2018/12/31
スギ林の急斜面を下りながら眼下腺マーキングするニホンカモシカ
2018年9月下旬
私が山道を下っていると、前方横のスギ林の斜面からパキパキと林床の枝を踏みしめる音が聞こえました。
クマか?と焦りながら辺りを探すと、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)でした。
急斜面の獣道を下りながら、ときどき灌木の枝やクズの葉に顔の眼下腺を擦り付けて縄張りをマーキングしているようです。
スギ木立に隠れてよく見えないので、もしかすると道草を食っていた(採食)のかもしれません。
シナノキの未熟な青い実が手前に見えます。
スギの幹とカモシカの体は色が似ていて、保護色のようになっています。
もしカモシカが動かずにじっとしていれば、見つけるのは至難の業でしょう。
ゆっくり車道まで降りて来たカモシカが頭を上げ、遂に私の存在に気づきました。
つづく→気の強い野生カモシカに威嚇され一触即発!
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/12/30
日没後の刈田に出没したホンドタヌキ
2018年9月下旬・午後18:01〜18:02(日没時刻は17:35)
稲刈りが終わった山麓の田んぼ(刈田)を横目に見ながら夜道を歩いていると、暗い刈田で動き回る1頭の野生動物を発見。
落ち穂が目当てなのか、ホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が山から里に降りてきたようです。
(昼間でも)目が悪いタヌキは初め私には気づいておらず、田んぼの畦道に沿って採食しながらこちらに向かって歩いて来ました。
やがてタヌキは頭を上げ私の存在に気付くと、刈り残された隣の田んぼの稲穂の茂みの中へ慌てたように逃げ込み、姿を消しました。
現場は肉眼で辛うじて見えるぐらいの暗がりでした。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか一瞬迷ったのですが、カメラ内蔵のストロボではタヌキに光が届くか分かりません。
野生のタヌキは閃光に驚いてすぐ逃げてしまうはずなので、チャンスは一発勝負になってしまいます。
なるべく行動を記録したい私は、駄目元で動画に撮ってみました。
赤外線の暗視カメラを荷物から取り出して準備する余裕はとてもありませんでした。
(被写体までやや遠いので、赤外線投光器を使っても暗くて写らなかったと思います。)
手にしていた通常のカメラのいつものお任せモードで撮りました。
カメラのファインダーで覗いたときにはかなり粗い画質でも辛うじて写っていたのに、撮れた動画は真っ暗になっていました。
後々思えば、「夜景を手持ちカメラで撮るモード」に切り替えて動画撮影すれば良かったかもしれません。
漆黒の映像を動画編集で強引に明るく加工してみたら、暗視カメラ風にタヌキの姿が辛うじて写っていました。
「失敗だ」と動画を削除しないで良かった!
本来タヌキは夜行性らしいので、一瞬でも夜の活動を撮れたのは嬉しかったです。
2018/12/29
ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ
2018年9月下旬
▼前回の記事
ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀
舗装された山道に転がっていたヒミズ(Urotrichus talpoides)の腐乱死体を観察していると、オレンジ色の昆虫がブーンと羽音を立てながら低空で飛来しました。
一瞬スズメバチかと思いきや、死骸めがけて飛んで来た新参者の正体はヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)でした。
飛んでいる姿を見るのはこれが初めてで、とても興奮しました。
飛翔シーンは一瞬なので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
飛来したヨツボシモンシデムシはすぐに死骸の下に潜り込みました。
死骸がゾンビのように勝手に動いているように見えるのは、ヨツボシモンシデムシの活動のせいです。
ゴソゴソと死骸が動いてもキンバエは逃げずに平気で吸汁を続けています。
しばらくすると、死骸の上面に1匹のヨツボシモンシデムシが来て死肉を食べていました。
その体表を橙色のダニが多数徘徊しています。
そのヨツボシモンシデムシも再び死骸の下に潜り込みました。
新たにもう1匹のヨツボシモンシデムシが死臭に惹きつけられて飛来したものの、なぜか着陸せずに飛び去りました。
低空で飛ぶシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
さて、ヨツボシモンシデムシはヒミズ死骸の裏で何をしているのでしょうか?
拾った小枝で死骸を裏返してみると、2匹のヨツボシモンシデムシが潜んでいました。
私には性別が見分けられないのですが、これは♀♂の
ところがすぐにまた死骸の裏面に慌てて隠れてしまいます。
一旦死骸に辿り着くと、日光を嫌う習性があるようです。
しつこく更にもう一度死骸を裏返すと、またもやヨツボシモンシデムシは逆側に潜り込んで隠れました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
タッパーウェアなどの容器を持っていれば、ヨツボシモンシデムシを採集し死骸と一緒にお持ち帰りしたいところです。
ヨツボシモンシデムシは甲虫としては珍しく育児(子育て)をすることで有名なので、いつか飼育下で観察してみたいのです。
またの機会にお預けです。(夏に部屋でシデムシに腐肉を与えて飼うのはかなりの覚悟が必要ですね)
▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(中編):ヒミズ死骸とヨツボシモンシデムシ
10年前の観察例では土の地面にヒミズの死骸が置かれていました。
ヨツボシモンシデムシが何匹も死骸の下に次々と潜り込み、仰向けに歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運んでいました。
今回の現場はアスファルトの舗装路なので、ヨツボシモンシデムシは死骸を地中に埋葬して独占するのは不可能です。
死骸を運びつつ路肩の地面を目指して舗装路を横断中だったのかもしれません。
つづく→ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ
【追記】
ベルンド・ハインリッチ『生から死へ、死から生へ:生き物の葬儀屋たちの物語』という翻訳書を読んでいたら、北米産モンシデムシの飛翔について嘘みたいな驚くべきことが書いてありました。
日本のヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)とは別種なのですが、同属のNicrophorus tomentosusおよびNicrophorus orbicollisの2種は後翅を羽ばたいて飛ぶ際に鞘翅が裏返しになって裏面(下面)のレモンイエローが外側を向き、黄色のマルハナバチに擬態するというのです。(p31〜33より)
そんな奇天烈な翅を持つ甲虫を私は知らなかったので、自分で撮ったこの動画を急いで見直してみました。
しかし、飛翔時のヨツボシモンシデムシの翅はレモンイエローではなく、鞘翅表側のオレンジ色の残像しか見えませんでした。
(だから私はスズメバチが飛来した!と現場で一瞬錯覚したのです。)
次に機会があれば、ヨツボシモンシデムシの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ったり、採集して鞘翅の裏面をじっくり調べてみたくなりました。
北米産の2種(N. tomentosus, N. orbicollis)だけが特殊なリバーシブルの鞘翅を持っているのかな?
