2013/04/15

ニホンカモシカの親子(白毛の幼獣)



2013年3月下旬

雪面に残されたニホンカモシカ(Capricornis crispus)の足跡を辿りながら山道を登っていました。
やがて道を外れ急斜面を登って行った足跡を何気なく目で追うと、稜線から真っ白のカモシカがこちらを見下ろしていました。
ザラメ雪の足跡は不鮮明で、てっきり古い足跡だと思い込んでいたので、まさかの遭遇にびっくりしました。
稜線だけアカマツが植えられており、他は雑木林という植生です。
1年前に滝の横で遭遇した白毛のカモシカと再会できたのでしょうか?
しかし『カモシカの森から』p95によると、カモシカの幼獣は白く柔らかな体毛が特徴らしい。
角も短いですし、当年仔(その年に生まれた仔カモシカ)なのだろうか?
ちなみに、『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』p106によると、ニホンカモシカは緯度が高くなるにつれて色が淡くなる傾向があり、東北地方では白色に近い個体もみられるらしい。

白毛の個体に気を取られて撮影中は全く気づかなかったのですけど、映像を見直すと実は横(右)にもう一頭居ました。
こちらは成獣で通常の毛並み(灰色の保護色)の個体でした。
角や耳も正常で、私が個体識別できるような特徴はありません。
その後は白毛の幼獣に目一杯ズームしてしまいました。
手ブレ補正処理を施していない元の動画も下に掲載します。
こちらはデジタルズームされていないので、画面の右隅に辛うじて成獣が映っています。
2頭はおそらく親子なのでしょう。
普通に考えれば母親の可能性が高いですけど、成獣の外見から性別を見分けるのは無理です。
生涯のほとんどを単独性に暮らすカモシカが2頭一緒に居るシーンを撮れたのはこれが初めてです♪

白毛の幼獣は耳をよく動かし、ときどき横を向いたりキョロキョロしています。
遂に右の成獣が先に動き、続いて白毛も身を翻して尾根を駆けて逃げました。
対峙の間、カモシカの鼻息威嚇を聞くことはありませんでした。




【追記】
カモシカの体色は地域によってさまざまで、雪の多い地方の個体は白っぽい個体が多いようだ。八ヶ岳で出会ったカモシカは黒色系の茶色い個体だった。(中略)
 カモシカの体色は千差万別だ。雪の多い場所でも濃茶色のものもいるし、四国のカモシカは茶色いという。概して雪の多いカモシカが白いというのは理に適っている。(p206〜207より引用)


私は地元の白っぽいカモシカしか知らないので、YouTubeで西日本産の黒っぽいカモシカの映像を見ると違和感すら覚え、びっくりしてしまいます。 



角に気づかなければ白い犬と見間違えそうですね。


親子のツーショット写真

2013/04/14

モリアオガエルの泡巣に集まるハエ



2013年6月中旬

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の集団産卵を観察してから16日後に見に行くと、乾いた泡巣にハエが数匹集まっていました。
よく見ると泡巣の中に産み付けられたモリアオガエルの卵が一部なぜか表面に露出しています。
隣にある別の泡巣で卵が露出していない物にはハエは来ていません。

キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ています。
別種のハエが飛来すると、先客のキンバエと陣取り合戦のようになっています。
ハエは泡巣上を歩き回ったり、身繕いしたり、口吻を伸ばして舐めたりしています。
撮影後に手で触れてみると、泡巣の表面は乾いていました。
泡巣にハエ♀が産卵を始めるかな?と思ったのですが、はっきりそれと判る産卵行動は見られませんでした。





【追記1】
「キンバエ&カエル」で検索していたら、カエルヤドリキンバエなるものの存在を知りました。
カエルヤドリキンバエはカエルの鼻腔に寄生するというおもしろい習性をもつが、生息環境の減少から絶滅の危険があり、環境庁のレッドデータブック(1991年)に希少種として登録されている。(平凡社『日本動物大百科9昆虫II』p156より) 


おそらく今回の映像には登場していないと思いますが、衝撃を受けたので個人的に覚書を残しておきます。(学名Lucilia bufonivora画像検索すると、かなりグロいです。)

更に調べてみると、その後どうやら日本の種では名前がカエルキンバエ(Lucilia chini)に変更されたようでレッドデータブックにカエルヤドリキンバエは掲載されていません。
参考サイト(レッドデータブック栃木京都


【おまけの動画】
「モリアオガエルの卵を食べるシリアゲムシ」(by H72031610さん)
これ↓を見ていたので少し楽しみにしていたのですが、期待していたシリアゲムシの姿は今回ありませんでした。



【追記2】
別件の調べ物をしていたら、AntRoom管理人さんのありんこ日記ブログに興味深い記事を見つけました。

カエルの卵を捕食するハエ!? その1 正体を知りたい!
ヤエヤマアオガエルの卵の中にいたウジ虫から飼育下で成虫を羽化させ、ウリンクロバエと突き止めています。



小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p288によると、
樹上にすむアオガエル科のカエルは、産卵期に木の枝葉へ粘液と水を混ぜて泡状のもの(泡巣)をつくり、その中へ産卵します。ウリンクロバエはこの泡巣に後から産卵し、孵化した幼虫は泡の中に詰まったカエルの卵を食い荒らします。ウリンクロバエは、日本では南西諸島に分布しています。
私のフィールドは寒冷な東北地方なので、ウリンクロバエは生息していないことになります。


川岸の石垣をへつるハクセキレイ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】



2013年3月中旬

街中を流れる川でハクセキレイMotacilla alba lugens)が護岸の石垣で餌を探していました。
水際を下流側へ移動しながら(へつりながら)、石垣の隙間の溝を丹念に物色しています。

両足を揃えてピョンピョン跳びはねるだけでなく、足を交互に出してトコトコ歩くこともあります。
斜めの石垣は滑り易く不安定な足場らしく、ときどきバランスを崩すと(おっとっと)羽ばたいて姿勢を保ちます。

ロッククライミングの練習や沢登りを彷彿としますが、鳥は手で石垣を掴むことが出来ません。



石垣をへつって※ジャンプしたり羽ばたく様子がとても面白く、ハイスピード動画(220 fps)でも撮ってみました。
スローモーション映像で見ると、石垣に面した右の翼は畳んだまま、逆の左翼だけで器用に羽ばたいていることが分かります。

へつる(へつる・へづる)*沢登り* (主に水際の)壁に伝って横に進むこと。~山の用語集~ [tozan.net]より)



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