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2024/01/02

田んぼで代掻きするトラクターを利用して虫を捕食するムクドリとハクセキレイの群れ(野鳥:オートライシズム)

 

2023年5月中旬・午後16:45頃・晴れ 

雪国の田園地帯に水入れが始まり、田植えに備えてトラクターが代掻きしていました。 
作業するトラクターの近くに珍しく野鳥が集まっています。 
ムクドリSturnus cineraceus)の群れの他にはハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)1羽の姿を認めました。 
稲刈り後の刈田は水を抜かれて乾田でした。 
急に水没した上に泥土を撹拌されて溺れそうになった虫を鳥が捕食しに来たのです。 

トラクターが轟音を上げて通り過ぎた直後にムクドリやハクセキレイが飛来して、撹拌したばかりの泥濘に虫がいないか探して啄んでいます。 
獲物はケラやミミズなどと思われますが、映像では遠くてしっかり確かめられませんでした。 
泥の上に浮かぶ藁などに乗れば、ムクドリやハクセキレイはほとんど泥に沈まないで立つことができます。 
トラクターが近づくと、その前方に居た個体は横の畦道に飛んで一時避難してやり過ごします。 
 動画ではスズメの鳴き声も近くから聞こえますけど、スズメは水入れ直後の田んぼに来ませんでした。

代掻き作業中のオートライシズム(片利共生の採餌行動)を実際に観察できたのは今回が初めで、いたく感激しました。 
この採餌行動を撮りたくて、ここ何年も私はしつこく田んぼのトラクターを注視していたのです。 
鳥の本や写真集に載っているのに、オートライシズムをなかなか観察できないというのが私の実感です。
 (トラクターが田畑で作業していても、鳥がその周りに必ずしも群がるとは限らない。)
当地の野鳥はたとえ人里近くで暮らすシナントロープでも農民やトラクターをひどく恐れてなかなか近寄ろうとしないのでしょうか?
あるいは、長年の農薬使用によって田んぼで暮らす虫の数が激減しているのではないか?と疑っています。 
過去に遡るのは無理ですけど、有機農法(減農薬)の田んぼで比較すれば検証できるはずです。


関連記事(4、5、7年前の撮影)▶  



※ 動画編集でモザイク処理を練習するため、動き回るトラクターのナンバープレートをモザイク処理してみました。 
動体追尾機能(モーショントラッカー)に頼るよりも、手動でちまちまと数フレームごとにモザイク範囲を指定する方が結局は早いですね。 
Kdenliveを使って編集している私が今回参考にした動画がこちら↓。 


2021/03/07

オオイタドリと共生関係にあるクロヤマアリ♀がルリイロハラナガハナアブ♀を葉から追い払う

 

2020年8月上旬・午後14:50頃・晴れ
▼前回の記事 
オオイタドリの葉を舐め回すルリイロハラナガハナアブ♀の謎
オオイタドリの葉の表面に吹いている謎の白い粉(うどんこ病の菌糸・胞子?)をルリイロハラナガハナアブの一種♀※が舐めている横で、クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀がオオイタドリに訪花して吸蜜しています。 
※ おそらくナミルリイロハラナガハナアブXylota amamiensis)またはミヤマルリイロハラナガハナアブ(Xylota coquilletti) 

アリがルリイロハラナガハナアブの存在に気づくとその葉に下りてきて、アブを追い払おうと突進を繰り返しました。 
アリは視力が悪いはずなので、葉の振動でアブの居所を察知しているのでしょう。 
反射神経に優れるアブは、闘牛士のようにアリの攻撃を難なくかわして飛んで逃げ、隣の葉で平然と摂食を続けています。 
クロヤマアリ♀の攻撃を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

イタドリの仲間には花蜜だけでなく花外蜜腺もあり、アリがよく群がっています。 
オオイタドリを安定した食料源とみなしたアリは、植物を防衛するようになります。 
イタドリは蜜を報酬として植食性昆虫の食害から守ってもらうガードマンを雇ったことになります。 
つまり、アリとイタドリは共生関係にあります。 
ただし、アリは植食性昆虫を特に認識して撃退している訳ではなく、やって来た虫を無差別に追い払っているようです。 
今回の場合も、ルリイロハラナガハナアブ♀はオオイタドリの葉そのものを食害している訳ではありません。 
ルリイロハラナガハナアブ♀が葉の表面に発生したうどんこ病の白い菌糸・胞子をせっせと食べてくれているのなら、オオイタドリにとって益虫ということになりますから、追い払う必要はなかったのです。 (とばっちり)
もしかすると逆に、ルリイロハラナガハナアブがオオイタドリの葉を歩き回ることで、うどんこ病の感染拡大の一因になっているのかもしれません。
そんなことを言い出したら、歩き回るアリも同罪ですね。

