2016/08/08

キアシドクガ?(蛾)の群飛【HD動画&ハイスピード動画】



2016年6月上旬

山間部を一見モンシロチョウのような白い蛾が多数飛び回っています。
この季節の風物詩です。
こんな山林にモンシロチョウが大発生するはずがありません。
おそらくキアシドクガIvela auripes)ではないかと思っているのですが、止まっている個体を見つけられず、同定できませんでした。

キアシドクガ?が青空をバックに乱舞する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@1:08〜)
特定の1頭に注目すると、蝶道のように木の上を何度も往復しています。
飛んでいる個体の性別だけでも知りたいところです。
♂が交尾相手の♀を求めて探索飛翔しているのでしょうか?
しかし、互いに出会っても求愛飛翔に発展することはなく、縄張り争いの空中戦にもなりません。
♀が産卵する食樹(ミズキやエゴノキ)を探索しているのかな?
かと言って、特にミズキの上空で群飛していた印象はありません。



2016/08/07

前進するヒダリマキマイマイ腹足の蠕動【早回し映像あり】



2016年6月上旬

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の腹足が細かく波打ちながら前進する様子を透明プラスチックの容器越しに撮りました。
微速度撮影(10倍速映像@2:30〜3:22)の方が、波打つ筋肉の蠕動を見易いですね。

曲がり角の対応が見ていて面白いです。
腹足全体を密着させるとは限らず、多少のギャップは乗り越えることが出来ます。(腹足の一部を着地面から浮かせて進むことがある)



【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
 ガラスなどの透明な板や網の上にカタツムリを載せて、移動する様子を裏側から観察すると、カタツムリの後ろから前に向かって、暗い帯のようなものが動いている様子を見ることができます。(中略)この帯状の模様は「足波(そくは)」と呼ばれています。 足波は多くの軟体動物で見ることができますが、種によって足波の伝わり方が違っています。(中略)カタツムリはこの足波の部分で筋肉を伸び縮みさせ、それを利用して前進していると考えられます。 (p60-61より引用)


ちなみに、「足波」を岩波生物学辞典・第4版で調べると、
[英pedal wave 独Fusswelle]腹足類において,匍匐時にその足の下面に相ついで見られる一種の収縮波.動物をガラス板上に這わせてガラスを透して観察できる.筋肉運動の特殊な一形態であるが,動物体推進の機構は蠕動運動のそれに近い.足の下面に,物体表面と密着して静止した部分と,主に背腹方向に走る筋繊維の収縮によりもち上げられた部分とが交互に横縞状に生じたもので,これが前方へ移行する順行型(direct type)のもの(例:カタツムリ)と後方へ移行する逆行型(retrograde type)のもの(例:アメフラシ)とがある.前進はもち上げられた部分がつぎつぎに前方に移動することによって起る.後退がみられることはまれである.足波が1列の単走性(monotaxic)のもの,2列の二走性(ditaxic)のものなどが区別される. 

ブルーバックスのシリーズで鈴森康一『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか―工学に立ちはだかる「究極の力学構造」 』にもカタツムリの移動法が詳しく解説してありました。

 カタツムリやナメクジは地面に接する腹の部分にからだの前方に伝播する進行波を発生させて移動する。(中略)カタツムリやナメクジ、ゴカイでは、「進行波の進む向き」と「移動方向」は一致している。 (p70より引用)





ホオノキの葉裏でアブラムシに随伴するクロクサアリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端に生えたホオノキの幼木を見上げると、全ての葉裏の主脈や葉柄に沿ってクロクサアリLasius fuji)のワーカー♀がびっしりと群がっていました。
ホオノキに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。
注意深く接写して見るとホオノキの葉裏で吸汁するアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しているようです。
アブラムシは薄い黄緑色でした。
クロクサアリはアブラムシが分泌(排泄)する甘露を報酬として護衛しているのでしょう。(共生関係)

後日、アリを採集した際に、クロクサアリに独特の臭気(山椒の匂い)を感じました。

※ 接写パートの一部のみ動画編集時に自動色調補正を施してあります。(@1:30〜2:05)


【追記】
小松貴『昆虫学者はやめられない: 裏山の奇人、徘徊の記』という名著を読むと、教科書的なアリとアブラムシの共関係という認識を改めさせられました。
糖分の多いアブラムシの排泄物はすぐ腐ってカビるので、垂れ流し続けているとこれが自分たちの体にどんどんまとわりつき、やがて伝染病の温床になりかねない。でも、そうなる前にアリがどこかから勝手に嗅ぎつけて来て、それを綺麗に片づけてくれる。そのため、結果としてアブラムシは病気にもならず、また天敵から守って貰えている。(p156より引用)
アリの立場からすれば守ったアブラムシからもらえる報酬の量は、アブラムシを守ってやるのにかかった労力分を十分に補って余りあるべきである。だから、アブラムシがアリに守られた結果、過剰に数を増やしすぎると、アリは保護の手が回らなくなるため、自らの手でアブラムシを殺して食べてしまうようになる。(p156〜157より引用)
そのような殺害シーン(間引き)を私も観察してみたいものです。




ランダムに記事を読む