2018/06/02

アカオニグモ♀の卵嚢作り:その1(蜘蛛)【10倍速映像】



2017年11月上旬・午後13:22〜翌日の午前3:48
▼前回の記事
糸を引いて懸垂下降するも水面を忌避するアカオニグモ♀(蜘蛛)【3倍速映像】

飼育下でアカオニグモ♀(Araneus pinguis)に造網させようと悪戦苦闘してきましたが、私が提供した足場でクモは思うように振る舞ってくれません。
本を参考にして、脱走防止のために大型水槽の底に水を張っていたのですが、水難事故が繰り返されました。
さすがに可哀想になって、水を抜くことにしました。
この♀成体は円網を張りたいのではなくて、卵嚢を作る場所を必死で探しているのではないか?と思い始めたからです。
乾いた水槽の底をアカオニグモ♀はひたすら徘徊・探索していました。

一晩放置して朝になると、水槽の底の物陰にアカオニグモ♀は小さな不規則網?を張ってその中で休んでいました。
水槽の底に敷いたダンボールの上、木製トイレットペーパーホルダーと物干し枠に囲まれた隙間です。
ただの住居網でしょうか?
しばらく様子を見ていると、どうやらここに卵嚢を作り始めたようです。
(動画はここから。)

卵嚢作りの一部始終を微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
大きさの比較として、画面右側で奥から手前に伸びている白い丸パイプの直径は12mm。

この居心地良さそうな隙間でクモはぐるぐる回りながら周囲の足場に糸を張り巡らせています。
様々な材質の人工物(プラスチック、木、ダンボール紙)に対してもクモの糸はしっかり接着しています。


次に、アカオニグモ♀は自分の体の上を覆うように、ドーム状の天幕を作り始めました。
上から見ると円形の天幕がほぼ水平に張られます。
これがやがて卵嚢の天井部分になるのです。
天幕にぶら下がる姿勢でほとんどの作業を行いますが、ときどき地面に下りたりもします。
休み休みしながら、この天幕を断続的に作っています。
網のような天幕の裏面にぶら下がり、自らグルグルと回りながら腹端を上下に動かし、糸疣を天幕に付けて管状腺から出る糸を張っていきます。
クモ自身が回る向きは時計回りだったり反時計回りだったりと、一定していませんでした。
糸を紡いで作る構造物という点では同じですが、当然ながら、獲物を捕らえるための円網を張る動き(作り方)とはまるで違います。

実は作業時間よりも休んでいる時間の方が長かったです。

計24回の休憩タイムは退屈なので、編集でカットしました。
(休息も含めたノーカット版の動画は記事を改めて公開します。)

絹糸腺(管状腺)が枯渇する度に、回復(糸の材料を合成)を待っているのでしょう。
この個体に対して後ろめたいことがある私は、彼女が体力を消耗して息も絶え絶えなのではないかと、気が気ではありません。
卵嚢を作り始めるまでに私の世話(飼育)が上手く行かなかったので採集後の貴重な数日をロスしてしまい、おそらく栄養状態が万全ではなかった(飢えていた)はずです。
それだけでなく、数回の水没事故(溺れそうになって酸欠状態?)を経た個体なので、産卵行動を司る神経系に何らかの後遺症が残っているのではないか?という心配もあります。
円網ではなく卵嚢を作りたいという♀の意図を早く汲んでやるべきでした。(産ませてよ!)
果たして卵嚢を最後まで完成してくれるでしょうか?
私がクモの卵嚢作りを観察するのは、イオウイロハシリグモ、ジョロウグモ以来です。
アカオニグモは元々ゆっくり卵嚢を作る種なのかな?
気温の低い野外では、更に緩慢な動きのはずです。
楽観的に考えれば、最も無防備で危険な産卵を夜中に行うように、時間を調節している(適当にさぼっている)のかもしれません。

前日に比べて、アカオニグモ♀の腹背の赤みがどんどん増した気がします。(照明の具合?)
クモを採寸し忘れたのが残念。
底に敷いたダンボールは初め水滴が染みて濡れていたのですが、次第に乾いてきました。

撮影中にときどき測った室温および湿度の記録です。(1日目のみ)
午後14:28 25.4℃、44%
午後16:05 25.6℃、42%
午後18:10 24.6℃、41%

晩秋の外気温に比べたら、かなり高温です。


つづく→卵嚢作り:その2(産卵)


