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2017/07/24

オクウスギタンポポの白い花とヤブキリ若齢幼虫



2017年5月中旬

郊外の道端に咲いた白いタンポポの花にヤブキリTettigonia orientalis)の幼虫を見つけました。
残念ながら食事中ではなく、花の上でただ休んでいるだけでした。
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p90によると、春にヤブキリとキリギリスの幼虫の見分ける方法は簡単で、背に一本線がヤブキリで、2本線だとキリギリスの幼虫。



▼関連記事
セイヨウタンポポの花とヤブキリ若齢幼虫

日本中で在来種のタンポポが外来種のセイヨウタンポポにすっかり駆逐・蹂躙されてしまった昨今、白い花のタンポポは貴重です。
石垣の下に咲いたタンポポの群落の中で一つだけ唐突に白い頭花だったので突然変異個体なのかと疑ったのですが、調べ始めるとなかなか奥が深い世界でした。
シロバナタンポポでもなく、ようやくオクウスギタンポポTaraxacum denudatum)と判明。
日本のレッドデータによると、ここ山形県では絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されている珍しい種類のタンポポでした。

ちなみに、すぐ隣の群落は総苞の形状から在来種のエゾタンポポTaraxacum hondoense)でした。

オクウスギタンポポの花がしっかり開いてから改めて写真を撮ろうと数日後にいそいそと再訪してみたら、残念ながら他の雑草と一緒に綺麗さっぱり除草されていて落胆しました。
絶滅危惧種だというのに、タンポポを保護するという発想をこの近所の人々に伝えるのは難しそうです。


【追記】オクウスギタンポポを漢字で書くと奥薄黄蒲公英ですから、「白い花」ではなく淡黄色と呼ぶべきでしたね。


2017/01/07

フキバッタの幼虫を捕食するニホンカナヘビ【ハイスピード動画】




▼前回の記事
巣口周辺の雑草を避けて飛ぶクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】


クロマルハナバチの巣:定点観察#8


2016年7月上旬

クロマルハナバチBombus ignitus)の巣穴に出入りする蜂を240-fpsのハイスピード動画で記録するために長撮りを繰り返していたら、非常に興味深いスクープ映像が撮れてしまいました。
峠道の側溝に繁茂した雑草(ハナタデ??)が伸びて巣穴をすっかり覆い隠しています。




画面右上隅からフキバッタの一種の幼虫が雑草の葉に飛び降りて来ました。
やがて、コンクリート壁面の排水口から出巣してきたクロマルハナバチのワーカー♀が雑草を避けつつ、フキバッタの頭上を通過して外役に飛び去りました。
それに驚いたフキバッタは、葉上を少しだけ前進。
またしばらくすると、フキバッタは壁に向かって自発的に跳び付きました。
その後はじっと休んでいます。

コンクリート壁面を覆う雑草が突然、不自然に揺れたと思ったら小動物が駆け上がってフキバッタを捕食しました。
スローモーションで見直すと、捕食者の正体はニホンカナヘビTakydromus tachydromoides)でした。
茂みに覆われて私は気づかなかったのですが、クロマルハナバチの巣穴の右横下にカナヘビがずっと潜んでいたようです。

コンクリート壁面に止まっていたフキバッタの幼虫を目がけてニホンカナヘビが垂直の壁を一気に走って登り、見事に口で咥えました。
バッタが跳んで逃げる暇を与えませんでした。
カナヘビは獲物を咥えたまま側溝に落下。
狩りの瞬間だけリアルタイム映像に加工してリプレイすると、電光石火の早業であることが実感できます。

もしかするとカナヘビは、巣穴に出入りする蜂を狩ろうと待ち伏せしていたのかもしれません。
巣口近辺の草むらがそれまでにもときどき不自然に揺れているのが気になっていたのですが、その理由がようやく分かりました。
もしカナヘビが巣穴に押し入ったら、クロマルハナバチは集団で防衛・撃退したでしょうか?

ニホンカナヘビが狩りをする瞬間を運良く観察できたのはもちろん初めてで、この日一番嬉しい収穫でした。
偶然撮れた映像ですので、画角の不満はご勘弁願います。

▼関連記事
ハチを捕食するニホンカナヘビ
カメムシの幼虫を捕食するニホンカナヘビ


つづく→#9:帰巣時に渋滞・追突するクロマルハナバチ♀【ハイスピード動画】







2017/01/04

ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】



2016年9月中旬
▼前回の記事
ショウリョウバッタ♀を捕まえた!

