2018/12/31

農道を横断するコカマキリ♀



2018年9月下旬

舗装された農道で昼下がりにコカマキリ♀(Statilia maculata)と出会いました。
初めは私を見上げて警戒し、路上で静止していました。
卵が詰まっている腹部が重そうです。

やがて警戒を解くと農道をゆっくり横切り始めました。
胸の前に鎌を構え、一歩ずつ体を前後に揺すりながら優雅に移動します。(4本脚歩行)
急ぐ時は前脚(鎌)の先も地面に付いて歩きます。(6本脚歩行)
ときどき一時停止し、辺りを警戒しています。
ツユクサの花などが咲いている道端の草むらを目指しているようですが、途中で動かなくなりました。
先を急ぐ用事があった私は、コカマキリ♀が農道を渡り切るまで待ち切れませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コカマキリ♀@舗装農道横断

スギ林の急斜面を下りながら眼下腺マーキングするニホンカモシカ



2018年9月下旬

私が山道を下っていると、前方横のスギ林の斜面からパキパキと林床の枝を踏みしめる音が聞こえました。
クマか?と焦りながら辺りを探すと、ニホンカモシカCapricornis crispus)でした。
急斜面の獣道を下りながら、ときどき灌木の枝やクズの葉に顔の眼下腺を擦り付けて縄張りをマーキングしているようです。
スギ木立に隠れてよく見えないので、もしかすると道草を食っていた(採食)のかもしれません。
シナノキの未熟な青い実が手前に見えます。
スギの幹とカモシカの体は色が似ていて、保護色のようになっています。
もしカモシカが動かずにじっとしていれば、見つけるのは至難の業でしょう。
ゆっくり車道まで降りて来たカモシカが頭を上げ、遂に私の存在に気づきました。

つづく→気の強い野生カモシカに威嚇され一触即発!

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/12/30

性フェロモンを放出するオビガ♀(蛾)のコーリング行動



オビガ(蛾)の飼育記録2018年#12


2018年9月下旬・室温22.9℃、湿度55%

▼前回の記事
羽化後に蛹便を排泄するオビガ♀e【蛾:HD動画&ハイスピード動画】

羽化したオビガ♀e(Apha aequalis)の初飛行を動画に撮りたくて何度もつついてみたのですけど、止まり木から無様に落ちたり下でバタバタと暴れたりするだけなので、体力の消耗を避けるために諦めました。

しばらくすると、卓上のティッシュペーパーの上に静止していたオビガ♀がコーリングを始めたことに気づきました。
翅を開いて、腹端が露出した姿勢になっています。
その腹端から性フェロモンを放出する誘引腺と呼ばれる袋を出し入れしていました。
しかしヒトの嗅覚では何も匂いは感じません。
オビガ♀の誘引腺は、腹部に密生する毛と同じく濃い黄色でした。

▼関連記事
クワコ♀(蛾)の羽化と性フェロモン放出


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#13:オビガ♀(蛾)のコーリング行動:性フェロモン放出【10倍速映像】


オビガ♀e(蛾)腹端:誘引腺@コーリング:性フェロモン放出
オビガ♀e(蛾)腹端:誘引腺@コーリング:性フェロモン放出
オビガ♀e(蛾)腹面@コーリング:性フェロモン放出

日没後の刈田に出没したホンドタヌキ



2018年9月下旬・午後18:01〜18:02(日没時刻は17:35)

稲刈りが終わった山麓の田んぼ(刈田)を横目に見ながら夜道を歩いていると、暗い刈田で動き回る1頭の野生動物を発見。
落ち穂が目当てなのか、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山から里に降りてきたようです。
(昼間でも)目が悪いタヌキは初め私には気づいておらず、田んぼの畦道に沿って採食しながらこちらに向かって歩いて来ました。
やがてタヌキは頭を上げ私の存在に気付くと、刈り残された隣の田んぼの稲穂の茂みの中へ慌てたように逃げ込み、姿を消しました。

