2018/07/16

孵化した雛に給餌するためニセアカシア樹上の巣に通うハシボソガラス(野鳥)



2018年4月下旬・午後16:33〜17:50
▼前回の記事
ニセアカシア樹上の巣で抱卵するハシボソガラス(野鳥)

7日ぶりの定点観察。
ニセアカシア(別名ハリエンジュ)の枝に葉は未だほとんど芽吹いていません。
ハシボソガラスCorvus corone)の巣内では既に雛鳥が孵っており、親鳥がせっせと給餌しに通っていました。

親鳥が帰巣すると、ニセアカシアの枝に着陸した振動に反応して雛鳥が一斉に伸び上がり、嘴を大きく開けて餌乞いします。
カラスの雛や幼鳥は嘴の中が赤いのが特徴です。(成鳥になると黒くなる)
少なくとも4羽の雛が見えます。
未だ羽毛が生え揃っていない裸の雛たちに親鳥は少量ずつ餌を口移しで与えています。
親鳥を個体識別できないので、♀♂つがいが交互に給餌に来ていることを確かめられませんでした。
食事を済ませると雛は巣にうずくまって休んでいるらしく、外からは全く見えません。
春風が吹くとニセアカシアの高木がゆっくり左右に揺れます。

給餌を済ませた親鳥は巣を離れると旋回、滑空して河畔林の枝に止まりました。
足元の枝に嘴を擦り付けています。
出巣した親鳥が近くの電線に止まって休むこともありました。
雛鳥に給餌した後に親鳥が雛の排泄した糞を巣の外へ捨てに行く排糞行動が、この日は私が見ている間は一度も見られませんでした。
孵化したばかりの幼い雛鳥は食後すぐには排便しないのかもしれません。
幼い雛は巣内に糞を垂れ流すのかもしれません。

親鳥は主に対岸の河川敷(荒れ放題の草地)で採食しているようです。(映像公開予定)
採食を済ませてもすぐには帰巣せず、近くの電線や木の枝などに一旦止まって辺りを警戒し、安全を確認してから雛鳥の待つ巣へ戻っていました。

この河畔林にはハシボソガラスとハシブトガラスが両種とも生息・営巣しています。
2種の縄張りや棲み分けはどうなっているのか興味深い問題です。

撮影アングルを変えながら同じ巣を観察しています。
対岸にこっそり渡ってから巣を狙ってみたり、撮影アングルを試行錯誤してみました。
巣に近づいても見上げるアングルになると、巣内にいる雛の姿がほとんど見えなくなってしまいます。
親鳥が私に対して露骨に警戒するようになり、私の頭上を偵察飛行に来たりしました。
その後、親鳥は巣に近寄らなくなってしまいました。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後18:26。
午後18:40まで粘って対岸から監視したものの、親鳥は巣に戻って来ません。
おそらく怪しい私の存在がばれてしまい、警戒して帰巣したくないのでしょう。
もう夜も気温が高いので抱雛する必要がないのかな?
だとすれば親鳥は夜どこに塒入りしているのか、気になります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→川沿いの荒れ地で雛の餌を探すハシボソガラスの親鳥(野鳥)


ハシボソガラス(野鳥)@帰巣:ニセアカシア樹上+雛給餌
ハシボソガラス(野鳥)@帰巣:ニセアカシア樹上+雛給餌
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上

2018/07/15

ヒゲナガハナバチの一種:♂同士の誤認求愛



2018年5月上旬


▼前回の記事
カキドオシの花蜜を吸うヒゲナガハナバチの一種♂

川の堤防に咲いたカキドオシの群落でこの日に見かけたヒゲナガハナバチの仲間は触角の長い雄蜂♂ばかりで、触角の短い♀の姿を見かけませんでした。
♀が未だ羽化する前に♂が活動を始め、交尾相手の♀を待ち伏せしているのでしょう。(雄性先熟)

一匹の♂αが吸蜜しながら腹部を身繕いしていると、そこへ(おそらく同種の)別個体♂βが背後から飛来して軽く飛びつきました。
すぐに離れて少し離れた別の花に着陸し、吸蜜を始めました。
餌場(蜜源)からライバル♂を追い出す縄張り争いではないようなので、おそらく♀と誤認して交尾しかけたのでしょう。

スーパースローで撮影していれば、一瞬の出会いで何か面白いことが行われていたのかどうか突き止められたかもしれません。

その後、二匹の雄蜂は花上で念入りに化粧をしています。
とても長い口吻を伸縮させ、前脚で拭いました。
このぐらい舌が長ければ、カキドオシの漏斗状の花筒の奥にある蜜腺から吸蜜するのは容易でしょう。
カキドオシに正当訪花して吸蜜するハナバチ類は長い舌が必要なのです。

上の個体♂βが先に花から飛び立ちました。
下に居た個体♂αに再び誤認求愛してから飛び去りました。
今回もすぐに離れましたが、♂αは何か交尾拒否(抗議)のシグナルを発したのかな?

蜂を同定するため撮影後に持っていたビニール袋を被せて採集しようとしたものの、逃げられてしまいました…。



河川敷の草地を歩き回り採食するヒバリ♂(野鳥)♪



2018年5月上旬

私が河原の堤防を歩くと、ヒバリ♂(雲雀;Alauda arvensis japonica)が空高く飛びながらさえずる鳴き声が聞こえました。
しかし飛んでいる姿は見つけられず、河川敷の草地に舞い降りたところから撮影開始。
草地でじっと静止していると保護色で全く目立ちません。
近くに巣があるのではないかと期待したのですが、警戒心が強いようです。(※追記参照)
キョロキョロと辺りを見回しています。
ようやく歩き回りながら採食を始めてくれました。

水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、

ヒバリは草の種子も食べるが草原の中の昆虫も捕食する。(p25より引用)



ときどき甲高くピィピィ♪と鳴いています。
結構遠いのですが、鳴き声と嘴の動きが一致したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
これがヒバリの地鳴きなのかな?
バードリサーチ鳴き声図鑑」サイトで調べた「ヒバリの地鳴き」とは違うので、気になります。


オスは頭部の冠羽をよく立てるが、メスはオスほどは立てない[11]。(wikipediaより)
とのことですが、この個体は冠羽を立てませんでした。



※【追記】
小林朋道『先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』によれば、
(ヒバリの)親鳥が帰ってきた。まずは巣から数メートル離れた場所に降り立った。これはヒバリの習性である。それから、巣のほうは見ないで、ジグザグに巣に近づいていった。これも、巣の場所を知らせないためのヒバリの習性である。 (p45より引用)
「ヒバリは環境への順応性が高く、多少のことでは巣を放棄したりしない」「ヒバリは人間からの干渉にかなり耐性のある動物」とも書いてあったので(p19、21)、早く私もヒバリの巣を見つけられるようになって営巣・育雛行動を観察してみたいものです。


ヒバリ♂(野鳥)@河川敷:草地



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