2018/05/14

タケニグサ葉裏の初期巣で抱卵するキボシアシナガバチ創設女王【暗視映像】



2016年6月上旬・午後19:41

7日ぶりの定点観察で夜に様子を見に行きました。

▼前回の記事
夕暮れにタケニグサ葉裏の初期巣を守るキボシアシナガバチ創設女王【暗視映像】

山麓の道端に生えたタケニグサの葉裏に作られたキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の初期巣は意外にもほとんど育っていませんでした。

赤外線の暗視動画を撮ると、創設女王は頭部を巣柄に付けて(巣柄を噛んでる?)巣盤に乗った状態でガードしながら寝ていました。
私の気配に気づいて目覚めても巣上で少し身動きしただけで、あまり警戒を示しませんでした。
7室の育房内に白い卵が1個ずつ産み付けられています。
気温の下る夜間は女王蜂が抱卵して自分の体温で少しでも温めようとしているのでしょうか?
しかしアシナガバチの巣はスズメバチの巣とは異なり断熱効果の高い外被構造が無いので、風が少し吹くだけですぐに外気温まで下がってしまいそうです。

サーモグラフィーのカメラを手に入れたらぜひ撮ってみたいテーマの一つです。

蜂の自然な行動をなるべく撹乱しないように、今回は暗視動画のみで、ストロボ写真も撮りませんでした。
夜空には月齢5.0の三日月と一番星が出ていました。

残念ながらこのコロニーを観察できたのは、この日が最後になりました。
私の予想通り、道端の一斉除草作業によりタケニグサはなぎ倒され、この巣も失われてしまいました。(シリーズ完)


2018/05/13

田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)



2017年10月上旬

稲作農家にとってスズメPasser montanus)は収穫前に米を食い荒らす害鳥であり、田舎の田んぼ周辺にはスズメ追いの爆音機とか、風が吹くとキラキラ光るテープとか、案山子などが設置されていたりします。
スズメがイネの実(米)を実際に採食しているシーンをしっかり撮りたいと私は常々思っていました。
スズメはとにかく警戒心が強くて、肝心の食害シーンを動画で記録するのにひどく難儀します。

田んぼに実った稲穂にスズメの群れが集まっていました。
スズメの動向を見ていると、田んぼの中央部には行かず周縁部に留まっています。
どうやら、田んぼのすぐ近くにある木の茂みにいつでも避難できるように用心しているようです。
横の道に車が通りかかると警戒心の強いスズメは田んぼから一斉に飛び立ち、一時避難します。
しばらくすると再び樹上から田んぼに次々と飛び降りて来ます。
稲穂すれすれの上空でホバリングし、着陸すると稲穂に隠れて見えにくくなりました。

より良い撮影アングルを求めて私が少し移動しただけで、今度は私を警戒して田んぼに近寄らなくなってしまいました。
田んぼの端に無人カメラを設置すれば、もっと上手く撮れるかな?

大田真也『スズメ百態面白帳』という本を読むと、まさに私が今回観察した通りのことが書いてありました。

スズメがイネを食い荒らすのは、決まって田の周縁部で、広い田の中央部などということはけっしてない。しかも、すぐ近くにいざというときの隠れ場となる生け垣や木立、竹やぶなどの茂みがあるという条件がそろっている場所である。 (p13より引用)



川内博『大都会を生きる野鳥たち』によると、
 スズメは少なくとも稲作がはじまった数千年前から人間の近くにすみ、寄生ともいえる生活をしている鳥である。農作物やそれにつく虫などとともに、人のおこぼれを重要な食料源とし、巣のほとんどを人家や人工建造物に依存している。」(p93より引用)

「スズメはヒトに寄生」とは身も蓋もない表現ですが、言われてみれば確かにそうだなぁと納得します。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

キイロスズメバチ♀がセイタカアワダチソウの花で吸蜜しセイヨウミツバチ♀を狩る



2017年10月下旬

湿地帯に近い遊歩道の脇に背高く咲いたセイタカアワダチソウ群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。
種々のハナアブ類に混じって花蜜を舐めているようです。

スズメバチの吸蜜シーンは珍しいと思い動画を撮り続けていると、急に花穂の外側に向き直り、近くに飛来したセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀を捕獲しました。
花上で獲物を狩った瞬間を撮れたのは初めてですが、無造作に飛びついて捕獲しただけでした。

セイタカアワダチソウの黄色い花の上ではキイロスズメバチの体色はあまり目立ちませんから、もしかすると花蜜目当てに訪花していたのではなく、獲物を待ち伏せするための攻撃的擬態(ペッカム型擬態)なのかもしれない?と妄想してみました。
それまでに何度かハナアブ類とニアミスしていたキイロスズメバチ♀は、獲物に対して敏感になっていたのでしょう。

餌食となったミツバチの花粉籠に少量の花粉団子が付いていました。
キイロスズメバチは毒針は使わずすぐに大顎で獲物に噛み付いて仕留めるはずですけど、花の陰に隠れてしまいました。
獲物の首元(頭部?)を咥えて飛び去る瞬間、セイヨウミツバチ♀は反撃の毒針を出していました。
この後、キイロスズメバチはどこか近くで肉団子を作り、巣に持ち帰るはずですが、見失ってしまいました。



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