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2024/03/10

枯草に産卵するヒメウラナミジャノメ♀

 

2023年6月下旬・午後14:35頃・くもり 

農村部の畑の横でヒメウラナミジャノメ♀(Ypthima argus)を見つけました。 
道端に咲いたドクダミの群落で訪花吸蜜しているかと初めは思ったのですが、よくよく観察すると、地表の枯草に潜り込んで腹端を擦りつけています。 
地面を歩き回りながら、あちこちの枯草に腹端をチョンチョンと付けています。 
産卵中の腹端の動きをようやく側面からしっかり撮れました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:17〜1:46) 
ヒメウラナミジャノメ♀の産卵行動は初見です。 

本種幼虫の食草はイネ科やカヤツリグサ科の生葉なのだそうです。 (『フィールドガイド日本のチョウ』p271より) 
それなのに、食草ではなくわざわざ枯葉や枯草に産卵する行動が進化してきたのは不思議です。 
寄生蜂への対策なのでしょうか? 
しかし、ヒメウラナミジャノメの卵は薄い緑色なので、本来は緑の生葉に産卵する方が目立ちません(保護色)。 
茶色の枯草に産み付けると逆に目立ってしまうはずです。 
卵から孵化した幼虫は、近くに生えた食草を自力で探し出す必要があります。 
鈴木知之『虫の卵ハンドブック』でヒメウラナミジャノメの産卵習性について調べると、
産卵場所は、枯葉・葉(イネ科のチヂミザサなど) 。♀は食草の葉裏や周辺の枯れ葉などに、1卵ずつ産卵する。(p109より引用)

産卵の合間に休息(日光浴)する際には、翅を開きました。 
この♀個体には、後翅の外縁に切れ込み状の損傷があります。 
左右対称の損傷なので、鳥に襲われかけたビークマークかもしれません。
(多数の眼状紋で威嚇していても、飛翔中は鳥に襲われることがあるのかもしれません。)
少し休むと、次の産卵を始めます。 


【アフィリエイト】 

2024/03/02

モリアオガエルの泡巣で吸汁するニクバエ

 



2023年6月中旬・午後12:20頃・晴れ 

梅雨の時期になると、山中の池の岸辺でミヤマガマズミなどの枝先にモリアオガエルRhacophorus arboreus)の卵塊がいくつも産み付けられます。 
その一つにホソヒラタアブ♀だけでなくニクバエ科の一種(種名不詳)も飛来しました。 
口吻を伸縮させて、乾いた卵塊の表面を舐め回しています。 

後半は、体格差のあるニクバエ2匹が並んで吸汁していました。 
なんとなく同種の♀♂かと思ったのですが、求愛交尾行動には発展しませんでした。 

ホソヒラタアブよりもニクバエの方が図太く、赤アリ(種名不詳)が近寄ってもあまり気にしません。 


【アフィリエイト】 
・科学のアルバム『モリアオガエル 新装版』 
・動物の記録『モリアオガエルの谷

2024/02/23

モリアオガエルの泡巣で吸汁するホソヒラタアブ♀と食卵するアリ

 

2023年6月中旬・午後12:15頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池に定点観察しにやって来ました。 
梅雨時で池の水位が上がり、満水状態です。 
例年なら池畔のマユミ灌木の枝先に卵塊が産み付けられているのですが、いつもの場所には泡巣がありませんでした。 
池畔の灌木を丹念に調べると、モリアオガエルの卵塊をいくつか発見しました。 
定量的な調査をしていませんが、今季は少ない印象です。 

ミヤマガマズミの枝葉にモリアオガエルが産み付けた一つの卵塊に1匹のホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が止まっていました。
左右の複眼が離れているので♀と分かります。 
翅を広げたまま口吻を伸縮させて、乾いた粘液をしきりに舐めているようです。
タンパク質やミネラル成分が豊富なのでしょう。
吸汁しながらも、腹部を上下に軽く動かして腹式呼吸しています。 

一方、赤っぽい微小なアリ(種名不詳)も同じ泡巣の表面をうろついています。 
赤アリがかじっている黄色い粒々は、モリアオガエルの泡巣に含まれる卵です。
ホソヒラタアブは近づいてくるアリを嫌って飛び立ち、軽くホバリング(停空飛翔)してアリから少し離れた位置に止まり直しました。 
アリ自身にホソヒラタアブ♀を攻撃する意図(餌場の縄張り防衛)は別になさそうです。 
アリがモリアオガエルの卵を泡巣からほじくり出して自分の巣穴に運ぶかどうか、興味があったのですが、かなりの長時間観察しないと見届けられないでしょう。

