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2024/01/25

ハルニレ樹上で交尾するヨツモンカメムシ♀♂

 

2023年5月下旬・午前11:15頃・くもり

平地のスギ植林地に自生する若いハルニレ灌木の枝先でヨツモンカメムシ♀♂(Urochela quadrinotata)が交尾していました。 
動画で撮っても、逆向きで交尾するカメムシの♀♂ペアに動きはありませんでした。 
しばらくして私が撮影アングルを変えたら、V字姿勢で交尾していました。 
性別の見分け方を知らないのですが、腹部がやや膨満している個体が♀なのでしょう。 

関連記事(6年前の撮影)▶ ヨツモンカメムシ♀♂交尾中の綱引き 


以前もハルニレ樹上でヨツモンカメムシ♀♂が交尾していたので調べてみると、ニレ科植物を寄主(食樹)とするらしく、納得しました。 
余談ですが、ヨツモンカメムシは日本のクヌギカメムシ科では唯一、成虫で越冬するそうです。(一般的には卵越冬。)

2023/12/15

ホンドタヌキの溜め糞に集まり吸汁するハラビロヘリカメムシ

 

2023年5月上旬・午後15:15頃・晴れ 

スギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した最大級の溜め糞場wbcを見に行くと、新鮮な糞がこんもりと追加されていました。 
糞の一部には珍しく未消化の獣毛が混じっていました。 
タヌキが野ネズミなど小型の哺乳類を狩って捕食したのか、死骸を食べたようです。 
木漏れ日を浴びた溜め糞に多数のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)が群がっていましたが(別の記事で映像公開予定)、それより気になる虫が居ました。 

前翅の黒点が目立たないことから、ホシハラビロヘリカメムシではなくハラビロヘリカメムシHomoeocerus dilatatus)だと思います。 
(参考:『カメムシ博士入門』p115) 
2匹のハラビロヘリカメムシが口吻の先でタヌキの糞の乾いた表面を頻りに探っているものの、深く突き刺してはいないようです。 
獣糞から吸汁するチョウ類と同じように、性成熟に必要なミネラル類を摂取しているのでしょうか?
口吻の動きをマクロレンズで接写すれば良かったですね。 
望遠マクロでも口吻が結構見えてますし、スギ林の林床は薄暗くて接写には向いてないと判断しました。 
本来はマメ科の植物を宿主としている(吸汁している)のだそうです。
(近縁種ホシハラビロヘリカメムシの情報) 
獣糞から吸汁するカメムシを見るのは久しぶりです。 

関連記事(7,10年前の撮影)▶  


溜め糞上を活発に歩き回るクロボシヒラタシデムシやハエ類が背中に乗っても、ハラビロヘリカメムシは無反応で吸汁を続けています。
2匹のハラビロヘリカメムシは同じ糞(表面が少し乾燥して硬そうな糞)を挟んで互いに向き合っているのに互いに無関心で、糞の味見に夢中です。 
一緒に居たクロボシヒラタシデムシとは異なり、配偶行動を始めません。 (同性なのかな?) 

タヌキの溜め糞のすぐ横に、緑の葉が千切れてスギ落葉の上で萎びていました。 
なんとなくオオバコの葉ではないかと思ったのですが、定かではありません。 
その上に1匹のハラビロヘリカメムシが静止していました。 
私にはカメムシの性別を外見で見分けられませんが、溜め糞場に来る♀を待ち伏せしている♂なのかな? 
横の溜め糞場に来ている先客2匹の存在に気づいていないのでしょうか? 
逆に、私が溜め糞場wbcに近寄ったせいで糞塊から少し逃げた個体なのかもしれません。 

2023/10/19

春の池でヤマアカガエルの幼生を捕食吸汁するマツモムシ

 

2023年4月上旬・午後14:15頃・晴れ 



山中の池でトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵嚢を水中に見つけて撮ろうとしたら、水面を背泳するマツモムシNotonecta triguttata)が写り込んでいました。 
黒いオタマジャクシを捕食・吸汁していたのに、撮影中の私はなぜか全く気づかずに中断してしまいました。 
明るい日向での撮影では、カメラのバックモニター(液晶画面)が非常に見えにくいのです。 
マツモムシの捕食シーンは珍しいのに、見過ごすとは痛恨のミスです。 

