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2019/09/14

ハシドイの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2019年6月中旬

公園に数本植栽されたハシドイの木に白い花が満開に咲いていました。(花が散る間際で萎れかけのようでした。)
セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷で、吸蜜に専念しているようです。


ハシドイ花
ハシドイ花
ハシドイ花・全景
ハシドイ花+幹
ハシドイ葉

セイヨウミツバチ♀@ハシドイ訪花採餌

2019/09/11

ケバエを捕食するアリグモ♀(蜘蛛)



2019年6月中旬

生ゴミを自然発酵させて堆肥にするコンポスト容器の蓋で捕食中のアリグモ♀(Myrmarachne japonica)を発見。
生ゴミに集まるハエ類を待ち伏せして狩る捕食戦略なのでしょう。

獲物は黒い微小な昆虫で触角が短く、おそらくケバエ科の一種だと思います。
アリグモ♀は獲物を噛み締めて吸汁しながら歩き回ります。

アリグモがアリにそっくりなのは、油断させておいてアリを狩るための攻撃的擬態ではないかと考えられていた時代もあったそうです。
しかし現在は否定されていて、むしろ捕食者対策のベーツ型擬態と考えられています。
実際に今回の観察でも、徘徊中のアリ(種名不詳)のワーカー♀が近寄ってくると、アリグモ♀は慌てて向きを変えて逃げ回っています。
第1歩脚を振り上げアリの触角のように動かしているのは、威嚇のつもりなのでしょうか。
しかし視力の弱いアリに対しては、ほとんど効果がありません。
アリグモ♀は右往左往して、終いにはコンポスト容器の蓋の取っ手の陰に逃げ込みました。
物陰に隠れたアリグモ♀が表に出て来るように指を使って追いやってから、撮影を続けます。
あちこち逃げ惑っても、アリグモ♀はしっかり噛み付いた獲物を手放しません。
肉団子のように丸めながら吸汁しています。(体外消化)

(映像に登場するアリの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。)


アリグモ♀(蜘蛛)顔@コンポスト容器+ケバエsp捕食
アリグモ♀(蜘蛛)@コンポスト容器+ケバエsp捕食
アリグモ♀(蜘蛛)@コンポスト容器+ケバエsp捕食

2019/09/07

キンギンボクの花で集粉するスミゾメハキリバチ♀



2019年6月中旬

川べりの護岸付近に咲いたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)の群落でムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が忙しなく訪花していました。

一瞬クロマルハナバチ♀と見間違えそうになりましたが、腹部下面にオレンジ色のスコパ(集粉毛)が見えるので、ハキリバチ科の♀と分かります。

訪花シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、ムナカタハキリバチ♀は毎回花の雄しべにしがみついています。
飛翔筋の運動で雄しべの葯に振動を与え、落ちてくる(降り注ぐ)花粉を集めているようです。
この採餌法を振動集粉と言います。
このとき黒い舌を伸ばしても蜜腺には届いていないようなので(@1:40)、吸蜜はせずに集粉(花粉集め)に専念しているようです。


スミゾメハキリバチ♀@キンギンボク訪花

2019/09/03

キンギンボクの花で採餌するクマバチ♀



2019年6月中旬

川沿いで見慣れない灌木に咲いた白い花にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
花から花へ忙しなく飛び回り、正当訪花を繰り返し吸蜜しています。(※追記参照)
腹背は黄色い花粉で汚れているものの、後脚の花粉籠は空荷でした。


※ 【追記】
映像を見直すと、正当訪花ではなく穿孔盗蜜しているようです。


▼関連記事(1年後に撮り直し)
キンギンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

クマバチ♀@キンギンボク訪花採餌
クマバチ♀@キンギンボク訪花採餌

さて、気になるのはこの植物の名前です。
川沿いのコンクリート・ブロックの護岸を覆うように低く繁茂したり、隣接する河畔林でニセアカシアやタニウツギなどの木々に絡みつく蔓植物のようにも見えます。
外来植物の群落なのかと思いきや、キンギンボク(別名ヒョウタンボク)と教えてもらいました。


キンギンボク(ヒョウタンボク)花
キンギンボク(ヒョウタンボク)花
キンギンボク(ヒョウタンボク)花・全景:コンクリート護岸
キンギンボク(ヒョウタンボク)花・全景:河畔林(ニセアカシア)
キンギンボク(ヒョウタンボク)花・全景:河畔林(ニセアカシア)
キンギンボク(ヒョウタンボク)花・全景:河畔林(タニウツギ)