 

2020/01/07

ゴマダラカミキリがアリに咬まれてノブドウから追い払われる訳とは?【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前9:50頃

川辺りのコンクリート護岸を覆うように蔓延るノブドウの群落でゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca)が歩き回っていました。
触角がそんなに長くないので♀ですかね?
飛び立つ瞬間を記録するつもりで動画を撮り始めると、面白い事件が起こりました。

クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が現れ、ゴマダラカミキリにしつこく噛み付いたり追い回し始めました。
近くにアブラムシのコロニーでも飼っているのでしょうか?
しかしアブラムシは見つかりません。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:05〜)
クロヤマアリ♀がノブドウの花蜜を舐めています。
アリの接近に気づくとゴマダラカミキリは落ち着かなく向きを変えました。
明らかにアリの存在を嫌がっています。
ゴマダラカミキリがノブドウの花に移ろうとしたら、クロヤマアリ♀が左後脚の跗節を噛み付いたり、正面から噛みついたりして、ノブドウから追い払いました。

圧倒的な体格差をものともせず、クロヤマアリは巧妙にヒットアンドアウェイの攻撃を繰り返してゴマダラカミキリを撃退しました。
結局ゴマダラカミキリは飛び立たず、クズなどが生い茂る草むらの茂みに逃げ込みました。
アリが蜜源の植物を守る防衛行動なのかな?
ノブドウに花外蜜腺があるという話は聞いたことなかったのですが、ネット検索してみると面白いことが分かりました。

【参考サイト】

・続・樹の散歩道「ノブドウの果実の多様な色は虫えい故なのか?  そもそも正常な果実とはどんな色なのか?」
・同サイト「ヤブガラシの謎の球体の正体




ノブドウに限らずブドウ科植物の若い葉の表裏や茎には、真珠体(真珠腺)と呼ばれる白い小さな粒状の構造があるのだそうです。

この正体は Pearl bodies (真珠体)あるいは Pearl glands (真珠腺)とも呼ばれている植物体由来の栄養体なのだという。
何と、植物が自分を守るために虫に与えている餌となっているとの見解もある。そうであれば、花外蜜腺で推定されている機能と同様ということになる。
ブドウのツルや葉裏についたものでは Grape pearls (ブドウ真珠)あるいは Sap balls(樹液球)と呼んでいて、Guttation(溢液現象)であるとしている。
国内のぶどう栽培家の間でもブドウの真珠腺 として、全く害のないものとして知られている。 (同サイトより引用)
ちなみにノブドウはゴマダラカミキリの食樹ではないので、たまたま通りかかっただけでアリに咬まれたのは、不幸なとばっちりですね。
未だ自分の目で真珠体を確認できていないのですが、これからはノブドウとアリの共生関係について、注目してみたいと思います。
アリがノブドウの真珠体を舐めるシーンも接写してみたいところです。



ゴマダラカミキリ@ノブドウ葉

2018/07/29

耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)



2018年5月中旬

田起こしをしている大型トラクター(耕運機)の周りにムクドリSturnus cineraceus)が群がっていました。
トラクターの騒音などを恐れるはずなのに続々と集まってくるのは、耕された土に交じって露出したミミズやケラなどの土壌生物をいち早く捕食するためです。
片利共生の一種で、オートライシズムと呼ばれる行動です。

畑を耕している耕運機の後をムクドリ・ハクセキレイなどがついて歩き、掘り起こされた土の中にいる虫を探していることがあります。 鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。 (平塚市博物館サイトの解説より引用)
以前の撮影ではムクドリの群れがほとんど逃げてしまい、満足のいく動画になりませんでした。
▼関連記事(3年前の撮影)
ムクドリ(野鳥)のオートライシズム
3年ぶりに、ようやく念願のチャンスが再び巡ってきました。
映像を見るとムクドリに交じってハシボソガラスも来ていたようですが、撮影中は気づきませんでした。