せっかくですので、スロー再生してみましょう。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイする際に、1.5倍に拡大しました。 
餌食となった黒い小さなオタマジャクシは、尻尾を振って必死に暴れています。 
この獲物はトウホクサンショウウオの幼生ではなく、岸辺に産み付けられたヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊から孵化した幼生だと思います。 
トウホクサンショウウオは幼生が孵化するどころか、胚発生も未だ進んでいません。





2023/10/09

池のミズカマキリ♀を素手で一時捕獲してみる

 



2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

雪解け水の溜まった池で初めて見つけたミズカマキリRanatra chinensis)を捕獲してみることにしました。 
早春のミズカマキリは意外に鈍く、私が岸辺に忍び寄って手を伸ばしても逃げません。 
網を用意してなかったので手掴みですばやく掬い上げたら、難なく捕まえられました。 

呼吸管が体長より長くなかったことから、この個体は♀と判明しました。 (※ 追記参照)
水中では右の鎌が欠損しているように見えたのですが、掌に乗せてよく観察すると正常でした。 
囚われてもミズカマキリは手足を緩慢に動かすだけで、鎌で反撃したり口吻を突き刺したりすることはありませんでした。 
早春で水温や気温が未だ低いために、動きが鈍いのかもしれません。 
前脚の鎌を畳んで揃えて前に伸ばし、前習いのような体勢になりました。 
歩行は中脚と後脚の4本で行います。 

ミズカマキリが飛ぶという予備知識はあったので、飛び去る様子を動画撮影できないかと期待しました。
(ミズカマキリは)秋にはよく飛び立つ。(『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』p88より引用)
しかし翅を広げて飛び立つ気配はありません。 
私の手のひらの端から転がり落ちるように脱出すると、自発的に身投げしました。 
元居た池に落水すると、岸辺に産み付けられたゼラチン質のヤマアカガエルRana ornativentris)卵塊と枯草がクッションのようになりました。 

いつかミズカマキリの飼育に挑戦してみたいものです。 


【追記】
森上信夫『虫のオスとメス、見分けられますか?』によると、ミズカマキリは腹端を腹面から見たときにて亜生殖板のV字の形状に性差があるそうです。
横から見ると亜生殖板は実際にとがっており、尾端から突き出しています。(p31より引用)

2023/09/27

雪解け水の池でヤマアカガエルの卵塊の傍を泳ぐミズカマキリ♀

 

2023年3月下旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の雪解け水が貯まった池でヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊を調べていたら、池の水中を泳ぐミズカマキリRanatra chinensis)を見つけました。 
越冬明けの個体が飛来したのかな? 
『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』でミズカマキリについて調べると、
越冬は水中で、ミズカマキリは集団で越冬すると言われているが実際に観察されることはまれである。(p88より引用)
水生昆虫に疎い私は、生きたミズカマキリをフィールドで見つけたのはこれが生まれて初めてで、歓喜しました。 
池畔は残雪で囲まれ、水面には太陽が反射して眩しいです。 
雪解け水の貯まった池の水温は低いはずです。


この池でヤマアカガエル♀♂の繁殖行動をタイムラプス撮影するプロジェクトは、いまいち納得の行く結果を得られませんでした。
がっかりしたものの、この日はミズカマキリと出会えた喜びで帳消しになりました。

初めミズカマキリは私を警戒して身を隠そうとしているのか、ヤマアカガエルの卵塊の下に潜り込もうとして、もがくように泳いでいました。 
手足にオール状の構造がないため、泳ぎはあまり得意ではなく、水中で手足をゆっくり動かすだけです。 
中脚と後脚は長毛を有し、中脚と後脚で器用に水を掻いて潜水し、水中を遊泳する。(同書p88より引用)
潜水中は腹端から伸びた呼吸管の先端を水面に出して、ときどき息継ぎしています。 
これぞまさに忍法「水遁の術」。 
呼吸管を根元から曲げることができます。 

ゼラチン質の卵塊の下からなかなか浮上できず溺れそうになっているのか?と心配になったものの、ようやくミズカマキリはヤマアカガエル卵塊の上に脱け出しました。 
水面で卵塊に乗って静止し、獲物を待ち伏せするのかな?(日光浴?) 
岸辺は枯れた草の茎が水中に沈んでいるため、細長い体型で黄土色(枯草色)のミズカマキリがじっと静止すると見事なカモフラージュになっています。 