2019/08/19

ミズキの花の周囲で占有飛翔するクマバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年5月下旬・午前7:40〜8:07

河畔林で花がほぼ咲き終わったミズキ大木の横でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がホバリング(停空飛翔)して交尾相手の♀を待ち構えていました。
クマバチの雄蜂♂は正面から顔を見ると、白い頭楯が目立ちます。(♀の顔は黒い)

クマバチ♀に限らず他の昆虫でも何か飛行物体が縄張りに侵入すると、クマバチ♂はすぐに急行し、追い払ってしまいます。
スクランブルの後はだいたい同じ空域にすぐ戻って来て、縄張り占有行動を続けます。
ライバル♂が来ると空中戦になります。
▼関連記事
満開の桜並木にてクマバチ♂の占有飛翔と闘争

ホバリングするクマバチ♂を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:04〜)
ホバリング中の体軸は水平ではなく、少し上向きで斜めになっていました。
ラストシーンではミズキの隣に立っていたニセアカシアの花の周囲にも少し進出しましたが、ホバリングしながらミズキの方へ戻って来ました。
ミズキの白い花がどんどん散っていて、撮影中も風が吹くと次々に降り注ぎます。

冒頭のシーンでは珍しくクマバチがミズキの花に着地していました。(@0:00〜0:20)
引きの絵で撮ったので、性別が見分けられません。
吸蜜(および採餌)を済ませて花から飛び立つと奥の枝に移動して見失いました。

複数個体を撮影。


クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔
クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔
クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔

2019/08/16

ヒメハナバチ♀複数個体が同じ巣に出入り、出巣の定位飛行



2019年5月中旬・午後12:11〜12:20


▼前回の記事
ヒメハナバチの営巣地で穴掘りを邪魔し、巣口に侵入を試みるアリ【ハイスピード動画】

ヒメハナバチ科(またはコハナバチ科?)の一種の集団営巣地で小さな蜂の忙しない活動を漠然と眺めていても目移りするだけです。
とある巣口に注目して、三脚に固定したカメラでじっくり長撮り監視してみることにしました。

後脚の花粉籠に花粉を付けていない空荷の個体♀bが飛来しました。
腹部は光沢のある黒と黄金色の縞模様になっています。
着陸してすぐに巣口を探り当て、中に潜り込みました。
巣口は小石(大きめの砂粒)で塞がれていて、確かに外からは分かりにくくなっています。

その直後に、今度は後脚の花粉籠に花粉団子を満載した別個体が飛来しました。
巣口を探して辺りを試掘しているときにクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀とニアミスしたものの、アリの方が避けて通ってくれました。
ヒメハナバチ♀aも苦労の末にようやく正しい巣口を探り当てて、中に入って行きました。
ハチが入巣する度に毎回、閉塞石による戸締まりが自動扉のように機能していることに感心します。
偶然なのかもしれませんが、寄生者対策として進化した習性では?とつい先走って考えたくなります。
巣穴が多数開いている集団営巣地の中でもし帰る巣を間違えたのだとしたら、在巣の主からすぐに叩き出されてしまうはずです。
無事に入巣できたので、同じ巣に複数個体の♀が暮らしている社会性ハナバチと判明しました。

次は小さなハエが飛来し、ヒメハナバチの営巣地に着地しました。
寄生バエのようで思わせぶりですけど、すぐに飛び去りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
前の記事に登場したアブとも違う種類です。

▼関連記事
ヒメハナバチの営巣地でホバリングする寄生アブ?との攻防【ハイスピード動画】

しばらくすると、採餌に出かける♀が巣口の外に頭から出て来ました。
さきほど運んできた花粉は巣内の育房に掻き落としてきた後なので、後脚の花粉籠は当然ながら空荷です。
閉塞石の隙間をすり抜けるように巣口から這い出て来ます。
すぐに飛び立つと定位飛行してから外役に出かけました。
定位飛行を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、頭を巣口に向けたまま営巣地の周囲の状況を記憶しながら扇状に飛び回っていることが分かります。
続けてもう一匹の♀も巣から出てきて、軽く定位飛行してから採餌のために花畑へ出かけました。
同じ巣に同居する個体数をきっちり調べるには、巣に出入りするハチの全てに個体識別のマーキングを施さないと分かりません。