住宅街の路地で採集した褐色型のショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)を手に持ったまま近くの田んぼまでやって来ました。
ここなら車の往来も無く、邪魔されずに落ち着いて安全に撮影することができます。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
音声が録音されず無音なのはカメラの仕様です。

農道の地面に解放すると、すかさず跳んで逃げ出しました。
砂利の敷かれた農道では褐色型のショウリョウバッタ♀は見事な保護色になっています。
跳躍(ジャンプ)するだけのときと、力強く跳んでから素早く羽ばたいて飛ぶときがあります。
疲れたらしばらく飛ばなくなるのかな?
飛んで逃げるのは体力を消耗するようで、可能な限りカモフラージュに頼って農道にじっとしています。
繰り返し撮影するとなかなか飛んでくれなくなりました。
少しずつゆっくり歩いて立ち去ろうとします。

後半(@1:36〜)は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
これでようやく羽ばたく際の黄色っぽい後翅が見えるようになりました。

ハイスピード動画(無音)を優先して通常のHD動画(音声あり)では一度も撮らなかったため、ショウリョウバッタの♀が♂とは異なり羽ばたきながらチキチキ…♪と鳴かないことを示す記録が残せませんでした。


2017/01/03

ショウリョウバッタ♀を捕まえた!



2016年9月中旬

住宅街の路地で褐色型のショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)を見つけました。
子供の頃はよく見かけて珍しくもなかったバッタですが、最近では久しぶりの嬉しい遭遇でした。
動画で撮りながら少し近づいても予想に反して飛んで逃げることはありませんでした。
靴の先で触れると跳躍してから羽ばたいて逃げました。(飛翔シーンは次回紹介します。)
しかし飛んだ先は民家のブロック塀でした。
歩いて少し登ったところを手掴みで捕獲。
口から醤油状の液体を吐き戻すかと期待したのですが、おとなしくしています。

この路地はいつ車が来るか分からないので、飛翔シーンを落ち着いて撮影できる場所までウキウキと持って行きました。


つづく→ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】





2016/11/03

キイチゴの葉を食すヤブキリ♂



2016年7月下旬

峠道沿い草むらでヤブキリ♂(Tettigonia orientalis)がキイチゴの一種の葉を食べていました。
葉を齧る口器の動きがよく見えます。
満腹したのかカメラを警戒したのか分かりませんが、すぐに向きを変えて歩き去ってしまいました。
灌木の枝を登り、茂みに姿を消しました。


木苺だと思うのですが名前をご存じの方は教えて下さい。



2016/10/22

虫の空き巣をかじるヤブキリ♀



2016年7月中旬

山間部の道端(林縁)のでヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)を見つけました。
長い産卵管を有する♀成虫です。

初めは私のことを警戒しているのか蔓植物の葉でフリーズしていました。
(ヤマイモではなさそうですけど、ヤマノイモ科のオニドコロですかね…?)
しばらく待つと摂食を再開。
オニドコロ?の葉に軽く口を付けただけで、本気で食べてはいないようです。
味見かな?
よく見ると葉に虫の食痕があり、葉縁をゆるく巻いて糸で綴って留めてあることから何か虫の巣になっているようです。
その巣に潜んでいる幼虫を追い出して捕食する作戦なのかな?と興味深く見守ります。
もし葉そのものを食べるのであれば、わざわざ栄養価の低い食痕部分を食べないと思うのです。
しかしヤブキリは動きを止めてしまい、自発的に跳んで逃げました。

直後に気になる葉巻を開いてみたのですが、空き巣でした。
ヤマノイモ科を食草とするダイミョウセセリの幼虫の巣ですかね?(あまり自信がありません)
しかしダイミョウセセリの巣に特有の葉の切れ込みがありません。
ご存じの方は教えて下さい。





