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2017/10/07

ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁



2014年9月上旬

里山の雑木林で苔むしたコナラの幹のあちこちから樹液が分泌し、様々なスズメバチ類が集まっていました。
私がモンスズメバチ♀を撮っているとオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀が飛来し、少し上の樹液スポットで樹液の吸汁を始めました。

オオスズメバチが幹で下を向いたときによく見ると、腹端付近の腹部環節の間からネジレバネの体が僅かにはみ出していることに気づきました。

スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されたワーカーは行動が変化し、外役にほとんど出ないそうです。
私も実際に見るのは初めてです。
今思えば採集すべきでしたが、撮影中は被寄生に全く気づきませんでした。

突然、背後から気の強いチャイロスズメバチ♀が飛びかかり、オオスズメバチ♀は慌てて飛んで逃げました。(餌場の占有行動)
鬼の居ぬ間に漁夫の利でハエが樹液酒場に群がります。
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀は同じ幹で何度も場所を変え、樹液の吸汁を続けます。
大顎で苔を毟り取ったり樹皮を齧ったりしながら、樹液を舐めています。



つづく→苔むしたコナラの樹液酒場で吸汁・排尿するオオスズメバチ♀

下を向かないとネジレバネはほとんど見えない。

2017/09/03

オオハナウドで寄主のキアゲハ幼虫を探索するアゲハヒメバチ♀



2017年6月上旬

キアゲハPapilio machaon hippocrates)の幼虫を採集・飼育するつもりで、オオハナウド(セリ科)の群落を調べに来ました。
農業用水路沿いの林縁で背高く育ったオオハナウドの周囲を、派手な体色のハチが思わせぶりに飛び回っていました。
訪花していても吸蜜していませんから、寄生蜂アゲハヒメバチ♀(Holcojoppa mactator)の寄主探索だと気づきました。

この寄生蜂がキアゲハの蛹から羽化する様子を以前、観察していたので、これでミッシング・リンクが一つ繋がりました。

▼関連記事
キアゲハに寄生したアゲハヒメバチ♀の羽化

オオハナウドの群落周辺を飛んだり葉上を徘徊したりして、寄主のキアゲハ幼虫を探索しています。
葉で休み、身繕いすることもありました。
残念ながら寄主への産卵行動は観察できませんでした。
今回アゲハヒメバチを採集できなかったので、性別を外見で見分けられない私は、その行動から勝手に♀だろうと判断しました。
雄蜂♂が交尾相手の♀を待ち伏せしていた可能性もありますかね?

蜂が居なくなってからこのオオハナウド群落を調べてみると案の定、鳥糞様のキアゲハ若齢幼虫が4頭見つかりました。
きっとアゲハヒメバチ♀が既に産卵した後なのでしょう。
寄生されたと思われるキアゲハ幼虫をあえて採集・飼育して、寄生蜂の羽化を確かめたり被寄生率を調べたりすればよかったのですが、この時期は他のプロジェクトが忙しくて余力がなくて無理でした。



【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』を読んでいたら、この寄生蜂がどのステージの寄主に産卵するのか記述されていました。
アゲハチョウ属やアオスジアゲハ属に寄生するアゲハヒメバチは、寄主の1齢または2齢幼虫の体内に産卵し、やがて孵化したこのハチの1齢幼虫は発育を停止、寄主の蛹化後に成育して1頭の成虫(ハチ)となって脱出する。 (p112より引用)



アゲハヒメバチ@オオハナウド葉
アゲハヒメバチ@オオハナウド葉

オオハナウドの群落
キアゲハ若齢幼虫
キアゲハ若齢幼虫

2016/12/20

オオカマキリ♀とハリガネムシの死骸に群がるアリ



2016年9月上旬

郊外の住宅地の路上で車に轢かれてぺしゃんこになったオオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)の死骸を見つけました。
そのロードキルに、かなり小さなクロアリ(種名不詳)の大群が集まっていました。

もし映像からアリの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。
こんな小さなアリが時間をかけて巨大な獲物を少しずつ解体する様子を微速度撮影したら面白そうです。
このとき私はひどく疲労困憊していた上に夕暮れ時だったので、蟻を接写するのも採集するのも億劫で怠りました。


後になって写真を見直すと、オオカマキリ♀の体内に寄生してたハリガネムシの一種が脱出後に干からびて死んでいました。

現場ではハリガネムシに全く気づきませんでした。


2016/12/13

ミヤギノハギを訪花するヤノトガリハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2016年9月上旬

山間部の道端に咲いたミヤギノハギの群落でヤノトガリハナバチ♀(Coelioxys yanonis)が訪花していました。
スミスハキリバチやツルガハキリバチなどに托卵する労働寄生種なのでハキリバチ科の♀であっても腹面に花粉を集めるスコパがありませんし、訪花しても吸蜜するだけです。