ホバリング中のホソヒラタアブ♀がモリアオガエル泡巣の表面にチョンチョンと触れるような思わせぶりな動きを繰り返しているのが気になりました。 
産卵行動だとしたら、大発見です。 
それとも近くのアリを牽制しているのでしょうか? 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:10〜3:40)、どうやら産卵行動ではなさそうです。  
停飛しながら足の先で泡巣の表面に軽く触れているだけで、腹端は泡巣に触れていませんでした。 
泡巣表面の湿り気を足先の感覚器で調べているのかもしれません。 
ホバリングしながら泡巣の横のミヤマガマズミの葉にも足先で触れたので、どこに着陸しようか吟味しているだけなのでしょう。 
そもそもホソヒラタアブの幼虫はアブラムシを捕食するので、カエルの卵塊に産卵するはずがありません。 

関連記事(14年前の撮影)▶ ホソヒラタアブの幼虫と前蛹


周囲にモリアオガエルの卵塊はいくつもあるのに、特定の卵塊にしか昆虫が集まらないのは不思議です。 
アブ・ハエ類が吸汁目的だとしたら、産みたてで水気の多い白い泡巣を舐めれば良さそうなのに、少し乾いた卵塊が好みなのは何故でしょう?
わざわざ唾液を吐き戻しながら乾いた卵塊を舐め、吸汁しているのです。
出来たてフワフワの泡巣の上をアリが歩けないのはなんとなく予想できます。

関連記事(10年前の撮影)▶ モリアオガエルの泡巣に集まるハエ 
キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ていました。 



 
【アフィリエイト】 
・科学のアルバム『モリアオガエル 新装版
・動物の記録『モリアオガエルの谷
 
水際に自生するミヤマガマズミの枝葉に群がってまさに抱接・産卵中のモリアオガエル♀♂も見つけました。
新鮮な泡巣は真っ白です。
モリアオガエル♀♂が粘液や尿を後脚で泡立てている最中に虫は来ていませんでした。
日が経って乾いた泡巣は黄色っぽくなります。

2023/11/17

山中の泉に沈んだアカマツの落枝に産み付けられたトウホクサンショウウオの卵嚢

 

2023年4月中旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の根雪がすっかり溶けたのを見計らって、山中から地下水が湧き出る水場へ久しぶりの定点観察に行きました。 
岸辺のあちこちにゼラチン質の巨大な卵嚢が幾つも産み付けられていました。 
この泉にはトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)生息していることが分かっているので、おそらくトウホクサンショウウオ♀が最近産み付けたばかりの卵嚢でしょう。 



岸辺の浅い水中に産み付けられた大きな卵嚢を右手で掬い上げてみると、ブヨブヨの触感で捉えどころがありません。 
くるんとカールした勾玉のような形状でした。 
岸辺の卵嚢は何にも固定されておらず、水底にゴロンと転がっているだけです。 
胚発生が少し進んでいたものの、まだ自発的な動きはありませんでした。 

サンショウウオには溜まり水など流れのない水(止水)に産卵するものと、産地の谷川など流れのある水(流水)に産卵するものがいる。(秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語:サンショウウオに魅せられて40年』p12より引用)

撮影現場は水の流入および流出があるものの、どちらに分類されるかと言えば止水域です。 

wikipediaによれば、トウホクサンショウウオは
雪解けを迎える3月から6月が繁殖期で、止水域に20-100個でひとかたまりの卵を産む[4]。

実は、池畔の崖に立っていたアカマツが冬の間に積雪の重みに耐え切れず真っ二つに折れてしまい、池の中にアカマツ倒木の枝が突き刺さっていました。 
(あるいはひょっとすると、落雷を受けたのかもしれません。)
水温が低いために、松葉が枯れずに緑色のままです。 
水中のアカマツ落枝にもトウホクサンショウウオの卵嚢が多数産み付けられていました。 
落枝ごと水中から外に引き上げてみると、卵嚢は自重で細長く垂れ下がり、印象がまるで変わりました。
卵嚢がちぎれることはありませんでした。 
アカマツの枝先や針葉に卵嚢が固定されているようです。 

トウホクサンショウウオの産卵シーンを観察できず、残念でした。 
来年以降の宿題として持ち越します。
もっと残雪のある早春に来る必要がありそうです。
この日はトウホクサンショウウオの成体を1匹も見かけませんでした。 
既に繁殖を終えて陸地に帰ったのか、それとも私を警戒して水中に逃げ込んだのか、分かりません。

水場でヤマアカガエルの卵塊が見つかるかと期待して山を登って来たのに、意外にも全くありませんでした。 
この泉でヤマアカガエルは繁殖しないのでしょうか? 
それとも、今春は大量のアカマツ落枝で池の水面がほとんど埋め尽くされたせいで産卵できなかったのかもしれません。

それから、アズマヒキガエルの卵塊も見つかりませんでした。 
ヒキガエルの繁殖期(カエル合戦)にはまだ時期が早そうです。 

水場に無人カメラを設置してサンショウウオやカエルの産卵シーンをなんとか撮影したいところです。
しかし両生類は変温動物のため、いくら激しく動き回ってもトレイルカメラのセンサーが反応してくれないのが問題です。 

