2016/10/09

網に付けたヒメジョオンの花を取り除くオニグモ♀(蜘蛛)



2016年7月上旬・午後19:05〜19:08

マンションの下の電柱の脇に張られた正常円網のこしきオニグモ♀亜成体(Araneus ventricosus)が下向きに占座し、食事中でした。
体外消化された獲物は黒変していて、もはや原型を留めていません。
網に多数のゴミ(蚊などの微小な昆虫)が付いていることから、造網の直後ではないことが分かります。
ちょうど日が沈んだので、これから網を張り替えるのでしょう。(日の入り時刻は19:05)

さて、昨年からの懸案事項(未解決問題)で花を食べるクモがずっと気になっています。

▼関連記事
花を食べる造網性クモの謎:2015年

そこで近くの道端に生えていたヒメジョオンの頭花を採取して、オニグモ♀の網に給餌してみることにしました。
網の下部に投げつけると、クモは直ちに駆けつけました。
捕帯で軽くラッピングしてから、花に噛みつきました。
毒液を注入しつつ、味見したようです。
すぐに獲物ではないと気づいたようで、オニグモ♀は異物を網から外して勢い良く投げ捨てました。
甑に戻り、下向きに占座すると身繕い。
残念ながら、花を食べる行動は見られませんでした。
もちろん肉食性のクモは花など食べないのが普通です。
ごく稀に食べるのは一体どういう条件のときなのか、気になって調べています。(再現性に乏しいのが悩みです。)


腹面の外雌器に垂体が見えます。

トビ(野鳥)の蟻浴?



2016年7月中旬・午後14:55〜14:56

山麓の農道でトビMilvus migrans)がとても奇妙な行動をしていました。
トビを地上で見るのも初めてなのに、路上で翼を大きく広げて身を屈めているのです。
暑さのあまり水溜りで水浴びしているのかな?と初めは思いました。
それとも、どこか怪我しているのでしょうか?※
炎天下で陽炎が立ち昇り、本物の水たまりなのか遠くからでは見分け難いです。
農道が波打つように湾曲している窪地にトビはうずくまっているのですけど、私が少し近づいてみると水はありませんでした。

強烈な直射日光を受けたアスファルトはとても熱いはずなのに、トビは翼を広げたまま農道に身を伏せています。
その姿勢でキョロキョロ辺りを見回し警戒しています。
もしかすると蟻浴ではないかと思いつきました。
蟻の蟻酸を浴びて羽毛に潜む寄生虫を駆除しているのかもしれません。
しかし遠過ぎて、実際にトビの体にアリが集っているかどうか見えません。

私のうろ覚えの知識では、鳥が蟻浴をやるにしても、蟻の巣や蟻塚でやるものだと思い込んでいました。
たまたまアリの行列が農道を横断していたのかもしれません。(未確認)
この日は非常に暑くて私も熱射病寸前でバテていました。
そのためトビが居た現場まで歩いて行くのも億劫で、確かめに行っていません(修行が足りません)。

【参考ブログ:カラスの蟻浴について】
カラスの面白行動」:四季折々心の赴くままに・・・(野鳥)


※ この後、正常に飛べたので、怪我は無さそうです。
つづく→農道から飛び立つトビ(野鳥)




【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p79によると、
鳥のなかには、わざとアリ塚の上に降り立って暴れ、アリの蟻酸攻撃を受けることにより、羽についた寄生虫を退治する「アリ浴び」の習性をもつものがいます。海外ではよく知られていますが、日本で観察するのは容易ではありません。人間も戦時中、服を洗えず、ノミやシラミがわいたときには、服をアリ塚に突っ込んで消毒していたようです。



【追記2】
宮崎学『野生動物の首をしめるゴミ (かわりゆく環境 日本生き物レポート)』を読んでいたら、羽毛を虫干しするヤマゲラ幼鳥の写真が目に留まりました。
アリの助けを借りなくてもダニ退治ができるのだとしたら、私が観察したトビの行動もこれかもしれません。
1羽のヤマゲラが、公演の遊歩道で居眠りをしていた。目をとじて、口をあけて、なんだかだらしないしぐさだ。翼は半開きにして、羽毛は逆立てている。 
 みていると、ときどき体の向きを変えたりしながら、およそ5分間にわたって直射日光を浴びてまどろんでいた。 
 どうしたのだろう? 体が弱っているのだろうか、とも思ったが、実はヤマゲラのこの行動は、自分の体の「虫干し」をしているところだった。 
 野鳥は自分の体にダニなどがつくと、いい天気のもとで日光浴をする。 (中略)羽ダニという虫の存在に鳥も気づいているから、天気のいい日にこのような行動をとり、体から追い出しているのである。 
 舗装道路が暖まっているときのほうが、虫干し効果があるらしい。 
 道路上の放射熱と直射日光の上下から体を暖めて、ダニを追い出すという作戦なのだ。 
 だから、羽毛も逆立てて、暖かい熱が全身に行きとどくようにして、ダニにいやがらせをしているのだ。  (p66-67より引用)



トビが居た地点を望遠レンズで撮っただけでお茶を濁しました。
アリが居るのか?(現場まで見に行くべきでしたね)

ソバナの花で採餌するトラマルハナバチ♀



2016年7月中旬・午後17:15頃

山間部の道端の斜面に咲いたソバナの群落で夕方、トラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けています。
採餌の合間に花にぶら下がって身繕いしています。
複数個体を撮影。



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