後半は、花から花へ忙しなく飛び回る様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:20〜)

複数個体を撮影?(途中で何度も見失ってしまい、同一個体かどうか自信がありません。)


顔面の毛が黄褐色



2016/12/09

エゾクロツリアブ♀の産卵飛翔【ハイスピード動画】



2016年8月下旬

雪囲い用の材木を冬まで保管してある軒下の資材置き場でエゾクロツリアブ♀(Anthrax jezoensis)が停空飛翔(ホバリング)していました。
これは産卵行動だ!とピンと来たので、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
実はこの直前には、近くの板壁の節穴に興味を示していたのです。(映像公開予定

杉の丸太の切り口に小さな穴のように朽ちた部分があり、エゾクロツリアブ♀は飛びながらその穴を重点的に調べています。
おそらくその穴の奥に寄主のマメコバチ?が営巣しているのでしょう。(蜂の出入りは確認していません。)
背後から撮った映像では、飛んでいるエゾクロツリアブ♀と産卵標的との距離感が分かりにくいですね。
エゾクロツリアブ♀はしばらくホバリングしてから狙いを定め、飛びながら腹端を前方に勢い良く振り出して卵を射出します。
白くて小さな粒が穴の奥に飛んでいくのが一度だけしっかり見えました。(@2:08)
産卵そのものはトンボみたいに何度も連続するのではなく、ひと粒ずつ大事に産むようです。
1回産む度に、産卵の成否を確認しているのかもしれません。
ときどき丸太の断面(産卵地点から少し離れた位置)に着陸して翅を休めています。
私は休息だと解釈したのですが、飛び立つまでに次に産む標的をじっくり調べているのかもしれません。(後述する論文の著者による解釈)

後半は私が横にそっとずれて、側面からの撮影アングルを確保しました。
これで産卵標的とエゾクロツリアブ♀との距離感がはっきり見えるようになりました。
停空飛翔中は後脚を後ろに向けていますね。
後脚を垂らして飛ぶアシナガバチの飛行姿勢とはまるで異なります。
その一方で、前脚は前方に揃えています。
ホバリング中に産卵標的との距離は近づいたり遠ざかったりと、安定しません。

色々と調べていたら興味深い文献を見つけました。

Wijngaard, Wopke. "Control of hovering flight during oviposition by two species of Bombyliidae." Netherlands Entomological Society (2012): 9.(無料公開のPDFファイル
同じツリアブ科で2種の産卵行動を300-fpsのハイスピード動画に撮って詳細に比較した論文です。
エゾクロツリアブと同属の近縁種(Anthrax anthrax)とビロウドツリアブ♀(Bombylius major)が登場します。
今回私が観察したエゾクロツリアブはこの論文に記述されたAnthrax anthraxの産卵行動と同じでした。

この仲間のツリアブは産卵前に、卵がべたつかないように砂粒でコーティングするのだそうです。
そのために腹端を砂やゴミなどに擦り付ける行動をするらしく、「sand chamber」と呼ばれる部位に砂を貯えておくらしい。
今回の映像にその行動は写っていない…ですよね?
欲を言えば産卵行動をマクロレンズで接写したかったです。





ミズナラにできたナラハヒラタマルタマフシ(虫瘤)



2016年8月下旬

峠道の横に生えたミズナラの幼木で葉表にピンク色の丸い虫瘤を見つけました。
虫こぶは葉脈(側脈)上に形成されています。
葉をめくってみても葉裏には痕跡はありませんでした。
同じ葉のリーフマイナーと虫こぶは無関係です。
大きさの比較対象として手の指を写し込みましたが、虫こぶの直径をきちんと採寸すべきでしたね…。

帰ってから『虫こぶハンドブック』で調べても載っていませんでした。
インターネットで調べるとナラハヒラタマルタマフシと呼ばれタマバチ科の一種(仮称:ナラハヒラタマルタマバチ)が寄生したものらしい。