ひょっとしたら水中の落枝をそのままにした方が、トウホクサンショウウオは捕食を免れてよく育つのかもしれません。 
しかし放置すると野鳥や野生動物が水場として利用しにくそうなので、撮影後はアカマツの倒木や落枝を撤去しました。 

ところで、動画撮影中に周囲の雑木林からツツピーツツピー♪というシジュウカラ♂(Parus minor minor)の囀りさえずりが繰り返し聞こえます。 

本当はトウホクサンショウウオの卵嚢を採取して持ち帰り、飼育してみたいところです。
あれこれ手を広げ過ぎてしまい、忙しくてとても余力がありません。 
できる限り定点観察に通うことにします。
調べてみると山形県のトウホクサンショウウオは 準絶滅危惧種(NT)に指定されているので、採集は控えるべきかもしれません。


同じ山系で雪解け水が溜まった別の池でもトウホクサンショウウオ♀が産んだと思われる卵嚢を先日見つけています。




そちらの池は標高が低くて日当たりも良いので、水温が高そうです
産卵時期も少し早く、胚発生も早く進行するでしょう。

それに対して、雑木林に囲まれた山中の水場は標高が高くて日当たりが良くありません。
しかも地下水の湧き水は夏でも冷たい(水温が低い)ため、トウホクサンショウウオの胚発生はゆっくり進行すると思われます。




【追記】
ネットで調べ物をしていたら、興味を引く文献を見つけました。
藤原愛弓, and フジワラアユミ. "宮城学院女子大学構内における準絶滅危惧種トウホクサンショウウオの産卵地の発見と個体数の推定." 宮城學院女子大學研究論文集 130 (2020): 47-57.
ありがたいことに、全文PDFがダウンロード可能です。
ざっと斜め読みしてみると、私の観察とそっくりの産卵環境が報告されていて驚きました。
MG 産卵地の周囲や水底には、周辺に生育する落葉・常緑広葉樹の落ち葉が厚く堆積しており(写真 4)、主に樹幹部から落下してきたと思われる枯れ枝や数本の倒木が、MG 産卵地の中の数か所に半分没した状態で確認できた。
 卵嚢が多く産み付けられていた場所は、倒木の下(写真 5)や木の枝(写真 6)であった。
広葉樹のみならず、アカマツの枝や葉にも産み付けられていた(写真 7)。同所的に最も多くの卵嚢が産み付けられていたのは倒木の下であり、3 月 19 日には水中に半分没した倒木の側面から下面にかけて、計 24 個の卵嚢が確認された。一方で、落ち葉が堆積した場所に、そのまま産み付けられている卵嚢も確認された。


【追記2】

平凡社『日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』を紐解いてトウホクサンショウウオの産卵生態について調べると、

透明でバナナ状の卵のうの表面に多数のしわがある点で、トウキョウサンショウウオやクロサンショウウオと区別できる。

 3〜6月の 雪どけのころに、繁殖個体が止水に集まり産卵する。止水といっても、(中略)山間の細流のよどみなどのようなわずかに流れのあるところが好まれる。♀は水中の石の下の枯れ枝などに1対の透明な卵のうを産みつける。1匹の♀が産む卵の大きさや卵数は地域により大きく異なるが、直径2.4〜3.2mmほどの卵を20〜100個産卵する。(p13より引用)

卵嚢表面の皺については、私が撮った写真でも確認できます。 

2023/10/16

早春の池に産み付けられたトウホクサンショウウオの卵塊をすくって見る

 

2023年4月上旬・午後14:05頃・晴れ 

里山で雪解け水が流れ込む池の水中に見慣れない卵嚢を見つけました。 
前の年に岸辺に生えたまま枯れたアブラガヤの1株が根元から倒れて水没しています。 
その茎に巨大な卵塊が産み付けられていたのです。 
枯れ茎ごと慎重に手繰り寄せてから、ブヨブヨの卵塊の下に右手を差し込んで掬い上げてみました。 
両生類に疎い私は現場でアカハライモリの卵塊なのかと思ったのですが、画像検索したら明らかに違います。 
どうやらトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵塊らしい。 
卵嚢はアブラガヤの枯茎にしっかり固定されていました。 
これは何匹の♀が産卵した結果なのかな?
黒い胚は球形で、胚発生は未だ進んでいません。 
トウホクサンショウウオ♀が産卵したばかりなのでしょう。 

動画の前半で水中の卵塊にズームインしたら、1匹の黒い幼生が浮上しかけ、再び卵塊に戻りました。(@0:43〜) 
これはおそらく同じ池で先に孵化したヤマアカガエルの幼生(オタマジャクシ)が無関係の卵塊に潜んでいたのだと思います。 