観察初日の記録は以上です。
出巣シーンがなかなか撮れないのが不思議でした。
外役、採餌は午前中に済ませてしまうのかもしれません。

何はともあれ、同定するために蜂を採集しなければいけません。
裸地のあちこちに巣穴が開いている集団営巣地の中で、入巣直後の巣に目をつけました。
小さなプラスチック容器で巣口を塞ぎ、出巣する個体を捕獲しようと試みたものの、上手く行きません。
営巣地は緩斜面になっているため、手を離すと容器が倒れてしまいます。
容器を手で持って待ち構えていると地中に微小な振動が伝わり、蜂は警戒して外に出てきてくれません。

そこで作戦変更。
黄色い花粉を運んで帰巣のため着地した蜂にすかさずビニール袋を被せて捕獲しました。
動画撮影した巣口とは別の巣に戻ってきた♀個体です。
1匹だけではサンプリングとして心許ないのですけど、欲張って蜂を取り過ぎるとせっかく見つけた個体群が絶滅してしまうかもしれないので、最小限に留めます。
生物のフィールド調査も持続可能性がなによりも大切です。

以下は標本の写真。(掲載予定)
とりあえず、ヒメハナバチ科かコハナバチ科かぐらいは自力で区別できないと話になりません。
ウツギヒメハナバチだと嬉しいのですが、どうでしょう?



この後は、別テーマの撮影プロジェクトが忙しくて手が回らなくなってしまいました。
そのうちに、この集団営巣地で蜂の活動が見られなくなりました。
もし年二化の場合は、夏から秋にかけてコロニーの活動が再び活発になるかもしれないので、定期的に通って状況をチェックすることにします。

コハナバチ科だとすると、素人が生態を解明するのはとても難しいので、予習が必要です。
北海道大学のキャンパスでホクダイコハナバチの生態を解明した坂上昭一『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』という名著を読み返しているところです。
2006年に初めて読んだときには中公新書なのに強烈に難しくて(当時は馴染みのないコハナバチのイメージが全く沸かず)読み通すのも一苦労でした。
それから13年、私もフィールドでの実体験を少しずつ積んで、ようやくこの本の記述や面白さが理解できるようになってきました。
他にも『ハチとアリの自然史―本能の進化学』第7章 単独性コハナバチにおける「社会性の」出現 (宮永龍一・前田泰生・北村憲二)も再読しないといけません。


つづく→


2019/08/13

ヒメハナバチの営巣地で穴掘りを邪魔し、巣口に侵入を試みるアリ【ハイスピード動画】



2019年5月中旬・午後12:03〜12:10


▼前回の記事
ヒメハナバチの営巣地でホバリングする寄生アブ?との攻防【ハイスピード動画】

花から花粉を運んで営巣地(集団コロニー)に戻って来たヒメハナバチ科(またはコハナバチ科?)の一種♀aが地面を掘っている様子を240-fpsのハイスピード動画で撮影しています(画面中央下)。
そこへ別個体bが空荷で飛来するも、2匹は互いに無関心です。
その羽ばたきで地面に落ちていた虫の抜け殻が舞い上がりました。

次に大小2匹のクロアリ(種名不詳)ワーカー♀が通りかかりました。
小さい方のアリが穴掘り中のヒメハナバチ♀aに触角で触れました。(@0:37)
その途端に驚いたヒメハナバチ♀aが慌てて飛び立ちました。
まさにお邪魔虫。

すぐにまた花粉団子を後脚に付けたヒメハナバチ♀aが戻って来て、穴掘りを再開しました。
地面にあるはずの巣穴の位置を突き止められず、飛び立ちました。
辺りの様子を見回ってから(定位飛行)再び戻ってきて着陸、穴掘りを再開。

今度は花粉団子を付けた別個体♀cが飛来し、穴掘り中の♀aの傍に着地しようとしました。(@1:44)
すると巣口を見つけられない♀aは飛び去ってしまいました。
2匹は同種だと思うのですが、若干の体格差があるようです。