現場は肉眼で辛うじて見えるぐらいの暗がりでした。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか一瞬迷ったのですが、カメラ内蔵のストロボではタヌキに光が届くか分かりません。
野生のタヌキは閃光に驚いてすぐ逃げてしまうはずなので、チャンスは一発勝負になってしまいます。
なるべく行動を記録したい私は、駄目元で動画に撮ってみました。
赤外線の暗視カメラを荷物から取り出して準備する余裕はとてもありませんでした。
(被写体までやや遠いので、赤外線投光器を使っても暗くて写らなかったと思います。)
手にしていた通常のカメラのいつものお任せモードで撮りました。
カメラのファインダーで覗いたときにはかなり粗い画質でも辛うじて写っていたのに、撮れた動画は真っ暗になっていました。
後々思えば、「夜景を手持ちカメラで撮るモード」に切り替えて動画撮影すれば良かったかもしれません。
漆黒の映像を動画編集で強引に明るく加工してみたら、暗視カメラ風にタヌキの姿が辛うじて写っていました。
「失敗だ」と動画を削除しないで良かった!
本来タヌキは夜行性らしいので、一瞬でも夜の活動を撮れたのは嬉しかったです。


2018/12/29

ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ



2018年9月下旬
▼前回の記事
ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀

舗装された山道に転がっていたヒミズUrotrichus talpoides)の腐乱死体を観察していると、オレンジ色の昆虫がブーンと羽音を立てながら低空で飛来しました。
一瞬スズメバチかと思いきや、死骸めがけて飛んで来た新参者の正体はヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)でした。
飛んでいる姿を見るのはこれが初めてで、とても興奮しました。
飛翔シーンは一瞬なので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。

飛来したヨツボシモンシデムシはすぐに死骸の下に潜り込みました。
死骸がゾンビのように勝手に動いているように見えるのは、ヨツボシモンシデムシの活動のせいです。
ゴソゴソと死骸が動いてもキンバエは逃げずに平気で吸汁を続けています。

しばらくすると、死骸の上面に1匹のヨツボシモンシデムシが来て死肉を食べていました。
その体表を橙色のダニが多数徘徊しています。
そのヨツボシモンシデムシも再び死骸の下に潜り込みました。

新たにもう1匹のヨツボシモンシデムシが死臭に惹きつけられて飛来したものの、なぜか着陸せずに飛び去りました。
低空で飛ぶシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

さて、ヨツボシモンシデムシはヒミズ死骸の裏で何をしているのでしょうか?
拾った小枝で死骸を裏返してみると、2匹のヨツボシモンシデムシが潜んでいました。
私には性別が見分けられないのですが、これは♀♂のつがいなのかな?
ところがすぐにまた死骸の裏面に慌てて隠れてしまいます。
一旦死骸に辿り着くと、日光を嫌う習性があるようです。
しつこく更にもう一度死骸を裏返すと、またもやヨツボシモンシデムシは逆側に潜り込んで隠れました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

タッパーウェアなどの容器を持っていれば、ヨツボシモンシデムシを採集し死骸と一緒にお持ち帰りしたいところです。
ヨツボシモンシデムシは甲虫としては珍しく育児(子育て)をすることで有名なので、いつか飼育下で観察してみたいのです。
またの機会にお預けです。(夏に部屋でシデムシに腐肉を与えて飼うのはかなりの覚悟が必要ですね)







▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(中編):ヒミズ死骸とヨツボシモンシデムシ

10年前の観察例では土の地面にヒミズの死骸が置かれていました。
ヨツボシモンシデムシが何匹も死骸の下に次々と潜り込み、仰向けに歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運んでいました。
今回の現場はアスファルトの舗装路なので、ヨツボシモンシデムシは死骸を地中に埋葬して独占するのは不可能です。
死骸を運びつつ路肩の地面を目指して舗装路を横断中だったのかもしれません。