それ以外の習性については日本産のモンシデムシとほぼ共通していただけに、裏返る鞘翅の話が強烈な印象に残りました。
日本産のモンシデムシがそのような翅に進化しなかったのは何故でしょう?
日本には黄色のマルハナバチと言えばコハナバチ♂ぐらいしか生息しておらず、雄蜂には毒針がありませんから、怖くない蜂にベイツ擬態するメリットが無かったためと考えられます。
ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸 |
ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸 |
2018/12/27
ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀
2018年9月下旬
山間部の峠道にヒミズ(Urotrichus talpoides)の死骸が転がっていました。
遺体の損傷が激しく死因は不明ですが、車に轢かれたロードキルなのでしょうか。
死骸は長い尻尾に毛が生えています。
前足の爪がさほど発達していないので、モグラではありません。
クロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエの仲間が死骸に群がっていました。
クロオオアリ♀は死骸の毛皮が裂けて露出した部分から大顎で肉を食い千切っていました。
私にキンバエの種類は見分けられないのですが、複眼の形状を見ると♀♂両方来ていました。
キンバエは死骸の体液を舐めています。
産卵シーンは見ていません。
肉の組織で白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているので、死後数日が経過していることが分かります。
撮影アングルを変更しようと私が動くと、ハエが死骸から一斉に飛び立って避難してしまいます。
後半は、15cmの金属製定規を並べて置いて死骸を採寸しました。
▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(前編):ヒミズ死骸に群がるキンバエ
つづく→ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ
クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸 |
クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸 |
クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸+scale |
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2018/12/18
トンネルの壁面で休むコウモリ【暗視映像】
2017年9月中旬
夜行性の野生コウモリが
赤外線の暗視カメラで撮りながら長くて暗いトンネルをゆっくり進むと、コンクリート壁面の高い位置に一匹のコウモリを発見。
壁に単独で(群塊を作らず)頭を下向きにへばりついていて、背中しか見えません。
小刻みに震えているものの、飛び立ちませんでした。
これは何というコウモリなのか、もし映像で分かるようでしたら、どなたか教えてください。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/12/12
日没後に塒のトンネルから飛び出すコウモリの群れと衝突事故【暗視映像】
2015年9月上旬・午後18:23〜18:55
夜行性コウモリ(種名不詳;ユビナガコウモリなど?)の群れが集団塒のトンネルから日没とともに採餌活動に飛び出していく様子を記録してみました。
ボックスカルバートのトンネルの入口から中に数m入った地点に三脚を立て、赤外線の暗視カメラを出入り口に向けてセットしました。
カメラをやや仰角にしてトンネル出口の天井付近を狙います。
これまでの観察で、コウモリは日没時刻の約30分後に離塒することが分かっています。
この日の日の入り時刻は18:08、月齢18.5。
離塒の時刻が近づくと覚醒したコウモリがトンネル内で飛び回り始め、暗闇で往復するようになります。
出口から外に少しだけ飛び出して外界の明るさを確認すると慌てたようにUターンしてトンネル内に引き返す、という行動をしばらく繰り返します。
この引き返す行動が、トンネルの出口付近で見ている私を警戒するために起こるのか、確かめるために、無人カメラで撮ることにしたのです。
充分に暗くなるとトンネルからコウモリの大群が続々と飛び出して夜の採餌活動を始めます。
カメラを回収して長撮りした映像を見直すと、離塒前の往復飛翔がしっかり記録されていました。
初めのうちコウモリは、少し外に飛び出してから未だ残照が明るいと分かるとすぐに引き返しています。
コウモリの餌となる夜行性の蛾などの昆虫も飛び回っていました。
動画の画面が次第に暗くなるのは赤外線投光機のバッテリーがすぐに消耗するせいで、30分で切れてしまいました。
そして驚きの衝撃映像が撮れていました。
外の明るさを確かめる偵察から戻って来た1頭のコウモリがカメラ(または三脚)を避け切れずに激突したようで、バーン!とすごい音がトンネル内に反響しました。
衝突シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:41〜0:58)
超音波を用いたコウモリのエコロケーション(反響定位)は完璧だと思っていたので、まさかこんな分かりやすい障害物を避けきれずに衝突事故が起きるとは予想外でした。
経験の浅い若い個体が油断したのかな?