次に機会があれば、虫こぶを切って中を調べてみたり、形成者が羽化してくるまで飼育してみるつもりです。


【追記】
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』第3章 井手竜也「虫こぶをつくる寄生バチ:植物食への回帰」によると、
成熟した果実が色づくのは、動物に見つけて食べてもらうことで、種子を遠くへ運んでもらうためだが、虫こぶが呈する赤や黄色の鮮やかな色は警告色の意味があると言われる。(中略)タンニンの渋みと虫こぶの目立つ色を組み合わせることで、タマバチは鳥などが虫こぶを食べないように仕向けているのかもしれない。ところが実際には、鳥が虫こぶをつついて、中の幼虫を食べる光景はしばしば目撃されている。(中略)虫こぶの色がどのような意味を持つのかについては、さらなる研究が必要である。 (p66〜67より引用)
 

2016/12/03

ヌルデミミフシ(虫瘤)



2016年8月下旬

峠道の横に生えたヌルデの灌木で葉に虫こぶ(虫瘤、虫えい)が形成されていました。
これはヌルデシロアブラムシ(Schlechtendalia chinensis)が寄生してできたヌルデミミフシと呼ばれる虫こぶです。
枝によって色づき方が違うのは、形成時期にズレがあるからですかね?

次回は虫えいをカットして内部を調べてみよう。



2016/12/01

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#6



2016年7月下旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#6


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシを9日ぶりに見に行きました。

全体的にすっかり木質になり、これ以上変わることはなさそうです。
乾いて少し萎んだかもしれません。
草刈りのとばっちりでいつミズナラごと伐採されるか分からないので、虫こぶを採集して持ち帰りました。

虫えいを切断して内部の構造(断面)を観察してみる?

シリーズ完。



2016/10/23

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#5



2016年7月中旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#5


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を見るため、15日ぶりに足を運びました。
虫こぶはコルク質に変化し、乾いて固くなっていました。

今回も小蜂(ナラメリンゴタマバチ?;Biorhiza nawai)の姿はありません。

つづく→#6



2016/10/02

サーターアンダギーと化したナラメリンゴフシ【虫こぶ】



2016年7月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#4


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を見るため、9日ぶりに足を運びました。

梅雨のせいか、表面が柔らかく脆くなっていました。
湿ったサーターアンダギー(揚げドーナッツ)を連想しました。
なんか美味しそうですね。
虫こぶ上を徘徊する小蜂(ナラメリンゴタマバチ?;Biorhiza nawai)も居なくなったようです。

つづく→#5



2016/09/14

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#3:



2016年6月下旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#3


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子を12日ぶりに見に行きました。
虫こぶの表面が茶色で、触るとブヨブヨしわしわになっていました。
腐ったリンゴのフカフカ、シワシワした感触と少し似てるかもしれません。
多少手荒く扱っても中から蜂が飛び出して来ることはありませんでした。
表面に多数の穴が開いているのはナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の羽化孔なのかな?
虫こぶ上を微小な昆虫が徘徊しています(正体不明)。

つづく→#4



2016/09/09

シリアゲコバチ♀の探索飛翔【ハイスピード動画】



2016年6月下旬

冬に使う雪囲い用の材木を保管している軒下の資材置き場で寄生蜂のシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)が寄主の巣を探して飛び回っていました。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
やがて杉の材木に止まって産卵を始めました。
産卵シーンを寄りの絵で撮ろうとしたら逃げられてしまい残念。

▼関連記事:6年前の撮影
シリアゲコバチ♀の産卵:スロー再生


2016/08/10

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#2:ナラメリンゴタマバチの羽化?



2016年6月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#2


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子をちょうど1週間ぶりに見に行きました。

虫こぶ(虫えい、虫瘤)は表面の桃色が褪せていました。
リンゴというよりもジャガイモっぽく見えます。
触ってみると表面の張りが失われ、ブヨブヨのしわしわでした。
奥が硬くて木質の感触がありました。
虫こぶを圧しても中から蜂が飛び出して来ることはありませんでした。
虫こぶの表面を徘徊している超微小の虫こそが、虫こぶから羽化したナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)なのでしょうか?
それとも寄生蜂なのかな?
採集するか、もしくは現場で微小蜂をマクロレンズで接写すべきだったのに、横着してしまいました。
『虫こぶハンドブック』p23によれば、「5〜6月に雌雄(ともに有翅)が羽化」するらしい。
写真を拡大して初めて気づいたのですが、虫こぶの表面に小さな穴が多数開いています。
おそらくこれがナラメリンゴタマバチの羽化孔なのかもしれません。(非力なタマバチが内部から食い破れるのだろうか?)

それとも虫こぶの上部に初めから凹んでいた開孔部から羽化するのでしょうか?