後から来た♀cの方が帰巣能力が優秀で、遂に巣口を探り当てて中に入りました。(@2:05〜2:45)
小石(砂粒)を少し横に掻き分けてその下を掘ったら小さな巣口が現れたのです。
まるで「開けゴマ!」と呪文を唱えたようです。
入巣と同時に小石が自然に転がって巣口を塞ぎました。(@2:46)
自動扉による戸締まりで防犯対策は万全です。
素人目にはもう巣口がどこにあったのか分からなくなってしまいました。

続けてもう一匹の♀が採餌場から花粉団子を運んで来ました。(@2:54)
さっき逃げた♀aかもしれません。
営巣地に着陸すると巣口を探して試掘を始めます。
しかし微妙に違う場所を探しています。

空荷の別個体が画面下から飛来するも、互いに無関心で通り過ぎました。(@3:30)
空荷の個体が雄蜂♂なのか同種の♀なのか、それとも別種の蜂なのか、私には分かりません。

労働寄生性ハナバチの可能性もありそうです。(※ 追記参照)

徘徊中のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が巣口を偶然に見つけてしまいました。(@4:00)

蟻は目がほとんど見えませんから、匂いでヒメハナバチの巣穴を嗅ぎ当てたのでしょう。
頭を突っ込んで侵入を試みるも、諦めました。
巣の中から門衛に撃退されたのかな?
横で地面を試掘中の♀a+花粉団子とアリがニアミスし、ヒメハナバチ♀aが少し飛び上がってアリを営巣地から追い払いました。
再び着陸した♀aは必死で巣口を探しますが、依然として見つけられません。
すぐ近くにあるのに、見ている私ももどかしいです。

実はこの辺りは多数の巣穴が開いている集団コロニーらしく、どの巣に注目して撮影しようかと目移りするほどでした。
巣口が常に開きっぱなしの巣もあり、それが普通なのかもしれません。(映像なし)
今回撮影した巣口が小石で塞がれてしまって迷子を生み出しているのは事故みたいなもので、アリやヒトが営巣地を徘徊して踏み荒らしたせいなのかな?
それとも蜂が巣から外出する際に戸締まりする習性があるのでしょうか?
迷子になっている個体は外出経験が浅いのか、それとも馬鹿なのかな?

登場したクロアリは普通種のクロヤマアリかクロオオアリだと思うのですが、しっかり確かめていません。

つづく→ヒメハナバチ♀複数個体が同じ巣に出入り、出巣の定位飛行




※【追記】
北海道大学のキャンパスでホクダイコハナバチの生態を解明した坂上昭一『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』という中公新書の名著を読み直すと、「寄生者たち」と題した章が設けられていました。
労働寄生性のコハナバチ、エサキヤドリコハナバチの飛来である。ホクダイとほぼ同大、漆黒で腹の前半が鮮紅色のハチだ。地表すれすれにとびまわりつつ巣を探し、持ち主がいないと侵入し、持ち主の労苦の成果を横取りする。 (p30より引用)

しかし腹部が赤い蜂を私は見ていません。
『日本産ハナバチ図鑑』を紐解くと、ヤドリコハナバチ属は多数の種が知られていて、腹部の前半が赤いのは♀で、♂は全身が黒い種類もいるようです。
とりあえず、私が見ているハチがヒメハナバチ科なのかコハナバチ科なのか、確かめることが先決ですね。

2019/08/12

ニセアカシアの花で吸蜜・採餌するクマバチ



2019年5月下旬

河畔林で満開に咲いたニセアカシア(別名ハリエンジュ)キムネクマバチ♀♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
ニセアカシアの花の周囲で縄張りを張り♀を待ち伏せる雄蜂♂はこの時期によく見かけるのですけど、訪花シーンを撮れたのは意外にも今回が初めてです。

▼関連記事(2年前の撮影)
ホバリング中のクマバチ♂に石を投げてみると…【HD動画&ハイスピード動画】

花から花へと忙しなく飛び回るため、クマバチの性別をしっかり見分けられませんでした。
長時間のホバリング(占有飛翔)に疲れた♂が栄養補給(吸蜜)に来たのかな?
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けていれば間違いなく採餌中の♀です。


2019/08/10

ヒメハナバチの営巣地でホバリングする寄生アブ?との攻防【ハイスピード動画】



2019年5月中旬・午後12:02


▼前回の記事
採餌後に地面の巣口を見失ったヒメハナバチ♀の一種【HD動画&ハイスピード動画】

ヒメハナバチ科(またはコハナバチ科?)の一種♀が採餌から営巣地(集団コロニー)に戻って来て地面を掘っている様子を240-fpsのハイスピード動画で撮影していると、意外な珍客が登場しました。

