2016/06/26

アワフキムシ幼虫の泡巣を舐めるムモンホソアシナガバチ♀



2016年5月中旬

里山で林道脇に生えたコナラ幼木の茂みにムモンホソアシナガバチParapolybia indica)♀が飛び込みました。
この時期は未だワーカー♀ではなく、創設女王ではないかと思います。
獲物を狩る瞬間が撮れるのではないかと期待していると、アワフキムシの仲間の幼虫が枝に作った白い泡巣を見つけた蜂が顔を突っ込みました。
中に潜んで枝から吸汁しているアワフキムシの幼虫を狩るのが目的ではなく、あくまでも泡を舐めています。
満足した蜂は飛び去りました。
初めて見る謎の行動に興奮したあまり、泡巣を調べて中の幼虫を同定するのを忘れてしまいました。
…と思ったら、実は7年前にも観察していました。


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Polistes属のアシナガバチだけでなく、Parapolybia属の蜂でも見られる行動だとこれで分かりました。

『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p136によれば、

(アワフキムシ類の)幼虫がつくる泡の素材は排泄液(尿)由来のアンモニアと腹部第7節、第8節にあるバテリ(Batelli)腺から分泌されるロウ脂質由来の脂肪酸とのアンモニア塩の鹸化物で、腹部を伸縮させて空気を送り込み排泄液中の水分とともに泡立て、繊維状タンパク質を混ぜて強度を高めている。



アシナガバチは水分補給や巣材集めに泡巣を舐めた可能性も考えられます。



【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p183によると、
アワフキムシのつくる泡の巣は、アリのような小型の外敵から身を守るのに非常に有効です。石鹸水でできているため表面張力が働かず、小さな虫がうかつに泡に触ると容易に全身が石鹸水まみれになり、気門を塞がれて呼吸ができぬまま死んでしまいます。
今回のアシナガバチは顔だけを泡に突っ込んでいるので、呼吸は問題ないのでしょう。



雪山に残るホンドギツネの足跡



2013年3月下旬

雪に覆われた里山の尾根道でホンドギツネVulpes vulpes japonica)のものと思われる足跡を雪面に見つけました。
強い風が吹き付ける稜線ではなく、並行する細い林道を選んで歩いています。
タヌキと異なり、キツネは前足跡の上に後ろ足を重ねて歩くため、足跡の歩行パターンはほぼ一直線になるのが特徴です。
このようなハンター歩きをすることで地面に残る足跡の数が半分になり、追跡する獲物に気づかれにくくなると考えられています。(『哺乳類のフィードサイン観察ガイド』より)


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15cm定規を並べて置く。

飛べ!ルイスアシナガオトシブミ



2016年5月中旬

里山でハルニレの灌木(幼木?)に、小さくて真っ赤なオトシブミが何匹も集まっていました。
葉先でモジモジした後で翅をパカッと広げて飛び立つシーンが撮れました。

見たことのない種類なので帰ってから調べてみると、ルイスアシナガオトシブミHenicolabus lewisii)と判明。
揺籃を作る樹種の一つとしてハルニレが含まれていました。


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