2018/02/10

山椒の枝で見つけたウスタビガ♂(蛾)の空繭の謎



2016年5月中旬

里山の細い山道を歩いていると、サンショウ(山椒)の枝先にウスタビガRhodinia fugax fugax)の空繭がぶら下がっているのを見つけました。
空繭の表面に卵が付着していないので、昨秋にこの繭から羽化した成虫は♂だと考えられます。
紡いだ繭を枝にしっかり固定するために絹糸でぐるぐる巻きにしてありますから、雑木林の上にある別の枝から落ちた空繭がひっかかっているのではありません。

空繭が潰れているのは、おそらく冬の深い根雪に埋もれていたからでしょう。

ウスタビガの幼虫は広食性ですがサンショウの葉を食べるはずがないので、意外な組み合わせだと思って記録しました。

つまり、こんな所に繭が作られているのは、ちょっと場違いなのです。(違和感を覚えます)
いつもお世話になっている「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトによると、ウスタビガ幼虫は広食性らしく、食餌植物が次のように列挙されています。

ブナ科コナラ属:クヌギ、コナラ、カシワ、バラ科:サクラ、カエデ科:ケヤキ、カエデ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科、バラ科
発見現場の周囲は鬱蒼とした雑木林ですから、幼虫は無理して口に合わない山椒の葉を食べなくても食餌植物には事欠かないはずです。
ウスタビガの終齢幼虫が営繭する直前に本来の食餌植物から降りて(落ちて?)徘徊し、たまたまこのサンショウの灌木を選んだだけ、と考えるのが自然でしょう。
もしかすると、寄生者などの天敵を避けるために、食餌植物から離れたところへ積極的に移動してから繭を紡ぐ習性が進化しつつあるのかな?

地上からの高さは92cm。
(ただし、営繭後にサンショウの灌木が少し育った可能性もあります。)
もしもウスタビガの幼虫がアゲハチョウの仲間みたいにミカン科の山椒の葉を本当に食べて育つとしたら、それはそれで食草転換の一例として大発見になるでしょう。



▼関連記事 (真冬の雑木林の枝先で発見) 
ウスタビガの空繭(蛾)



【追記】
有沢重雄、藤丸篤夫『生きもののサイン (せんせい! これなあに?)』という本に、ウスタビガの空繭が竹の枝先にぶら下がっている写真が掲載されていました。(p7)
竹もウスタビガ幼虫の食草リストには含まれていません。
このように食草を離れて営繭する例は別に珍しくないのかもしれません。





ナガボノシロワレモコウの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
回転集粉のように花穂上でグルグル歩き回りながら、口吻をあちこちに突き刺して吸蜜しています。
後脚の花粉籠に褐色の花粉団子を付けている個体と、空荷の個体がいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
流水を背景にすると、手ブレ補正処理のおかしな副作用が出てしまいますね。



2018/02/09

メマツヨイグサの粘る花粉を舐めるホソヒラタアブ♂



2016年10月下旬

峠道の道端に咲いたメマツヨイグサホソヒラタアブEpisyrphus balteatus)またはその仲間が訪花していました。
左右の複眼が頭頂部で接しているので♂ですね。
花蜜目当てに花の奥へ潜り込むのではなく、夢中で花粉を舐めていました。
食事中は翅を半開きにしています。

初め引きの絵で背面から撮っていた時は、前脚を擦り合わせる身繕いのように見えたのですが、横から撮り直すと、葯から花粉を前脚で掻き取りながら口吻を伸縮させて食べていました。

マクロレンズで接写してみると、花粉が粘り糸を引いていることがよく分かります。
まるで糸を引く納豆を食べているみたいですね。
マツヨイグサの仲間の花粉は、夜行性のスズメガなど鱗粉の多い送粉者の体に付着して運んでもらうために、粘着性が高いのが特徴です。
皆さんも指で葯に触れると簡単に確かめられます。

▼関連記事
メマツヨイグサの花粉は糸を引いて粘る

気温が低いせいか、私が近づいてもホソヒラタアブ♂はしばらく逃げずにいてくれたのは助かりました。
同定のため採集しようか迷っていたら、飛んで逃げられました。
この花の花粉を全て食べ尽くす前に満腹になったのでしょう。

道端のメマツヨイグサ群落から伸びた茎が一旦側溝(水は流れていない)に落ち込み、底からまた上に伸びた株に咲いたド根性の花でした。



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