2017/05/13

雪の日に川を歩くダイサギ(冬の野鳥)



2017年2月上旬

小雪がちらつく日に、町中を流れる川の中に佇む1羽のダイサギArdea alba)を見つけました。
ボサボサした飾り羽が寒風になびく様子が印象的でした。
川岸は雪で覆われています。
川下を向いて立っていたダイサギがときどき横を向くのは、きっと私を警戒して横目で見るためでしょう。
やがてダイサギは雪の積もった中洲の陰に隠れるように移動しました。

しつこい私は撮影アングルを求め、かなり近づいてからつづきを撮影。
ダイサギの横顔にクローズアップして識別点の目尻を確認します。
いつもと違ってこれほど接近しても飛んで逃げませんでした。
しっかり個体識別している訳ではありませんが、この川でいつも見かける顔なじみの個体だとすると、ようやく私に気を許してくれたのだろうか。
もしかすると厳冬期には餌不足で飛び立つのも億劫なほど飢えているのかもしれないと想像しました。

最後はようやく警戒を解いたのか、川の中を下流へ歩き始めました。
採食行動(漁)などの派手な活動を見れなかったのが残念。

やや退屈な動画かもしれませんが、雪国を知らない人はこの静謐なひとときが魅力的(エキゾチック)に思うかもしれません。



2017/05/11

エゾノコリンゴの果実を採食するヒヨドリの群れ【冬の野鳥】



2017年2月上旬

街中にある旧いお屋敷の立派な庭で、ヒヨドリHypsipetes amaurotis)がとある落葉樹に群がっていました。
雪をかぶった枝に残った丸くて茶色(干し柿のような色)の果実を喋んでいます。
果実の根本はとても細くて長い柄で枝につながっています。
例えるなら、サクランボの実に付いているような柄です。
この柄のせいでヒヨドリはとても食べにくそうな様子でした。
嘴で実をつついても実がブラブラ揺れるだけです。

失敗して、実を落としてしまうこともありました。
ようやく柄からちぎって実を丸呑みできたと思いきや、なぜか種子を吐き出し捨ててしまうシーンが撮れました。(@2:51~3:01)
これでは種子散布の役割を果たしていませんね。(偶々かな?)
最後ヒヨドリは鋭く鳴きながら飛び去りました。



【追記】
映像を見直すと、一羽が採食の合間に排便していました。(ややピンぼけですが左側の個体@1:05)
鳥の糞でよく見る白い液状便ではなく、珍しく黒い固形の便でした。
アングルがあまり良くないのですが、再び脱糞したかもしれません。(@3:05, 3:55)
まさしくヒヨドリによる種子散布の現場を観察できたことになります。


実は初めこの木にヒヨドリだけでなくツグミも来ていたのですが、撮影しようと私が近づいたらツグミは逃げてしまいました。

▼関連記事 
落葉した木に集まるヒヨドリとツグミの混群(冬の野鳥)
あるいはヒヨドリが群れで餌場を占有していたのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



この果実の樹種を調べるのに難航しています。
予想が二転三転して現在も調査中です。
撮影中はなんとなくマメガキだろうか?と思いました。
帰ってからは図鑑で少し調べて、エノキかな?と予想を変更。

「エノキの実は甘くてうまい」@『カラスの教科書』p117より
ところが春になって花が咲くと、エノキではなく、桜のような白い花でした。
ズミやエゾノコリンゴですかね?
葉が出るまでもうしばらくお待ち下さい。

次の写真5枚は5月上旬に撮影。



花が白く長枝の葉が中裂しないことから、ズミではなくエゾノコリンゴ(別名ヒロハオオズミ、サンナシ)とようやく判明しました。


次の写真5枚は5月下旬に撮影。
未熟な果実がついていました。


2017/05/06

ソヨゴの赤い実を採食するツグミ(冬の野鳥)



