2016/01/09

垂直円網の甑から隠れ家へ逃げるアカオニグモ♀b(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前10:08

アカオニグモ♀の定点観察#18


これまで定点観察してきたアカオニグモ♀a(Araneus pinguis)の営巣地から約20m離れた位置に、別個体の♀bが店開きしているのを見つけました。
同じく用水路沿いの草むらに垂直円網を張っています。
枠糸の左端はクルミ幼木の葉先に固定し、逆の右端はアメリカセンダングサの葉先(花や茎かも?)に固定しています。
クルミの葉裏は隠れ家になっています。

この朝は円網の甑で下向きに占座していました。
これまで見てきたアカオニグモ♀aは常に隠れ家に潜んでいたので、甑に居るのは珍しい!と思いました。
ところが動画に撮り始めたらなぜか隠れ家へ逃げこんでしまいました。
見られている気配を感じて警戒したのかな?
写真を撮っていると、飛来したトンボが網にかかりそうになったものの暴れて脱出しました。(動画に撮れず残念無念…。)


このアカオニグモ♀2匹を一緒に定点観察することにしました。
色々な行動の個体差が調べられそうです。
目視で体長を比べると♀a>♀b。
栄養状態を反映しているのでしょうけど、これは成体と亜成体の違いなのかな?
外雌器の状態を接写したり体長を採寸したいのはやまやまですが、腹面を向けてくれません。
ならば一時捕獲すれば良いのですけど、私の目的は野外でクモの自然な行動を動画に記録することが最優先なので、網に戻してもストレスで逃去したりすることが怖くて踏み切れません。
動画撮影と自由研究の両立は難しく、いつも葛藤があります。(どちらも中途半端になりがち…。)

同じ日の夜に再訪すると…


つづく→#19:夜に垂直円網の下部を取り壊すアカオニグモ♀b【蜘蛛:暗視映像】


隠れ家@クルミ葉裏
全景
垂直円網(ピンぼけ失敗)

ミズキに付くアブラムシに随伴するクロクサアリ



2015年9月下旬

用水路沿いに生えたミズキの木の葉裏や葉柄、実などに黒いアリが集結していました。
おそらくクロクサアリLasius fuji)だと思います。
個々のアリをよく見ると満腹らしく腹部の節間膜が広がっています。

ミズキに花外蜜腺があるのか?と不思議に思ってネット検索しても情報が出てこないので無さそうです。
黒っぽく熟したミズキの実は甘いのか(糖分を含んでいるのか?)味見してみればよかったですね。
『野鳥と木の実ハンドブック』p50で調べてみると、「口に入れてみてもこれといった味はしない」そうです。


ミズキの葉裏の特に葉柄に蟻が群がっています。
点在するアブラムシのコロニーが排泄した甘露を舐めているようです。
共生関係(蜜月関係)にありそうですけど、アブラムシの数が少ないのでこれだけ多数のアリを養えるとはちょっと驚きです。
今回風が吹いていたのでマクロレンズで接写していません。
アブラムシの種類を真面目に検討した訳ではありませんが、ミズキをホストとするアブラムシを検索すると例えばオカボキバラアブラムシ(別名オカボノキイロアブラムシ;Anoecia fulviabdominalis)がヒットしました。



2016/01/08

巣材集めの合間に吸水するヒメクモバチ♀



2015年9月下旬・午後13:56〜14:11

境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#4


ヒメクモバチ♀b(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の採土場が分かったところで、次は水飲み場を突き止めようと思いました。

母蜂は2〜3回連続して境界標の根本から採土すると、必ずどこかに水を飲みに遠出することが分かりました。
泥巣から飛んで行く蜂を追いかけると、参道を約10m下った地点の草むらに着陸しました。
ここは里山から沢の水を排水する暗渠が参道を横切って埋設されています。
排水溝は枯れていて水は流れていないものの、苔などが生えていて湿っています。
蜂はドクダミの葉に付いた朝露を舐めていました。

飲水後に帰巣する蜂を追いかけても、いつも見失ってしまいます。
蜂よりも私の方が先に営巣地に着いてしまうのです。
水場から帰巣した蜂は必ず泥玉を咥えていることから、別の採土場に寄り道してきているに違いありません。
2回続けてほぼ同じ場所から吸水するシーンを観察できました。
水場の近くの参道沿いに境界標が2本並んでいて、それぞれに別のヒメクモバチ♀a,bが営巣しています。

ほぼ休みなく泥巣の閉鎖を続けてきた♀bが、やがて作業を止めてしまいました。
外出しても空荷で帰巣し、泥巣上で点検や身繕いを繰り返すだけになりました。
疲れて休んでいるのでしょうか?
働く時間帯が決まっているのかもしれません。
巣材の土は無尽蔵にありますけど、晴れて気温が上がると水場の朝露が蒸発してしまい、巣作りが出来無くなるのかもしれません。
(少し飛んでいけば川も流れていますし、水なら他の場所へ探しに行けば良さそうなものですが…。)
もし私が営巣地の近くに水場を作ってやったら蜂は利用してくれるでしょうか?
水を入れた皿を置いたり、近くの木の葉に霧吹きしたりしても、一度身についたルーチンワークの行動パターンは変わりそうもない気がします。
それでも、ヒメクモバチ♀の行動にどれぐらい融通性があるのか実験してみなければ分かりません。

