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2023/12/26

ゴマダラカミキリばらばら死体の謎

2022年8月中旬

里山の尾根道でゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca)の死骸が転がっていました。
頭部、胸部、腹部とバラバラにされた部位が点々と散らばっています。
鞘翅を開げたまま死んでいるのも不思議です。
復元すればほぼ全身が残っているので、野鳥や野生動物が捕食した食べ残しにしては変です。
自然死した死骸がアリによって解体されて巣に運ばれる途中なのでしょうか?
アリの大群は居なかったものの、写真をよく見直すと、頭部の死骸に2匹の黒アリ(種名不詳)が写っていました。
(右触角の先と大顎の下)

2023/12/18

草地でハタネズミの死骸を見つけた!

 

2023年5月上旬・午後15:10頃・晴れ 

川沿いの農道(堤防路)で見慣れない野ネズミが仰向けに死んでいました。 
トレイルカメラの映像でよく見ているアカネズミやヒメネズミに比べて顔つきが丸っこい印象です。 
調べてみると、ハタネズミMicrotus montebelli)のようです。 


平地(特に農地の近く)で野ネズミを見つけた場合、ハタネズミも考慮に入れる必要があると学びました。 

素人目には外傷が認められず、死因が不明です。 
殺鼠剤でも撒かれたのでしょうか? 
死後間もないらしく、死臭もありません。 

腐肉食の掃除屋は1匹のニクバエ科(種名不詳)しか来ていませんでした。 
現場では気づかなかったのですが、撮れた写真を拡大すると、死んだハタネズミの耳に小さなアリ(種名不詳)が数匹群がっていました。 (※追記参照)
拾った棒切れで死骸を裏返してみても、死骸の下にシデムシ類は潜り込んでいませんでした。 

死骸を採寸するために15cm定規を並べて置くと、ニクバエがそれに止まって前脚を擦り合わせました。(身繕い) 
ハタネズミ死骸を裏返して腹面を向けると黄色くて長い門歯が目立ちます。 
耳介が小さくて目立ちません。

このとき私は強行軍の後で疲労困憊していたので、ハタネズミの死骸をせっかく見つけたのに、写真と動画で記録しただけです。 
今思えば貴重な死骸を解剖して胃内容物を調べたり、頭骨標本を作成したりしたかったのですが、とても余力がありませんでした。

ハタネズミの死骸をそのまま放置するにしても、トレイルカメラを横に設置しておけば、カラスやトビなどのスカベンジャー(あるいは近所のネコ?)が 死骸を食べに来る様子を録画できたかもしれません。


※【追記】
飯島正広、土屋公幸 『リス・ネズミハンドブック』でハタネズミを調べた際に、次の記述を読んで震え上がりました。
耳介に着いているダニの1種であるツツガムシによってリケッチア症が媒介されるので注意が必要だ。(P45より引用)
当地はツツガムシ病という死に至る風土病がかつて猖獗を極めた最上川流域の某地区に近く、私が子供の頃はツツガムシ病について大人から散々脅かされてきたものです。
野ネズミの死骸を素手で触れてはいけません。

2023/11/20

動物の死骸を独り占めする恐妻家のトビ(野鳥)

 

2023年4月下旬・午後14:55頃・くもり 

春の刈田で2羽のトビMilvus migrans)が仲良く(?)並んでいました。 
ズームインしてみると、右の個体(♀?)が何か哺乳類の死骸をついばんでいました。 
死後かなり日数が経っているようで、ずたぼろの死骸は損壊が激しく、何の動物か全く見分けられません。 
黒灰色の毛皮に血痕は付いていませんでした。 
なんとなく長毛品種のイエネコかと推測したものの、定かではありません。 
冬の間に行き倒れた動物が深い雪の下に埋もれ、春の雪解けで死骸が再び露出したのかな?
野生動物の轢死体(ロードキル)かもしれません。 

関連記事(7ヶ月前に現場近くで撮影)▶ 車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

 

左の個体(♂?)は横で物欲しそうに見てるだけです。 
♀は獲物を♂とシェアするつもりはないようです。
2羽の間で力関係の序列が既にできているようで、餌を巡って直接的な争奪戦は起こりませんでした。 
この2羽は♀♂つがいなのでしょうか。 
トビは体格にやや性差があることが知られています(♀>♂)。 

やがて♀が死骸を独り占めするために咥えたまま飛び立ち、少し離れた休耕地に運びました。(@0:48〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、トビ♀は飛翔中に、ぼろきれのように風でなびく細長い死骸を嘴から足の鉤爪へと器用に持ち直していました。 