ミズカマキリが再び動き回っても、近くで背泳するマツモムシは無反応でした。 
互いに狩り(捕食)の対象ではないようです。
ミズカマキリは前脚の鎌でマツモムシを狩ることはなく、蹴散らすようにして水中を進みます。 
水中ではミズカマキリの右前脚の鎌が途中から欠損しているように見えたのですけど、ただ折り畳んでいるだけでした。 

少し離れたところにヤマアカガエルの♂成体がいました。 
岸の方を頭を向けて水面に浮かび、産卵に来る♀を待ち構えています。 
ヤマアカガエルがミズカマキリに跳びついて捕食するかと期待したのですが、繁殖期のヤマアカガエル♂は「食い気より色気」なのでしょう。 

日当たりの良い岸辺にヤマアカガエル♀が最近産み付けた個々の卵内では黒い胚が発生しつつあります。 
ミズカマキリが岸辺のヤマアカガエル卵塊に執着しているように見えたのはたまたまでしょうか?
個々の卵内で育つ黒い胚または孵化した幼生(オタマジャクシ)を狩って体液を吸汁するつもりなのかもしれません。
ところが、しばらく粘って観察しても、捕食の確証を得られませんでした。 
タピオカドリンクのような卵塊を散々吸汁した後で満腹なのかな? 
動きのない胚は獲物と認識できないのでしょうか。 
実はこの池の岸辺に沿ってヤマアカガエルの卵塊がいくつも産み付けられていて、既に幼生が孵化した卵塊もありました。 
ミズカマキリがオタマジャクシを捕食したいのなら、そちらに向かうはずです。 

眼は上を向いており、アメンボ類のような水面上の小動物を待ち伏せて捕食する。(同書p88より引用)




1枚目は水中の潜水シーン
2〜4枚目は水面に浮かぶミズカマキリ
潜水中に呼吸管で息継ぎ

2023/08/16

ヤマオニグモ(蜘蛛)の垂直円網に囚われて暴れるヒグラシ

 

2022年7月中旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の斜面を直登する細い山道が廃れて使われなくなり、左右から灌木の枝が伸び放題になっていました。 
そこを少し整備すると、ヤマオニグモAraneus uyemurai)などが網を張るようになりました。 
クモの巣に捕らわれたセミが逃れようと必死に羽ばたいて暴れていました。 
(私が獲物をクモの網に給餌したヤラセ映像ではありません。) 
鳴き声を発してないので♀かもしれません。

同定のために暴れるセミを手にとってじっくり接写すべきでしたが、夏の廃道登山でヘロヘロにへばっていた上に先を急いでいたので動画に撮っただけです。 
腹部全体が茶色く透けて見えるのでエゾハルゼミまたはヒグラシだと思うのですが、エゾハルゼミは時期的に少し遅いです。 
周囲でカナカナカナ…♪と寂しげに鳴き交わしているのは、ヒグラシ♂(Tanna japonensis)でした。 

セミがかなりパワフルに羽ばたいても、粘着性のあるクモの横糸は強力で切れません。 
獲物が疲れておとなしくなるまで、網の主はどこかに避難しているようです。 
以前ここにヤマオニグモAraneus uyemurai)が造網しているのを見ています。 


2023/07/19

桜の樹上でニイニイゼミ♂が鳴く声♪

 

2022年7月中旬・午前11:00:頃・くもり 

郊外の道端にあるソメイヨシノの古木からニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の鳴き声がします。 
離れたところから動画を撮り始め、そのまま歩いて桜に近づいても珍しくニイニイゼミ♂は鳴き止みませんでした。 
それにしても、ニイニイゼミ♂の鳴き声は「ニイニイ♪」とは全く聞こえないので、「チイチイゼミ」に改名して欲しいです。

恥ずかしながら、私はまだ生きたニイニイゼミを見つけたことがありません。 
翅が褐色の斑模様ですから、木の幹に止まっていると迷彩効果が高いのでしょう。
それから鳴き声が単調で、どこで鳴いているのか方向が掴みにくいです。 
なんとか鳴いているニイニイゼミ♂を見つけて動画で記録するのが今後の宿題です。 



