2015/08/01

円網を下半分だけ取り壊すオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



オニグモ♀の定点観察#2

2015年6月下旬・夜22:10頃

オニグモ♀(Araneus ventricosus)の観察を続けていると、食べかけの獲物(ヤガ科の蛾)をこしきに残したまま、円網を畳み始めました。
網のあちこちが破れたり、小さな虫がたくさん付着したりするので、毎晩メンテナンス(張り替え)が必要になるのです。
コガネグモ科の仲間が円網を取り壊す様子を観察したのはこれが初めてで、感動しました。
前の晩に苦労して作り上げた作品を取り壊すのはあっという間でした。
下部を破網
しながら最下部の枠糸に到達すると、甑からの引き糸を固定してから、甑に引き返します。
これで新しい縦糸が二重に張られたようです。
アナログ時計の文字盤で例えると、4時から7時の部分(全体の1/4弱)だけを壊しました
クモは甑の少し上で、上を向いたままなぜか小休止しています。
しばらくすると、オニグモ♀は甑で下向きに占座し、食べ残しの蛾を再び食べ始めました。

どうも教科書通りには進みません。(一気に円網全体を取り壊すはずなのに…?)
ジョロウグモのように日によって網の半分ずつ取り壊すのか?と、このときは不思議に思いました。

※ ただしジョロウグモは、左右半分ずつかわりばんこに巣を修復する。(『クモの巣図鑑』p45より)


もう満腹に近いので、これ以上不要な獲物が網にかかって網が大きく壊される(全壊)リスクを予防するために自ら壊したのか?などと想像を逞しくしました。

つづく→#3:♀の円網の近くで身繕いするオニグモ♂



ムラサキツメクサの花蜜を吸うモンシロチョウ



2015年6月中旬

草地でモンシロチョウPieris rapae)がムラサキツメクサ(=アカツメクサ)を訪花していました。
意外にも今まで撮ったことのない組み合わせだったので喜んで撮り始めたら、すぐに飛び去ってしまい残念。



2015/07/31

円網にかかった蛾を捕食するオニグモ♀(ラッピング、脱糞)【蜘蛛:暗視映像】

オニグモ♀の定点観察#1

2015年6月下旬・夜21:55頃・気温20℃(地表で測定)

山麓に建てられたログハウスの軒下にオニグモ♀(Araneus ventricosus)が巨大な円網を店開きしていました。
垂直円網と言いつつも、実際は斜めに張られています。
腹面に垂体が見える成体♀はこしきで何か虫を食事中でした。
獲物をラッピングした糸は獲物と一緒に体外消化され既に溶けています。
原形を留めていない獲物を同定するのは無理そうです。
円網の下半分に獲物がかかって破れた形跡があります。
他にも多数の細かい虫(蚊?)が網に付着していますが、放置されています。





近くに止まっていたヤガ科の蛾(写真を撮り忘れ、種名不明)を手掴みで捕獲し、オニグモ♀に給餌してみることにしました。
赤外線の暗視カメラで動画に撮りながら円網に生き餌を投げつけると、私のコントロールが悪くて画角の外に獲物が付着してしまいました。
クモはすぐに駆け寄り噛み付きましたが、画角の外で写っていません。
毒液を注入すると大量の捕帯で獲物をくるみ始めました(ラッピング)。
左右の第4歩脚で交互に捕帯を繰り出しながら、他の脚で獲物をくるくる回しています。

ラッピングを中断し腹端を下に向けると、白っぽい糞を2滴排泄しました。(@2:10)
獲物を捕帯で包み終えると網から外し、触肢で抱えて(咥えて)スルスルと甑に戻りました。(@3:21)
獲物を甑の直下に糸で固定します。
下向きに占座したクモは身繕いを始めました。
歩脚に付着した蛾の鱗粉を念入りに掃除しているようです。
新鮮な獲物(蛾)を手元に置いたまま、食べ残しの謎の包みから食餌を再開したのは意外でした。(@5:44)
しばらくすると漸く蛾に口を付け吸汁を始めました。(@6:30)
謎の食べ残しは捨てず網に置いたままです。

つづく→#2:円網を下半分だけ取り壊すオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】


腹部腹面に垂体が見える。

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