【参考】
遠藤知二『まちぼうけの生態学:アカオニグモと草むらの虫たち』によれば、

アカオニグモ(コガネグモ科オニグモ属)
形態: ♀は成熟するにしたがい、おなかの色が黄白色から赤色へかわる。♂のおなかの色は黄白色のまま。
生活史: 産卵期は9〜10月。秋に産まれた卵は雪の下で越冬し、翌春に孵化。 (月刊たくさんのふしぎ2011年8月号p5より引用)


少し古い本ですが名著の誉れ高い、千国安之輔『クモの親と子(観察の本4)』を紐解くと、アカオニグモの生活史を丹念に観察記録した章があります。
しかし卵嚢作りの過程を千国先生は見ておられないようで、次のような記述と越冬後の卵嚢(および幼体の団居)の写真しか掲載されていませんでした。

 秋の終わりごろになると、アカオニグモの母グモは、地面のくぼみを利用して袋を作り、卵をうみます。
卵は雪の下で冬を越し、翌年5月なかばに孵化します。



いつもお世話になっている『クモ生理生態事典 2016』サイトでアカオニグモの産卵について調べた成果を抜き書きします。

・産卵期は10~11月で,地中のくぼみに卵のうを作る
・卵のうは半球形で直径2.5cmぐらい.卵を包む糸は黄色. 寒い地方では秋に産まれた卵は深い雪の下で越冬し,翌春ふ化.
・樺太では,産卵期は9月中旬~10月上 旬.卵のうは円形,半球状で直径2.5cm,高さ1.5cm.卵数は1546個.
・雌は産卵後1~2週間にて死亡
・地面のくぼみに産卵.出のうは5月中旬・葉や茎でまどい,その後分散



アカオニグモ♀(蜘蛛)@卵嚢作り開始
アカオニグモ♀(蜘蛛)@卵嚢作り開始
アカオニグモ♀(蜘蛛)@卵嚢作り2日目
アカオニグモ♀(蜘蛛)@卵嚢作り2日目

池の護岸から飛び立つダイサギ(野鳥)



2017年10月下旬

台風一過でようやく晴れました。
気温がかなり下がったので、フィールドに出ると虫の数が激減しています。
遠くの山に冠雪していました。(初雪?)

溜池の畔に立つ柳の木陰で一羽のダイサギArdea alba)が休んでいました。
カメラを向けて隠し撮りを始めると、すぐに気づかれてしまいました。
ダイサギはコンクリート護岸で数歩横に移動してから身を屈めて飛び立ちました。

上空で旋回すると風で煽られながらも、民家の裏手に消えました。
川に着水したようです。
青空を背景にして優雅に飛ぶ白鷺の姿が実にフォトジェニックでした。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ダイサギ(野鳥)@溜池岸辺

2018/06/01

ウドの花で吸蜜するコガタスズメバチ♀



2016年9月下旬

川沿いの土手に咲いたウド(独活)の群落でコガタスズメバチVespa analis insularis)ワーカー♀の複数個体が訪花していました。
おそらく同じコロニー出身のワーカー♀だと思うのですが、出会い頭に軽い小競り合いのような空中戦を繰り広げています。
何匹ものコガタスズメバチ♀が忙しなく飛び回り、どの個体を撮ろうか目移りしてしまいました。


コガタスズメバチ♀@ウド訪花吸蜜
コガタスズメバチ♀@ウド訪花吸蜜

鳴きながら♪木の中の虫を探すアカゲラ♂(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午前9:13〜9:17

近くからキョッキョッ♪という啄木鳥の鳴き声が聞こえるので探すと、民家の庭木でアカゲラ♂(Dendrocopos major)が木登りしていました。
雪は降っていないものの、辺りは白い朝霧に包まれています。

アカゲラ♂はキョッキョッ♪とひたすら鳴き続けながら庭木を登り降りしています。
幹のあちこちで樹皮を嘴で軽くつつき、中に虫が潜んでいないかどうか探しています。
虫を探索しながら幹を上に上に登り切ると、少し飛んで隣の木の根際に舞い降り、再び木登りしながら探索を続けます。
今回アカゲラ♂が訪れた落葉樹は、白梅、ソメイヨシノ、メタセコイアなど。

本格的に幹を嘴で叩く穿孔行動は今回やりませんでした。
木の中に虫の気配が無いのかな?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂@落葉樹+獲物探索
アカゲラ♂@落葉樹+獲物探索
アカゲラ♂@落葉樹+獲物探索