2023/07/05

ヒグラシ♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月中旬・午後13:25頃・晴れ 

里山の水場近くでスギと雑木の混交林から聞こえるヒグラシ♂(Tanna japonensis)の蝉時雨せみしぐれを動画で録音してみました。 
単独個体の鳴き声ではなく複数個体が鳴き交わしている合唱です。 
アマガエルや野鳥の鳴き声もかすかに聞こえます。 

ヒグラシ♂の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAV形式で書き出してから、「カナカナカナ…♪」とひときわ盛り上がった部分2箇所を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。 
3つ目の短い声紋は、近くで「ジジジ…♪」と鳴いた声です。(@0:21〜) 
警戒声というよりも、何か身の危険を感じて飛び去る際の遭難声(distress call)だと思います。

2023/05/20

ニンジンの実に群がり吸汁するアカスジカメムシ

 

2022年10月下旬・午後15:30頃・くもり 

山麓の家庭菜園でニンジン(人参)の白い花が咲き終わって多数の果実がついていました。 
そこでアカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum)が吸汁していました。 
隣にはニンジンの花が未だ咲いている株もあるのに、果実にばかり集まっている(訪花しない)ということは、花蜜には興味がないのでしょう。 
アカスジカメムシはセリ科植物を好むので、ニンジン畑の害虫とされています。 
複数個体を見かけましたが、集合するというよりも、複数の株に分散して(互いに離れて)吸汁していました。 

この畑はニホンザルやイノシシなどの害獣対策で電気柵が張り巡らされています。 
撮影に夢中になった私はうっかり身を乗り出して電気柵の電線に触れそうになり、焦りました。

2023/04/25

鳴いていたミンミンゼミ♂♪が木の電柱から飛び去るまで

 

2022年8月下旬・午前8:55頃・晴れ 

山麓の農村部の道端に昔ながらの懐かしい木製の電柱が立っていました。 
今は電柱としてではなく、外灯(LEDではなく未だ蛍光灯)の支柱として使われています。 
その木製電柱の側面に止まったミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が、腹部を伸縮させながら大声で元気いっぱい鳴いていました。 
私が動画に撮り始めたらすぐに鳴き止んで自発的に飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

「セミが飛び去る瞬間にオシッコをシャッと出す」 決定的瞬間を捉えた写真はセミの本に必ず載っています。
私もそれをハイスピード動画で記録したいのですが、一度も成功したことがありません。 
今回の♂個体も排尿しませんでした。 
木製電柱(死んだ樹木)からセミは樹液を吸えませんから、オシッコが出なくても不思議ではありません。 
私はこれまで鳴いているセミを長撮りして、自発的に飛び去る様子を撮影していました。 
セミを驚かせて飛び立たせないとオシッコを排泄しないのかな?(緊急避難のための軽量化)
独りでセミを撮影しながら驚かせるのは、三脚を使わないと難しそうです。

2023/02/15

池で溺れるヒカゲチョウ♀に襲いかかるアメンボの群れ

 

2022年9月中旬・午後14:50頃・くもり 

山中の湧水が溜まった泉に地味な蝶が落水し、水面でパタパタと羽ばたいていました。 
カメラでズームインしてみると、ヒカゲチョウ♀(Lethe sicelis)でした。 
関連記事(8年前の撮影)▶ クロヒカゲの水難事故
後翅が破損している個体でした。 
翅の破損が左右対称ではないので、鳥に襲われかけたビークマークではなさそうです。 
口吻は伸びておらず、吸水行動ではありません。 
落水した蝶を中心として水面に波紋が広がっているのでヒカゲチョウをよく見ると、翅を細かく震わせていました。 
飛翔筋を使って準備運動をしているようです。
周囲は鬱蒼とした雑木林で、この日は特に薄暗く、気温も高くありませんでした。 
変温動物のヒカゲチョウは飛翔筋の準備運動をして体温を上げないと力強く飛び立てないのでしょう。 

その波紋を感知したアメンボの仲間(種名不詳)が水面を泳いで近づき、ヒカゲチョウの後翅にコツンとぶつかりました。 
アメンボ自身も動くと波紋が広がります。 
再びアメンボが獲物に襲いかかろうとした途端に、ヒカゲチョウが慌てたように激しく暴れ始めました。 
浅瀬なのに、水面でいくら羽ばたいても空中に飛び上がれません。 
このときヒカゲチョウの前翅表に白帯が見えたので、♀と判明しました。 
岸まであと少しなのに、泳いで岸に辿り着こうという発想もないようです。
「泳ぐ」という行動レパートリーが 蝶には無いのでしょう。
翅の表面を覆う鱗粉に撥水性があるので、水中に沈む心配はなさそうです。 