手前の岸辺に見えるヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊と比較すると対照的です。 
サンショウウオの卵塊は透明度が低く、やや白っぽい。 

いつかトウホクサンショウウオを飼育してみたいものです。 
今回は卵鞘をそのまま水中に戻してやりました。 

画像を自動色調補正したら、水中の卵塊がクリアになりました。




関連記事(別地点で半年前の撮影)▶ 山の泉で育つトウホクサンショウウオ幼生をすくって見る 
半年前に幼生を見つけた池は今回の池よりも標高が高いので、これから登って見に行けば産卵シーンが見れるかもしれません。

動画を撮影中に、池の周囲の山林でウグイス♂(Horornis diphone)が囀る声が聞こえますね。
繁殖期の始まりはホーホケキョ♪ときれいに鳴けません。
囀りさえずりが未だ下手糞で、練習しているようです(ぐぜり)。


2023/09/24

雪解け水の池に産卵するヤマアカガエル♀♂の群れを微速度撮影したい!【チャレンジ#2】

 



2023年3月中旬〜下旬 

里山の斜面にある池に雪解け水が貯まり、ヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)が毎年早春に集まって繁殖活動しています。 

3/13  
前回の反省を生かして、同じ池でも少し別の地点の卵塊bをやや引きの絵で微速度撮影することにしました。 
わざわざ持参したスコップで池畔の深い残雪を地面まで掘ってから、三脚を立ててみました。 
試写してみるとアングルがいまいちなので、諦めて雪を埋め戻し、場所を変えます。 
水を入れた600mLペットボトルを三脚に吊り下げて、風で倒れないように重りとします。
夜に照射する赤外線LEDが水面で反射することを考え、水面に対して斜めから狙うようにしました。 

5分間隔のインターバル撮影を行います。 
本当は5分間隔よりも短く設定したいのですが、残念ながらカメラの仕様で撮影頻度をこれ以上は上げられません。 
池の周りに複数台のトレイルカメラを設置して微速度撮影したいところですけど、他のプロジェクトも同時並行でやっているので、1台しか使えません。

3/22 
カメラを回収しようと池に近づくと、ヤマアカガエルの鳴き声が響き渡っていました。 
しかし少し離れたところから望遠で探しても、鳴いているカエルの姿を見つけられません。
私が岸まで行くと、警戒したカエルは鳴き止んで水中に潜ってしまいます。 
今季は岸辺だけでなく、水中にも大量の卵塊が残されていました。 
池畔に黒い三脚カメラを設置したせいでヤマアカガエル♀が警戒し、浮上しなくなったのかな? 
水中で♂にしがみつかれた♀は溺死するリスクがあります。 

最初に産み付けられた卵塊aから黒いオタマジャクシ(ヤマアカガエルの幼生)が孵化していました。 
ゼラチン質の中で、まだほとんど動きません。 
日当たりの良い岸辺に産み付けられたヤマアカガエルの卵塊には緑藻が繁茂していました。 
素人の勝手な想像ですけど、卵塊が緑藻に隠れて捕食を免れるかもしれませんし、光合成により卵塊に酸素が供給されて好都合かもしれません。 

トレイルカメラのレンズおよび液晶モニターが内側から結露していて焦りました。 
防水パッキンの蓋を開けてみると、電池ボックス内にも水滴がありました。 
実は3/13にトレイルカメラを現場に持参する際にザックに入れて運んだのですが、濡れた長靴や着替えも同じザックに入れていました。 
別々の防水袋で互いに隔離していたつもりが、ザック内の湿度が上がってトレイルカメラの内部が結露してしまったようです。 
前回はカメラを池に水没してしまいましたし、踏んだり蹴ったりです。 
今回の失敗も完全に自分の落ち度なので、自分の迂闊さを呪うしかありません。 
カメラを持ち帰って蓋を全開にしたまま室内で放置したら結露が完全に蒸発してくれ、復活しました。 

気落ちしつつも、撮れた連続写真を確認すると、設置後しばらくは結露したレンズのせいでぼやけた写真しか撮れていませんでした。 
晴れた日にカメラが日差しを浴びれば自然に蒸発してくれるかな? 
ようやくレンズの曇りがなんとか晴れたのが4日後の3/17からでした。 

しかし寒の戻りで3/18の朝から雪が降り始め、池畔の枯れ草に白い雪が積もりました。 
翌日3/19は朝から晴れて、岸辺の雪がみるみる溶けていきます。 
その日の晩から蛙が繁殖行動を再開したようで、水中に少数ながらも姿を表すようになりました。 
夜になると水面に浮かぶ蛙の目が白く光って見えます。 