2018/05/31

糸を引いて懸垂下降するも水面を忌避するアカオニグモ♀(蜘蛛)【3倍速映像】

2016年10月上旬〜下旬

私のフィールドは、アカオニグモAraneus pinguis)の生息数が多い北国です。
造網行動の一部始終を観察したいのですが、未だ幾つか見逃している過程が宿題として残されています。
造網は通常、夜間に行われるため、フィールドに通って観察するのは大変です。
そこで室内飼育で造網を再現できないか、あれこれ試行錯誤しています。
飼うだけなら比較的簡単なのですが、撮影しやすい条件との両立がなかなか難しいのです。

フィールドで生け捕りにしてきたアカオニグモ♀を部屋に放し飼いにしてみると、天井隅に小さ目の垂直円網を張ってくれました。
チョウやトンボなどの生き餌を網に給餌して、一時期アカオニグモを室内で飼っていました。
しかし壁や天井が白いため、肝心のクモが張る糸や網が見えにくく、撮影には不向きです。(部屋全体を黒く塗り直す訳にもいきません…)


アカオニグモ♀(蜘蛛)@室内天井隅+食べ残しモンシロチョウ
アカオニグモ♀(蜘蛛)@室内天井隅+食べ残しアキアカネ
飼育下で成熟し、腹背が赤く色づいた。

蚊帳や網室の中にクモを放し飼いにする方法も考えましたが、未だ試していません。

動画に撮ったときに背景がゴチャゴチャしているのはなるべく避けたいのです。


クモ関連の本などでよく紹介される方法は、四角い木枠を2枚のガラス板で挟んだ箱を自作し、ガラス板の隙間に造網性クモを入れて飼うという方法です。
私は工作が得意ではありませんし、お金もかかりそうなので、腰が重いです。

今森光彦『クモ (やあ! 出会えたね 4)』という本(写真集)を読んでいたら、コガネグモの造網観察法として面白いアイデアが書いてありました。

いくら根気よく見ていても、網づくりをつづけてくれません。
考えたすえ、家にクモをつれてきて、網をはってもらうことにしました。
しかし、部屋のなかにはなすと、クモはすぐに上へかけのぼり、天井のすみに、でたらめな糸をはりめぐらすだけです。(中略)
そこで、竹を組み合わせて枠をつくり、クモがにげないように、下に水をはって立てました。
竹枠に、クモをそっとはなしてまちます。


昆虫写真家の筆者はこの方法でコガネグモの造網過程の一部始終を見事な連続写真で記録しています。
私もこの作戦を真似してみることにしました。

タオル等を干すための小型の物干しスタンドを網作りの土台(立体的な枠)として使ってくれることを期待して、ここにアカオニグモ♀成体を乗せてみます。
大きな水槽の代わりに衣装ケースのプラスチック製引き出しを再利用し、この大きな箱の中に物干しスタンド(縦42cm×横32cm×高さ50cm)を立てました。
そしてクモ脱走防止のため、容器の底に水を張りました。
さあ、こんな人工的な環境で果たしてアカオニグモ♀は造網してくれるでしょうか?






柳の灌木を利用して造網し昼間は柳の葉を糸で綴った隠れ家に潜んでいたアカオニグモ♀成体を水辺の堤防付近で採集してきました。(2017年10月下旬)

地上から隠れ家までの高さを測ると、約165cm。


アカオニグモ♀(蜘蛛)@隠れ家:柳葉
アカオニグモ♀(蜘蛛)@隠れ家:柳葉+垂直円網





2017年11月上旬

前置きがすっかり長くなりました。
いよいよ本題です。
あまりにもクモの動きが緩慢なので、3倍速に加工した早回し映像をご覧下さい。
動きがゆっくりでもオリジナルの動画を見たい人は、下に掲載した動画をご覧下さい。

スタンドの上(高さ50cm)から糸を引きながら懸垂下降していたアカオニグモ♀の背中が水面に触れると、慌てて引き糸を登り返しました。
たるんだ引き糸が室内の微風でたなびいています。
このような上下動を繰り返しているところを見ると、やはりクモは水面を忌避しているようです。

物干しスタンドのワイヤー(長さ42cm)に沿って綱渡りのように往復移動しながら糸を何重にも張り始めました。
造網を開始してくれたと思い込んでいた私は、これがいずれ枠糸または橋糸になるのだろうと考えていました。


次に、枠糸の中間地点から糸を引きながら懸垂下降しました。
これはまさに、網を張り始める際のY字型の縦糸の作り方とそっくりです。
引き糸の下端をクモは地面のどこかに固定したいはずですが、水面に触れたクモは慌てて引き糸を登り返しました。
物干しスタンドに戻ると、水平に張られた橋糸を右往左往して補強しています。

