2016/11/05

夜ケヤキ並木の集団塒で寝静まらずに鳴き騒ぐムクドリの大群【野鳥:暗視映像】



2016年7月下旬


▼前回の記事
ケヤキ並木に塒入りするムクドリ(野鳥)の大群

集団就塒を見届けてから少し休んで時間を潰しました。
完全に暗くなってから現場に戻ると、ケヤキ並木ではムクドリSturnus cineraceus)の大群が未だ寝静まらずに鳴き騒いでいました。
集団塒の下の道を歩いてもムクドリは警戒して飛び立つことは殆どありませんでした。
照明は一切使わず、樹の下に忍び寄って赤外線の暗視カメラで撮影してみます。
(恥ずかしながらビデオカメラ内蔵の時計が狂ったままで、撮影時刻が分からなくなってしまいました。)
鳴き声を頼りに探しても、ムクドリが茂みのどこに隠れて鳴いているのか、全く分かりません。

音声をヘッドフォンで注意深くお聞きになった皆さんはお分かりになったかと思いますが、ムクドリの鳴き声に混じって打ち上げ花火の爆裂音が遠くからかすかに聞こえてきます。
偶然この日は花火大会でした。(田舎なので、規模は小さいです。)
花火の打ち上げが始まっても、ムクドリは塒で鳴き騒ぐだけで、花火の爆裂音に驚いて逃去することはありませんでした。
打ち上げ推定地点からの直線距離は約2kmもあり、影響は少ないようです。

数時間後にムクドリが寝静まった様子も撮影すべきでしたが、誘惑に負けて打ち上げ花火を見に行きました。
打ち上げ会場である河原に生息する水鳥の立場になってみれば毎年開催される花火大会は騒音公害(および光害)でしかなく、いい迷惑でしょう。
野鳥への影響を調べるのは今後の課題です。

『マン・ウォッチングする都会の鳥たち』によると

(ムクドリの)冬季の塒についてはよく知られているが、夏や秋の塒は、突発的に出現し、短期間に消失することが多いので、実態がよくつかめないのが現状である。(p178)
ムクドリが夏から秋に塒として利用する樹木は、イチョウやプラタナス、ケヤキといった落葉樹の高木が多い。したがって、秋の塒は落葉後まで利用されることはない。(p181)



打ち上げ花火が無い夜は、ムクドリの集団塒はもっと早くに寝静まるでしょうか?
まさか夜中も寝言のように鳴き騒ぐのでしょうか?
この点を調べるために、頑張って翌日も見に行きました。


つづく→就塒前集合場所に向かって飛んで行くムクドリ(野鳥)の群れ


『カラー版自然と科学50:ムクドリ』p30-31によると、

ねぐらのしげみのなかでは、一晩中リャーリャー、ギャーギャーとなきながらすごしています。ねぐらにむれる鳥は、日本ではムクドリのほかにスズメやカラスなど何種類かがしられています。(中略)ムクドリはこれらの種のなかでもっとも大きな群れとなり、夜をすごすのが見られる鳥です。



日本野鳥の会『ムクドリのなかまたち(みる野鳥記)』p54によると、

(ムクドリの)群れは、だいたい日暮れ前に、ねぐらの近くに集まり、日が落ちると、ねぐらのしげみに入っていきます。そして、ほとんど寝ていないのではないかというくらい、一晩中鳴き続け、夜が明けると、また、食物を探しに出かけていきます。


ケヤキ並木に塒入りするムクドリ(野鳥)の大群



2016年7月下旬・午後18:53〜19:12


▼前回の記事
ムクドリ(野鳥)の大群が高圧線の鉄塔Aに就塒前集合

運動場(グラウンド)の端にケヤキが並んで植栽されています。
葉の生い茂ったケヤキの樹冠にムクドリSturnus cineraceus)の大群が塒入りを始めました。
ここは大通りには面していないので、少し静かな住宅街です。

グラウンドの近くに聳え立つ高圧線の鉄塔A
#30およびその隣の電柱・電線に就塒前集合していたムクドリが、まるで木の葉落としのように数羽ずつ急降下してケヤキの梢に飛び込んで行きます。
リャーリャー♪と大声で鳴き交わして喧しい。
薄暗くなっても塒内でしばらくは落ち着かず、枝から枝へ移動したりときどき一斉に飛び立って大群で並木の上空を低く飛んだりしています。

ムクドリの大群は一斉に塒入りするのではなく少しずつ飛び込むのは、私に見られているから警戒し就塒を躊躇っているのでしょうか?
後日に何度かムクドリの塒入りを観察しても同様でしたので、これがムクドリの流儀なのでしょう。

遂にムクドリの集団塒を突き止めることが出来て、感無量です。
鳥の糞はグラウンドに落ちるからまだ許せるにしても、鳴き声のすさまじい騒音で近隣住民には迷惑そうです。

つづく→夜ケヤキ並木の集団塒で寝静まらずに鳴き騒ぐムクドリの大群【野鳥:暗視映像】


電柱に就塒前集合するムクドリ

アカソの葉裏に産卵を試みるアカタテハ♀



2016年7月下旬・正午頃

山間部の道端に生えたアカソの群落でアカタテハ♀(Vanessa indica)が思わせぶりに飛び回っていました。
葉裏に腹端を擦り付けてから飛び去りました。
葉に止まる時間が短くて、本当に産卵したのか不明です。
最後は斜面に生い茂ったアカソの群落の方へ行って茂みに隠れてしまいました。

蝶が止まった葉を撮影直後にめくって調べてみたものの、アカタテハの卵を見つけられませんでした。
ときどきフィールドで遭遇するこういうケースは、どう解釈したら良いのですかね?

  • 私の探し方が未熟なだけで卵を見落とした?
  • ♀が食草を腹端で探ったものの気に入らずに飛び去った?
  • 卵巣が未だ発達していない未成熟な♀?
  • あるいは逆に老いた♀で、卵がもう体内に無い?
そのような成虫♀を採集して人工的に採卵を試みれば、解明できるかもしれません。


【追記】
『チョウのはなしI』p80(第11章:ヒメアカタテハの不思議な生活)によると、
普通のチョウの♀は羽化したときに成熟した卵をもっています。ところが、秋に発生して冬をチョウのままで過ごす種類では、羽化したときまったく卵をもっていません。(中略)春になるとふたたび日の長さを感知して次第に卵が成熟して、越冬後交尾、産卵して一生を終えるのです。
アカタテハも成虫越冬する種類ですが、撮影時期は真夏ですから今回の個体がそのまま越冬するには早い気がします。(秋までにもう一回世代を重ねるのでは?)





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