インターバル撮影なんて初めに設置すればカメラにお任せなのに、実際にやってみると色々と失敗続きです。
集団産卵によって岸辺の卵塊がみるみる大きくなるかと期待したのに、満足の行くタイムラプス映像を撮れませんでした。 
今季はもうヤマアカガエルの配偶行動が下火になったので、また来年まで持ち越しです。 
次にいつ再チャレンジできるか分かりませんから、失敗や改善点を忘れないように記録しておきます。
この繁殖池が開発で埋め立てられるのではないかという懸念があるのです。


2023/09/13

雪解け水の池に産卵するヤマアカガエル♀♂の群れを微速度撮影したい!【チャレンジ#1】

 

2023年3月上旬〜中旬 

早春になると、未だ雪深い里山の池でヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)の群れが配偶行動および産卵のために集まります。 
毎年通って観察しているのですが、ヤマアカガエルは警戒心が強くて肝心の産卵行動が観察できません。 
そこで今季は、無人カメラを設置して撮影する作戦に切り替えました。 
両生類は変温動物ですから、いくら動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応してくれません。 
そこで次善の策として、インターバル撮影でヤマアカガエルの離合集散を記録することにしました。 

3/8に現場入りすると、雪や氷に閉ざされていた池aの水面が現れ、早くも岸にヤマアカガエルの卵塊が産み付けられていました。 
前回2/27に来たときは卵塊が無かったので、9日間の間(2月下旬〜3月上旬)に今季初の産卵が行われたことになります。 
2023年度 アカガエル産卵前線を参照すると、山形県の記録は登録されていませんでしたが、隣県の新潟県および宮城県とほぼ同じ時期でした。 
てっきり毎年同じ場所に産卵するかと思いきや、2021年とは少し違う地点(下の池bへ水が流れ出る地点)に卵塊が産み付けられていたのが興味深く思いました。 

既に産み付けられた第1陣の卵塊に再び♀♂が集まって追加で産卵するだろうと予想し、三脚に固定したトレイルカメラを池畔に据えました。 
真っ黒な三脚の存在を警戒してヤマアカガエルは岸辺に近寄らなくなるかな?という心配もありますが、やってみないことには分かりません。 

雨が降る日の夜に産卵が活発になると予想して、天気予報を元にして3/8にカメラを設置しました。 
5分間隔のインターバル撮影が順調にいったものの、704枚目の写真を最後に、カメラが水没してしまいました。 
3/11の深夜に突風が吹いて三脚が倒れたようです。 
フクロウなど夜行性の野鳥が三脚の上に止まったのか、あるいは池に来た夜行性の野生動物が三脚に興味を示して触れて倒れたのだとしたら面白いのですが、真相は不明です。 
転倒防止のために、水入りのペットボトルを重しとして三脚に吊るしておくべきでした。 

3/11の早朝に現場入りした私が慌ててトレイルカメラを水中から引き上げました。
トレイルカメラは防水性能が驚くほど優れていて、カメラ本体もmicroSDカードも無事でした。 
カメラの防水パッキンがとても優秀で、6時間も水没していたのに全くダメージが無くて感心しました。 
水没しても律儀に水中写真を5分間隔で撮り続けていました。

3600倍速の早回し映像を確認してみると、なかなか思ったようにはいかず、反省することばかりです。
良かった点として、旧機種でも写真の場合は、気温および月齢のデータを写真に焼き込んでくれます。 
昼間は晴れると枯れ草の影が日時計のように刻々と動きます。 
夜になって暗視モードになると、赤外線LEDの光量が強過ぎて白飛びしていました。
真上から水面を見下ろすアングルでカメラを設置したので、赤外線の反射光をレンズが直視してしまいました。 
少し斜めに見下ろすアングルに設置するべきでした。 
それから、この機種は被写体から1.5m以上離す必要があるらしい。 

5分間隔のタイムラプスではカエルの離合集散がよく分からないので、もっと間隔を縮めた方が良さそうです。 
意外にもヤマアカガエルは夜にあまり集まって来ないようです。 
やはり♀はカメラ(三脚)の存在を警戒した結果、少し別の場所で産卵したのでしょうか? 
産卵地点が予測不能だとすれば、池全体を俯瞰で見張るように、カメラを池から少し離した方が良いかもしれません。 

3/11に現場入りして調べると、池aの別な地点(例年通り)に新たな卵塊が追加で産み付けられていました。 
これで岸辺の卵塊は2ヶ所になりました。 
下の池bにもヤマアカガエルの卵塊が1個産み付けられていました。 

もう一度インターバル撮影にチャレンジしてみましょう。 
色々と試行錯誤してみるしかありません。 


2023/08/06

山中の池でトレイルカメラが捉えたオニヤンマ♀の産卵(その2)

 


2022年8月上旬・午後13:40頃・晴れ 

里山で湧水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、オニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)が単独で飛来しました。 
日陰になっている左岸でホバリング(停空飛翔)しながら、岸辺の浅瀬に腹端をチョンチョンと付けて産卵しています。 
池の浅瀬に沿って移動しながらあちこちで産卵を繰り返し、飛び去りました。 
オニヤンマ♀の産卵行動を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22~) 

この時期はずっとオニヤンマ♂がこの水場で縄張りを張って交尾相手の♀を待ち伏せしていたのに、♂の留守中を狙ったかのように♀が産卵に来たことになります。 
これは前回も同じでした。 


交尾済みのオニヤンマ♀は♂のしつこいセクハラで産卵行動が邪魔されるのが嫌で、意図的に♂を避けているのかもしれません。 
それとも監視カメラに写っていないだけで、実は首尾よく交尾できた♂が近くで♀の産卵を見守っているのでしょうか? 