つづく→ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ




【追記】
ベルンド・ハインリッチ『生から死へ、死から生へ:生き物の葬儀屋たちの物語』という翻訳書を読んでいたら、北米産モンシデムシの飛翔について嘘みたいな驚くべきことが書いてありました。
日本のヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)とは別種なのですが、同属のNicrophorus tomentosusおよびNicrophorus orbicollisの2種は後翅を羽ばたいて飛ぶ際に鞘翅が裏返しになって裏面(下面)のレモンイエローが外側を向き、黄色のマルハナバチに擬態するというのです。(p31〜33より)


そんな奇天烈な翅を持つ甲虫を私は知らなかったので、自分で撮ったこの動画を急いで見直してみました。
しかし、飛翔時のヨツボシモンシデムシの翅はレモンイエローではなく、鞘翅表側のオレンジ色の残像しか見えませんでした。
(だから私はスズメバチが飛来した!と現場で一瞬錯覚したのです。)
次に機会があれば、ヨツボシモンシデムシの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ったり、採集して鞘翅の裏面をじっくり調べてみたくなりました。
北米産の2種(N. tomentosus, N. orbicollis)だけが特殊なリバーシブルの鞘翅を持っているのかな?
それ以外の習性については日本産のモンシデムシとほぼ共通していただけに、裏返る鞘翅の話が強烈な印象に残りました。
日本産のモンシデムシがそのような翅に進化しなかったのは何故でしょう?
日本には黄色のマルハナバチと言えばコハナバチ♂ぐらいしか生息しておらず、雄蜂には毒針がありませんから、怖くない蜂にベイツ擬態するメリットが無かったためと考えられます。




ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸
ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸

川の倒木で羽根を乾かしながら脱糞するカワウ(野鳥)



2018年9月下旬

岸から倒れて川に張り出したままになっている倒木(おそらくニセアカシア)に一羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が止まっていました。
カワウはこちらに背を向け(下流を向き)、大きく広げた翼を軽く動かすようにして濡れた羽根を乾かしています。
この止まり木は以前にも一度カワウが利用しているのを見ていたのですが、夏になると周囲の草木が生い茂り、対岸からは観察できなくなってしまいます。


▼関連記事(前年の5月に撮影)
川岸の倒木で羽繕い、脱糞するカワウ(野鳥)

少し遠くなるのですけど、上流の別アングルから撮影できるポイントをこの日はたまたま見つけて嬉しくなりました。

日光浴中のカワウが尾羽根を持ち上げると、白い液状便を勢い良く川に排泄しました。
排便直後に尾羽根を左右に激しく振り、軽く身震いしました。
排泄中も翼は広げたままでした。
飛び立つ前に軽量化したのかと思いきや、その後ものんびり日光浴を続けています。

中川雄三『水辺の番人 カワウ (月刊たくさんのふしぎ2017年11月号)』によると、

カワウは水かきをもつにもかかわらず、上手に枝をつかむことができます。多くの鳥は前に3つ、後ろに1つのゆびをもちますが、カワウは前だけに4つのゆびがあり、それぞれのゆびの間に水かきがあります。この4つのゆびを使い、木をぎゅっとつかむのです。(p20-21より引用)

この記述を自分でも確かめてみたいのですが、ブラインドを使うなどして、もっと近づかないといけませんね。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
ウの仲間は尾脂腺が発達していないので、羽毛が水をはじきにくく、翼を広げて乾かす姿がよく見られる。 (孝森まさひで『フィールド版 カモ類の観察』p23より引用)


カワウ(野鳥)@川倒木+日光浴:羽根乾燥
カワウ(野鳥)@川倒木+日光浴:羽根乾燥

2018/12/28

チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔



2018年9月下旬

山間部の峠道の横に生えたアカソの群落でチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が飛び回っていました。
アカタテハやフクラスズメの幼虫などアカソを食べて育つ幼虫(イモムシ)を狩ろうと探し回っているのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪



2018年9月下旬

秋の田んぼで稲穂が実ると、スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥による食害を防ぐために様々な対策を施すようになります。