途中から私は、水を張った容器の底に陸地として木製の台(キッチンペーパーホルダー)を入れてやりました。
懸垂下降してきたクモが木の棒の天辺に着地すると、下まで伝い降りました。
すぐにまた引き糸を登り返しました。
1箇所でも容器の下部で糸を固定できたら、造網のための枠糸を張る手がかりが得られただろうと私は楽観的に思いました。
ところがクモは私の思い通りには動いてくれず、先程と同じように橋糸の補強と懸垂下降、水面忌避という動作を繰り返しています。

見ていてもどかしくなります。
おそらくクモも途方に暮れていたことでしょう。(ストレスに感じていた?)
私は物干しスタンドの全体像を俯瞰で見渡せるので、クモも造網の土台として使ってくれるはずだと期待したのです。
ところが造網性クモは体が小さい上に視覚が悪いために、歩き回って探索しないと周囲の環境を把握できないのでしょう。

今思えば、クモが橋糸の真ん中から下にY字型の縦糸を張ろうとしていた地点の直下にも陸地(島)を作ってやるべきでしたね。
実は真夜中に思いつきで始めたテキトウな飼育実験なので、私も眠くて頭が働きませんでした。

物干しスタンドの縦のメイン支柱をようやく見つけたクモは、これを伝って降り始めました。
下に置いた木台(キッチンペーパーホルダー)に辿り着いたクモは、ウロウロと徘徊。
容器の底からプラスチックの壁面を登ろうとしても、足の爪が滑って登れません。
はずみで水面に落ちてしまいました。
溺れそうになっても自力で引き糸を登り返して難を逃れました。

(映像はここまで。)

室内の照明があると造網を始めてくれないのかと思った私は、消灯してクモを放置しました。
ところが翌朝見ると、水槽にアカオニグモ♀が浮かんでいました。(溺死?)

明かりを消すと、水面が分からなくなってしまうのかな?
ぐったりしたクモを慌てて救出して、物干しスタンドの止まり木に戻してやりました。
歩脚に軽く触れると反応したので、死んではいないと分かり一安心。
やがて元気を取り戻して活動を再開してくれました。

その後もクモは探索行動を続け、私が目を離すと水難事故が繰り返されました。
まさか飼育環境に絶望したクモが入水自殺したのだとしたら、申し訳ないです。


造網性クモは網を使ってしか獲物を捕食できません。
したがって、この個体を野外で採集してきて飼育を始めて以来ずっと(数日間)餌を食べられず、私もやきもきしていました。
牛乳などを強制給餌すべきか迷いましたが、一般にクモは飢餓耐性が強いので大丈夫だろうと判断しました。


アカオニグモ♀(蜘蛛)@水没:容器内
アカオニグモ♀(蜘蛛)@水没後救出

止まり木に戻すと、元気復活。

いかにも素人臭い(お遊びのような)実験の失敗談で、お恥ずかしい限りです。
このブログは個人的なフィールド撮影日記(飼育日記)なので、なるべく失敗したことも記録することにしています。
書き残しておかないと失敗したこともすぐに忘れてしまい、同じ過ちを繰り返してしまうのです。
水を嫌うアカオニグモ♀の行動が面白かったというのも、記事にした理由の一つです。

もし私がクモをわざと水に何度も直接落として溺れさせたりしたら動物虐待だと非難されることでしょう。(炎上案件)
しかし今回アカオニグモ♀が落水して溺れそうになったのは全く予想外でした。
そもそも、本の記述(撮影ノウハウ)を参考にして(多少アレンジして)始めたことです。

しかし生き物は、なかなか本に書いてある通りには振る舞ってくれません。
最近の動物園では猛獣を檻に閉じ込めずに、水堀などを効果的に配置した開放的な展示が主流になっています。(無柵放養式展示
これはネコ科の猛獣が水に濡れることを極端に嫌う性質を利用した展示法です。
今回の実験も同様に、クモが水面を忌避する性質を利用して網の張り方を飼育下でヒトがコントロールできるだろうという期待がありました。

消灯後に何が起きたのか分かりませんが、もしかすると、偶発的な水難事故とは限らないかもしれません。
クモが自発的に入水した可能性はあるのか、少し考えてみました。
造網に適した環境ではないとクモが判断すれば、餌を捕るために他所へ移動するはずです。
風が吹けば糸を吹き流しバルーニングで空を飛び移動するでしょう。(体重の重い♀成体が飛ぶのは無理かも?)