巣口を見つけられずに苦労しているヒメハナバチ♀の背後で1匹の小さな虻が地面スレスレの低空でホバリング(停空飛翔)しています。
寄生ハエの♀が寄主の巣に産卵するチャンスを虎視眈々と狙っているのだとしたら面白いのですが、素人目には(寄生ハエではない)ホソヒラタアブの仲間にしか見えません。
辺りには芝生(?)が疎らに生えているだけでハナアブ類が好むような花は咲いていませんし、こんな裸地に一体何の用があるのか謎です。
交尾相手の♀を待ち伏せしているホソヒラタアブ♂なのでしょうか? (だとしても♀がこんな所に来るでしょうか?)
あるいは寄生性ツリアブの一種なのですかね?
このアブ(?)について何かご存じの方は教えて下さい。
同定用の高画質写真は撮れていません…。

ホバリングしている虻が、穴掘り中のヒメハナバチ♀aとの距離をこっそり縮め始めました。
そこへもう別個体の蜂bが飛来しました。
後脚の花粉籠に花粉を運んでいない空荷の個体です。(雄蜂♂なのかも?)
虻と一緒にもつれ合うように飛び去りました。
営巣地を寄生者から防衛しているのでしょうか?
蜂bがタイミング良く飛来したのは、たまたまですかね?



北海道大学のキャンパスでホクダイコハナバチの生態を解明した坂上昭一『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』という中公新書の名著を紐解くと、「寄生者たち」と題した章が設けられていました。

ヒメホオビロハナバエ(諏訪正明博士同定・新和名)は巣の近くの地表で、ハチの帰巣をじっと待っている。帰ってくると飛び立ち、その1ー2センチ後を追う。ハチは敵の存在に気づいているのか、左右にコースを変えるが、ハエは実に正確にその飛跡をたどる。ハチが着地して巣に消えると、ハエは巣口に腹をつっこむ。ときには中まで潜っていく。このとき卵、または体内でかえった幼虫を産むのだろう。巣はかなり多いのに、ハエはハチのもどってきた巣にしか入らない。寄主の存在が確実な巣のみをねらうのだろうか。(p31より引用)


しかし「ヒメホオビロハナバエ」でインターネット検索しても、画像(写真)はおろか全く何も情報がヒットしません。
その後に和名が変わったとしても、本に学名が併記してあれば追求できたのに、残念です。
とりあえず、私が見ているハチがヒメハナバチ科なのかコハナバチ科なのか、確かめることが先決ですね。


つづく→ヒメハナバチの営巣地で穴掘りを邪魔し、巣口に侵入を試みるアリ【ハイスピード動画】


2019/08/08

採餌後に地面の巣口を見失ったヒメハナバチ♀の一種【HD動画&ハイスピード動画】



2019年5月中旬・午前11:55〜12:11

この時期(早春)に活動するハナバチと言えば、ウツギヒメハナバチなどが有名です。
ウツギの花で採餌する♀や♂の求愛行動などはこれまで観察しているものの、どうしても営巣地を見つけられませんでした。
今回、ヒメハナバチ科(またはコハナバチ科?)の一種の集団コロニーを偶然に見つけました。

後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載した蜂が営巣地を低空でぐるぐる飛び回ってから、飛び去ってしまいました。
しばらくすると採餌から帰巣した別の♀が(黄色い花粉団子を満載)裸地を掘っていました。
しかし巣口を見つけられずに飛び去ってしまいます。
出巣の際に巣口を一時閉塞する習性があるのかな?
もしかすると、直前に私が気づかずに歩き回って営巣地を踏み荒らしてしまった可能性もあります。

私が近くで突っ立ているせいで、帰巣した蜂にとって営巣地の景色がガラリと変わってしまって迷子になっているのでしょうか?
蜂は記憶を頼りに何度も帰巣をやり直しては巣口を必死で探しています。
あるいは、たっぷり採餌した後で一から巣穴を掘り始める蜂なのでしょうか?(狩蜂ならともかく、そんな非効率な営巣習性のハナバチは記憶がありません。)
養蜂ミツバチの大量死(蜂群崩壊症候群)で騒がれたように、ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)の影響で記憶や認知機能が低下しているのでしょうか?
(フィールドで見かけるミツバチやマルハナバチの数が今季は少ない印象があり、非常に気がかりです。)

