2013/06/24

虫を咥えたムクドリ(野鳥)のつがい



2013年5月中旬

ムクドリSturnus cineraceus)が電線に止まっています。
逆光で見えにくいのですが、嘴に虫(複数の芋虫・毛虫)を咥えています。
雛に給餌するために帰巣するはず、と思って撮り続けても動きません。

ようやくムクドリAが飛び立つも(@2:45)、すぐ近くの電線に再着陸。
別個体Bが隣に飛来しました。
こちらも嘴に虫を咥えています。
育雛中のつがいなのでしょうか?
ムクドリBはすぐに飛び去りました。

私が移動したらムクドリAは飛んで離れた電柱の上に移動しました。
今度は順光で姿がよく見えます。
獲物を咥えたまま時々鳴いているようですが、風切り音がうるさくてよく聞こえません。
帰巣を見届けられず残念ですけど、諦めて帰りました。

ムクドリは巣の位置をヒト(私)に悟られないよう警戒していたのでしょうか?
実は最近この辺りで民家の軒下の破れ目に飛び込むムクドリの姿を目にしていたので、巣の位置の予想は付いています。
別の可能性としては、育った雛にすぐには給餌せずに巣の外でさえずって雛の巣立ちを促す行動なのかな?
あるいは単純に、虫捕りの合間に油を売っている(休憩している)だけかもしれません。

それにしても、嘴に複数の獲物を咥えたまま鳥はどうやって獲物を次々に捕らえるのか、不思議でなりません。
嘴を開くと咥えた獲物が落ちてしまいそうな気がします。

映像前半は逆光でほとんどシルエットしか分からなかったので、編集時に手ブレ補正の他に自動色調補正も施しています。



2013/06/23

モミジの葉で揺籃を作るイタヤハマキチョッキリ♀








2013年5月中旬

公園に生えたモミジ※の枝先でイタヤハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) venustus)が複数の葉を巻いて揺籃を作っていました。
小さくても赤紫色の金属光沢が美しいチョッキリです。

※ 樹種は一般的なイロハカエデかと思ったのですが、後で調べるとイロハカエデの分布は福島県以西とのことで山形県では除外できそう。 本州日本海側の多雪山地に生えるヤマモミジかもしれません。 しかし、きっと造園業者が植えた木なので、自然分布の情報はあまりあてになりませんね。

生憎この日は風が絶え間なく吹いて、接写に難儀しました。
枝葉の先端を左手で摘んで少しでも風揺れを抑えようと試みました。
枝ごとそっと切り落として風のない所に運んでから観察すべきか悩みました。
しかし異変に気づいた♀が作業を中絶するかもしれないので我慢することに。
風で激しく枝が揺れても♀は振り落とされず、しがみ付いて平気で作業を続けます。
葉柄を見ると、イタヤハマキチョッキリ♀が予め葉を萎れさせるために半分だけ齧って折っていました。

ときどき♀が揺籃上で静止して産卵中かと思ったのですが、腹端が死角になってよく見えない上に絶え間ない風揺れではっきりしません。
「卵は1-3枚目までに複数産み込まれることが多い」らしいので、違うかも。
単に折り曲げた葉を保持して折り目を付けているだけかもしれません。

作業の前半は見ていませんが、葉をねじって巻くだけでオトシブミの揺籃作りのように切れ目を入れたりしません。
進化的に単純で原始的な揺籃なのでしょうか?
最後は葉柄を脚で手繰り寄せて葉を揺籃に巻き込もうとしています。
「葉がほどけないように口から糊状の物質を出して接着する」らしい。

揺籃の上をぐるぐる回る向きはほぼ一定か?

前編(9:30 am - 10:36 am)、中編(10:37 am - 11:29 am)、後編(11:31 am - 12:29 pm)の延べ3時間、断続的に動画で作業過程を記録しました。
結局編集せずにそのまま素材をつないだだけの長編です。
早回し映像に加工すると手ブレや風揺れも悪化してひどい結果になります。
作業工程のポイントが分かっていれば映像を上手く編集してダイジェスト版を作れたでしょうけど、初めての観察だったので何をしているのかいまいち分からず、愚直に徹しました。

観察中に♂が交尾しようとやって来ることもなく、他の♀も辺りの枝葉に見当たりませんでした。
お昼が過ぎて帰る時間が迫り、揺籃が未完成なのは承知の上で泣く泣く観察を打ち切りました。
揺籃と♀を採集して持ち帰り、枝を水差しにしました。
飼育下ならば落ち着いて揺籃作りを観察撮影できるでしょうか。

つづく→「モミジの葉を食すイタヤハマキチョッキリ♀








モズ(野鳥)の求愛給餌



2013年5月下旬

電線に止まった♀のモズLanius bucephalus)の横に♂が飛来し、捕らえてきた虫を♀に与えました。
♀は羽根を広げて甘えるように鳴きました♪
獲物はどうやらハサミムシのようです。
しばらく電線に並んで止まり、嘴を擦りつけています。
やがて♀が先に飛び去り、続いて♂も同じ方角へ飛び去りました。

この行動は求愛給餌だと思うのですけど、巣立ちした雛へ給餌した可能性もありますかね?(※追記3参照)
繁殖期の遅い雪国では巣立ちは未だ早過ぎる気がします。
実はもう一羽の鳥が同じ電線の少し離れた場所に止まっていたのですが、引きの絵で撮る前に逃げてしまいました。

『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p87によると、モズの求愛は

♀がやってくると♂はその横に止まり、ぐぜり鳴きをしながら身体を細く引き締め、せいいっぱい伸び上がって、眼を通る過眼線を♀に示し、次に♀から顔をそらすように頭を振り立てる。この求愛ディスプレイによって、モズのつがいができあがる。



『科学のアルバム:モズのくらし』p8によれば

  • ♂と一緒に暮らし始めた♀は、雛が巣立つ頃まで、自分ではほとんど獲物を捕りません。♂が運んでくる獲物を、じっと待っているだけです。
  • 獲物を捕らえて帰ってきた♂を見つけると、♀は、羽根を小刻みに震わせて、♂に獲物をねだります。
  • モズは、毎年同じ♂と♀が夫婦になるとは限りません。


♀が催促する際に聞こえた鳴き声(@0:18)を声紋解析するには風切り音や車の通過音が邪魔ですね…。
一応、スペクトログラムを描いてみました。
チチチチチ…♪とスズメの鳴き声のようにも聞こえるのですが、偶然スズメが近くで鳴いたのかな?
上記文献にはモズ♀が鳴いて給餌を催促するとは書いてませんし。



【追記】
『モズの話:よみもの動物記』p154によると、
2羽のつがいができ上るころより、♂は捕えたえものをまっすぐ♀のもとに運んでいくこともある。♀の方は、あたかも巣立ち幼鳥が親鳥に餌をねだる時のしぐさで、ジィジィジィ…と鳴きながら半開きの翼を小刻みに振るわせ、低い姿勢で口を開いて給餌を受ける。モズの場合は、♀♂のつがいが完成した後、抱卵・育雛期にも、しばしばこうした♂からの給餌が観察される。


【追記2】
平野伸明『野鳥記』によると、
モズの♀はつばさをふるわせ、小声であまえるように鳴き、♂にえさをねだる。 (p196より引用)



【追記3】
モズの幼鳥は下嘴が黄色っぽいので、今回の個体は成鳥♀であり、番のパートナーに対する求愛給餌で間違いありません。

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