2015/07/20

オオヨシキリ♂(野鳥)夜のさえずり♪【暗視映像と声紋解析】



2015年6月中旬・夜22:50頃

オオヨシキリ♂(Acrocephalus arundinaceus)は「一晩中さえずり続けることもある」そうです。(『山渓フィールドブックス4野鳥』p317より)


湿地帯のアシ原に夜出かけると、確かに大声でギョギョシ、ギョギョシ(行行子)♪と鳴いていました。
姿は見えませんが、鳴いているのは一羽だけのようです。
赤外線の暗視動画に撮りながら、足音を忍ばせて鳴き声に接近します。
昼間だったら柳の梢など目立つ場所で縄張り宣言しています。

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柳の梢でさえずる♪オオヨシキリ♂(野鳥)
暗闇で赤外線投光機が届く範囲を探してみても樹上には見つけられませんでした。
夜の塒(ねぐら)はどこかアシ原の茂みに潜んでいるのでしょう。
最後は鳴いているすぐ近くまで行けました。
大声過ぎて、ビデオカメラの内蔵マイクがやや音割れするぐらいです。

明るい昼間なら警戒されてここまで近づくことは出来ないでしょう。
昼も夜も鳴き続けるなんで、おそるべきスタミナです。
そこまでしないと縄張りを守れないのでしょうか?
本当に徹夜するのか、睡眠時間はどれぐらいなのでしょう?

オオヨシキリ♂夜の囀りを声紋解析してみる

背後の用水路の水音がうるさいかも。
背後の水田からカエルの合唱も聞こえます。
いつものように、オリジナルのMOV動画ファイル(映像では一番最後)から音声をWAVファイルにデコードしました。
1分間に7小節鳴いていたので、それぞれ切り出してから、スペクトログラムを描いてみました。
あまりきれいな声紋が得られなかったのは、やはり録音距離が近過ぎて音が割れているのですかね?
それでも特徴的な節回しであることは見て分かります。


7小節鳴いている(全体)

【追記】
ミゾゴイに限らず夏鳥のホトトギス、ヤブサメ、オオヨシキリ、ヒクイナなども渡来初期の夜間に囀ることが知られている。これらの鳥たちは夜間に囀りを行っても夜行性の鳥とは呼ばれない。(『ミゾゴイ:その生態と習性』p137より)


2015/07/19

マイマイガ(蛾)幼虫の毛の防護効果:ムネアカオオアリ♀を撃退



2015年6月中旬

コンクリートのポーチでムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が餌を探して徘徊しています。
たまたま近くを這い回っていたマイマイガLymantria dispar japonica)の幼虫(ブランコケムシ)を襲おうと働き蟻が近づくも、毛のせいで噛みつくどころか近づけないでいます。
毛虫が体を振ってアリを払いのけて、勝負あり。

同様の対決シーンをもう一度観戦することが出来ました。
徘徊していたマイマイガ幼虫が立ち止まると、ムネアカオオアリが興味を示して背後(横)から襲おうとしています。
ところがまるで結界を張られたように、長い毛に阻まれて近づけません(噛みつけない)。
遂に毛虫が尾を振ってしつこいアリを払いのけ、歩き去りました。
一方、あっさり撃退されたアリは「嫌な物を触ってしまった」とばかりに身繕いしています。
最後は毛虫に定規を並べて採寸。
日本最大のアリが負けるという対戦結果は意外でしたが、毛虫がもつ毛の防衛効果をまざまざと実感できました。




「生きもの写真家 安田 守の自然観察な日々」さんのブログ記事で最近教えてもらった毛虫の毛の意味に関する研究の真似をして、もし鼻毛カッターでマイマイガ幼虫の毛刈りをしたら、ムネアカオオアリは捕食できるようになるでしょうか?

Sugiura, Shinji, and Kazuo Yamazaki. "Caterpillar hair as a physical barrier against invertebrate predators." Behavioral Ecology 25.4 (2014): 975-983.(全文PDF

この周辺にはマイマイガ幼虫が大発生していて、多数の毛虫があちこちに徘徊していました。
アリが寄って集って毛虫を襲えば勝ち目がありそうですけど、そのような集団戦法による捕食シーンは一度も見ていません。
また、ムネアカオオアリの巣口における遭遇戦でも、門番アリが巣を激しく防衛するどころかマイマイガ幼虫に遠慮することを、同じ日に観察しています。

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マイマイガ(蛾)幼虫が巣口に近づいても敬遠回避するムネアカオオアリ♀【暗視映像】
毛の防御効果がそれほど高いのなら、どうして全ての種類の幼虫が採用しないのでしょうか?
長い進化の過程を経て、毛の無い(少ない)芋虫タイプの幼虫が多く残っているということは、毛虫戦略にも何かデメリットがあるのかもしれません。

ところで先日、マイマイガ幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀を観察しました。
アシナガバチは毛虫の毛を一体どのように攻略して狩りに成功したのでしょうか?
狩り(アタック)の瞬間を見逃したのが残念です。
単純に大顎のサイズが、セグロアシナガバチ>ムネアカオオアリということで説明がつくのかな?



マダラスジハエトリ(蜘蛛)幼体の跳躍・徘徊【HD動画&ハイスピード動画】



2015年6月中旬

軒下の資材置き場でぴょんぴょん高く飛び跳ねる小さなハエトリグモを見つけました。
馴染みのあるマダラスジハエトリPlexippoides annulipedis)幼体でした。

跳躍シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
夕方で太陽光が弱かったせいか、命綱のしおり糸は見えませんでした。
徘徊するハエトリグモの目の前を巨大なムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が横切り、驚いて逃げました。
体格差がありすぎて、狩りの対象にはならないでしょう。

撮る前に見たときはもっとノミのようにピョンピョン高く跳ねていて驚いたのですが、あれは何かに驚いた時の反応なのか、それとも子供(幼体)がはしゃいでいたのかな?
証拠映像が撮れず、残念無念…。
採集する前に逃げられてしまいました。



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