2016/10/08

虫を捕食するイブキヒメギス♂



2016年7月中旬

山間部の道端に生い茂ったヨシの葉にイブキヒメギス♂(Eobiana japonica)が乗っていました。
よく見ると何か黒っぽい虫を捕食していました。
獲物の正体は不明です。
次はそっと近づいてマクロレンズで接写しようとしたら運悪く車が通りかかり、イブキヒメギス♂は跳んで逃げ、見失ってしまいました。



2016/09/25

笹の葉を食べるフキバッタ【名前を教えて】



2016年7月上旬

山間部の道端に生えたの群落でフキバッタの一種が食事していました。※

笹の葉の表に止まったフキバッタ(種名不詳)が葉縁を食害しています。
頑丈な口器で葉脈を断ち切る音が響きます。
胸背が水滴で濡れていますね。

後半は三脚を立てて、微速度撮影で記録しました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。(@6:38〜)
ところがフキバッタはもう満腹したようで、笹の葉を歩いて移動すると葉裏に回り込んでしまいました。
最後は跳んでどこかへ立ち去りました。
笹の葉には独特の食痕が残されました。

食べながら脱糞しないかと期待して長撮りしたものの、空振りに終わりました。
フキバッタは排泄の瞬間に糞を蹴飛ばすのです。)

※ クマイチゴの果実を吸汁するカメムシを接写していたときに、近くからパリパリと葉を食べる音がするので気づきました。

このフキバッタの名前や性別がお分かりの方はぜひ教えて下さい。
腹端の形状で性別が分かる?
翅が無いので、幼虫の可能性は?






2016/09/17

キササゲの花を食すイブキヒメギス♀と追い払うクロオオアリ♀



2016年7月上旬

峠の道端に見慣れない幼木の群落が自生していました。
黄色の花が咲いています。
帰ってから調べてみると、アブラギリと迷ったのですが帰化植物のキササゲのようです。
(秋になって細長い実がついたことからキササゲで確定しました。)※追記参照

イブキヒメギス♀(Eobiana japonica)がキササゲの花弁(花びら)をむしゃむしゃ食べていました。
ところが同じ花にクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀がやって来て、イブキヒメギス♀の足の先にあちこち噛み付き始めました。
アリの攻撃に堪らず花から退散しました。
横を向いた瞬間に腹端の産卵管と丸い翅先が見えたことから、イブキヒメギス♀と判明。
アリはキササゲの花でパトロールを続けます。
しばらく待ってもイブキヒメギス♀は花に戻って来ませんでした。

このアリの行動はとても興味深く思いました。
獲物になるかどうか、試しに攻撃してみたのですかね?
もしかすると、アリと共生関係にあるアブラムシのコロニーがあり、この花を食害する草食性昆虫から防衛したのでしょうか?
それとも、キササゲの葉の根元付近には花外蜜腺があるそうなので(参考サイト:松江の花図鑑)、だからアリはキササゲのボディーガードを務めたのかな?
いずれの可能性も後で思いついたことで、現場では確かめていません。

その代わりせっかくなのでキササゲの送粉者を突き止めようと、傍らでしばらく粘って待機したのですけど、訪花するハナバチ類は現れませんでした。




【追記】
9月上旬に同じ場所で撮影した実の写真。


更に2ヶ月後(11月中旬)、葉が枯れた後の実の写真。




2016/06/05

フキバッタの死骸を運ぶクロヤマアリ♀



2015年8月中旬

峠道でフキバッタの一種にクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が群がり、死骸を巣に運んでいました。
獲物は未だ五体満足ですが、多数のアリが噛み付いたり脚を引っ張り合って引き千切ろうとしています。
やがて死骸は解体されることでしょう。



2016/05/28

ヤブカンゾウの茎を下るヒメギス♂



2015年7月下旬

道端に咲いたヤブカンゾウの群落でヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)が茎を歩いて降りています。
左後脚を欠損した個体です。
近くでヤブカンゾウの蕾を食べている♀と交尾しようと接近を試みるのでしょうか? 
♀の居る株に登り直すかと期待したのですが、見失いました。



2016/01/27

ヤブキリ♀がタラノキの枝で右往左往し身繕い



2015年7月下旬

山間部の道端に生えたタラノキの灌木でヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)を見つけました。
タラノキの枝を下から登ってきました。
葉の先に達すると行き止まりと気付き、引き返します。
枝の二股まで戻ると別の枝を登り始めました。
斜めに伸びた枝の下面にぶら下がると静止。
しばらくすると、いつの間にか枝の上面に来ていましたが、その場から動きません。
前脚の先を舐めてお化粧しています。