映像を見直すと、気になる物がちらっと写っていました。(@0:15)
画面左下隅の地面にある黒い小さな物体(小石?)が蜂の頭部のようにも見えます。
門衛が巣内から顔を出して外を見張りつつ巣口を塞いでいるのかな?と想像してみたのですが、定かではありません。

事態をややこしくしているのは、映像に登場する蜂が少なくとも2種類いるように見えることです。
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載した個体と空荷の個体です。
採餌から戻った個体は全身が黄色い花粉でうっすらと汚れているために、空荷の♀とは同種でも見た目の印象が変わって見えるのかもしれません。
空荷の個体は体表の光沢が目立ちます。
同種の♀と♂が営巣地を飛び回っているのでしょうか?
採集してきちんと調べたら、本当に別種の蜂かもしれません。

巣穴を試掘してから飛び立った♀(+花粉団子)が別個体(空荷)と空中でコツンと衝突しました。
初めの♀は驚いて飛び去ってしまいました。
小競り合いの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイします。
集団コロニーで近所の♀同士で縄張り争いがあったりするのかもしれません。
それとも雄蜂♂が♀に交尾を迫る求愛行動なのかな?
同様のシーンが何度も繰り返されます。
空荷の個体も地面を少し掘っただけで、すぐに諦めて飛び去ってしまいます。
辺りを低空で飛び回ると、再び同じ場所に着地しました。
そこへ花粉団子を満載した♀個体が戻って来て、追い払われました。
この♀も巣穴を見つけられずに地面を試掘しただけで、諦めて飛び去ってしまいました。
事態が一向に進展しないので、見ている私も次第にやきもき(苛々)してきます。

蜂の飛翔があまりにも敏捷なので、一体何が行なわれているのか素人目にはさっぱり分かりません。
そこでやや引きの絵にして、240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@2:23〜5:57)
すると効果は絶大で、文明の利器のありがたみを実感します。
逆に、スーパースローの映像が撮れない時代に蜂の詳細な観察記録を残した先人の偉大さが際立ちます。

花粉籠を花粉で満載した♀が地面で穴掘りしています。
諦めて飛び立つと、出巣のときの視覚記憶と照らし合わせるように定位飛行してから、「やっぱりこの辺りだわ」とばかりに、ほぼ同じ場所に着陸しました。
小石(砂粒)の間に頭を突っ込んで少し掘ってみたものの、諦めて再び飛び去りました。
採餌から帰巣した♀蜂は営巣地の裸地で小刻みに離着陸を繰り返し、あちこちで試掘を繰り返して巣口を探し回っています。
帰巣時に迷子になりやすいのなら、予め巣口付近にフェロモンで匂い付けしておけば良いのに…と私は余計なお世話を妄想しながら見ていました。(これからそのように進化するはず!?)

自然界の生き物は初心者にも手加減しません。
図鑑や本に書いてあるようなスッキリ分かりやすい状況ではなく、現実のフィールドではいきなり難しい応用問題が目まぐるしく繰り広げられます。
観察しても混沌としていて、とにかく分からないことばかりです。
これから謎を一つずつ解きほぐしていくしかありません。
映像で蜂の名前の見当が付く方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。

ウツギヒメハナバチかどうか未だ分かりませんが、周囲にウツギの木は未だ見つかっていません。

今後も定点観察に通う必要があるため、場所を秘匿します。
当地では珍しいカシワの木を某所で見つけて、春に芽吹く様子を写真に撮るため定点観察に通っていました。
その根元付近の地面に何気なく目をやると、とても小さな蜂(ミツバチよりも小型)が多数飛び回っていたのです。
辺りにはカシワ以外の樹種(落葉性広葉樹)も混在していましたが、問題の営巣地は木陰ではなく日当たりが良いギャップになっていました。
地面は少し斜面になっていて、芝生(?)が疎らに生えていました。
周囲の環境などもこれ以上詳しく書くのを(当分の間は)控えますが、人里離れた自然豊かな環境というより、意外にも都市環境に近いです。
生息地(集団コロニー)がいつ人為的に荒されるか危ぶまれる場所なので、なおさら気を使います。
たとえ普通種のハナバチでも、初めて観察する私にとっては大切なフィールドです。