ここは山麓の田んぼで、黄金色の稲穂の上をトンボが飛び交っています。
手前はソバ畑になっています。

鳥害対策の一つとして、田んぼを囲む畦道に支柱を立て、その間に「防鳥テープ赤銀」が張り巡らされていました。
風が吹くと両面テープの捻れた部分が自然と左右に動き、メタリックの赤と銀色がチラチラと反射するようになっています。
(両面テープと言っても粘着力があるのではなくて、裏表が二色に塗り分けられているのです。)
このギラツキを鳥は嫌うという触れ込みで、昔から使われています。
たまたま撮影時は夕方で風が止んでいて、テープが静止しているため、残念ながら映像では特徴が伝わりません。
無風の際も防鳥効果が期待できるのかな?

もう一つの鳥害対策として、田んぼの奥にスズメ追い(スズメ脅し)の爆音機が設置されていました。
ドカーン!という凄まじい爆裂音が山里にこだまします。
プロパンガスをタイマーで定期的に爆発させる仕組みなのだそうです。
どうやら約5分間隔で爆裂しているようなので、次の爆発を待ち構えて動画に記録してみました。
この日は三脚を持参しておらず手持ちカメラで撮ったために、心の準備をしていても爆音が鳴った瞬間は反射的にビクッとしてしまいます。

爆発の瞬間をスロー再生すると、爆裂音の直前に青い炎が赤いパイプから少し出ていました。

「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」のホームページによると、

爆音器 農地と住居が混在している日本ではプロパンガスによる比較的小音量のものが用いられているが、それでも騒音で苦情が来る。鳥の慣れも早い。

同所で公開されたPDF「鳥種別生態と防除の概要:スズメ」を読んでみると、

爆音器も一時的には効果はあっても、日数がたつと慣れてきてしまい、爆音器周辺の小範囲に限られるようになる。爆音器と視覚刺激を組み合わせた複合型爆音器も市販されているがやはり慣れを生じる。これらの機器には騒音の問題をに気を付けなくてはならず、その対策として夜間停止していた場合には早朝に被害にあいやすくなる。


藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

爆音器などの効果は、鳥が銃猟を知っているかどうかで大きく違ってきます。(p178-179より引用)

こうした鳥害対策が功を奏したのか分かりませんが、この田んぼにスズメの群れは一羽も来ていませんでした。
薄暗くなってきた夕方に撮ったので、そもそもスズメの採餌活動が終わった後のような気もします。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、
水力などを利用して一定時間が経つと定期的に大きな音が鳴る鹿威しも聴覚に訴える全自動式の威嚇装置の一種。 (p286より引用)
確かに伝統的な「鹿威し」は爆音器の原型ですね。
私のフィールドにはニホンジカは生息しないので、鹿威しの効果は実感したことがありません。
カコーン♪という風情ある音だけで逃げ出すとは、よほどニホンジカは神経質なのでしょう。


スズメ(野鳥)追い:爆音機@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ

2018/12/27

ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀



2018年9月下旬

山間部の峠道にヒミズUrotrichus talpoides)の死骸が転がっていました。
遺体の損傷が激しく死因は不明ですが、車に轢かれたロードキルなのでしょうか。
死骸は長い尻尾に毛が生えています。
前足の爪がさほど発達していないので、モグラではありません。

クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエの仲間が死骸に群がっていました。
クロオオアリ♀は死骸の毛皮が裂けて露出した部分から大顎で肉を食い千切っていました。
私にキンバエの種類は見分けられないのですが、複眼の形状を見ると♀♂両方来ていました。
キンバエは死骸の体液を舐めています。
産卵シーンは見ていません。
肉の組織で白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているので、死後数日が経過していることが分かります。
撮影アングルを変更しようと私が動くと、ハエが死骸から一斉に飛び立って避難してしまいます。
後半は、15cmの金属製定規を並べて置いて死骸を採寸しました。


▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(前編):ヒミズ死骸に群がるキンバエ

つづく→ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ


クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸+scale

止まり木で羽繕いするチゴハヤブサの幼鳥(野鳥)



