2013/04/27

雑木林に隠れるニホンカモシカ(鼻息威嚇、座位休息と抜け毛)



2013年4月上旬

雪解けが進んだ里山の谷に居たニホンカモシカ(Capricornis crispus)が、横を登って来た私に驚いて斜面を駆け上がりました。
雪が溶けて土が露出した斜面のあちこちに椿(ユキツバキ?)の群落が多数見えるので、常緑の葉を採食していたのかもしれません。
逃げる途中で立ち止まって振り返り、フシュフシュ♪と鼻息を荒げて威嚇。(@0:11)
尾根まで登り切ると立ち止まりました。
手前にある雑木林の木立が邪魔ですが、カモシカはほぼ完璧な保護色になっています。
この状態で発見するのはまず無理でしょう。
カモシカも自らの保護色を自覚している気がします。
立位休息しながら木陰からチラチラ覗き、谷を挟んでこちらの様子を伺っています。

ようやく動き出したカモシカは尾根をゆっくり歩いて少し移動しました。
木立の隙間からこちらを何度も窺い、向きを変えてから雪面に座りました。(@4:45、座位休息)

より良い撮影アングルを求めて私が横に少し移動したら、その隙にカモシカは尾根を越えて逃げて行きました。(撮り損ね)
もう少し我慢して撮影を続けていれば、座ったまま反芻行動を始めたかもしれません。

鼻息威嚇♪を声紋解析してみる?


角も耳も正常で特徴の無い個体

座位休息@雪面


雪面で拾ったニホンカモシカの体毛

動画撮影後に、残雪の斜面を登りながらカモシカの足跡を逆向きに辿って行きました。
スギ植林地の斜面で、足跡の横に一本だけ灰色の長い毛が落ちていました。
カモシカが雪面に座り込んだ跡も無いのに、どうして毛が抜けたのか不思議です。
さきほど遭遇して逃げた個体の抜け毛でしょうか?
ノウサギの抜け毛である可能性もありますけど、辺りにウサギの足跡はありませんでした。
当地にニホンジカは生息していませんが、「寝床などで拾ったシカの毛はポキポキ折れるので、カモシカの毛とは容易に区別できる」そうです。
また、走査型電子顕微鏡を使って毛のキューティクルや髄の構造を観察すると同定が可能らしい。
(『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』p148より)
毛根からDNAが採取できれば確実でしょう。


こちら↓の参考文献に写真があります。
「走査型電子顕微鏡写真による獣毛の同定法」(1992):全文PDF



毛根

黒い部分

白い部分

毛先

この日はカモシカと計3回もニアミスしました。
つづく→「残雪期に椿の葉を食すニホンカモシカ


2013/04/26

フクジュソウに訪花するニホンミツバチ♀【ハイスピード動画&HD動画】



2013年4月上旬

ようやく雪の消えた田んぼの近くでフクジュソウの群落が黄色い花を咲かせていました。
ミツバチのワーカー(働き蜂)が飛び回って訪花する様子を220 fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
花から飛び立っても、ホバリングしつつ花を中心に扇状に飛び回ってから同じ花に何度も戻ることがありました。
花の場所を記憶しようとする定位飛行でしょうか。
スローモーションで見ると、ミツバチはホバリングしつつ空中で両足を擦り合わせています。
飛び去る影も美しく撮れました。



通常のHD動画(高画質)でも撮ってみました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を少し付けているので、吸蜜だけでなく
集粉も行なっているようです。

現場では腹部上節が茶色でセイヨウミツバチっぽく見えたのですが、個人的にこの見分け方はいつも自信がありません。
念のために一匹採集して後翅の翅脈を確認してみるとニホンミツバチApis cerana japonica)と確定しました。

(セイヨウミツバチとニホンミツバチの両方が訪花していた可能性も残りますが…。)


スプリング・エフェメラルの一つであるフクジュソウの花は花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引しているらしい。(wikipediaより)
温度計で実際に測ってみたり、サーモグラフィーの動画を撮ってみたりするのも面白そうですね。


【参考】
工藤岳『パラボラアンテナで熱を集める植物:太陽を追いかけるフクジュソウの花』 (『花の自然史:美しさの進化学』第15章p216-226)
フクジュソウは花蜜を生産しないので、昆虫にとっての直接的報酬は花粉だけである。(中略)フクジュソウは花粉を提供するだけではなく、熱を報酬として与えることにより花粉媒介を行なっているのである。(p221-222より引用)






左翅脈


2013/04/25

餌場で喧嘩するニホンザル



2013年2月下旬

里の集落に下りてきた野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れが樹皮を採食するためお気に入りの木に集まっています。
平和な食事時にときどき勃発する喧嘩のシーンをまとめてみました。

樹上の個体間でいざこざが起こったようです。
追われた猿が枝から飛び降り、大袈裟に悲鳴を上げて逃げ惑います。
大騒ぎの追い駆けっこになりました。
雪原を結構遠くまで追いかけるものの、追手も深追いせずに諦めました。
格闘には至らず、怪我をすることもありません。
いざこざに<ガッガッガッ>という威嚇?の音声を伴うこともあります。
騒ぎに無関係な個体はのんびり採食を続けています。

突発的な喧嘩のシーンを動画で記録するのはなかなか難しく、個体識別※どころか性別判定や年齢判定も覚束ない状況では喧嘩の原因もよく分かりません。
餌資源の集中により、山中の採食シーンではあり得ないほど個体間の距離が近いので、餌付け群で見られるように皆気が立っているのでしょうか。
それともニホンザルの繁殖期に関係した争いなのでしょうか。

※ 首輪を付けた猿が映っていますね。

喧嘩の悲鳴を声紋解析してみる?


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