つづく→ヒメハナバチの営巣地でホバリングする寄生アブ?との攻防【ハイスピード動画】




【追記】
北海道大学のキャンパスでホクダイコハナバチの生態を解明した坂上昭一『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』という中公新書の名著を紐解くと、営巣地で終日観察したなかで「変わった行動」を示した個体が記録されていました。
巣12の♀は、9時32分に外出したきり、観察終了まで戻らなかった。ただし翌日は帰巣していた。このような例は記憶喪失の結果と思われる。まだ未経験の若バチだったのかもしれない。類似の例が17の観察巣で7回見られた。 (p30より引用)
とりあえず、私が見ているハチがヒメハナバチ科なのかコハナバチ科なのか、確かめることが先決ですね。

ヒメハナバチ♀sp+花粉団子@巣穴掘り
ヒメハナバチ♀sp+花粉団子2@帰巣
ヒメハナバチsp-花粉団子@巣穴掘り
ヒメハナバチ♀sp±花粉団子2@帰巣ニアミス

2019/07/21

ツルウメモドキの雄花で採餌するコハナバチ?ヒメハナバチ?♀



2019年5月中旬

早春の河畔林でハシボソガラスのつがいが巣材として集めていた蔓植物の名前が分からなかったので、約20日後に現場を再訪しました。

▼関連記事
ツルウメモドキの蔓を折って巣材を集めるハシボソガラス♀♂(野鳥)

蔓植物が巻き付いていた大木には若葉が茂り始め、ニセアカシア(別名ハリエンジュ)と判明。
そして謎の蔓植物(落葉性)には若葉が生い茂るだけでなく雄花が満開に咲いていて、ツルウメモドキの雄株と分かりました。
小さな花のそれぞれに雄しべは5本あります。

その花に小型のハナバチ♀が1匹、訪花していました。
吸蜜する蜂の後脚を見ると、花粉籠に黄色い花粉団子を満載しています。
『日本産ハナバチ図鑑』末尾の訪花植物名索引を調べても、ツルウメモドキは載っていませんでした。
コハナバチ科またはヒメハナバチ科の一種だと思うのですが、採集して標本を精査しないと私には見分けられません。
撮影後に採集を試みたのですが、私の殺気を感じた蜂は逃げてしまいました。


コハナバチ/ヒメハナバチsp♀@ツルウメモドキ雄花訪花採餌
コハナバチ/ヒメハナバチsp♀@ツルウメモドキ雄花訪花採餌
コハナバチ/ヒメハナバチsp♀@ツルウメモドキ雄花訪花採餌

ツルウメモドキ雄花@ニセアカシア河畔林・全景
ツルウメモドキ雄花@ニセアカシア河畔林・全景
ツルウメモドキ雄花
ツルウメモドキ雄花
ツルウメモドキ雄花
ツルウメモドキ雄花

2019/07/11

枝垂れ桜の花の周囲で占有飛翔するクマバチ♂



2019年4月下旬

街中の路地裏に植えられたシダレザクラ(枝垂桜)に薄いピンク色の花が満開に咲いていました。
その花の横でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がホバリング(停空飛翔)していました。
縄張りを張って交尾相手の♀を待ち伏せしているのです。
クマバチ♀に限らず何か虫が飛んできただけでクマバチ♂はすかさず反応してすっ飛んで行き、もしライバル♂の領空侵犯があれば縄張りから追い払います。
空振りだったと分かると元の空域に戻って見張りを続けます。
♀との交尾は早い者勝ちなので、雄蜂♂は必死なのでしょう。
しかしクマバチ♀♂の交尾シーンを私は未だ一度も見たことがありません。


クマバチ♂@枝垂桜訪花+占有飛翔

2019/07/05

水路で水を飲むセイヨウミツバチ♀



2019年5月上旬

川の本流に流れ込む手前の水路にセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が来ていました。

水門の直下で水深は浅く、岸辺には泥や緑藻が堆積しています。
その泥の表面に止まったミツバチは、どうやら水を飲んでいるようです。
背中を向けていて肝心の口元が見えないのが残念でした。
吸水中も激しい腹式呼吸をしています。