静止したカメラを獲物と誤認して襲いかかったとは考えにくいでしょう。
撮影機材からコウモリのエコロケーションを乱すような人工的な超音波が発せられていたのかな?
暗闇で光るビデオカメラの液晶画面を袋で覆い隠しておくべきでした。
狭いトンネル空間を同種のコウモリが群れで一斉に飛び回る際は、エコロケーションの混信やそれに伴う衝突事故が起こりやすいのかもしれません。
同種の群れで飛行中に超音波の混信を防ぐ仕組みについて、日本のユビナガコウモリを用いた研究の成果が最近報告されていました。
【参考】:「群れの中のコウモリは反響定位信号を変えてカクテルパーティー問題の解決を図る」
ヒトでも似たようなカクテルパーティー現象が知られています。
"Bats enhance their call identities to solve the cocktail party problem"
Kazuma Hase, Yukimi Kadoya, Yosuke Maitani, Takara Miyamoto, Kohta I Kobayasi & Shizuko Hiryu
Communications Biology volume 1, Article number: 39 (2018)
カメラに激突したコウモリが無事とは思えません。
松原始『カラス先生のはじめてのいきもの観察』によると、
コウモリはとても華奢で脆い動物だ。畑正憲が書いていたが、帽子ではたいただけでも死んでしまうことがあるというし、軽量化のためか首の周囲の筋肉がひどく薄くて、他の小動物と同じように首をつまんで持つと頸動脈が圧迫されて危険だとか。(p112より引用)
カメラを回収するときに周囲をもっと注意深く見ていれば、もしかすると犠牲になったコウモリの死骸を回収できたかもしれません。
見落として貴重な標本を採集できなかったのが残念です。
後日の定点観察でも同じような撮影を繰り返したのですが、不幸な衝突事故が起きたのは、この一度だけでした。
この塒を利用している群れの個体数を知りたいところです。
しかし、長いトンネルの両端から出入りしていること、コウモリが出戻り飛翔をすること、この2つの理由から、カウント出来ていません。
(反対側のトンネル出口を同時に監視するビデオカメラがもう一台必要です。)
例えば自動ドアに使われるような赤外線センサーをトンネル出口に設置したとしても、コウモリがセンサーを横切る向きまで正しく判定できるのでしょうか?
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ところで、動画撮影を定点カメラに任せた私はトンネルの反対側の出口に急いで回り込み、飛び出してくるコウモリの写真をなんとか撮ろうと奮闘していました。
高速で飛び回るコウモリを「数撃ちゃ当たる式」でバシバシと闇雲に撮りまくっても、コウモリの種類を同定できるような満足の行く写真は撮れませんでした。
カメラのストロボが発する強烈な閃光とコンデンサーに急速充電するチュイーン♪という超音波が野生のコウモリに悪影響を及ぼしそうで、ストロボを乱用するのは気が引けます。
もしも私の撮影活動のせいでコウモリが嫌がったり恐怖を抱いたりして、このトンネルを
かと言って、赤外線の暗視映像だけではコウモリを同定できず、素人が許可なくコウモリを捕獲することも法律で禁じられています。
どうすりゃイイのよ?
一つの望みは、バット・ディテクターという装置を手に入れてコウモリが発する超音波の鳴き声を聞けるようになったら、声紋解析でコウモリの種類を判別できるかもしれません。
この集団塒を見つけた2015年は、主にトンネルの出入り口の外から定点観察・撮影しました。
コウモリが出産・育児をする繁殖期は特に塒の保護・保全に配慮するようにという注意を本で読んだからです。
この年はトンネルの入り口から中に数m入るだけに留め、奥まで入ってコウモリの集団塒を直接調べに行きませんでした。
2018/12/11
トンネル天井にぶら下がる野生コウモリの飛び立ち【暗視映像】
2017年9月中旬・午後16:53
山麓のボックスカルバート内に
赤外線の暗視カメラで撮りながら長くて暗いトンネルを探検していると、2頭のコウモリがバラバラで(群塊を作らず)天井からぶら下がっていました。
左の個体は既に覚醒していて、私を警戒しています。
怪しい侵入者に向かって盛んに超音波を発して探っているのでしょう。(コウモリの超音波を可聴域に変換するバットディテクターという装置が欲しい…)
小さい耳介は丸みを帯びた形状でした。
やがて天井から落ちながら羽ばたいて飛び去りました。
飛び立つ様子を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:45〜)
右側の個体もいつの間にか居なくなっていました。
これは何というコウモリなのか、もし映像で分かるようでしたら、どなたか教えてください。
虫が相手ならさっさと採集して標本で体の各部位の特徴を図鑑と見比べれば絞り込めるのですけど、野生のコウモリを無許可で捕獲するのは法律で禁じられているのです。
コウモリの集団塒を保全するためにその場所を秘匿したり、コウモリの暮らしを乱さないように入洞する時期や時間帯を配慮する必要があります。
別に不満を訴えている訳ではありませんが、虫を相手にした調査の気楽さに比べて、色々と勝手が違います。
コウモリを同定できれば同じ種類の映像を編集でまとめて一気に紹介するのですけど、私は未だ見分けられないので、撮れた動画を1頭ずつ分けて記事にしています。
複数種が塒内で棲み分けていることがよくあるそうです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/11/03
夕闇の崖を歩くネコ
2018年8月上旬・午後18:59(日の入り時刻は午後18:44)
日没後、池の畔の崖で1頭のイエネコ(Felis silvestris catus)が活動していました。
白地に黒い斑紋の猫が薄暗がりの急斜面を忍び足でトラバースしています。
首輪は見えませんが、野良猫なのかな?