2018年9月中旬
▼前回の記事
止まり木で鳴く♪チゴハヤブサ幼鳥(野鳥)

私が止まり木に少し近づいたら逆光のアングルになってしまいました。
チゴハヤブサFalco subbuteo)の幼鳥はヒノキ樹冠の止まり木で軽く数回羽ばたきました。
これまで幼鳥だと思っていたのですが、ちらっと見えた下腹部が赤茶色の成鳥ですかね?(自信がなくなってきました)

チゴハヤブサは鳴き止んだものの、やがて体をねじって羽繕いを始めました。

逆光のシルエットで羽繕いする様子もフォトジェニックかもしれません。
止まり木から辺りをキョロキョロと見渡したり、飛来したトンボを見上げたりするものの、自分で狩って捕食しようとする素振りはみせませんでした。
(親鳥が幼鳥にトンボを給餌するのをこれまでに数回観察しています。)

近くでカラスが鳴いています。
なぜカラスの群れは猛禽類のチゴハヤブサをモビング(擬攻撃)しないのか、考えてみると不思議です。
飛翔能力に優れたハヤブサを恐れているのでしょうか?
止まり木から一向に飛び立つ気配がないので、撮影を打ち切りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/12/26

アレチウリの花蜜を吸うイチモンジセセリ



2018年9月下旬

川の堤防に繁茂した蔓植物アレチウリの群落でイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。
そそくさと吸蜜するとすぐに飛び去ってしまいました。
飛び立ちを1/10倍速のスローモーションでリプレイするとようやく翅裏の斑紋が確認できてイチモンジセセリと分かりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


イチモンジセセリ@アレチウリ訪花吸蜜

止まり木で鳴く♪チゴハヤブサ幼鳥(野鳥)



2018年9月中旬

ヒノキの大木の最上部で枯れた枝で、いつものようにチゴハヤブサFalco subbuteo)が1羽休んでいました。
お気に入りの止まり木から辺りをキョロキョロ見回しています。
やがて甲高い声でキーキーキー♪と鳴き始めました。
マイクに入る風切り音がうるさいのですが、断続的に鳴き続けています。
順光のアングルで見ても下腹部が茶褐色ではないので、幼鳥のようです。
おそらく空腹の幼鳥が親鳥を呼んで餌乞いしているのでしょう。
私も結構粘って見ていたのですが親鳥は現れず、幼鳥への巣外給餌は見れませんでした。
やはり子別れの時季なのでしょうか。


▼関連記事(5日前の撮影)
チゴハヤブサの縄張り争い/子別れ?(野鳥)

※ 動画編集時に音声のボリュームを上げ、自動色調補正を施しています。



つづく→止まり木で羽繕いするチゴハヤブサの幼鳥(野鳥)

2018/12/25

サラシナショウマの花で摂食するコアオハナムグリ赤銅型



2018年9月下旬

山間部の峠道の横に咲いたサラシナショウマの白い花穂に赤銅型のコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花穂を歩き回り、中に潜り込むように頭を突っ込んで(ハナムグリ=花潜り)、花蜜や花粉を食べています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コアオハナムグリ赤銅型@サラシナショウマ訪花摂食

ポプラの梢で鳴く♪2羽のハシブトガラス(野鳥)



2018年9月中旬・午後17:29〜17:33

川の近くに聳え立つポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木の梢に2羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が止まって頻りに鳴いていました。
このポプラは春に見た時はハシボソガラスの営巣木だったので、ハシボソガラスの縄張りなのかと思っていました。


▼関連記事(4月下旬)
ポプラ樹上の巣で抱卵するハシボソガラス(野鳥)

雛が巣立ち繁殖期が終わると共に、縄張りを解消したようです。
私が少しずつ近づきながらしつこく望遠で撮り続けると、ポプラ樹上のカラスは相次いで飛び立ち、鳴きながら川を渡って対岸の市街地の方へ飛び去りました。
塒入りするには未だ早い時刻ですから、単に私のことを警戒して逃げてしまったのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシブトガラス2(野鳥)@ポプラ樹冠