周囲から数匹のアメンボが一斉に集まってきたものの、暴れる獲物を仕留められません。 
口吻を獲物に突き刺して毒液を注入すればおとなしくなるはずですが、アメンボは狩りを諦めて退散しました。 
獲物が溺れて弱るまで待っているのでしょう。 

襲い来るアメンボを撃退したヒカゲチョウ♀は、閉じた翅を細かく震わせています。
水面から突き出た落枝の上に乗れば、飛び立てる気がするのですけど、どうでしょうか? 
水面に落ちた蝶はクモの網にかかったのと同じで、逃れようと暴れるとその振動で捕食者(アメンボ)に気づかれてしまいます。
気づかれないように死んだふり(擬死)するしかありませんが、それではいつまで経っても問題の解決にはなりません。
命のかかったジレンマです。

 次に、もっと大型の捕食者が登場します。 
一難去ってまた一難。 



2023/01/07

キンミズヒキの実に群がって吸汁・交尾するトゲカメムシ♀♂

 

2022年8月下旬・午後12:50頃・くもり 

里山の廃道になった林道沿いに咲いたキンミズヒキの群落にトゲカメムシCarbula humerigera)が集まっていました。。 
花穂に訪花するのではなく、未熟な実が並ぶ実穂に群がり、実に口吻を刺して吸汁しているようです。 

茎(実穂)の最上部で交尾中の♀♂ペアがいました。 
なんとなく上にいる個体が♀で下が♂ではないかと思うのですが、どうでしょうか? 
(私はトゲカメムシの性別の見分け方を知りません。)
交尾中の♂が定期的に両後脚で♀の横腹に触れているのは、♀を宥める行動なのかな? 

茎の下の方に居る個体は、ニアミスしても互いに無関心で、配偶行動や交尾を始めませんでした。 
おそらく同性なのでしょう。  
横向きになった個体の口元を見ると、口吻を伸ばしてキンミズヒキの実を探っていました。 

同じ株の分岐した別の実穂には5匹目のトゲカメムシが単独で見つかり、やはり実から吸汁していました。
ちなみに、数m離れた地点のヨシ群落でも枯葉にしがみついたトゲカメムシ♀♂が交尾していました。 
必ずしもキンミズヒキにしか集まらない、という訳でもないようです。

2022/12/01

池に落ちて溺れそうなセンチコガネをアメンボは襲うか?

 

2022年8月上旬・午後14:15頃・晴れ 

山中の泉に落ちたセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が水面でもがいていました。 
(泳ぐ能力を調べるようと池に放り込んで実験した訳ではなく、偶然の観察記録です。) 
 陸生のセンチコガネの足には水掻き用の毛が密生していないので、泳ぎは下手糞です。 
水面でいくら手足を動かしても前に進みません。 
水中に沈まないのは、浮力があるというよりも、表面張力が強く働いている印象です。
関連記事(同日の撮影)▶ オオセンチコガネ♂の水難事故
2.5時間前に別の場所で観察したオオセンチコガネが水溜りで水没していたのと対象的です。
センチコガネの体表はオオセンチコガネよりも撥水性が高いのでしょうか? 

里山の湧き水(地下水)が溜まっている浅い泉で日当たりの良い場所の水中には緑の藻が少し繁茂しています。 
池に落ちたセンチコガネの足に緑藻が絡まっているのかと思ったのですが、私の勘違いでした。 

水面に広がる波紋を感知したアメンボ(種名不詳)が数匹近寄って来ました。
センチコガネに触れたものの、獲物として襲うことはなくアメンボは離れて行きました。 
体格差があるので獲物として手強いとアメンボが判断したのか、それとも体表が鎧のような硬いクチクラで覆われている甲虫にはアメンボの口吻が突き刺さらないのでしょう。 

このままでは岸に辿り着けないまま溺れそうなので、センチコガネを救出してやりました。
池にアメンボ以外の捕食者(カエルなど)がいれば、そのまま成り行きを見守ったかもしれません。
夕方に水浴しに来る野鳥が水面のセンチコガネを見つけて捕食するシーンがトレイルカメラに撮れたかな? 