以前紹介したタラノキの葉を食べていたヤブキリ♀も近くにいましたが、今回の映像に登場する♀は別個体です。



2015/12/05

フキバッタの死骸を解体するムネアカオオアリ♀の群れ



2015年8月中旬

山間部の峠道でフキバッタの一種の死骸にムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が群がっていました。
車に轢かれたロードキルなのでしょう。
計8匹の蟻が寄って集って獲物を解体しています。
横で身繕いしている個体も居ます。
出会い頭に触角で挨拶しました。



2015/11/11

カマドウマ♀に寄生したハリガネムシの最期

2015年8月中旬

山間部の峠道でカマドウマの仲間(種名不詳)の死骸をヒメギスが食べていました。
いそいそと近づいたらヒメギスは逃げてしまいました。(撮り損ね)
車に轢かれたロードキルのようですが、死骸の横にハリガネムシが干からびて死んでいました。
本で読んだり噂ではかねがね聞いていましたが、憧れのハリガネムシを実際に見るのはこれが初めてでした。
これほど長いハリガネムシがカマドウマの体内に寄生していたとは驚きです。
寄主のカマドウマは産卵管がある♀でした。
カマドウマ死骸のほとんどは、ヒメギスなど屍肉掃除屋(scavenger)に食い荒らされていました。

※ 今日は珍しく動画ネタはお休みで、写真のみです。

【参考リンク】
カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る
森と川をつなぐ細い糸:寄生者による宿主操作が生態系間相互作用を駆動する



2015/11/09

夜行性マダラカマドウマと戯れる【暗視映像】



2015年6月下旬・夜21:52〜22:32

山裾でコンクリート壁面に夜行性のマダラカマドウマDiestrammena japonica)を発見。
地上からの高さ80cmの庇の奥に潜んでいました。

産卵管が無いので♂だと思ったのですが、未だ幼虫の可能性もありますかね?
本種の成虫出現時期は夏〜秋らしい(『バッタコオロギキリギリス生態図鑑』p52より)。
カマドウマは成虫でも無翅なので、素人には見分けが難しいです。
採寸すべきでした。

赤外線の暗視カメラで撮りながら長い触角に指で触れると後退り逃げました。
白色LEDを点灯して接写しても動じません。
暗視動画に戻すと、マダラカマドウマは幅4cmの縦溝を乗り越えて少しだけ前進しました。
再び長い触角に指で触れるとビクッと後退り、引き返しました。
どうも暗闇では見えておらず触覚に頼っている様子。
しつこく触れるとどんどん逃げ、コンクリートの角を曲がって隠れました。
私も追いかけると、角を曲がった先の壁面に2匹が寄り添うように並んでいました。
求愛行動を始めたら面白いのですけど、腹端に産卵管が見当たらないので共に♂(または幼虫)です。
喧嘩にならず許容しているので、群れる習性があるのでしょう。

長い触角に指でしつこく触れると逃げ出しました。
幅4cmの溝を乗り越えて前進。
溝に静止した個体に再度触れたらピョンと跳んで逃げた挙句に、オオヒメグモParasteatoda tepidariorum)の不規則網にひっかかってしまいました。
網にかかった個体は暴れたりもがいたりするとクモに気づかれてしまうので、擬死(フリーズ)しています。
ライトを点灯すると、不規則網の主は近くに居るのに、獲物へ駆け寄らず静観しています。
成り行きを見届ければよかったのですが、ホタル観察に行く前の時間潰しで撮った動画でした。

カマドウマを飼育してみたら意外と面白いかな?



2015/10/30

夜の田んぼで鳴くケラ♪



2015年8月下旬・夜19:40〜19:45

夜の田んぼで畦道からケラGryllotalpa orientalis)が「ビー♪」と鳴く連続音が聞こえています。
姿は見えないものの、鳴き声だけでも暗視ビデオカメラで録音しました。
横の車道を車が通っても気にせず地中で鳴き続けています。
ケラは♀も鳴けるらしい。(他の直翅類とは異なり、鳴いている個体が♂とは限らない。)
こんな身近な場所でケラが生息しているとは知りませんでした。
この辺りの水田は減農薬なのだろうか?
一度その存在に気づくと、数カ所で鳴いていることが分かりました。(動画では2匹撮影)
後半の耳障りなノイズはビデオカメラが至近距離で鳴くケラの声に共鳴・共振したのですかね?