水場に飛来したオニヤンマ♀を♂が捕捉して交尾に至る瞬間をトレイルカメラで記録するのは、よほどの幸運に恵まれないと難しそうです。 


※ 癖のある旧機種のトレイルカメラを騙し騙し使い続けています。 
明るい昼間の動画撮影に難があり、なぜか画面全体がピンク色に点滅するのです。 
あまりにも不自然で見づらいので、動画編集時に自動色調補正を施してモノクロに加工しました。


2023/08/05

雪上のタヌキ溜め糞に群がるフユユスリカ?の謎

 

2022年12月下旬・午後14:00頃・晴れ

スノーシューを履いて山麓近く(標高〜320m地点)のスギ植林地を探索していたら、ザラメ雪の上にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場opを新たに見つけました。 
周囲の雪面にはスギの落枝や落ち葉が散乱していて、タヌキの足跡も多数残っていました。
新鮮な糞の中に植物の種子が少し混じっています。 
糞の下の雪が少し溶けて、雪を茶色に染めています。 
スギ林床には日がほとんど射さないので、太陽熱ではなく排泄直後の糞の体温のせいで雪が少し溶けたのだと思われます。 

この日は他の地点の溜め糞場も見て回ったのですが、根雪が積もった後なので、糞虫類はおろかハエ類も全く来ていませんでした。 
ところが、ここではタヌキの糞塊にユスリカの仲間が数匹集まっていたので、非常に驚きました。 

このユスリカは、獣糞の表面から吸汁しているのでしょうか? 
口元をマクロレンズで接写すべきでしたね。 
平凡社『日本動物大百科9昆虫II』を紐解いてユスリカ類について調べると、
成虫は摂食をしないものと考えられていたが、花の蜜の吸汁、飼育下で蜂蜜溶液などをなめるという事実の観察から、この考えは訂正された。実際、成虫の口器の形態は、液状の物質を摂取していることを明確に裏づけている。(p126より引用)
動画を注意深く見直すと、糞上を歩き回るユスリカが先の尖った腹端をチョンチョンと糞に付けていました。 
ユスリカ♂の触角はブラシ状に発達しているはずですから、♀が産卵しているのだと謎が解けました。 
孵化した幼虫が冬の間にタヌキの糞を食べてゆっくり育つのでしょう。

溜め糞の周囲の雪面を徘徊する個体もいますが、雪上は気温が低くて風もやや強いので、飛べないようです。 
現場で気温を測るべきでしたね…。 
厳冬期の雪上生活に適応するために翅を退化させた昆虫もいますけど、今回見つけたユスリカには翅があるので、晴れて暖かい日には普通に飛び回るのでしょう。

ネット検索で調べてみると、フユユスリカ属という名前からして魅力的なグループがいるそうです。

参考サイト:
フユユスリカは、フユユスリカ属に分類される体長4~5mmほどの小さなユスリカの仲間で、名前のとおり、冬になると川から羽化して成虫となります。

近藤繁生「深泥池のビワフユユスリカ(新称) Hydrobaenus biwaquartus について」ため池の自然 No. 37(2003) によると、
フユユスリカは、エリユスリカ亜科フユユスリカ属Hydrobaenus に含まれるユスリカで、わが国では、現在およそ30種の成虫が記録されている(佐々, 1998) が、幼虫については 4 種が知られているにすぎない(山本, 2001)。本属の幼虫は一般的に貧栄養の湖や河川の沿岸帯に生息し、休眠のため 2 令で繭を形成することが知られている。

 

ただし、今回はユスリカを採集してないので、しっかり同定した訳ではありません。
雪国の冬季(積雪期)に見かけたからと言って、フユユスリカの一種とは限らない? 
他の季節にタヌキの溜め糞場でユスリカを見かけないのは、一体なぜでしょう? 
ハエ類など優占種に追い払われてしまうのかな? 
フユユスリカが特に耐寒性を獲得した秘密も不思議です。 
捕食者(捕食性昆虫)の居ない冬季は生存に有利なのでしょう。 

ここ数年、タヌキの溜め糞場に集まる虫たちを重点的に観察してきたので、当地で見れる登場メンバー(「うんちレストラン」の常連客)はほぼ見尽くしただろうという自負がありました。 
それでもなお、観察する時期や時間帯を変えれば驚くような発見が未だ残っていて、自然観察は奥が深いとつくづく痛感しました。 