♂から離れると、♀は落ち着いて死骸を啄み始めました。 
カラスと並んでトビは屍肉食性の掃除屋(スカベンジャー)として有名ですが、実際に食事シーンを観察するのは初めてです。 

そこへ背後から追いすがるように♂が飛来しました。 
♀の頭上を通り過ぎる際に鉤爪で襲いかかる素振りを見せたものの、ただの威嚇(ブラフ)で激しい喧嘩にはなりませんでした。 
不意打ちされても♀はさほど動揺せず、獲物を離そうとしません。 
♂は少し奥の休耕地に着陸したものの、遂に諦めて飛び去りました。 

興味深いのは次のシーンです。 
諦めて飛び去りかけた♂が、休耕地に一瞬だけ舞い降りました。(@2:57〜) 
トビ♂が空中で何か白い物を落としたので、てっきり腹立ち紛れに脱糞したのかと撮影しながら私は思いました。 
ところが1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、♂はタッチダウンの瞬間に地表から何か白いゴミを鉤爪で素早く拾っていました。 
獲物ではないと悟ると、すぐに空中投棄しました。 
餌にありつけなかった♂が欲求不満を解消するためにやった代償行動かもしれません。
代償行動     【ダイショウコウドウ】
substitute behavior
 ある目標を達成しようとする欲求が何らかの障害によって充足できない時に,その目標と機能的に類似した他の目標を達成することによって,初めの欲求の充足を図ろうとする行動をいう。代償の仕方は目標の変更と手段の変更とに大別できるが,もともと目標の満足をすべて含むわけではなく,部分的解決や満足となることが多い。社会的な価値の高い方向に代償が行われる場合は昇華とよばれる。適応機制の一つと考えられる。(有斐閣『心理学辞典』より引用)

♂が居なくなった後も、♀は獲物を横取りされまいと嘴に咥えたまま周囲を油断なく見張っています。 
警戒を解くと、腐肉を食べ始めました。 
残念ながら、ここでカメラのバッテリーが切れてしまいました。 
私が急いで交換している間に、トビ♀は更に遠くへ獲物を持ち去ってしまい、見失いました。 

できればトビ♀♂が動物の死骸を見つけるところから観察したかったです。 
早い者勝ちだったのでしょうか?
繁殖期が始まりますから、もしかすると♂が先に見つけたのに、パートナーの♀に獲物を譲ったのかもしれません。(求愛給餌
しかし、それだと♂がやった威嚇飛行や代償行動と辻褄が合いませんね…。
動画に登場する2羽のトビの性別を外見で見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて欲しいです。


【追記】
平凡社『日本動物大百科3鳥類I』でトビの性差について調べると、(p147より引用)
サイズ
全長:♂51〜66cm、♀57〜66cm。 
翼長:♂36〜51cm、♀45〜51cm。 
翼開長:♂129〜162cm、♀139〜160cm。 
体重:♂630〜1150g、♀750〜1240g。

特徴
♂は♀に比べ色が薄く体羽の縁が白っぽい。また、耳羽もはっきりしている。♀は縁が赤褐色。飛翔中、♂は下面が白っぽく見え、個体によっては縦縞模様に見える。♀は下面が暗赤褐色に見える。幼鳥は♂成鳥よりもクリーム色をおびるため、♂よりも明るく、縦縞模様もはっきりしている。飛翔中には、尾の先端の1本の太い横縞模様とクリーム色の縁が目立つ。


2023/10/30

ゴイサギ幼鳥の死骸を見つけた!(野鳥)

 

2023年4月中旬・午後15:50頃・くもり 

平地の休耕地(夏はソバ畑)の端に自生する落葉灌木(オニグルミ?)の下に鳥の死骸を見つけました。 
辺りに羽毛が散乱しているということは、捕食者に狩られた食べ残しなのかな? 
手に直接触れないように小枝を使って死骸を裏返してみるとミイラ化した頭部が現れ、ゴイサギNycticorax nycticorax)の幼鳥(俗称ホシゴイ)だと判明しました。 
体が不自然に曲がった状態で固まっています(死後硬直)。 
大きさの比較として、長さ20cmの熊よけスプレーを横に並べて置きました。 