水際に下りて池の魚を取ったり岸辺のカルガモなどを襲うなど、何か獲物を捕食するのでは?と期待して(※)対岸から撮ってみました。
しかし、気まぐれな猫は斜面を登り返してしまいました。
※ 池の岸の茂みで鯉の白骨化死体を見つけたことがあり、このネコの仕業ではないかと疑っています。
ネコ@晩:濠沿いの崖+トラバース徘徊 |
2018/09/17
水を飲み毛繕いする猫
2018年6月中旬
民家の玄関先でイエネコ(Felis silvestris catus)が水の入ったボウルをピチャピチャ舐めてを飲んでいました。
軽くカールした尻尾の先を水を飲みながら左右に振っています。
首輪は付けていませんが、ここで飼われている猫なのでしょう。(野良猫に給餌しているのかな?)
時々こちらを振り返り、舌舐めずりしてから飲水を再開。
身震いすると、段差を降りて座り込みました。
揃えた前足を舐め、毛繕いを始めました。
こちらを見据えたままで、尻尾をくねらせています。
撮っている私の背後にクーラーの室外機があるためファンの騒音がうるさいのですが、コムクドリ(Sturnus philippensis)の親鳥が警戒声♪をずっと発しています。
実は、近くにコムクドリの営巣木があるのです。
猫が雛鳥を襲って捕食するのではないかと私も心配です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/08/16
夕暮れに線路沿いを散歩する長毛ネコ
2016年7月上旬・午後19:23〜19:25(日の入り時刻は午後19:05)
日没後に長毛のイエネコ(Felis silvestris catus)が田舎のローカル線(単線)を散歩していました。
野生のタヌキにしては変だな?と焦って撮り始めたら猫でした。
▼関連記事
線路脇に尿で縄張りをマーキングする長毛ネコ
私がそっと近づくと、ネコは線路上に立ち止まり、こちらを見下ろしています。
やがてネコは砂利を盛った土手を降り始め、下の農道に向かいました。
こちらを一瞥してから砂利道を歩き去ります。
向こうから走って来た自転車が猫に気づいて止まってくれました。
ライトを点灯した自転車も恐れない、完全に人馴れした猫でした。
実はこの間、軽トラックも農道を通り過ぎています。(私も横にどいて車を通したので撮影中断)
首輪は見当たりませんけど、近くで誰かに飼われている飼い猫なのでしょう。
長毛ネコ@線路 |
2018/07/17
早春の野原を3頭で散歩するイエネコ
2018年3月下旬
根雪が溶けたばかりの休耕地?を小走りで移動する黒猫を見つけた私は、野生動物かと思って撮り始めました。
すると更に2匹(黒猫1、茶猫1)のイエネコ(Felis silvestris catus)と合流しました。
茶色の猫が先頭に立ち、尻尾を左右に大きくくねらせながら枯れ草の茂みを歩き回ります。
おそらく野ネズミを探索しているのでしょう。
獲物に飛びついて捕らえ損ねたついでに、黒猫と茶猫の2頭がふざけたようにもつれ合いました。
私は家で猫を飼った経験が無くて本やテレビなどから得た中途半端な知識しかありません。
それでもなんとなく、茶色の個体が♀で黒猫♂2頭がつきまとっているように見えました。
発情が近い♀を♂が交尾前ガードしていると勝手に解釈してみたのですが、どうでしょう?
だとすれば♂同士がもっと喧嘩するはずですかね?
ただの仲良し3頭組なのかな?
首輪は見えませんけど、おそらく近所で飼われている飼い猫なのでしょう。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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2018/07/11
立ったまま反芻するヤギ♀
2018年4月下旬
排泄を終えたヤギ(山羊)♀(Capra hircus)は立ったままで口をモグモグと動かしていました。
食べて一部消化した草を吐き戻して反芻しているのです。
横目で私の様子を伺っているようです。
ときどき耳を動かし、顔にたかるハエを追い払っています。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ヤギ♀@原っぱ+立位反芻 |
2018/07/06
排尿から排便するヤギ♀
2018年4月下旬
原っぱで除草のために放牧されている白いヤギ(山羊)♀(Capra hircus)が立ったまま少し腰を落とすと、尿道口から小便(おしっこ)を排泄し始めました。
排尿時は後脚を軽く屈んだ姿勢になりました。
これは同じウシ科ヤギ亜科のニホンカモシカ♀の排尿姿勢と似ていて、興味深く思いました。
比較のために、今度はヤギ♂の排尿姿勢を観察してみたいものです。
▼関連記事
ニホンカモシカ♂(左角欠け)の排尿
排尿を終えたヤギ♀は立ち上がると、今度は肛門から黒くて丸い粒のような糞をポロポロと排泄しました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ヤギ♀@排尿 |
ヤギ♀@排便 |
2018/04/25
トンネル天井から次々に飛び立つユビナガコウモリ?群塊【暗視映像】
2017年9月中旬・午後17:46〜17:47(日の入り時刻は午後17:43)
野生のコウモリが昼塒として使っているトンネルの探検を続けます。
山形県の某山麓に埋設されたボックスカルバートには浅い水が流れていました。
▼前回の記事
昼塒で休むユビナガコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像と声紋解析】
トンネルの中ほどで天井からぶら下がる群塊を見つけたものの、鳴き騒いでいるコウモリ群塊の下をくぐって通り過ぎるのは躊躇われました。
寝ていたコウモリの生活をなるべく乱したくなかったからです。
そこで一旦トンネルを引き返し、トンネルの外を回り込んで逆側から入洞し直しました。
群塊を作らず単独で寝ていたコウモリを観察しつつ奥に進むと、天井に最大の群塊を発見しました。(映像はここから)
これは先ほど(約50分前に)トンネルの逆側から観察したのと同じユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus)の群塊なのでしょうか?