「お魚観察ケース」で池の水ごとセンチコガネをすくってやると、水温が低いので透明プラスチック容器の表面がすぐに結露してしまいます。 
水滴を拭いても拭いてもすぐに曇ってしまい、容器越しの撮影は諦めました。 
容器側面に定規の目盛が刻んであったのに、ピントが合わずセンチコガネを採寸できませんでした。
後で落ち着いて考えれば、水を捨ててからじっくり撮影するべきでしたね。 
水に洗剤(界面活性剤)を垂らしてセンチコガネが水没すれば、表面張力で浮いている説が実証されたことになるでしょう。

この日は山中で溜め糞が見つからなかったので、センチコガネも家に持ち帰って飼育してみます。 
(溜め糞があれば、拾った糞虫を放って行動を観察するつもりでした。)
この個体の性別は?


さて、同じ日に糞虫(オオセンチコガネおよびセンチコガネ)の水難事故を2件も目撃したのは果たして偶然でしょうか? 
現場付近を探しても、糞虫を誘引する獣糞は落ちていませんでした。 
水に落ちる瞬間を見ていないのですが、岸辺を歩いていてうっかり池に落ちてしまったのか、それとも飛来したセンチコガネが池の眩しい水面を地面と見間違えて無謀な着陸をしたのでしょうか? 
昆虫採集の特殊なテクニックのひとつに、イエローパントラップ(黄色水盤)という方法があります。 
水を入れた皿を野外に放置しておくと、飛来した昆虫の中にはなぜか勝手に水に飛び込んでしまう者がいて、抜け出せなくなるのだそうです。 
黄色の皿を使うのが最も効果的らしい。(黄色に誘引される) 
今回の池には緑藻が少し繁茂しており、飛んできた虫には水面が黄色っぽく見えそうです。
しかしネット検索してみても、黄色水盤で糞虫がよく採れるという情報は得られませんでした。 
虫好きの教養として知っているだけで、自分で実際に試したことはありません。 
もしかすると糞虫の新たな採集法としてパン・トラップが有効かもしれず、調べてみる価値がありそうです。

2022/11/18

アカマツの樹上から聞こえるニイニイゼミ♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月中旬・午後15:25頃・晴れ 

里山で幅広い稜線を下山していると、アカマツの樹上からチィー♪というニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の特徴的な鳴き声が聞こえました。 
今回も鳴き声の主を見つけられませんでした。 (悔しいことに、セミプロじゃない私は一度も鳴いているニイニイゼミの姿を見つけたことがありません。) 
ニイニイゼミの体色は、木の幹に止まると見事に紛れる迷彩色になっています。 
近寄ってじっくり探そうとすると、警戒して鳴き止んでしまいます。 
仕方がないので、アカマツを見上げて鳴き声だけ採集(録音)しました。
耳を澄ますと、遠くでウグイス♂もかすかに鳴いていますね。

ニイニイゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAVファイルに抽出してから、ノイズの少ない冒頭部を切り出してスペクトログラムを描いてみました。
音程が途中から上がります。
野鳥の囀りとは違い、きれいな倍音構造は認められませんでした。




 

↑【おまけの動画】 
「松尾芭蕉の詩が引き起こした蝉の大論争【ゆるむし学ラジオ】」

2022/01/10

ミズナラの枝で鳴くエゾゼミ♂♪

 

2021年8月下旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の山道沿いに自生するミズナラの灌木でエゾゼミ♂(Lyristes japonicus)が喧しく鳴いていました。 
細い横枝に下向きで止まり、休み休み(断続的に)鳴いています。 
口吻が見えないので、吸汁しているかどうか不明です。 

クロアリ(種名不詳)がミズナラの横枝を素早く通り過ぎたものの、エゾゼミ♂を襲いませんでした。 
セミもアリに対して無反応。 

最後はいきなり飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみても、飛び立つ前後に排尿していませんでした。 

エゾゼミ♂が鳴いてる時の腹弁の振動を動画で記録したかったのですが、回り込んで腹面から撮る前に逃げられてしまいました。
関連記事(同時期の撮影)▶ クリの灌木で鳴くエゾゼミ♂を声紋解析してみる

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