春が来て残雪が溶けたのに、屍肉食性の昆虫は全く来ていませんでした。 
古い死骸だと思うのですが、死亡推定時刻どころか、いつ死んだのか不明です。 

この死骸について、私なりに推理してみました。
死体発見現場は溜池から数百m離れた地点でした。 
夜行性のゴイサギを、昼間にその池で見たことはありません。 
夜になると採食のために飛来するのでしょう。 
餌場の溜池から少し離れた防風林をねぐらとしていたゴイサギ幼鳥が冬の間に死んだようです。 
寒さや飢えで死んだのか、猛禽などの捕食者に狩られたのか、解剖しないと詳細は不明です。 
この辺りは様々な野生動物(テン、ハクビシン、タヌキ、キツネなど)が生息しているのに、死骸がミイラ化して干からびるまで放置されていたのは不思議です。 
おそらく根雪の下に長期間埋もれていたせいで、カラスやトビなどのスカベンジャーに見つからなかったのだろうと推測しています。 

せっかく見つけたゴイサギ幼鳥の死骸を回収して頭骨標本を作ろうか、そのまま放置してスカベンジャーが来る様子を監視カメラで撮影しようか、悩みました。 
しかし当時の私は複数のプロジェクトが同時進行中で忙しく、とても余力がありませんでした。 
限られた台数のトレイルカメラをやりくりするのは大変で、どうしてもプロジェクトの優先順位をシビアに決める必要があります。 

定点観察のため7日後に現場を再訪してみると、ゴイサギ幼鳥の死骸は無くなっていました。 
屍肉食性の野鳥(カラスやトビ)または野生動物が死骸を見つけて持ち去ったのだろうと推察しています。 


※ 私の悪い癖なのですが、現場の状況を動画で記録する際に寄りの絵でカメラをせっかちに振り回してしまい、動きが激し過ぎて酔いそうな映像になってしまいました。 
苦肉の策として、再生速度を70%に落としたスローモーションでお届けします。 
音声がやや間延びしているのは、そのせいです。

2023/08/19

交通事故で死んだホンドテンの割れた頭骨をミールワームに除肉クリーニングしてもらう【50倍速映像】

 



2023年1月上旬・午後14:00頃 

ロードキル死骸のホンドテンMartes melampus melampus)を解剖したついでに頭骨標本も作りたかったのですが、走行車と正面から激しく衝突して頭蓋骨の頭頂部が骨折していたので使い物になりません。 
それでも冬の暇潰し(ブログのネタ)として、やれるところまでやってみました。 
頭骨の表面に少しへばりついている脳や筋肉組織などをきれいに取り除く必要があります。 
今回は残った組織を入れ歯洗浄剤(タンパク質分解酵素)で溶かしたりバクテリアに分解してもらうのではなく、ミールワームに食べさせることにしました。 




まずは皮を剥いで首から切り落としたホンドテンの頭部を専用の小鍋に入れて水から軽く茹でます(水煮)。 
煮汁を捨てて粗熱を冷まします。

左側面

右側面

上面。頭頂部の骨折が激しく、煮ただけで左右に割れて脳が飛び出した。

下面


ピンセットや爪楊枝などを使って頭骨からチマチマと除肉しました。 
それでもきれいに取り切れません。 

左側面

右側面

上面

下面

除肉片



ホームセンターのペットショップ・コーナーからチャイロコメノゴミムシダマシ(ミールワーム;Tenebrio molitor)幼虫を2パック買ってきました。 
容器には「10gまたは約150匹」と記載されていましたが、2パック分のミールワームを実際に数えると、計255匹でした。 
ホンドテン頭骨が収まる大きな容器にミールワームを餌のフスマごと全て移し替えました。 
下半分をカットした2Lペットボトルを飼育容器として再利用します。 
それまで水に浸しておいたホンドテン頭骨を容器に投入しました。 
乾燥しないように、飼料のフスマを被せて頭骨を埋めるべきだったかもしれません。 
(しかし、頭骨の状態が逐一見えなければ微速度撮影できません。)

5日後に微速度撮影してみました。 
50倍速の早回し映像をご覧ください。 
ミールワームの大群が蠕動徘徊するせいで、飼料や頭骨が波打つように動いています。 
残った屍肉をミールワームが食べて頭骨をきれいにクリーニングする様子を記録したかったのですが、ここで問題発生。 
どうやら撮影用の眩しい照明を嫌って(負の走光性)ミールワームがフスマの中に潜り込んでしまうようです。 
好き好んでホンドテン頭骨に殺到している様子はありません。 
それなら赤外線の暗視カメラに切り替えて暗所で微速度撮影すれば良かったのですけど、「どうせ激しく砕けた頭蓋骨だしなぁ…」とモチベーションが上がらず、ここで諦めてしまいました。 
古生物学者は細かく折れた骨からでもパズルのように丹念に組み合わせて嬉々として復元するのですから、凄いですよね。