後日、この地点にトレイルカメラを設置して、本当にタヌキが排便に通ってきていることを確かめました。 









【追記】
どうやらタヌキ以外の動物の糞にも集まるようです。


2023/08/01

ハリギリ倒木の縦溝に卵を産み付けるミカドフキバッタ♀

 

2022年8月下旬・午後12:45頃・くもり 

里山の斜面に倒伏したまま放置されたハリギリ(別名センノキ)巨木の幹に2匹のミカドフキバッタ♀♂(別名ミヤマフキバッタ;Parapodisma mikado)が乗っています。 
よく見ると、ハリギリの樹皮に特有の縦に裂けたような深い溝に腹端の産卵管を挿し込んでいました。
1匹目♀aは、左の触角が途中から欠損している個体でした。 

 
ハリギリの大木は樹皮が苔むしているために、溝の中は適度に湿り気がありそうです。 
孵化したミカドフキバッタの幼虫は倒木の材を食べるはずがないので、すぐに自力で分散して周囲の草を適当に食べるのでしょう。 
通常フキバッタ類の♀は地中に穴を掘って産卵するぐらいですから、 母親♀は幼虫の食草・食樹に直接産卵するのではなく、とりあえず安全に孵化できそうな場所に卵を産み付けているだけなのでしょう。 


関連記事(同所で約2週間前の撮影) ▶:ハリギリ倒木の幹の縦溝に産卵するミカドフキバッタ♀の群れ


2023/07/15

砂地の地面を尾端で叩いて回るスキバツリアブ♀(産卵行動?)

 

2022年7月中旬・午前10:10頃・晴れ 

川沿いの堤防路(ダートロード)で砂地の部分にスキバツリアブ♀(Villa limbata)が降り立っていました。 
スキバツリアブはてっきり山地性と思っていたので、こんな平地(郊外と田園地帯の間)でも会えるとは意外でした。 

ホバリングの名手が地上で羽ばたきを止め、尾端を小刻みに上下して地面に付けています。 
本種の♀は産卵前に予め取り込んだ細かい砂で卵をまぶしておくのだそうです。 
途中で少し飛んであちこち移動してから、再び尾端接地行動を繰り返します。 
平べったい石の上では尾端接地行動をしないですぐに飛び立ちました。
定説に反して、実はこれが産卵行動なのでは?と私は密かに疑っています。 
撮影後に現場の砂を掻き分けて微小な卵を探し出し、飼育できたら証明になるのですけど、想像するだけでも難しそうです。
私の仮説が正しければ、この辺りにスキバツリアブの寄主となる地中営巣性のハナバチ類の巣穴があるはずです。
それとも、尾端接地行動した後の♀を追跡して観察すれば、産卵行動が見れるのでしょうか? (私は未だ見たことがありません。) 
本当の産卵はホバリングしながら卵を散布するのかな?

 

2023/06/22

溜池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀?

 



2022年8月上旬・午前10:30頃・晴れ  

大雨が降った後で満水になった溜池でカワウPhalacrocorax carbo hanedae)を撮影していると、右から白っぽいトンボが飛来しました。 
水面スレスレの低空飛行でやって来たトンボが水面に浮く草に腹端をチョンと付けて飛び去りました。 
産卵行動のようです。 
すぐにまた戻って来て、同様の産卵をあちこちで繰り返します。 
水面そのものではなく、水面に浮く植物に狙いをつけて卵を産み付けていることから、正確には単独打水産卵とは呼べなさそうです。  

このトンボ♀の名前は何でしょう?
やや遠くてしっかり見えなかったのですが、腹部が白いトンボと言えばシオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum)ですかね? 
しかし、シオカラトンボ♀の腹部は茶色い麦わら模様のはずです。 
 図鑑『日本のトンボ』でシオカラトンボの産卵様式について調べると、一応合致します。

・♀は単独で、腹端で水をかき、卵とともに前方に飛ばす。♂はその間、付近を飛んで警護することが多い。 
・時おり♂型の♀が出現する。通常の♀も老熟すると薄く白粉を吹くが、それとはまったく異質のもの。 (p471より引用)

我田引水ですが、今回の産卵個体は♂型の腹部全体が白いシオカラトンボ♀だとすれば説明できそうです。 
ただし、産卵する♀の周囲で警護する♂の姿は見当たりませんでした。

池の水面をのんびり遊泳するカワウは、単独打水産卵するトンボには目もくれませんでした。 
魚食性のカワウがトンボを獲物として認識しないのは、当然でしょう。 

2023/03/07

タヌキの溜め糞に集まり産卵するツヤホソバエ科の一種【名前を教えて】

 