吹き流した糸が遠くの何かに付着すれば、糸を伝って移動することが可能です。
しかし無風の室内では、糸を吹き流すことができません。
野外でも台風や大雨で生息地が増水したり地面が水浸しになることもありそうです。
そのような緊急事態(水害)になるとアカオニグモは、水中で泳げないにしてもあえて水の流れに身を任せて新天地へ移動するのかもしれない…と妄想してみました。

なんとか飼育下でこちらの望むように造網させようと悪戦苦闘してきましたが、ひょっとすると、この♀個体は網を張りたいのではなくて、卵嚢を作る場所を必死で探索しているのではないか?という気がしてきました。
そこで次は、容器の底の水を抜いてやりました。
造網性クモはプラスチック容器の垂直壁面をよじ登れないので、水が無くても簡単には脱走されないでしょう。
すると予想が当たり、このアカオニグモ♀は産卵を始めてくれました。

つづく→卵嚢作りを開始



アカオニグモ♀(蜘蛛):腹面@垂体+外雌器
アカオニグモ♀(蜘蛛):腹面@垂体+外雌器
アカオニグモ♀(蜘蛛):腹面@垂体+外雌器


【おまけの映像】
早回し速度を色々と変えてみた動画をブログ限定で公開します。



↑オリジナル映像(1倍速)



↑2倍速映像



↑4倍速映像



2018/05/30

川の水を飲み羽繕いするコハクチョウのペア(冬の野鳥)



2016年11月上旬・午後15:39〜16:09(日の入り時刻は16:35)

川面に浮かぶ2羽のコハクチョウCygnus columbianus bewickii)を撮影。
塒入りが始まる時間には未だ早いようで、川にはこの2羽しかいませんでした。
元々は岸辺に近い浅瀬に居たのですが、私が撮り始めると警戒して川の中央部に移動しました。
長い首を曲げて丹念に羽繕いしています。

岩波科学ライブラリー:藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか』によれば、

鳥の世界では(中略)首の骨の数が種によって異なっている。12個~13個が一般的だが、ハクチョウでは23個もある。これだけ首が多いと、首をかなり自由自在に動かすことができる。
 鳥たちの首がどれほどよく動くのかは、羽づくろいの様子を見ればわかる。彼らは、首をぐいっと曲げて、くちばしを尾の付け根にある皮脂腺までもっていき、そこから分泌される油をくちばしにつけ、さらに体中の羽毛にぬりつつ羽根の乱れを整える。首が長くて本当によく動くから、尾の付け根にもくちばしがとどくし、全身の羽毛を整えることができるのだ。 (p54-55より引用)


この2羽はつがいなのか、付かず離れず川面を移動しています。
互いの行動をすぐに真似するのは番が親愛の情を示しているのか、微笑ましく思いました。
西日を浴びた白鳥の姿は美しく、なかなか絵になりますね(フォトジェニック)。
カルガモの群れがコハクチョウの近くに来て水浴を始めても、互いに無関心でした。

日陰の岸辺近くに来ると、コハクチョウは川の水を飲み始めました。(@3:50〜)
嘴で川の水を救うと頭を挙げて喉に水を流し込んでいます。
それまでにも嘴を水面に浸すことはありましたが、水を飲んではいませんでした。
体を掻いた時に黒い足が見えました。

※ 日陰のシーンのみ自動色調補正を施しています。(@3.51-5.29, 7.12-8.56)



2018/05/29

ヘクソカズラの花蜜を盗むクロマルハナバチ♀



2017年7月下旬・午前8:42〜8:46

住宅地の板塀に絡みつくように繁茂したヘクソカズラの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。

後脚の花粉籠が空荷だったので、吸蜜シーンをよく観察すると、正当訪花していませんでした。
毎回必ず白い花筒の根元を外側から噛み切って穿孔し、その穴から舌を差し込んで蜜腺を舐めていました。
舌の短い種類のハナバチがよく行うこのような吸蜜法を盗蜜行動と呼びます。
ヘクソカズラの雄しべにも雌しべにも触れないので受粉に全く関与しません。
植物の立場にしてみれば、せっかく受粉行為の報酬として生産した花蜜の盗られ損になりますから、クロマルハナバチは招かれざる客です。

クロマルハナバチと同じく盗蜜の常習犯であるクマバチも同時にこの群落で訪花していたため、既にほとんどの花筒に穿孔跡が残されていました。

▼関連記事
ヘクソカズラの花で盗蜜するクマバチ♀
つまり今回の場合、クロマルハナバチは二次盗蜜者と呼ぶのがふさわしいのかもしれません。
(最初に穿孔した一次盗蜜者はどちらの蜂なのか、不明です。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



実は同じテーマで4年前にも記事にしています。
改めて動画を撮り直してみました。
少しは撮影技術が向上しているかな?