暗所に放置して5日後の状態
頭骨を裏返した下面

一方、解剖後のホンドテン死骸の残りは人気ひとけのない野外の雪原に放置して、カラスなどのスカベンジャーに給餌することにしました。 
どんな生き物が来るのかトレイルカメラを設置して観察したかったのですが、複数のプロジェクトを同時並行でやっているためにトレイルカメラの数が足りず、泣く泣く諦めました。 
数日後に現場を再訪すると、ホンドテンの死骸は毛皮や内臓も含めてきれいさっぱり無くなっていました。

2023/05/11

ミミズの死骸に群がるオオヒラタシデムシとキンバエ、ニクバエ

 

2022年6月中旬・午後15:55頃・晴れ 

平地の舗装された農道に細いミミズのロードキル死骸が転がっていて、屍肉を好むスカベンジャーたちが群がっていました。 
周囲の環境(農道の左右)は、雑木の防風林と広い畑が広がっています。 
林縁または畑から這い出したミミズが通りかかった車に路上で轢かれたのでしょう。

先ずはストロボ写真で記録してから動画に切り替えたら、ミミズの屍肉を齧っていたオオオヒラタシデムシNecrophila japonica)が慌てて逃げ始めました。 
濡れた舗装路で立ち止まると、大顎を開閉したり、前脚を舐めて身繕いしたりしました。 
マイマイガ♀♂(Lymantria dispar japonica)の幼虫が脱皮した頭楯の抜け殻が路上に転がっていたものの、通りかかったオオヒラタシデムシは全く興味を示しませんでした。(@0:03〜) 

キンバエの仲間が最大で16匹、ニクバエの仲間が2匹、ミミズの死骸に群がって吸汁していました。 
キンバエの体格が大小まちまちなのは個体差や性差なのか、それとも複数種が混じっているのかな? 

初めは何の死骸かよく分からず、拾った小枝でハエを追い払い、尺取り虫にしては長過ぎる?と思いつつひっくり返したりしてみました。 
驚いたことに、オオヒラタシデムシと違ってハエは図太く、私が死骸を撹乱してもあまり逃げませんでした。 
実はすぐ近くにミミズの死骸がもう1匹あり、同様にキンバエが群がっていました。(写真を撮り忘れ) 
急いでいた私は、ミミズの死骸にシデムシが戻ってくるまで待てませんでした。

2023/04/07

ヘビの死骸に群がるヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシ

 

2022年10月上旬・午後14:15頃・くもり 

蛇行しながら山を登る舗装路にヘビの死骸が転がっていました。 
横断中に走ってきた車に轢かれたようで、ペシャンコに潰されて干物のように乾いていました。 
周囲はスギの植林地です。 
頭部が食い千切られているのは猛禽の仕業でしょうか? 

1匹のヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)がヘビの死骸の傷口に頭を突っ込んで死肉を貪っていました。 
その体表を薄ピンク色の微小なダニが徘徊しています。 
他には微小なアカアリ(種名不詳)もヘビの死骸に来ています。 
私が死骸に近づいたら、集まっていたハエ類はほとんど飛んで逃げてしまったのですが、ニクバエとキンバエの仲間が1匹ずつ戻って来ました。 

死んだヘビの背面を見たかったので死骸を裏返してみると、ゴキブリのような艶のある茶色をした謎の虫が死骸の下から慌てて逃げ出しました。 
よく見るとゴキブリではなく甲虫で、翅の短いハネカクシの仲間でした。 
後で調べてみると、どうやらヤマトマルクビハネカクシTachinus japonicus)という種類のようです。 
飛んで逃げることはなく、路上をしばらく走り回ると、死臭を頼りにロードキルに再び戻って来ました。 
干物のように乾いたヘビの死骸を早速齧り始めました。 

白い腹面を向けて(仰向け)いた死骸を裏返して背面を見ても特徴に乏しく、何という種類のヘビか私には見分けられませんでした。 (どなたか教えてください。) 
鱗が白っぽい薄皮に覆われているのは、死後に路上で急速に乾燥したせいなのか、あるいは脱皮の直前に死んだのかな? 
そのため生前の模様が分かりません。 
薄っすらと縦縞が見えるので、シマヘビですかね?(自信なし) 
全体的に干からびていて、「鮭とば」を連想しました。 