2018/12/24

羽化後に蛹便を排泄するオビガ♀e【蛾:HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬

オビガ(蛾)の飼育記録2018年#11


▼前回の記事
オビガ♀e(蛾)の羽化【60倍速映像】

羽化直後にシワクチャだったオビガ♀e(Apha aequalis)の翅が伸び切った後は、不要になった羽化液(蛹便)の排泄を見届けるのが次のミッションです。
蛾の真下にティッシュペーパーを敷いて長時間待ち構えていたのに、蛹便を自発的に排出してくれませんでした。

諦めて、それなら初飛行(処女飛行)を動画に記録しようとオビガ♀eに軽く触れてみました。
すると翅を小刻みに震わせて準備運動を始めました。
胸部飛翔筋の激しい収縮運動で体温が充分に上がれば、飛び立ってくれるはずです。

割箸の止まり木に静止したまま広げた翅を小刻みに震わせています。
翅の下に隠れていた触角を前面に出していました。
突然、腹端から粘り気のある薄い黄土色の蛹便をドロリと排泄しました。
飛び立つ前に軽量化が必要なのでしょう。
予め下に敷いて置いたティッシュに蛹便が2滴、付着しました。
2度目の排便は4滴、3度目はピューッと勢い良く線状に放出しました。
排便直後のオビガ♀eの毛深い腹端を見ると、蛹便が1滴付着しています。
しばらくすると4度目も液状便をピューッと線状に放出。
これで体内から蛹便を出し切ったようで、身軽になった♀eは割箸を登り始めました。
割箸の天辺に到達し、力一杯激しく羽ばたくも、飛び立てないでいます。
疲れ切った♀eは諦めて羽ばたきを止めてしまいました。
大量の蛹便で白いティッシュがかなり汚れ、机にも少しはみ出してしまいました。
蝶や蛾の蛹便は無臭で、別に汚いものではありません。


さて、全く同じシーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮影していました。
今度は1/8倍速のスーパースローで羽化液の排泄シーンを振り返ってみましょう。(@1:53〜)

小刻みに羽ばたいて飛翔準備運動しているオビガ♀eの腹端で黄土色の水滴が少しずつ大きくなります。
やがて蛹便の雫が糸を引いて落下しました。
再び腹端に蛹便の雫が次第に大きくなり、大量の蛹便が糸を引いて落ちました。
3度目は腹部がギューッと収縮し、腹端からジャーっと大量の液状便を勢い良く放出しました。
最後の一滴が粘り気で戻り、腹端の横に付着しました。
4度目も同様ですが、前回よりは排泄量が少なかったです。
後半は止まり木から飛び立とうと必死で羽ばたくものの、疲れて諦めてしまうまでのスーパースローです。

初飛行の離陸に失敗したのは足場や体勢が悪かっただけかと初めは思いました。(重い腹部が下垂した状態では飛べないのかな?)
その後、飼育を続けても、♂とは異なり♀が元気に飛び回る姿を見ていません。

もしかすると自然界でもオビガの♀は体が重過ぎてほとんど飛べず、交尾相手の♂が飛来するのを羽化地点でひたすら待っているだけなのかもしれない、と思うようになりました。
もちろん、これから観察例数を増やさないことには確かなことは言えません。
ちなみにオビガ成虫は口吻が退化しており、餌を摂取できませんから、空腹が飛べない理由にはなりません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#12:性フェロモンを放出するオビガ♀(蛾)のコーリング行動


オビガ♀e(蛾)蛹便@ティッシュペーパー
オビガ♀e(蛾)@蛹便排泄直後

収穫期の田んぼでイナゴを捕食するダイサギ(野鳥)