2017年2月上旬・夕方16:40~17:00頃

雪道の路肩で何やら採食している冬鳥のツグミTurdus eunomus)が気になって、通りを見下ろす向かい側の建物内から動画を撮り始めました。
ここ雪国では除雪車のおかげで車道の両側に雪の壁が高く形成されます。
雪の壁に埋まっていた赤い実を1羽のツグミが探しては啄んでいました。
その辺りは実はちょうどタクシー乗り場になっていて、客待ちのタクシーが並んでいます。
見ている私は初め、ツグミの採食メニューが何か分かりませんでした。
タクシーの運転手が暇つぶしで野鳥に何かを給餌しているのか、それとも赤いジュースを雪にこぼしたのか?と一瞬疑いました。
しばらく観察を続けると、歩道に植樹された常緑樹に赤い実がなっていて、その一部が下に落ちて雪に埋まっているのだと状況が飲み込めました。

この見知らぬ街路樹を後で調べてみると、現時点ではおそらくソヨゴ(別名フクラシバ)の雌株だと思います。
花が咲く季節まで定点観察に通い、樹種をしっかり確かめるつもりです。(※追記参照)
ソヨゴは分布の北限が新潟県と宮城県らしいので、寒冷な山形県で生育可能なのか微妙なところです。

車道を車がひっきりなしに通っても、このツグミはあまり恐れません。
ツグミは路肩から雪の壁を見上げると雪に埋まっていた赤い実を目がけて飛び上がり、ほじくり出して食べる、という行動を繰り返しています。
食後は雪に嘴を擦り付けて拭うこともありました。

ツグミは雪道を2本足でぴょんぴょん跳ねて元気に移動します。
エンジンを掛けたままアイドリングしているタクシーの排気ガスがかかってもツグミは全く気にせず、車の周囲を平気で歩き回っています。

日本の野鳥は一般に嗅覚が鈍いとされているので、排気ガスの匂いを嫌わなくても不思議ではありません。
むしろ排気ガスの温もりが気に入り、積極的に近づいているのかな?と思ったりしました。




落果を食べ終えたツグミは後半になると冠雪したソヨゴの樹上に止まり、枝先に残った赤い実を直接採食するようになりました。

このツグミは通行人も車もほとんど恐れず、かなり大胆というか人馴れした個体だという印象を受けました。
食糧の乏しい厳冬期には食べることで必死なのかもしれません。
歩道を下校中の学童に見つかったときだけツグミは警戒して少し逃げました。
一方、大人は野鳥の営みに全く気付かず無関心に雪道を行き交います。
客待ちのタクシー運転手が車外に出て煙草を吸っている間もソヨゴ樹上のツグミ(約3mの至近距離)は逃げませんでした。(映像なし)




日が暮れると、ツグミはこのまま葉の茂った街路樹ソヨゴの枝を塒(ねぐら)にするかと期待したものの、暗くなるとやがて姿が見えなくなりました。(午後17:20頃)
おそらく塒は別の場所にあるのでしょう。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後17:10。


※ ガラス窓越しに撮った映像はやや不鮮明だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。



以下は2日後に改めて現場を再訪して撮った街路樹ソヨゴ?の写真。
残念ながら赤い実はもう鳥に食べ尽くされて残っていませんでした。

『野鳥と木の実ハンドブック』p22によると、ソヨゴの赤い実を
近くに鳥がいても鳥が食べているところを私は見たことはない。


※【追記】
花を見逃すまいと定点観察に通い続けて6月中旬、ようやくこの街路樹が開花しました。
小さくて白い花はまったく地味です。
どうやらソヨゴで間違いなさそうです。
ソヨゴは雌雄異株です。
この個体は実がなる雌株ですし、花を接写してみると雌しべしか無いことが確認できます。
ちなみに、同じ通り沿いで少し離れたところにソヨゴの雄株と思われる街路樹も見つけることができました。



更に定点観察を続け、2018年1月上旬に撮った赤い実の写真を追加しておきます。



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