だとすれば、このトンネルにコウモリの群塊は一つしか無いことになります。
よく見ると天井で左右2群に別れているように見える点も似ていました。
トンネル内ではGPSも使えないので、チョークで壁や天井に目印を書いておけば良かった、と後で思いました。
(目印としてコンクリートにビニールテープを貼っても、トンネル内の湿気ですぐに剥がれてしまいそうです。)
侵入者(=私)に対する警戒声なのか、群れ内でのコミュニケーション・コール(ソーシャル・コール)なのか分かりませんが、キキキ♪という可聴域の鳴き声が絶え間なく発せられトンネル内に反響しています。(動画再生時に音量ボリュームを上げて下さい。)
私が赤外線の暗視カメラを群塊に向けているだけで、群塊の全個体が次々に飛び去ってしまいました。
コウモリが天井から一斉に飛び降りて軽やかに羽ばたく様子は圧巻でした。
コウモリを同定するためにストロボを焚いて写真に撮りたいところですが、暗視動画の撮影を優先したために、残念ながら今回はコウモリ群塊の写真はありません。
トンネルの天井にコウモリピット¶のような構造物は設置されていませんでした。
¶(コウモリ保全のために設置される専用の止まり木)
コウモリが群塊を形成していた天井の写真だけでも撮るべきでしたね。
天井はそこだけひどく汚れていますが、コウモリに体外寄生するクモバエの蛹が写っていたかもしれません。
▼関連記事
ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/04/23
コウモリの寝起き@トンネル壁面【暗視映像】(名前を教えて)
2017年9月中旬・午後17:33(日の入り時刻は午後17:43)
コウモリが昼塒としているトンネルの探検を続けます。
コンクリート壁面の高い位置にまた1頭のコウモリを発見しました。
ボックスカルバートの面取りされた角のすぐ下に単独でへばりついていて、背中しか見えません。
頭は下向きですが、後脚でぶら下がるだけではなく、壁面を水平に走る割れ目を前脚で掴んでいるようです。
外から飛んで戻って来たコウモリがどうやって塒のトンネルにぶら下がるのか、その様子をいつか観察してみたいものです。
私がそっと近づいてしゃがみ、コウモリの顔を見上げたらようやく覚醒しました。
ブルブル小刻みに震えています。
結局この個体jは飛び立たず、私はその場を離れました。
何というコウモリか、お分かりの方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
山形県の某山麓に埋設されたボックスカルバートには浅い水が流れていました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
同じ洞窟やトンネルを複数種のコウモリが塒として利用していることがあるそうです。
しかし、コウモリ観察初心者の私は未だ種類を見分けられません。
自分で同定できれば同じ種類のコウモリを一本の動画にまとめて編集するのですが、1頭ずつ分けて紹介しています。
専門家に種名を教えてもらえる機会があれば随時、書き直します。
2018/04/21
トンネルの天井から飛んで逃げるコウモリ♂ 【暗視映像】
2017年9月中旬・午後17:49(日の入り時刻は午後17:43)
コウモリが昼塒としているトンネルの探検を続けます。
山形県の某山麓に埋設されたボックスカルバートには浅い水が流れていました。
天井の繋ぎ目に足の爪を引っかけ単独でぶら下がっているコウモリ(種名不詳)をまた見つけました。
私が近づいたらすぐに飛んで逃げてしまいました。
そろそろ昼塒から外に出て採餌活動を始める時刻なので、眠りが浅くなっているのでしょう。
(離塒のピークは日没の30分後)
動画の後半は飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。
この個体Eは、翼を広げて飛び立つ間際に下腹部に陰茎が見えたので♂ですね。
複数種のコウモリが同じトンネルを塒として利用している可能性があるそうです。
しかし、コウモリ観察初心者の私は未だ種類を見分けられません。
自分で同定できれば同じ種類のコウモリを一本の動画にまとめて編集するのですが、1頭ずつ分けて紹介しています。
専門家に種名を教えてもらえる機会があれば随時、書き直します。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/04/18
ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?