つづく→#3



2016/08/03

ヤドリバエの卵を付けたツマジロカメムシ



2016年6月上旬

山間部のガードレール脇に生えたタニウツギの灌木でツマジロカメムシMenida violacea)を見つけました。
葉上を歩き回り今にも飛び立ちそうな予感がしたので、飛翔シーンを撮ろうと粘ってみたものの、空振りに終わりました。

途中でクロオオアリ♀とニアミスしても互いに無関心でした。

背中の小楯板に目立つ白点は寄生者(ヤドリバエ類)に産み付けられた卵だと思われます。

身繕いで落としたくても足が届かない場所にあります。
ヤドリバエの幼虫が孵化して捕食寄生する様子を観察するのも面白そうですが、寄主となったカメムシ成虫を飼育法(餌は?)が分からないことには難しそうです。




2016/07/24

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1



2016年6月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#1


山間部の道端に生えたミズナラの幼木で枝先に大きな虫こぶ(虫えい、虫瘤)を見つけました。
大きさはピンポン球ぐらいで表面はやや桃色に色づいて張りがあり、上部は割れていました。
帰ってから調べてみると、虫こぶの名前はナラメリンゴフシと判明。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。

『昆虫コレクション』p67によると、

(ナラメリンゴフシは)日の当たるところは赤くなり、よく目立つ。

虫こぶを採集して飼育してみようか、切って中を調べてみようか、しばし悩みました。

私が枝を切ってしまうと水揚げに失敗するリスクがあります。
もし枝が枯れると虫こぶの成長が止まってしまうのか、中のタマバチも死んでしまうのかどうか、知識がうろ覚えで分からなかったのです。
色々と忙しくて手が回らないので、このまま現場に残して通りかかる度に定点観察してみることにしました。

つづく→#2:ナラメリンゴタマバチの羽化?



2016/05/14

キアシナガバチの古巣で越冬するキアシブトコバチ♀

2015年12月上旬

キアシナガバチ巣の定点観察@軒下#7


冬になりコロニーが解散したキアシナガバチPolistes rothneyi)の古巣を軒下から採集しました。
寄生蛾の幼虫に食害された形跡は無く、珍しく綺麗な状態で大きく育っていました。
育房を数えると72室。



この古巣を密閉容器に保管して室内に放置していたら、年が明けたある日(2016年1月下旬)、容器内に小さな蜂が死んでいることに気づきました。
寄生蜂が季節外れに羽化したのなら面白いのですが、写真に撮ってみるとキアシブトコバチBrachymeria lasus)でした。
本種の寄主はアシナガバチではなく鱗翅目で、樹皮下などで成虫越冬するそうです(『ハチハンドブック』p25より)。
冬越しのためにアシナガバチの古巣に潜り込んでいたとしても不思議ではありません。

古巣を採集したときに、もっとしっかり育房内を調べるべきでしたね。

腹面から見ると腹端に産卵管のようなものがあるので♀ですかね?
腹端の黄色い水滴?は糞が乾いた物かな?

▼関連記事
コガタスズメバチの古巣で越冬していたキアシブトコバチ

その後、春になってもキアシナガバチの古巣から寄生蛾の成虫は羽化してこなかったので、やはりこのコロニーは珍しく寄生を免れたようです。


シリーズ完



2016/05/03

コガタスズメバチの古巣で越冬していたキアシブトコバチ



2015年12月上旬
▼前回の記事
越冬休眠していたフタモンアシナガバチ新女王の覚醒


コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#6


採集してきたコガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣の外被を慎重に解体して中を調べていると、とても小さな蜂が一匹出てきました。
キアシブトコバチBrachymeria lasus)のようです。
寄生蜂の一種ですがスズメバチ類を寄主としている訳ではないので、コガタスズメバチの生活史と直接の関係はありません。
隠れ家を壊されたせいで休眠から覚醒し、飛ぶ元気はないものの辺りを歩き回ります。
方眼紙の上に自発的に乗ってくれて、採寸の手間が省けました。

『ハチハンドブック』p25によると、キアシブトコバチは樹皮下などで成虫越冬するらしい。

▼関連記事
群飛・集合するキアシブトコバチの謎
したがって、スズメバチの古巣に潜んで冬越ししても不思議ではありませんね。
私は本種の性別判定法を知らないのですが、越冬するのは♀だけなのですかね?
それとも♂も越冬して、春になったら交尾するのかな?
残念ながら、飼育下での越冬には失敗しました。
以下は標本写真。




ちなみに断熱効果に優れた古巣内で越冬していた居候としては他に、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)新女王も1匹だけ見つかりました。(映像なし。以下に標本写真)
スズメバチの空き巣は千客万来ですね。

シリーズ完。



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