働いているトラクターの運転手の顔が写ってしまうと失礼になりますし、プライバシー保護に気を使います。
モザイク処理するのが面倒で、細切れの映像になりました。


ムクドリ(野鳥)群れ@採食:耕運機オートライシズム

2018/07/23

アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ



ナミテントウの飼育記録#5


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫

道端からヨモギを採集してくる際に、一緒についてくるアリを完全に取り除いておく必要があります。
アブラムシが分泌する甘露を報酬として、アリはアブラムに随伴し、その天敵から守るボディーガードとして働きます。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)を捕食中のナミテントウHarmonia axyridis)若齢幼虫に対してボディーガード役のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が激しく噛み付いたり腹端から蟻酸を吹きかけたりしていました。
ところがナミテントウ幼虫はアリから攻撃を受けても平然と捕食を続け、逃げたりしませんでした。
テントウムシの幼虫は体表のトゲトゲで自衛しているようです。
逆になぜかアリの方がどこかへ行ってしまいました。
アリを同定する前に素早く逃げられてしまったのが残念です。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】



【追記】
今村寿明『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』によると、
テントウムシ自体もなにせ1cm満たない昆虫だから、アリなどに寄ってたかられると食べられてしまう。このときにはテントウムシの方がコシネリンという化学物質を放出するが、このコシネリンは10^-3mol/d㎥程度の溶液でもアリが嫌がる。つまり、ナナホシテントウの対蟻防衛物質というわけである。 (p57より引用)
テントウムシの幼虫も成虫と同じくコシネリンを放出するのだそうです。
今回の動画でナミテントウ幼虫が対蟻防衛物質を含む液体を分泌している様子は写っていませんでした。



2017/11/12

オオヒラタシデムシに便乗するダニ



2016年10月中旬

郊外の工場地帯でオオヒラタシデムシNecrophila japonica)を発見。
歩道をなぜか後退していました。
よくみると、胸背と鞘翅に赤いダニ(種名不詳)が何匹も寄生しています。

採寸代わりに直径2cmの一円玉を並べて置いてみました。
オオヒラタシデムシは立ち止まったまま後脚で腹部を掻いています。
昆虫にもダニに集られて「痒い」という感覚があるのでしょうか?

直接触れないように硬貨を使ってシデムシを仰向けに裏返してみました。
すると胸部の裏面にも大量のダニが付着していました。
シデムシの性別の見分け方を知らないのですけど、腹端が細長いのは♂の交尾器なのかそれとも♀の産卵管なのかな?
必死で暴れるものの、舗装路では足先が上手くひっかからず起き上がれないようです。
いつまで経っても自力では起き上がれないので、最後は手助けしてやりました。
道端の草むら(落ち葉)へ早足で逃げて行きました。

見事な精密画でヨツボシモンシデムシの生態を丹念に描いた本、舘野鴻『しでむし』を読むと、寄生ダニのことが書いてありました。
オオヒラタシデムシにつくダニはまた違う種類なのかもしれませんが、似たような生態なのでしょうか。

シデムシの成虫や幼虫の体には、必ずといっていいほどオレンジ色のダニがくっついています。このダニは、シデムシの体液を吸っているわけではなく、シデムシをタクシーのような移動手段として利用しているのです。ダニの狙いは死体。かれらもここで繁殖します。とても足が速く、シデムシが死体にたどりつくと、さっさと下車します。
生まれたダニの子どもたちは成虫だけでなく、巣をはなれる終齢幼虫にものっかっていきます。そのままさなぎのへやへも同行、新しく羽化したシデムシの成虫は、幼なじみのダニとまた旅をはじめます。 (p35より引用)


私も冒頭でこれを「寄生」ダニと書いてしまったのですが、それは間違いで片利共生の一例の「便乗」かもしれません。

片利共生
[英commensalism 仏commensalisme 独Kommensalismus, Karpose 露комменсализм]
種間相互関係の一形態で,それによって共生者の片方の適応度は増すが,他方の適応度は変わらない状態.ふつう前者をcommensal,guest,あるいはsymbiont,後者をhostとよぶ.(中略)相手の体に付着して移動のための利益を得ているような関係を運搬共生(phoresy)とよぶこともある. (『岩波生物学辞典 第4版』より引用)


後で思うと、折角の機会なのでマクロレンズでダニをしっかり接写すれば良かったですね。


2016/08/11

タニウツギの葉柄でアブラムシのコロニーに随伴するクロオオアリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端でガードレールの横から生えたタニウツギの幼木で
クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が葉柄に群がっていました。
よく見ると、タニウツギの葉柄にびっしり付いたアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しています。
甘露を舐めて護衛する共生関係なのでしょう。