2017年9月中旬・午後16:55頃(日の入り時刻は午後17:43)
野生コウモリが昼塒として利用しているトンネルの天井で、コウモリ(種名不詳)が群塊を形成して休んでいました。
ストロボを焚いて撮った写真をチェックしてみると、何枚かに奇妙な物が写っていました。
気になる写真を拡大してみると、3頭のコウモリの体表(毛皮)にオレンジ色(茶褐色)の昆虫が1匹ずつ(計3匹)がっしりと取り付いています。
無翅なのでクモと間違いそうになりますが、脚が6本しか無いので、れっきとした昆虫です。
クモバエ科という特殊な寄生バエの一種でしょう。
コウモリ専門に外部寄生して吸血するらしく、そのために翅は退化したのだそうです。
(コウモリバエ科という有翅の外部寄生虫も別に知られているらしい。)
本で読んで存在は知っていましたが寄生率は低いらしく、私のフィールドで実際に出会えてとても感動しました。
平凡社『日本動物大百科9昆虫II』によれば、
ちなみに、日本に吸血性コウモリは生息していません。
日本のコウモリは寄生虫から一方的に吸血される(可哀想な)宿主なのです。
また、写真でトンネル天井を注意深く見直すと、コウモリの群塊がぶら下がっている塒の周囲だけに黒くて丸い小さな物体が多数写っていました。
現場では照明の使用を極力控えたので、全く見過ごしていました。(気づいたとしても、コウモリの糞が天井に付着したのかも?と思ったことでしょう。)
おそらく、これはクモバエの蛹でしょう。
次に入洞する機会があれば、改めてトンネル天井の写真を撮り直し、この蛹を採集して飼育してみるつもりです。
クモバエは天然記念物に指定されていませんし、レッドデータに登録された絶滅危惧種でもありません。
クモバエ類は宿主特異性が高いそうなので※、飼育下で成虫を羽化させることでクモバエをしっかり同定できれば、宿主であるコウモリの名前も分かりそうです。
コウモリ観察歴の浅い私には未だコウモリの種類を外見から自信を持って識別できないのですが、もし写真同定できる専門家がご覧になりましたら、ぜひ教えて下さい。
今のところ、ユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus)とそれに外部寄生するケブカクモバエ(Penicillidia jenynsii)のセットではないかと素人ながら勝手に予想しています。
ネット上には真っ白なケブカクモバエの写真も見つかりますが(例)、これは蛹から羽化した直後と思われます。
羽化後に宿主のコウモリから吸血すると黄褐色に変化するらしい。(参考:上記の船越公威によるPDF文献)
コウモリは塒 で多数の個体が集まって群塊を形成する種類もいれば、単独あるいは散在した粗群で寝るのが好きな種類もいるらしい。
それぞれの習性(寝方)に一長一短があり、群塊を形成するコウモリには寄生虫にとりつかれ易いというデメリット(コスト)があります。
天井からぶら下がりながら痒そうに毛繕いしていたコウモリは、吸血性寄生虫を取り除こうとしていたのかもしれません。
クモバエの死亡率は毛繕い中の宿主による捕食によって高くなるらしい。
余談ですが、洞窟内に生息するコウモリの糞・体毛、洞窟内の生物の死骸が大量に堆積して固まったものをバット・グアノと呼びます。
このトンネルには水が流れているので、塒の下は天然の水洗トイレになっています。
グアノにおける生態系(食物連鎖)も興味深いのですが、残念ながらここでは観察できません。
▼前回の記事
昼塒で休むコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像】(名前を教えて)
野生コウモリが昼塒として利用しているトンネルの天井で、コウモリ(種名不詳)が群塊を形成して休んでいました。
ストロボを焚いて撮った写真をチェックしてみると、何枚かに奇妙な物が写っていました。
コウモリ2頭が寄生されている |
写真の中央部に注目 |
気になる写真を拡大してみると、3頭のコウモリの体表(毛皮)にオレンジ色(茶褐色)の昆虫が1匹ずつ(計3匹)がっしりと取り付いています。
無翅なのでクモと間違いそうになりますが、脚が6本しか無いので、れっきとした昆虫です。
クモバエ科という特殊な寄生バエの一種でしょう。
コウモリ専門に外部寄生して吸血するらしく、そのために翅は退化したのだそうです。
(コウモリバエ科という有翅の外部寄生虫も別に知られているらしい。)
本で読んで存在は知っていましたが寄生率は低いらしく、私のフィールドで実際に出会えてとても感動しました。
平凡社『日本動物大百科9昆虫II』によれば、
クモバエ科は世界各地に分布し、コウモリバエと同様にコウモリの体表にのみ寄生し、吸血する。体は扁平で、翅はなく、頭部は胸背にある溝のなかに後ろ向きにたたみ込まれている。あしは非常に長く、爪は強大である。複眼は退化している。(中略)日本では10種が記録されているが、これも調査が進めばさらに多くの種が見いだされると思われる。 (p150より引用)
ちなみに、日本に吸血性コウモリは生息していません。
日本のコウモリは寄生虫から一方的に吸血される(可哀想な)宿主なのです。
また、写真でトンネル天井を注意深く見直すと、コウモリの群塊がぶら下がっている塒の周囲だけに黒くて丸い小さな物体が多数写っていました。
現場では照明の使用を極力控えたので、全く見過ごしていました。(気づいたとしても、コウモリの糞が天井に付着したのかも?と思ったことでしょう。)
おそらく、これはクモバエの蛹でしょう。
【参考1】 船越公威. "ユビナガコウモリに外部寄生するケブカクモバエの生態学的研究: 特に生活史からみた宿主への連合性に関して." 日本生態学会誌 27.2 (1977): 125-140. (ありがたいことにPDFファイルが無料で公開されています。ケブカクモバエ成虫および蛹の細密画が掲載されています。)
【参考2】 動物行動学エッセイ本のシリーズで有名な小林朋道先生の公式ブログ『ほっと行動学』より「山奥の洞窟であったほんとうの話」 (クモバエの蛹の写真あり)
次に入洞する機会があれば、改めてトンネル天井の写真を撮り直し、この蛹を採集して飼育してみるつもりです。