藻が生えた泥の上をハエ(種名不詳)も歩き回り表面を舐めています。
喉の乾きを癒やしたセイヨウミツバチ♀が飛び立つ時に見えた後脚の花粉籠は空荷でした。

水を飲むミツバチを観察したのは、実は今回が初めてかもしれません。




セイヨウミツバチ♀@水路底+吸水

2019/06/22

スズバチ♂:身繕いからの探雌飛翔



2018年9月上旬

用水路沿いの草むらでスズバチ♂(Oreumenes decoratus)がカナムグラの葉に乗って休んでいました。
日光浴しながら身繕いしています。

この個体は、スズバチにしてはトレードマークである黄紋の赤味が強く見えて、一瞬、見慣れない別種か?と思ったぐらいです。

(映像を見直すとそうでもないので、このときは日射病で頭がボーッとしていたのかもしれません。)
背側から撮っているので顔色は見えないものの、触角の先が鈎形に曲がっているので、雄蜂♂でしょう。

やがて飛び立つとハチミツソウ(別名ハネミギク)の花が咲いた群落を飛び回り始めました。
ハチミツソウで吸蜜する訳でもないので、交尾相手を探す探雌飛翔なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


スズバチ♂@カナムグラ葉

2019/06/16

満開の桜並木にてクマバチ♂の占有飛翔と闘争



2019年4月下旬

ソメイヨシノの桜並木のあちこちで、キムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が満開に咲いた花の周囲に縄張りを張って占有飛翔していました。

桜に訪花する♀と交尾しようと空中でホバリング(停空飛翔)しながら待ち構えているのです。
しかし、実際に桜の花で吸蜜・採餌するクマバチは一匹も見かけませんでした。
クマバチの交尾シーンも私は未見です。
周囲を飛ぶどんな昆虫にも敏感に反応して迎撃にすっ飛んで行くので、蜂にピントを合わせてズームインする暇がありません。
雄蜂にはのんびり花見する余裕など無く、忙しなく必死で飛び回っています。

縄張り内で2匹の♂が出会うと、空中で睨み合いつつ天高く飛び上がりました。
見失ってしまい、その後どうやって勝負の決着が付いたのか分かりませんでした。

5年前にも同じ状況を撮影していますが、♂同士の縄張り争いも観察することが出来たのが今回の収穫です。
▼関連記事
桜の花とクマバチ♂の占有飛行

ホーホケキョ♪と鳴くウグイス♂の囀りさえずりが辺りから聞こえています。


クマバチ♂@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔
クマバチ♂@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔
クマバチ♂2@ソメイヨシノ訪花+占有飛翔+闘争

2019/06/10

柳の葉の甘露を舐めるキイロスズメバチ♀



2018年10月上旬

湿地帯の端に生えた柳の灌木でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が葉をペロペロと頻りに舐めていました。
この行動はいつ見ても不思議です。

▼関連記事(3年前にほぼ同じ場所で撮影。柳の種類が違う)
柳の葉を舐めるキイロスズメバチ♀

今回の柳の樹種は、なんとなくタチヤナギですかね? 
蜂が舐めていた葉の表面にはシロップをかけたようにテラテラとした光沢があり、いかにも甘そうです。
アブラムシ類などが排泄した甘露が付着しているのでしょうか?
柳に花外蜜腺の有無を知りたいのですけど、素人には適切な資料が見つけられないでいます。
どなたかご存知の方は教えて下さい。
ヤナギの花の器官に「腺体」という用語を見つけたのですが、花外蜜腺とは無関係なようです。

花は花被をもたず腺体があって,みつが分泌され,虫媒花である。(ヤナギ@『世界大百科事典 第2版』より引用)
春に咲いた柳の花が葉に滴り落ちるほど多量の蜜を分泌して、それが秋まで残っているとは思えません。
樹液が葉に滴り落ちたのかな?
「(タチヤナギの葉の)縁には先端が腺になる細かいきょ歯(鋸歯)がある。」という記述は、花外蜜腺を意味しているのでしょうか?


植物学に疎い一素人の愚痴を言わせてもらうと、どうして植物学では「腺」とか「腺体」という曖昧な用語を使うのでしょう?
植物ではこれは全て「蜜腺」と解釈して良いのかな?
動物学なら汗腺、乳腺、涙腺、唾液腺、眼下腺など使い分けています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


キイロスズメバチ♀@柳葉+甘露舐め
キイロスズメバチ♀@柳葉+甘露舐め
キイロスズメバチ♀@柳葉+甘露舐め

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