2018年9月中旬

田んぼの一部で稲刈りが始まりました。
コンバインに追い立てられた虫を目当てに野鳥が集まってくるオートライシズムが見られないかと期待して探しても、周囲の田んぼで見つかったのは1羽の白鷺だけでした。
おそらくダイサギArdea alba)だと思うのですけど、やや遠くて識別点の目元にズームできません。

雑草が生い茂った畦道をゆっくり歩き回り、稲穂や草むらから虫を次々に捕食しています。
やがて純白の白鷺は黄金色の稲穂が実る田んぼに降りると長い足で歩き回り、虫の捕食を続けます。
獲物は形状から主にバッタやイナゴ、コオロギの仲間だと思われ、米農家にしてみればダイサギは益鳥になります。

「その者白き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。」
何かに警戒し、田んぼにすっくと伸び上がって佇む姿も絵になりますね。
このダイサギは稲刈り中のコンバインから離れた位置で採餌していたので、オートライシズムの例ではありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ダイサギ?(野鳥)@田んぼ畦道+イナゴ?捕食
ダイサギ?(野鳥)@田んぼ畦道+イナゴ?捕食



2018/12/23

オトコエシを訪花するヨコジマオオハリバエの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬

山間部の峠道の脇に咲いたオトコエシの群落でヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が訪花していました。
左右の複眼が離れているので♀ですかね?(…とは限らない?)
口吻を伸ばして花蜜や花粉を舐めています。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:48〜)
更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヨコジマオオハリバエ@オトコエシ訪花吸蜜
ヨコジマオオハリバエ@オトコエシ訪花吸蜜

雨上がりに池の落枝で佇むゴイサギ幼鳥と成鳥(野鳥)



2018年9月中旬・午前7:33〜7:40

雨が降った朝、ゴイサギNycticorax nycticorax)の昼塒を定点観察に来ました。
池の畔のいつもの落枝に、この日は幼鳥が1羽だけ休んでいました。
近くの岸辺の別な落枝に珍しく成鳥が佇んでいました。
雨に濡れても気にせず、ねぐらで休んでいます。
カルガモや錦鯉が池を泳ぎ回り目の前を通り過ぎても、ゴイサギは無関心でした。

日中に見かけるゴイサギの成鳥はいつも池畔の樹上に隠れていて、水際に居るのを見たのはこれが初めてです。
もしかすると、夜の採餌場からねぐらに戻って来て池の水を飲んだり水浴びした直後なのかもしれません。(雨の日は水浴しない?)
成鳥は警戒心が強く、対岸の私に気づくと落ち着きが無くなりました。
私がもう少し近づいてアングルを変えようとしたら、成鳥は飛んで近くの樹上の茂みに消えてしまいました。
(飛び立つシーンは撮り損ね)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ゴイサギの群れが明け方?に塒に戻ってくる様子(集団就塒)を一度は観察しておかないといけませんね。

ゴイサギ成鳥(野鳥)@雨上がり:池畔:落枝
ゴイサギ幼鳥(野鳥)@雨上がり:池畔:落枝

2018/12/22

オミナエシの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀とブチヒゲカメムシ



2018年9月下旬

民家の花壇に咲いたオミナエシの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
テーブル状の花序を歩き回りながら吸蜜しています。

奥の花序にブチヒゲカメムシDolycoris baccarum)も来ていたのですが、フタモンアシナガバチ♀はニアミスしても狩ろうとしませんでした。(@2:22)

他にもほっそりした別種のカメムシが訪花していたものの、背側から撮れず種類が見分けられませんでした。
カメムシはじっとしているだけで、動画に撮っても面白くありません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜
フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜

ブチヒゲカメムシ@オミナエシ訪花吸汁

オミナエシ花
オミナエシ葉:ギザギザの葉が対生
オミナエシ葉:鳥の羽のようにギザギザしている

アキノノゲシは傷口から乳液を分泌する



2018年9月上旬
▼前回の記事
ホソバセダカモクメ(蛾)の幼虫がアキノノゲシの種子を食べる際のトレンチ行動
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫がアキノノゲシの実を食べる作法の謎