【追記】1年後に写真を撮りました。野生コウモリを無許可で採集したり飼育するのは法律で禁じられていますが、寄生バエなら誰からも怒られないでしょう。
クモバエは天然記念物に指定されていませんし、レッドデータに登録された絶滅危惧種でもありません。
クモバエ類は宿主特異性が高いそうなので※、飼育下で成虫を羽化させることでクモバエをしっかり同定できれば、宿主であるコウモリの名前も分かりそうです。
※ 【参考】:小林朋道「ユビナガコウモリに外部寄生する ケブカクモバエの宿主識別行動」(PDFファイルが無料で公開されています)洞窟の塒では複数種のコウモリが混群(混棲群塊)を形成している場合もあるのだそうです。
Natural Environmental Science Research Vol.28, 1- 4 (2015)
コウモリ観察歴の浅い私には未だコウモリの種類を外見から自信を持って識別できないのですが、もし写真同定できる専門家がご覧になりましたら、ぜひ教えて下さい。
今のところ、ユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus)とそれに外部寄生するケブカクモバエ(Penicillidia jenynsii)のセットではないかと素人ながら勝手に予想しています。
ネット上には真っ白なケブカクモバエの写真も見つかりますが(例)、これは蛹から羽化した直後と思われます。
羽化後に宿主のコウモリから吸血すると黄褐色に変化するらしい。(参考:上記の船越公威によるPDF文献)
コウモリは
それぞれの習性(寝方)に一長一短があり、群塊を形成するコウモリには寄生虫にとりつかれ易いというデメリット(コスト)があります。
天井からぶら下がりながら痒そうに毛繕いしていたコウモリは、吸血性寄生虫を取り除こうとしていたのかもしれません。
クモバエの死亡率は毛繕い中の宿主による捕食によって高くなるらしい。
余談ですが、洞窟内に生息するコウモリの糞・体毛、洞窟内の生物の死骸が大量に堆積して固まったものをバット・グアノと呼びます。
このトンネルには水が流れているので、塒の下は天然の水洗トイレになっています。
グアノにおける生態系(食物連鎖)も興味深いのですが、残念ながらここでは観察できません。
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昼塒で休むユビナガコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像と声紋解析】
2017年9月中旬・午後16:55頃(日の入り時刻は午後17:43)
コウモリが昼塒としているトンネルの探検を続けます。
山麓に埋設されたボックスカルバート@山形県には水が浅く流れていました。
入口近くでは一匹ずつバラバラに天井や壁からぶら下がっていました。
群れで互いに身を寄せ合わせたくても、コンクリートの天井からぶら下がるための足掛かりとなる裂け目が足りないのだろうか?と想像したりしました。
コウモリ保全のためのコウモリピットが天井に設置されているようには見えません。(†追記参照)
しかし真っ暗なトンネルの中ほどまで進むと、ようやくコウモリの群塊を見つけました。
侵入者に驚いて飛び回っている個体もいます。
天井の中央部から数十頭のコウモリがぶら下がっています。
私がそっと近づくとコウモリ達は覚醒しており、毛繕いしている個体もいました。
キュキュキュ♪、キキキキ♪、もしくはキャキャキャ♪という鳴き声をひっきり無しに発しています。
昼塒に侵入した私に対する警戒声なのでしょう。
トンネル内でずっと反響していた謎の鳴き声の正体がようやく分かりました。
コウモリの鳴き声といえば超音波なのに、どうして私の耳に聞こえるのか不思議でした。
音響学について私は勉強不足なのですが、まさか超音波が閉鎖空間で反響すると周波数が下がってヒトの耳に聞こえるようになるのですかね? (そんな馬鹿な)
コウモリ幼獣の鳴き声は声変わりしていない可聴域なのか?と無知な私は妄想したりしました。
しかしコウモリの子育てが終わる時期を見計らって入洞したので、はっきりと幼獣と分かるコウモリの姿は見つかりませんでした。(無事に乳離れした?)
大沢夕志、大沢啓子『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』という本によると、コウモリが超音波を発するのは飛びながら獲物を捕るためのエコロケーションのためだけではないそうです。
ほかの動物と同じように、コウモリどうしのおしゃべり、親子で確認し合ったり、おこったり、プロポーズしたり、にも使う。
この時は、わりと低い声を使うので、例えばアブラコウモリでも人間の耳に聞こえることがある。 (p71より引用)
『コウモリ識別ハンドブック』の解説編にもう少し専門的なことが書いてありました、
コウモリが発する音声は、障害物や餌の認識以外にも利用される。その中でも重要な役割が個体同士のコミュニケーションで、その際に発せられる声はソーシャル・コールやコミュニケーション・コールといわれる。日本産のコウモリでは研究がほとんど進んでいないが、これらの音声は、餌を探索する際のものとは異なるパルスタイプを持ち、バリエーションもさまざまである。アブラコウモリの場合、少なくとも9タイプのコミュニケーション・コールを発し、中にはわれわれの可聴域の超音波の声も確認されている。 (p79より引用)
最後に赤色LED懐中電灯を点灯し、ハンディカムの暗視モードではなく通常のHD動画で撮影してみました。
(赤色の照明はコウモリの目にはあまり見えないとされています。)
こちらのカメラの方が内蔵マイクが高音質のようで、コウモリの鳴き声が明瞭に録音されていました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
赤色LEDで照らしながら撮った短い(6秒間)動画から音声をWAVファイルに抽出し、スペクトログラムを描いてみました。
カメラの仕様により16kHz以上の高音(および超音波)は録音されていませんが、可聴域に明らかに声紋が認められました。
トンネル内の気温を測るべきでしたね。