▼関連記事
ヘクソカズラの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀


クロマルハナバチ♀@ヘクソカズラ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ♀@ヘクソカズラ訪花+穿孔盗蜜

真冬の川に潜って小魚を捕食するカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬

▼前回の記事
潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)

街中を流れる川の、雪が積もった中洲を拠点にカワガラスCinclus pallasii)が潜水漁を続けています。

今度は水中で細長いミミズのような獲物(小魚?)を捕らえ、川岸の岩に持ち帰りました。
かなりの大物です!
ピチピチと暴れる獲物を岩に繰り返し叩きつけて殺します。
おそらくミミズではなくて、小さな川魚のようです。
この作業中に勢い余って獲物を何度も落としてしまうのですが、獲物はもう動かなく(逃げなく)なりました。
しめた獲物をようやく丸飲みにしました。
食後は川岸から川の水を飲み何度も嘴をゆすぎます。
すぐにまた入水し、潜水漁を再開。

厳冬期に冷たい雪解け水が流れる川で潜水漁を続けるカワガラスは、どんな優れたウェットスーツ(ドライスーツ)を着ているのでしょう?
水を弾き断熱性に優れたダウン(羽毛)の素材に秘密があるはずです。


※ いつものように動画編集時に手ブレ補正処理を施したら、川の流れが絶えず写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像(グニャグニャして、ちょっと気持ち悪い映像)になってしまうのです。
せめて一脚を持ち歩くべきですね。

ここまでが同じ日に同一個体のカワガラスを連続観察した記録です。
望遠レンズを付けた重いカメラを手で持ち、かなり粘って動画を長撮りしたら、腕や肩の筋肉が限界を迎えました。



2018/05/28

壊されたヒメスズメバチの巣穴を深夜に覗いてみると…【暗視映像】



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#5


前回の記事#4

2017年9月中旬・午前3:00頃・気温14.5℃、湿度75%

柳の根際の土中に作られたヒメスズメバチVespa ducalis)の巣が掘り返された(崩落した?)形跡があり、残り少なくなった蜂もなんだかよく分からない行動をしていました。

そこで、巣盤の破壊状況を自分の目で直接確認してみることにしました。
しかし、スズメバチ用の防護服は高嶺の花です。
いくらヒメスズメバチが穏健な(攻撃性の低い)種類のスズメバチだとは言え、防護服を持っていない私はなかなか巣に近づけません。

それでもできるだけ安全に巣を調べる作戦を思いつきました。
モンスズメバチと異なり、ヒメスズメバチは昼行性です。
夜になると外役に出ていたワーカー♀も全員巣に帰って寝ていますし、暗闇では目が見えませんから攻撃性も更に低下しているはずです。
暗視ビデオカメラと赤外線投光機を取りに一旦家に戻り、日付が変わった深夜に現場を再訪しました。

明け方に決行したのは、気温が低い方がスズメバチの活動性が下がるからです。(赤外線投光機の充電に手間取ったせいでもあります。)
ナイトビジョンカメラで巣穴の奥の様子をそっと撮ってみました。

約12時間前の昼間には日光浴や謎の定位飛行、扇風行動を繰り返していたのに、真夜中の巣前庭には一匹も蜂は居ませんでした。
巣穴の入り口に、植物の細根が上から暖簾のように垂れ下がっています。
穴の左奥の下に、スノコのような人工物が見えます。
遊歩道が造られてから長年の間に土が堆積し柳の木や藪が育ったせいで分かりにくいのですが、ここは舗装された遊歩道の路肩で、雨水などを排水するための排水溝(暗渠)がスノコの下に流れているようです。

私がビデオカメラを持ってゴソゴソしていたら、巣穴の右奥から寝起きのヒメスズメバチ♀が1匹歩いて来ました。
焦りましたが、すぐに引き返してくれました。
計3匹の蜂が興奮したようにウロウロと歩き回っています。

そのうちの1匹が翅を半開きにした警戒姿勢になったものの大顎を開閉しただけで、カチカチ鳴らす警告音は聞き取れませんでした。(なので私も身の危険は感じませんでした)
蜂は目覚めていて明らかに警戒していましたが、暗闇では決して飛び立ちませんでした。

