2013/08/24

オオバギボウシの花で盗蜜するクマバチ♀



2013年7月上旬

民家の庭先に咲いたオオバギボウシの群落にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
よく見ると、このクマバチは白い花の細長い(狭い)筒の中に頭を決して突っ込まずに、花筒の根元を外から食い破って蜜腺を舐めていました。
このような採餌行動は穿孔盗蜜と呼ばれ、花の授粉に寄与しません。
花粉に触れないため、この個体の後脚にある花粉籠は空っぽでした。

花弁の盗蜜跡を調べて写真に撮れば良かったですね…。

関連記事→「クマバチ♀の盗蜜行動@タニウツギ





カッコウ♂の縄張り争い?【野鳥】



2013年7月上旬

この日も早朝から、電線に止まったカッコウ♂(Cuculus canorus)が鳴いています。
後で新聞で調べてみると、撮影時刻はちょうど日の出の頃でした。(AM 4:25 〜)

前回の撮影よりも近くに止まってくれたので、いっそう大きく見えます。
初めは後ろ向きでしたが尾羽根を左右に振り振りし、やがてこちらへ向き直りました。
電線から脱糞。
横を向いて何かを睨んでいたカッコウ♂が、急に鳴きながら飛び立ちました。
引きの絵にすると元の電線のすぐ横に止まっています。
急旋回して止まり直したのか、別個体と入れ替わったのでしょうか?
脱糞の直後にまた飛び立ちました。
鳴きながらこちらへ向かって来ます。
飛び立ちの瞬間を1/4倍速のスローモーションにてリプレイ。

数分後に再び電線に止まりました。
尾羽根を左右に振り振りしたり、キョロキョロと辺りを見渡しています。
いきなり方向転換すると飛び立ち、鳴きながらこちらへ向かって来ました。
慌てたような鳴き声が木霊のように聞こえます。

今回見られた一連の行動は♀に対するアピールで一種のディスプレー飛翔(求愛飛翔)なのかと考えたりもしたのですが、図鑑やネット情報で調べてもそのような記述は見当たりません。
片方(一羽)の行動しか見れていないのでもどかしいのですが、おそらく♂同士の縄張り争いの喧嘩だろうと想像しました。
それなら♂が激しくさえずってアピールしそうなものです。
しかし不思議なことに、電線に止まっている間はカッコー、カッコー♪という鳴き声をあまり発しませんでした。
(隠し撮りしたつもりでしたが、警戒されたかな?)
カッコウといえば「静かな湖畔の森の影から♪」で始まるのどかな童謡や輪唱で有名ですけど、郭公の世界も色々と大変なようです。


「カッコウ 喧嘩」を検索ワードに調べてみると、「カッコウの実態」と題したブログ記事が見つかりました。

二羽来て,電線上で鳴き合っています。そのうち激しく喧嘩を始めました。どうも縄張り争いの様です。 電線上で羽根を逆立てたりして威嚇攻撃し合っていたかと思うと,飛びながら空中戦です。飛びながらもカッコウ・カッコウと鳴くこと(こころなしか忙しないかんじがします)を知りました。威嚇のような声も出しています。



カッコウ♂の争いの鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出しました。
急に飛び立って鳴いた部分を3箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
鳴き声が周囲に木霊しているのか、もう一羽の鳴き声と混じっている可能性もあります。
羽ばたきの音も入っているかもしれません。

欲を言えば、同一個体が普通に(リラックスして)カッコー、カッコー♪と鳴いている声も録音できたら声紋を比較できたのですけど、残念でした。
5日前に同じ電線で撮ったカッコウ♂のさえずりの声紋はこちらです。
この一帯を縄張りとしている同一個体♂かもしれません。





【追記】
『アユの話』p48によると、

カッコウの仲間は、“一つの谷には一つがいしかいない“といわれるように、ひろいなわばりをもつ。


『カラー自然シリーズ68:カッコウ』p6によると、
♀より先に高原に渡ってきた♂は、広い空間をなわばりにします。そして、遠くまでひびきわたる声で自分のなわばりを主張します。広いなわばりのなかには、カッコウの♀が托卵をするための小鳥たちがすんでいます。梢の上で見張る♂は、ほかの♂がなわばりに近づくと、たとえ遠くであっても、飛んでいって追いはらいます。♂が、なわばりを確保したころ、南の国から♀たちが渡ってきます。なわばりのなかに♀が姿をみせると、つがいになるために、♂が♀を追いまわします。



水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、
 かつては柳の茂る川辺の草原などで、三つどもえで追いかけ合うカッコウの姿が見られたものだった。托卵相手の巣を確保し、同じ巣に複数のカッコウの卵が入るのを防ぐ縄張り争いだった。最近は追いかけ合うほどのカッコウはいなくなってしまった。(p124より引用)




2013/08/23

ヒメクモバチ♀cが泥巣から羽化脱出する瞬間



2013年7月上旬・室温25℃

ヒメクモバチ羽化の飼育記録2

外は朝から雨が降ったり止んだりで蒸し暑い梅雨空です。
前回のヒメクモバチ♂b(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が羽化して2日後、3匹目の新成虫が泥巣から羽化脱出してきました。

今回は動画の長撮りで記録してみました。
早回し映像ではなく等倍速(リアルタイム)です。
脱出開始時刻は07:48:54頃、微小の穴が開き始めました。
ちなみに一昨日の♂bが脱出を始めた時刻は07:57:16で、ほぼ一定しています。
どうやら朝に羽化する傾向があるようです。
ここ数日間、監視のため泥巣をLEDリングライトで煌々と照らし続けていたにも関わらず、朝に羽化するという固有の日周リズムを蜂が保っているという事は、泥巣の育房内は暗黒なのでしょう。
(明るさではなく気温の上下で大体の時間帯を知るのかもしれません。)

脱獄が完了した新成虫♀cは泥巣上を少し歩き回り、触角を掃除しています。
網室内の蜂を捕獲してみると体長も大きく顔が黒いので♀と判明。
やはり雄性先熟でした。
体長の性差(♂<♀)を反映して、今回の脱出口はこれまで2つの穴よりも一回り大きいです。
泥巣に開いた3つの脱出口の位置関係を見ると、育房が端から順に増築されたことを示唆しています。



さて、記録された映像をよく見てみましょう。
乾いた土壁を軟らかくするために蜂が中から水や唾液を吐き戻して濡らしているのだとしたら、泥巣を外から見て穴が開く部分が黒っぽく変色するはずです。
しかしそのような変化は見られず、単純に蜂が大顎で少しずつ土壁を削って脱出口を広げているようです。

これで私の予想は当たり、本に書いてあった説に対する反例が得られた!と思い、撮影の苦労も忘れて快哉を叫びました。

ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破る。(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40より)
ところが更に観察を続けると、事はそれほど単純ではありませんでした…。

ヒメクモバチ♀cの標本写真。

つづく→「ヒメクモバチ♂eが泥巣から羽化脱出する瞬間



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