2022年9月中旬・午後13:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の稜線(尾根道)に残した溜め糞場cに様々なハエ類が群がっています。
去年からの懸案だった謎の微小昆虫が何匹も集まっていたので、カメラにマクロレンズをいそいそと装着して接写してみました。 
三脚なしの手持ちカメラだと無理な体勢を強いられ、長時間の接写は疲れて無理でした。 
一緒に来ていたハネフリバエ科Euxesta属のハエとは明らかに別種と私でも分かります。 

翅は透明ですけど、全身が美しい金属光沢の構造色で覆われています。 
特に腹部は見る角度によって赤紫や鈍い金色に輝き、とても綺麗です。 

透明な翅の先端付近(前縁)に黒いシンプルな斑紋(縁紋?)あります。 
その翅紋を誇示するように広げた翅を振り立てることもありますが、Euxestaほど熱心ではありません。 
歩行中も白い平均棍を上下にピコピコと動かしています。 

白くて細長い卵を腹端から出し入れしている個体がいました。 
立ち止まると後脚を擦り合わせて身繕いを始めました。 
せっかく♀が産卵しそうだったのに、なぜか私は撮影を中断してしまいました。 

糞塊の上をとにかく忙しなく歩き回るので、口吻を伸ばして獣糞を吸汁するシーンが上手く接写できませんでした。 
同種のハエ同士が糞上で頻繁にニアミスするものの、もう少しズームアウトしないと求愛や闘争などの相互作用が撮れません。 

さて、このハエの名前は何でしょう? 
ときどきお世話になっている「みんなで作る双翅目図鑑サイト」の画像一括閲覧ページを眺めてみると、似た写真に「ツヤホソバエ科Sepsis sp?」とキャプションが付いてました。 
ツヤホソバエ科Sepsis」で改めて検索すると、フッカーSさんのブログ記事がヒットしました。 
翅の外縁あたりに1対の小黒点がある、スリムな体型のハエ。頭部は丸い。 翅に小黒点があるツヤホソバエといえば、Sepsis属のヒトテンツヤホソバエ(Sepsis monostigma)がよく知られているが、Sepsis属で翅に黒紋があるものは10種類くらいおり、安易にヒトテンツヤホソバエとは判断出来ない。 (ツヤホソバエ科の一種 @東京23区内の虫 2 より引用)
今回私が撮ったハエも、とりあえずSepsis sp.としておきます。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。
昨年は通常レンズでしか撮れず、ハエなのかハチなのかさえ見分けられませんでした。
微小な寄生蜂なのかと思い込んでいたぐらいです。
この謎の虫をなんとか接写したいがために、今季は頑張ってタヌキの溜め糞をひたすら見て回っていたと言っても過言ではありません。
手ブレの酷い動画ですけど、これで一歩前進です。




【追記】
平凡社『日本動物大百科 (9)昆虫II』を紐解くと、ツヤホソバエ類に関する詳細な解説が載っていました。
 ツヤホソバエ科は小型で体の細いハエで、アリに似ていることから英語でant fly、地上では翅を頻繁に動かすことからドイツ語でSchwing Fliegenと呼ばれている。
 日本全国に分布し、11属35種が知られる。(中略)
翅の先に黒い点状の斑紋をもつものが多い。
 成虫は(中略)あらゆる環境に生息し、動物、家畜の糞、堆肥、腐肉など、広く腐敗物によく集まり、(中略)花を訪れるのは吸蜜するためである。(中略)幼虫はほとんどが糞食性または腐食性で、成虫が集まる糞や腐敗物に発生するが、なかには泥に発生するものもいる。
 卵は白く、長楕円形で、大きさは0.7〜1.5mm、ほとんどが卵の長さの何倍もある呼吸管をもっている。卵は少なくとも2日以内に1齢幼虫となる。(中略)幼虫は、糞や腐敗物を食べて成長し、発生源の内部または下の土中で蛹になる。
 ツヤホソバエ類の成虫の行動でもっとも特徴的なものは、求愛行動と繁殖戦略である。とくにSepsis属の多くの種の交尾行動は新鮮な牛糞上で起きる。♀を探索する♂は、牛糞周辺で活発に活動し、翅を頻繁に動かしたり、腹部を上下に動かすなどして、牛糞に飛来した♀をつかまえる。そして♀の体の上に乗り、そのまま牛糞上を移動して歩き、♀が産卵しているあいだ、交尾器の接触を試み、ほかの♂に侵略されそうになると翅を頻繁に動かして反応する。♀が成熟卵を産み付けたのち、ペアは牛糞から離れ、一般には交尾は成立するが、♀に拒否されることもある。交尾は約20分ほど続く。このように、最初の産卵の後の交尾によって受精が起きる。最初の産卵における受精については正確にはわかっていない。
次に機会があれば、Sepsisの繁殖行動をじっくり観察してみたいものです。

産卵シーン?

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