2016/08/07

ホオノキの葉裏でアブラムシに随伴するクロクサアリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端に生えたホオノキの幼木を見上げると、全ての葉裏の主脈や葉柄に沿ってクロクサアリLasius fuji)のワーカー♀がびっしりと群がっていました。
ホオノキに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。
注意深く接写して見るとホオノキの葉裏で吸汁するアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しているようです。
アブラムシは薄い黄緑色でした。
クロクサアリはアブラムシが分泌(排泄)する甘露を報酬として護衛しているのでしょう。(共生関係)

後日、アリを採集した際に、クロクサアリに独特の臭気(山椒の匂い)を感じました。

※ 接写パートの一部のみ動画編集時に自動色調補正を施してあります。(@1:30〜2:05)


【追記】
小松貴『昆虫学者はやめられない: 裏山の奇人、徘徊の記』という名著を読むと、教科書的なアリとアブラムシの共関係という認識を改めさせられました。
糖分の多いアブラムシの排泄物はすぐ腐ってカビるので、垂れ流し続けているとこれが自分たちの体にどんどんまとわりつき、やがて伝染病の温床になりかねない。でも、そうなる前にアリがどこかから勝手に嗅ぎつけて来て、それを綺麗に片づけてくれる。そのため、結果としてアブラムシは病気にもならず、また天敵から守って貰えている。(p156より引用)
アリの立場からすれば守ったアブラムシからもらえる報酬の量は、アブラムシを守ってやるのにかかった労力分を十分に補って余りあるべきである。だから、アブラムシがアリに守られた結果、過剰に数を増やしすぎると、アリは保護の手が回らなくなるため、自らの手でアブラムシを殺して食べてしまうようになる。(p156〜157より引用)
そのような殺害シーン(間引き)を私も観察してみたいものです。




2016/01/09

ミズキに付くアブラムシに随伴するクロクサアリ



2015年9月下旬

用水路沿いに生えたミズキの木の葉裏や葉柄、実などに黒いアリが集結していました。
おそらくクロクサアリLasius fuji)だと思います。
個々のアリをよく見ると満腹らしく腹部の節間膜が広がっています。

ミズキに花外蜜腺があるのか?と不思議に思ってネット検索しても情報が出てこないので無さそうです。
黒っぽく熟したミズキの実は甘いのか(糖分を含んでいるのか?)味見してみればよかったですね。
『野鳥と木の実ハンドブック』p50で調べてみると、「口に入れてみてもこれといった味はしない」そうです。


ミズキの葉裏の特に葉柄に蟻が群がっています。
点在するアブラムシのコロニーが排泄した甘露を舐めているようです。
共生関係(蜜月関係)にありそうですけど、アブラムシの数が少ないのでこれだけ多数のアリを養えるとはちょっと驚きです。
今回風が吹いていたのでマクロレンズで接写していません。
アブラムシの種類を真面目に検討した訳ではありませんが、ミズキをホストとするアブラムシを検索すると例えばオカボキバラアブラムシ(別名オカボノキイロアブラムシ;Anoecia fulviabdominalis)がヒットしました。



2015/12/21

コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】



コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#1

2015年7月中旬・深夜00:05〜00:07

今季のスズメバチ観察で最も興奮した発見の一つを報告します。

祠の軒下に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を定点観察しています。
外被はだいぶ立派に育っていました。
夜中に様子を見に行き、赤外線の暗視カメラでそっと撮影すると、巣口から3匹の門衛が外界を見下ろして警戒しながら化粧していました。
この日は外被の夜間増築作業は見られませんでした。

外被を作りかけてポケット状になった部分にゴキブリが1匹潜んでいることに気づきました。
やがてゴキブリは警戒を解いて外被上を徘徊し始めました。
巣口から中に侵入する決定的瞬間が撮れるか?!と固唾を呑んで見守ります。
一方、コガタスズメバチの門衛は外被をガサゴソ歩き回る物音で侵入者に気づいているはずですが、外に出て来て積極的に追い払うことはしませんでした。
目が見えない夜は専守防衛で籠城するようです。
ゴキブリは巣口に差し込んだ長い触角をコガタスズメバチ♀門衛に噛み付かれそうになり、慌てて退散しました。

今回、ゴキブリがスズメバチと居候している決定的な証拠映像がようやく撮れました♪
ゴキブリは夜行性なので、暗視カメラの勝利です!
実は1ヶ月前の夜に、同じ祠でコガタスズメバチの巣の下の板壁を徘徊するゴキブリを観察して以来、共生(居候)しているのではないかと予想して張り込みを続けていたのです。