巣前庭にも出てきませんでした。

空洞になった柳根際の地面に巣の外皮の破片が散乱しています。
ヒトに駆除されたのか天敵に襲われたのか分かりませんが、巣を破壊されたのは間違いありません。

それでも壊された巣で夜を過ごし、巣を守ろうとする蜂が健気です。

巣盤が上から吊り下げられているはずだと予想してビデオカメラを上に向けてみても、空洞が写るだけで巣盤は見つかりませんでした。(もっとじっくり調べるべきだったと後で悔やむことになります)

壊された巣を再建している形跡もありませんでした。
巣穴の奥には更に多くの蜂が休んでいたのかもしれませんが、確かめられませんでした。
防護服が無いおっかなびっくりの調査では、これが限界です。
ファイバースコープのような暗視カメラをそっと差し込んで撮影するのがスマートかもしれません。(これまた高価な機材で、私には手が出ません)

ヒメスズメバチの巣を発見したその日に、未だ壊されていない巣盤の状況をこの方法で夜に調べなかったのが、一番悔やまれます。

つづく→#6







【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会 (自然誌選書)』を読むと、熱帯のインドネシアで調査したエキゾチックな蜂の話が序章から出てきて面白いです。
「豪雨のなか、ヒメスズメバチと格闘する」と題したエピソードが壮絶でした。(p12〜17)
巣に近づいただけで襲われる、その激烈な攻撃性、凶暴性に震撼し、私が知る日本産ヒメスズメバチの穏やかな性質とあまりにも違うので驚きました。
この記述を額面通りに信じていたら、とても恐ろしくて防護服なしでは私もヒメスズメバチの巣に近づこうとは考えもしなかったことでしょう。
本書は1988年に刊行され少し古い(30年前)のです。
このスズメバチは、東南アジアの各地に15亜種にも分化していて、日本にも、本州以南に3亜種が生息している。(p13より引用)
どうもおかしいので読み直すと、
体長3センチを越える大型のスズメバチが、さかんに飛びまわっている。全身、真っ黒で、腹部の中央にオレンジ色の太い帯を一本巻いたそのハチは、スズメバチのなかでもオオスズメバチにつぐ体躯をもった、ヒメスズメバチであった。(p13より引用)
本文には和名だけで学名が記されていないのですが、この特徴から、筆者の松浦先生が記録したインドネシアの蜂の学名はVespa tropicaであり、日本のヒメスズメバチ(Vespa ducalis)とは別種であることに気づきました。
古い図鑑を見ると、確かにかつては日本産ヒメスズメバチの学名はVespa tropica pulchraとされていて、分類上の混乱が生まれたのです。
アシナガバチ類の巣を専門に襲撃して幼虫や蛹を奪い、自分の巣の幼虫の食物とするユニークな生態はV. tropicaV. ducalisで共通らしく、研究の初期には亜種の関係にあると考えられていたのでしょう。
名著でも古い文献を参照する際は、現在の知見と違っている可能性があるので注意が必要です。 




カキノキで実を採食する2羽のツグミ(野鳥)



2016年11月下旬

郊外の庭木として植栽されたカキノキの枝に実った果実を2羽のツグミTurdus eunomus)が、採食していました。
熟柿というほど熟れておらず、未だ少し硬そうな果実です。

食事の合間にツグミが脱糞しました(@0:53、1:59)。
糞に柿の種が含まれていれば、種子散布に貢献したことになります。

実を嘴で啄んでいるときに、食べ損ねて果肉を落とすことがありました。
食後は嘴を足元の枝に擦り付けています。
横の道を車が通りかかると、ツグミはカキノキから飛び去りました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/05/27

ヒメスズメバチ♀の奇妙な扇風行動【HD動画&ハイスピード動画】



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#4

前回の記事#3

2017年9月中旬・午後15:27〜15:35・気温28℃

前庭で巣穴の方を向いて休んでいたヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis)が突然、その場で羽ばたき始めましたので驚きました。
実際は飛翔時のように猛烈な勢いで羽ばたいているのですが、映像ではストロボ効果の錯覚により羽ばたきが遅く見えています。
休息を挟みながら扇風行動を断続的に繰り返していました。

後半は、定位飛行および扇風行動の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@3:01〜)
♀αが扇風行動を止め前庭で休んでいると、別個体♀βが飛来しました。(@4:04)
それに反応して飛び立つと、すれ違う際に接触し、♀αはバランスを崩して一瞬着地。
♀βはさっさと巣に入りました。
♀αは低空で定位飛行を続けます。
スローモーションで見ると、空中でホバリング(停空飛翔)している間も頭がキョロキョロと油断なく動いていました。
アシナガバチとは異なり、飛翔中は空気抵抗を減らすために脚を縮めて体に引きつけています。