撮影後にヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシを採集しました。 
以下に標本の写真を掲載する予定です。 
ヨツボシモンシデムシは普通種ですけど、鞘翅の裏面が何色なのかずっと気になっていたので調べてみるつもりです。
▼関連記事(4年前の撮影)  
ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ
ヨツボシモンシデムシをヘビの死骸と一緒にお持ち帰りして飼育してみたいところですが、この日はタッパーウェアなどの密閉容器を持ってきてませんでした。

2023/03/09

車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

 

2022年9月中旬・午前10:20頃・くもり 

田園地帯を通る農道(砂利道)の端にニホンイタチMustela itatsi)の死骸が転がっていました。 
イタチの遺骸を見つけたのは、これで2回目です。
関連記事(5年前の撮影)▶ ニホンイタチの死骸

前回は死骸の損傷が激しく、テンとの区別も迷いました。
今回の死骸は足の裏が黒くないので、テンではないと分かります。

15cmの定規を死骸の横に並べて置きました。 
開いたままの目は少し濁っていました。 
乾いているものの、全身が泥水をかぶった後のように汚れている点が気になります。 
車にはねられたイタチが砂利道を転がって砂で汚れたのかな? 
それとも、イタチは死ぬ直前まで水田に出入りしていたのでしょうか? 
田んぼには黄色い稲穂が実っています。 
農薬による中毒死という可能性も頭をよぎったのですけど、頭頂部に乾いた流血痕があることから、おそらく夜の間に走ってきた車と正面からぶつかって即死したのでしょう。 
私はロードキルの加害経験がないのですが、果たして夜の砂利道で野生動物を轢き殺すほど車のスピードを出すでしょうか? 
車の眩しいヘッドライトに照らされると野生動物はパニックになり、徐行していても車に向かって突進してくるのかな?
直線の舗装路を夜中に猛スピードで暴走していた車がイタチをはねてしまい、動転した運転者がその死骸を横の農道までわざわざ運んで捨てたのかもしれません。 
しかし、普通の人は野生動物の死骸を手で持つ気になれないでしょう。 


せっかく新鮮なご馳走(遺骸)があるのに、朝からカラスやトビなど大型のスカベンジャーが来てないのも不思議です。 
死骸を食い荒らした形跡がありませんでした。
もしかすると、トビなどがイタチの死骸を車道(舗装路)から農道(砂利道)まで一旦持ち去って、いざ食べようとしたら邪魔が入って逃げたのではないか?などと想像しました。 

関連記事(7ヶ月後に現場近くで撮影)▶ 動物の死骸を独り占めする恐妻家のトビ(野鳥)


屍肉食の昆虫は、ハエとアリしか来ていませんでした。 
死骸にウジ虫(ハエの幼虫)は未だ発生しておらず、新鮮な死骸であることを物語っています。 
飛来したクロバエの仲間(種名不詳)がイタチの開いた口から吸汁を始めました。 
キンバエ類(種名不詳)も多数飛び回っています。 


せっかくの機会なので、この死骸をお土産としてありがたく持ち帰ることにしました。 
素手で触れないように、ありあわせのビニール袋を手袋として使います。 
イタチの死骸をジップロックに詰めてから、更に大きなビニール袋で二重に密閉しました。 
こういうときのために、10kgの米が入っていた大きなビニール袋を私は常に持ち歩いています。 
米袋はビニールの材質がとても丈夫ですし、匂いやドリップ(死骸の血液・体液)も通しませんし、中身が透けて見えることもありません。 
ニホンイタチの亡骸を持ち上げると、ぐにゃりと柔らかい感触が印象に残りました。 
死後硬直は未だ起きていないことになります。
急ぐ用事のあった私は、外性器をチェックする余裕もありませんでした。(性別不明) 
死骸の下には微小なアリ(種名不詳)が群がっていました。 


本当はイタチの頭骨標本を作りたいのですが、残念ながら頭蓋骨は折れていそうです。 
この日は忙しい予定があり、イタチの死骸を解剖して胃内容物を調べる余力もありませんでした。 
どこか人里離れた山中に死骸を放置して、様々なスカベンジャー(屍肉食者)によって分解され土に還るまでの一部始終をトレイルカメラで記録するのも面白そうです。 
しかし、いざ実際にやろうとすると細々とした準備が必要なので、急には対応できませんでした。 
残暑が続く季節のため、放っておくと死骸は刻々と腐敗してしまいます。 
仕方がないので、今回は手っ取り早く遺骸をそのまま地中に埋めて、白骨化するまで気長に待つことにしました。 

つづく→?

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