▼関連記事
夜に外壁を徘徊するヤマトゴキブリ♀【暗視映像】


今回見たゴキブリの種類ですが、前回と同じヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だとしたら、長翅の♂成虫ではありません。
幼虫または短翅の♀成虫だと思います。
腹端に卵鞘をぶら下げてもいませんでした。
後半はゴキブリを同定するため白色LEDを点灯したのですが、高所まで光が届きませんでした。
しかも夜行性のゴキブリは眩しい光を嫌って外被の上部(死角)に逃げてしまいました。
ストロボ写真を撮ればよかったのですけど、この日は普通のカメラを忘れてきたのです…。
同定のためゴキブリを採集したくても、最強の用心棒に守られているため怖くて手出しができません。
まるでヤクザの事務所に居候しているようなものです。(ワレええ根性しとるの!)
近隣の家から害虫駆除で迫害され続けた結果、半野外で究極のボディーガードを見つけたのかな?
コガタスズメバチの巣内を内視鏡カメラで覗いてみたら、もしかするとゴキブリが何匹も見つかるかもしれません。(ワクワク♪)
駆除したスズメバチの巣内にゴキブリが見つかった事例は報告されているのでしょうか?

(即効性のある強力な殺虫剤を使わないと、巣を採集する前にゴキブリは逃げてしまいそうです。)
スズメバチ関連の本を何冊も読んできましたが、ゴキブリに関する記述は記憶がありません。

在来種ヤマトゴキブリを飼育した経験から、雑食性で朽木を好んで食べることが分かっています。
コガタスズメバチの巣材は樹皮ですから、ヤマトゴキブリは居候しつつ巣を食害していても不思議ではありません。
あるいは巣内のスズメバチの食べ残し(虫の死骸)や排泄物が目当てなのかもしれません。
明るい昼間だとゴキブリはスズメバチに見つかったら殺されて幼虫の餌にされてしまうでしょう。
昼間も外被ポケットに潜んでいるのでしょうか?
外被の増築に伴いポケット内に閉じ込められても齧って脱出するのは容易でしょう。
スズメバチから攻撃されないようにゴキブリが体表を化学擬態しているとしたら面白いですね。




アリの巣の中では蟻客(好蟻性昆虫)と呼ばれる多種多様な生きものたちが非常に繁栄しています。
好雀蜂性昆虫(しぐま造語)も同じぐらい面白いテーマかもしれないと、以前から密かに思っていました。


参考サイト:スズメバチの天敵@都市のスズメバチ
しかしスズメバチの巣は毎年一から作り直すので、好蟻性昆虫ほど寄主と親密な共生関係は築けずあまり繁栄していないのかもしれません。(あまり研究が進んでいないだけなのかな?)

ゴキブリがスズメバチの巣を食害するシーンを撮りたくて、その後も夜な夜な定点観察に通いました。

しかし残念ながらゴキブリの姿は二度と見つけられませんでした。
もし私の予想通り巣内でコガタスズメバチと同居しているとしたら、外から見つけ難いのは当然です。

ゴキブリは物陰に潜む性質があるので、今回の事例も冷静に考えれば「ゴキブリが徘徊中に偶然コガタスズメバチの外被ポケットに迷い込んだだけ」という可能性を排除できません。
素人でもできそうな実験としては、採集したスズメバチの古巣を餌にしてヤマトゴキブリを飼育できるかどうか、試してみる価値はありそうです。(ゴキブリはスズメバチの巣に誘引されるのか?)

【追記】
翌年に飼育実験しました。
コガタスズメバチの古巣を餌にヤマトゴキブリの飼育は可能か?


2015/10/25

クヌギの幹で共生するトゲアリ♀とアブラムシ



2015年8月中旬

平地の雑木林でクヌギの幹にトゲアリPolyrhachis lamellidens)のワーカー♀が群がっていました。
この木のどこかにトゲアリの巣があるのでしょうか?
よく見ると、樹皮の裂け目の奥にアブラムシ(種名不詳)が数匹ずつのコロニーを形成していて、トゲアリはそのアブラムシと相利共生関係になり護衛しているようです。
マクロレンズがあればトゲアリがアブラムシの甘露を舐めるシーンなどを接写したかったのですが、この日うっかり家に忘れてきたことを悔やみました。

