと、猿の死骸に居座るフキバッタは何度も繰り返し訪れていることが分かりました。
草むらを徘徊中にたまたま檻に迷い込み死骸に遭遇しただけではなく、腐乱臭をものともせず、明らかに何か気に入ることがあって死骸にわざわざ戻って来るようです。
未採集ですが、もしこのフキバッタの性別および正式な種名や、せめて属名だけでも分かる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。※
※ YouTubeのコメント欄にてドイツのRüdiger Hartmann氏から貴重な情報をご教示頂きました。
このフキバッタ♀が獣毛を食べているのは間違いない。私(Hartmann氏)の知る限り、フキバッタ亜科は全て似た行動を示す。例えばスイスの山中で捕獲した個体は、すぐに指を齧り始め、皮膚の角質を食べた。また、昆虫や脊椎動物の死骸を肉食する種類もいる。(超訳byしぐま)
どうやら、フキバッタは草食性だという単純な思い込みを改めないといけないようです。
つづく→シリーズ#18
【追記】
フキバッタは草食系の筈ですが、実はゲテモノ食いの個体を見るのは今回が初めてではありません。
- 「木の柱を食害するフキバッタ」
- 中に含まれる未消化の種子が目当てで獣糞に来たフキバッタ(写真↓のみ)
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2014/01/17
ニホンザルの腐乱死体【10倍速映像】
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#14
夥しい数のウジ虫がニホンザルの死骸Rを這い回る様子の10倍速早回し映像です。
ジオラマモードの動画は手っ取り早く微速度撮影できる反面、画面の周縁部になる程、ティルトシフト処理によるピンぼけがきつくなります。
視聴者に配慮してグロい映像をソフトに加工した訳ではありません。
個人的な要望としては、余計な画像処理をしない撮影オプションを付けて欲しいなー。(パナソニックさん!)
長撮りの消費電力も抑えられる気がします。
つづく→シリーズ#15
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2014/01/15
ウジ虫を捕食するクロシデムシ
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#12
生物分解の進むニホンザルの死骸に見慣れないシデムシが来ていました。
こんな真っ黒で巨大なシデムシは初見です。
帰ってから調べてみると、その名もクロシデムシ(Nicrophorus concolor)という種類のようです。
触角の先端だけがオレンジ色です。
未採集・未採寸ですけど、檻の金網一辺の幅5cmと比べてみて下さい。
猿の死骸Rは足の先を檻の外に少しだけ出して死んでいます。
そこに密集して蠢くウジ虫をクロシデムシは次々と捕食していました。
その口元にハエの成虫(種名不詳)が群がっているのは幼虫を助けに来たのではなく、餌食となったウジ虫から滲み出る肉汁を舐めに来たのでしょう。
なんとも壮絶な光景でした。
その間、薄赤色のダニも数匹クロシデムシの体表を素早く動き回っていました。
私が檻に近づくとクロシデムシは警戒して隠れてしまうので、離れた位置から望遠マクロで撮りました。
つづく→シリーズ#13
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