ケラの鳴き声を声紋解析してみる?


2015/10/16

ヒメギス♂の死骸に群がるムネアカオオアリ♀



2015年8月中旬

山間部の峠道で車に轢かれた(ロードキル)ヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)の死骸にムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が計9匹群がっていました。
解体した左後脚を運んでいるところでした。
横で身繕いしている個体も居ます。
別種の微小アリ(種名不詳)も来ているのですが、ムネアカオオアリと体格差が歴然としており相手になりません。
それでもおこぼれの破片をこっそり盗んでいきました。
三脚を立てて解体ショーをじっくり微速度撮影しても面白そうですけど、時間がないので諦めて先を急ぎます。



2015/10/09

ムネアカオオアリとクロヤマアリの死闘:ヒメギス死骸の占有行動



2015年7月下旬

峠道の路上でムネアカオオアリ♀(Camponotus obscuripes)とクロヤマアリ♀(Formica japonica)のワーカー同士が死闘を繰り広げていました。
ムネアカオオアリは腹部を前に曲げて敵に蟻酸を噴射しつつ噛み殺そうとしています。
圧倒的な体格差があるのに、敵はなかなかしぶとく決着がつきません。
ムネアカオオアリが何度噛んでも、クロヤマアリの息の根を止められないでいます。
体格で劣るクロヤマアリは相手の脚に噛み付き、虫の息(瀕死)の状態でも振り落とされないよう頑張っています。

喧嘩の原因はすぐに分かりました。
車に轢かれたヒメギス♀(Eobiana engelhardti subtropica)がすぐ近くに転がっていて、その死骸に多数のクロヤマアリが群がっていました。
クロヤマアリが占有する獲物を横取りしようと単独のムネアカオオアリが不用意に近づいた結果、特攻隊に撃退されたのでしょう。
ミツバチ科やスズメバチ科など他の社会性ハチでは危機の際に警報フェロモンを発して仲間の援軍を呼ぶでしょう。
ところが今回のアリの場合は、蟻酸を戦いに使ってもクロヤマアリの群れは助太刀に駆けつけないという冷徹(冷酷)さが興味深く思いました。

しばらくすると、ムネアカオオアリは殺したクロヤマアリをようやく振りほどいたようです。
しかしもう懲りて、ヒメギスの死骸には近づかず立ち去りました。

普通種のクロヤマアリは小さくても相当手強いファイターであることを実感しました。
日本最大のアリであるムネアカオオアリに対して1対1の激闘を繰り広げ、最小限の犠牲で獲物を死守する様は深い感銘を受けました。



2015/10/02

ヒメギス♂の鳴き方♪【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月下旬

山間部の道端に生えたタラノキの灌木でヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)がシリリリッシリリリッ…♪と乾いた声で鳴いていました。
落葉せず枝に残った枯葉に止まり、翅を震わせ鳴いています。
気温を測り忘れました。

後半は(@1:23〜)発音器の動かし方を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると、タンタタン♪という独特のリズムの繰り返しで翅を開閉して擦り合わせていました。




ヒメギス♂の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから、安定して鳴いている部分を適当に切り出して、スペクトログラムを描いてみました。
16kHz以上の非可聴域が不自然にカットされているのは、カメラ内蔵マイクで録音する際の仕様です。



2015/09/30

ヤブカンゾウの蕾を食すヒメギス♀



2015年7月下旬

道端に咲いたヤブカンゾウの群落で食事中のヒメギス♀(Eobiana engelhardti subtropica)を見つけました。
やや上に湾曲した産卵管を有するので♀成体です。
蕾をムシャムシャ食べています。
そっと回り込んで顔を正面から撮ると、口器や口髭の動きがよく分かります。(@1:56〜)
横にはヤブカンゾウの花が咲いているのに蕾を選んで食べているのは何か理由があるのでしょうか?



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