「アブラムシ・ミニ図鑑」サイトではクヌギをホストとするアブラムシは10種類もヒットします。


2014/07/15

アブラムシの甘露を舐めるムネアカオオアリ♀



2014年6月上旬

細い山道を塞ぐように倒れたミズナラの灌木に黒いアブラムシ(種名不詳)が群がっていました。
コロニーには有翅の大型個体も混在しています。
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀数匹がアブラムシをガードするように付き添っていました。
教科書に載っているような蜜月の共生関係ですね。
触角で頻りにアブラムシを叩いて刺激するも、すぐには報酬をくれません。
それでも時々は腹端から分泌した甘露を舐めていました。(@0:18, 1:03, 1:10, 1:24)
かなり無理な体勢で接写しているので、ピントを合わせるのに苦労しています。

このアブラムシの名前をご存じの方は教えて下さい。



2013/01/02

クルミの実を運ぶニホンリス【HD動画&ハイスピード動画&声紋解析】



2012年9月下旬

道端の胡桃の木からキキキッ♪と鳴き声がするので見上げるとニホンリスSciurus lis)がいました!
初めはカメラ操作を間違って、ハイスピード動画(220 fps)の設定で撮ってしまいました。
画質は落ちますが、リスが幹を登るスローモーションが撮れてなかなか良い感じ♪

慌てて高画質のHD動画モードに戻しました。
枝を素早く走り回るため、なかなかカメラでは追い切れません。
少なくとも2匹いるようです。
番(つがい)なのかな?
ときどき幹にしがみ付いて静止してくれます。
枝からクルミの果実を採取すると口に咥えてどこかへ持ち運んでいます。
一匹はクルミの木から右手のスギの木へ跳び移って姿を消しました。
巣にクルミを運んでいるのでしょうか。
巣の位置は見つけられませんでした。
それとも冬に備えてクルミの実を貯食するのかな?
時折クルミの実を採取し損うのか、実が落ちる音が森に響きます。
最後はキキキキッ♪と鋭い鳴き声を発しながらクルミの枝を走って左隣の杉の木に跳び移りました。





『日本動物大百科1:哺乳類I』p70によれば、ニホンリスは
樹上で危険を感じると、反対側の幹へまわり込、尾をたらして張り付く。


『リスのきた道―なぜ鎌倉にタイワンリスか? 』p163によると、
ニホンリスは、人に出会うと、クルリと木の幹のうら側へまわって、すがたを隠そうとする習性をもっています。



ニホンリスの鳴き声を声紋解析してみる

映像の最後で鳴いた1秒間の音声を切り出してスペクトログラムを描いてみました。
辺りが静かなため、前回より明瞭な声紋が得られました。
15kHz以上の高周波数域が不自然にカットされているのはカメラの録音の仕様です。



【追記】
『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p112によると、ニホンリスは
来るべき冬のために木の実などを地面に埋めるという貯食行動をとる。
貯食行動をするリスはクルミの木と種子散布の共生関係にあります。

『空中モグラあらわる:動物観察はおもしろい』p186によると
クルミにとって殻をじょうぶにするということは、「だれに食べられるか」を選べることになります。たくさんの動物の中から、相手としてリスを選べる。ほかにアカネズミもクルミの実に穴を開けて食べるのですが、今わかっているところは、日本の動物では、これらの二種しかクルミの硬い殻をやぶれないのです。



2011/03/30

アリとアブラムシ



2007年5月中旬

ヨモギの新芽にびっしりと居ました。
蟻がアブラムシの甘露を舐めるシーンを撮りたかったのですが...。 


2011/03/19

アリとイタドリの蜜月関係



2008年5月中旬

ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が山中でイタドリの茎にある花外蜜腺を舐めている姿を良く目にします。
本当に蜜の報酬でアリがイタドリを護衛するのか(共生関係)、イタドリを食害するイタドリハムシ対アリの対決とか実験観察してみたいものです。
アリに甘露を分泌提供する吸汁性アブラムシに対しては無力なのでしょうか。



2010/12/26

アブラムシを飼うムネアカオオアリ




2010年7月上旬

道端に生い茂ったススキの茎にアブラムシ(種名不詳)が吸汁していました。
その甘露を目当てにムネアカオオアリCamponotus obscuripes)も集まっていました。
未だアブラムシが小さくて、蟻が甘露を舐めているところは観察できませんでした。
働きアリ同士が口移しで栄養交換らしき行動を示しましたが、残念ながらアングルがいまいち。

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