アキノノゲシはタンポポの仲間(Cichorieae族)なので、植物体を傷つけると直ちに粘り気のある乳液(ラテックス)を分泌します。
傷口から病原菌の侵入を防いだり、草食動物(昆虫)が嫌がる味の化学物質(毒?)を含んだりしていると考えられています。

実際にやってみましょう。
葉をちぎると切り口から白っぽい乳液が点々と滲み出してきます。
主脈の断面からの分泌が一番多いようです。

太い茎の断面をよく見ると、中心には白い髄の組織があります。
乳液が滲んでいるのは表皮の直下の組織でした。
ここに乳管があるようです。

『学研新世紀ビジュアル百科辞典』によると、

にゅうかん【乳管】
乳液を含む植物の分泌管。乳液を含む管状の細胞またはその集まり。latex vessel⇒乳液(にゅうえき)

にゅうえき【乳液】
植物体を傷つけたときに出てくる白色や黄褐色をした粘りけのある液。タンパク質・糖類・酵素・アルカロイド・ゴムなどが含まれており,乳管や乳細胞に保有されていることが多い。latex


ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫による食害を真似して、爪の先で実を傷つけてみると、みるみるうちに白い乳液が傷口に滲み出してきます。
実の柄を切っても切り口から乳液が分泌されます。
黄土色の乳液の雫に指で触れると少し粘り気があり、独特の香ばしいような青臭いような匂いがします。
したがって、ホソバセダカモクメの幼虫がこれから食べる実がついた柄に念入りに噛み傷を付けていたのはやはり、乳管を断ち切って乳液の流入を防いでいたのでしょう。

花が咲き終わり実が付き始めた時期なので、今回はアキノノゲシの花を傷つける実験はできませんでした。


アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ茎:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ葉:傷口@乳液分泌

ところで、アキノノゲシの群落の中にアブラムシのコロニーに寄生されている株が見つかります。
下の葉が白く汚れているのは、アブラムシが排泄した甘露のせいでしょう。
この赤いアブラムシは、おそらくタイワンヒゲナガアブラムシUroleucon formosanum)と思われます。
アブラムシがアキノノゲシの茎から吸汁してもなぜ乳液が滲み出てこないのか、不思議です。
タイワンヒゲナガアブラムシに対しては乳液の忌避効果が無いようです。
茎の師管液を吸汁しているアブラムシはどんな乳液対策をしているのでしょうね?
蛾の幼虫は噛む口器を持っているので摂食前にトレンチ行動が可能ですが、アブラムシの口器は刺すことしか出来ません。
吸汁しながら消化酵素で分解しているのか、それとも初めから乳管を避けて口吻を突き刺しているのでしょうか?


タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎
タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎


【追記】
この分野に関する英語の総説で全文PDFがインターネット上で無料公開されているものを読んでみました。
Agrawal, Anurag A., and Kotaro Konno. "Latex: a model for understanding mechanisms, ecology, and evolution of plant defense against herbivory." Annu. Rev. Ecol. Evol. Syst. 40 (2009): 311-331.

Most sap suckers (Hemiptera) similarly do notcontact latex because of their intercellular feeding, and thus have no obvious adaptations forfeeding on latex-bearing species. Asclepias syriaca is host to at least five hemipterans (three aphidsand two lygaeid bugs) (Agrawal 2005a, Smith et al. 2008; A.A. Agrawal, personal observations).Nonetheless, latex can occasionally entrap and kill hemipteran sap feeders, as was demonstratedfor aphids and whiteflies on lettuce (Dussourd 1995).


下線部によると、アブラムシは植物の細胞間に口吻を刺して吸汁するために乳管を傷つけないのだそうです。

ちなみに日本語で読める短い総説としては、竹田敏『昆虫機能利用研究』(2006)という本の全文PDFをダウンロードし、第1章第5節
『植物は乳液で昆虫から身を守る― 昆虫と植物との餌を介したせめぎ合い―』
を読んで勉強してみました。


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