スズメバチ類は真夏に気温が約30℃を越えると、育房内の幼虫や蛹を守るために巣を冷やそうとワーカーが巣の外被上で羽ばたいて扇風行動を行います。
巣口に風を送り込んで巣内の温度を冷やすのです。
しかし、今回の個体は巣の外被から離れている上に頭を巣に対して斜めを向けています。
したがって、いくら羽ばたいても風が巣には送り込まれず、体力の無駄でしかありません。
扇風による巣の冷却や換気の効果は全く期待できないことになります。
撮影しながら気温を測ると28℃でした。
日向の地面はもう少し暑くて30℃を越えていた可能性があります。
前庭の地表温度を測りたかったのですが、この個体が居座っているために近づけませんでした。
日光浴して暑くなったのなら日陰に移動すれば済む話なのに、わざわざ体力を消耗する扇風行動を行う意味が分かりません。
むしろ日向で定位飛行や扇風行動などの激しい運動をすれば体温は更に上昇するはずです。
もし捕獲したスズメバチを飼育中に室温を上げたら、たとえ巣がなくても簡単に扇風行動を誘発できるのか、確かめてみたいものです。

昆虫は変温動物なので、飛び立つ前に飛翔筋の入念な準備運動をして体温を上げる必要がある種もいます。(体重の重い昆虫や、気温が低い夜に活動する種など)
しかし、日向で日光浴をしているヒメスズメバチの体温は充分に高いはずです。

巣の前庭で扇風しながら腹端をやや持ち上げているため、もしかすると交尾前の新女王が雄蜂を誘引する性フェロモンを積極的に拡散しているのだろうか?と素人が勝手な妄想を逞しくしてみました。(私の知る限り、スズメバチでそのような行動は報告されていません)
この仮説は、ミツバチによる「匂い扇風」から連想したものです。
しかし、観察をしばらく続けても、営巣地の周囲にヒメスズメバチの雄蜂♂が殺到することはありませんでした。

柳の根際の土中に作られた巣が掘り返された(崩落した?)形跡があるため、そもそも異常な行動を見ているだけ、という可能性もあります。
巣が壊され女王蜂を失うとコロニーの統制が喪失し、ワーカー♀が呆然と様々な異常行動を示すようになるのかもしれません。
以前、山中で観察したチャイロスズメバチの巣が壊された後の行動も、巣を再建せずに呆然と無為に過ごしているようでした。

▼関連記事
破壊された巣とチャイロスズメバチ♀残党

謎の行動を繰り返している個体が1匹だけというのが、とにかく奇妙です。
一見無駄に見える定位飛行や扇風行動を繰り返しているのは、とにかく元気が有り余っている個体なのでしょうか?
それとも異常行動なのでしょうか?
ネジレバネなどに寄生された個体が異常行動を取るようになったのか?とか、巣を駆除する際に使われた殺虫剤(神経毒)が残留していて、その影響で異常行動をするようになったのか?などと想像してしまいます。


ヒメスズメバチのコロニーが解散したら初冬にでも巣の発掘調査をしようと計画していたのに、どうも何者かに巣を壊されてしまったようなのです。
巣の破壊状況を早く自分の目で確認したいのはやまやまなのですが、高価な防護服を持っていない私はなかなか巣に近づけません。
それでも安全に巣を調べる工夫を思いつきました。

つづく→#5:壊されたヒメスズメバチの巣穴を深夜に覗いてみると…【暗視映像】


ノスリを追いかけモビングするハシボソガラス(野鳥)



2017年5月上旬

住宅地と農耕地が混在する郊外の上空で、猛禽類とハシボソガラスCorvus corone)が1対1で空中戦を繰り広げていました。
繁殖期のカラスが天敵にモビング(擬攻撃)を行い縄張りから追い払おうとしているようです。
近くにハシボソガラスの巣があるのでしょう。

猛禽類の翼の下面をよく見ると、ノスリButeo japonicus)でした。

途中から攻守交代し、追い回されていたノスリがカラスに反撃しました。
カラスが必死に逃げ出した隙に、ノスリは戦闘空域を離脱しました。


※ 今回は動画編集時に手ぶれ補正処理はしていません。
背景がほとんど何もない青空だと、あまり効果が無いのです。



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