おそらく外気温よりも安定していて湿度も高いはずです。
昼塒で寝ていた野生コウモリをなるべく驚かさないように、ここまでかなり気を使って探検してきました。(赤外線の暗視カメラや赤色LED懐中電灯の使用など)
ここで初めてストロボを焚いて群塊の写真を撮ってみました。
私には未だコウモリの種類を自信を持って見分けられないのですが、写真同定できる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。
ユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus)ですかね? (あまり自信がありません)
洞窟の塒では複数種のコウモリが混群(混棲群塊)を形成している場合もあるのだそうです。
鳴き騒いでいるコウモリの群塊の下をくぐってトンネルをそのまま通り抜けるのは躊躇われたため、何枚か必要最低限の写真を撮ってからトンネルを引き返すことにしました。
群塊の奥には離れ離れでぶら下がる個体も写っている。 |
コウモリ群塊の写真を拡大すると、とても興味深いものが写っていました。
つづく→ユビナガコウモリの体表に寄生するクモバエの一種 (名前を教えて)
†【追記】
谷本雄治『コウモリたちのひっこし大計画 (地球ふしぎはっけんシリーズ)』によると、
山形県のトンネル式用水路では、山をくり抜いただけの穴がコンクリート製に変わり、ユビナガコウモリやモモジロコウモリがぶら下がれない恐れが出てきた。
向山さんはそこで、モモジロコウモリのために50cm四方のバットボックスを考えた。(中略)ユビナガコウモリ用にはすきまのない、浅い箱型のバットボックスを用意した。うれしいことに、約30匹のモモジロコウモリがすぐさま利用を始めた。
(p77-78より引用)
国交省のサイトで公開している『計画段階を含むコウモリ類の保全対策事例』というPDF文書に事例8「コウモリピットによるコウモリの保全の試み」と題した写真を見つけました。
山形県の導水路内に設置され、保全対象種はユビナガコウモリとモモジロコウモリ。
↑【おまけの映像】
“How artificial intelligence is helping scientists talk to animals - BBC News”
“How artificial intelligence is helping scientists talk to animals - BBC News”
コウモリが超音波で鳴き交わす音声データとそれに伴う行動の映像を大量に機械学習させて、AIに鳴き声の意味を翻訳させる研究が進んでいるそうです。
2018/04/16
互いに離れてトンネル天井からぶら下がるコウモリ小群の寝起き【暗視映像】(名前を教えて)
2017年9月中旬・午後16:52
コウモリが昼塒としているトンネル(山麓に埋設された水が流れるボックスカルバート@山形県)の探検を続けます。
入り口に比較的近い地点で、1頭ずつ離れて3頭cdeが天井からぶら下がっていました。
左の個体cは1本足でぶら下がり覚醒しています。
落ち着きのない様子からおそらく超音波を発して怪しい侵入者(私)を伺っていると思われますが、もちろん私の耳には鳴き声は聞こえません。
顔つきがなんとなくキクガシラコウモリっぽいですかね?(当てずっぽうで自信なし)
耳が大きいものの、ニホンウサギコウモリの耳とは明らかに違います。
赤外線の暗視モードでしばらく撮影しても飛び立たないので、隣の個体を観察することにします。
右の個体dは翼で顔を覆って寝ていました。
天井のつなぎ目に爪をかけて1本足でぶら下がっています。
私が正面にゆっくり回り込んだら気づいて覚醒しました。
この個体は耳が比較的小さくて丸いです。
ブルブル震えていますが、両足でぶら下がる体勢になりました。
下腹部に陰茎のような突起物が見えたので、♂かもしれません。
近くにもう一頭e居たのに、いつの間にか飛び去ってしまったようです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
大沢夕志、大沢啓子『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』によると、
コウモリといえば、洞窟にぶら下がっているものとみんな思っている。
でも、洞窟にすむといっても天井からぶら下がっているだけではない。種類によって好みの場所はいろいろだ。(中略)
少しずつ離れている方が好き(カグラコウモリ)
という訳で、私が見つけたコウモリの候補としてカグラコウモリの可能性もありそうです。
素人の私には形態的に見分けられないので、もし暗視映像で同定できる達人がいらっしゃいましたら、ぜひご教示して下さい。
【追記】
1頭だけ、あるいは数頭で寝るのが好きなコウモリもいる。バラバラにいる方が目立たないし、寄生虫にもとりつかれにくいなど、この方が有利な点もある。 (同書p54より引用)
2018/04/14
トンネル天井の隅から飛び立つコウモリ【暗視映像】
2017年9月中旬・午後17:30(日の入り時刻は午後17:43)
水が流れるトンネル(山麓に埋設されたボックスカルバート@山形県)の奥にコウモリの昼塒がありました。
トンネルは通り抜けが可能なのですけど、真っ暗なトンネルの中央部でコロニー(群塊)を見つけたので(動画公開予定)、一度引き返してトンネルの反対側から入洞し直しました。
入口近くで一頭が2本の後ろ足でぶら下がっていました。
この個体iは単独で天井と壁面の角(隅っこ)に居ました。
壁にしがみついているようにも見えます。
トンネルの断面は四角形(長方形)ではなく、角が面取りされ八角形になっているのです。
コウモリは背中しか見えず、顔を拝む前に警戒して飛び去ってしまいました。
したがって種類を見分けられませんでした。
耳が長くないので、ニホンウサギコウモリは除外できそうです。
後半は飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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