育房の閉鎖が完了したのであれば、続けて隣に新しい育房を増設するはずです。
しかし蜂に動きが無いため、諦めてこの日の観察を打ち切りました。

つづく→#5:境界標の泥巣上で身繕いするヒメクモバチ♀a


水溜りを飲む子ネコ【暗視映像】



2015年9月上旬・午後18:02

日没(17:56)の直後に水溜りで水を飲んでいる子ネコFelis silvestris catus)の後ろ姿を金網フェンス越しに隠し撮りしました。
小雨の降る夕暮れ時で薄暗いので、赤外線の暗視カメラで動画撮影。
(ヒトの肉眼でも未だ充分見える明るさですが、通常のカメラでは暗過ぎて無理な条件でした。)
途中で私の気配に気づいたのか子猫は振り返ると、人懐こくフェンスまで近寄って来ました。
最後はフェンスの下をくぐると車道を走って渡り、飼い主の家へ帰りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2016/01/07

営巣地の直下で採土するヒメクモバチ♀b



2015年9月下旬・午後13:20〜13:35

境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#3


ヒメクモバチ♀b(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が繰り返す造巣行動をしばらく眺めていると、採土は近場で済ませていることをようやく突き止めました。
境界標の根本の地面を掘って泥玉を採取していたのです。
高さ40cmの境界標を上下に往復するだけなので、造巣作業が捗ります。

本種の営巣地と採土場を共に突き止めたのは2回目です。
2009年は泥巣から約3m離れた崖から巣材を集めていました。

▼関連記事
ヒメクモバチの採土と泥玉作り1

今回、母蜂の造巣行動を邪魔しないように少し離れた位置から撮影していたので、蜂が境界標の根本に降りた所で手前に茂った灌木の葉に隠れていつも見失っていたのです。
灯台下暗しとは正にこのことですね。

微速度撮影と同時並行してハンディカムで撮りました。

映像の冒頭で、ヒメクモバチ♀は境界標のすぐ左で常緑の灌木の葉に乗って小休止していました。
吸水および採土を済ませた直後のようで、小さな泥玉を咥えています。
歩いて境界標の側面を登ると泥巣を塗り潰す作業を行います。
造巣後は歩いて地面に降りました。
境界標の真下の
落ち葉の下に潜り込むと、地面を大顎で掘り返し採土しているようです。

採土と造巣を数回繰り返す毎に、境界標から飛んで外出することがあります。
これは水を飲みに出かけているのです。(映像公開予定)
飲んだ水を吐き戻しながら、土塊をよく噛み解して滑らかな泥玉を作り、巣材とするのです。
吸水の直後はいつも帰巣する途中、どこか別の場所で採土して来ます。(どこか突き止められませんでした)

つづく→#4:巣材集めの合間に吸水するヒメクモバチ♀


採餌中にクルミの実を取り合うハシボソガラス(野鳥)



2015年9月下旬

郊外の脇道で1羽のハシボソガラスCorvus corone)が半分に割れたオニグルミの実を嘴に咥えていました。
クルミの堅果を舗装路に投げ落として割った直後のようです。
地面に埋めて貯食しようとしていたのかもしれません。
カメラを向けている私に警戒したカラスaはクルミを咥えたまま芝生から飛び立ち、低空飛行で逃げました。


仲間の近くに降り立つと(計3羽:三羽烏の群れ)採食を開始。
奥の路上にクルミを置くと、カラスaが半分に割れたクルミの実を足で押さえつけながらコツコツと啄んでいます。
食べ残しを路上に放置して仲間のもとへ歩き始めると、別個体のカラスbが駆け寄って来ました。
3羽の中でこの一羽だけがクルミの実を持っていません。
するとカラスaはカラスbに盗まれないように慌ててクルミの実を拾い直しました。
少し離れた位置で採食を再開。
争ってクルミの実を強奪することはありませんでした。(仲間に襲われそうになったらカラスaはクルミを持って飛んで逃げてしまうでしょう)
横取りされるのが嫌なら独りでこっそり食べても良さそうなのに、わざわざ見せびらかすのはちょっと意地悪な行動にも見えます。
自分で捨てておきながら誰かが欲しがると急に惜しくなる(独占欲)というのはヒトの子供の喧嘩を見ているようで、微笑ましく思いました。
もしカラスbが若鳥だとしたら、採餌法を教育しているのかな?と想像したりしました。

なんとなくカラスbの行動は以前観察した雛が餌をねだる行動の名残のような気がしました。
▼関連記事 
巣立ち雛に給餌するハシボソガラスの家族群(野鳥)
ただし、今回この距離では遠過ぎて若鳥かどうか、口の中の色を見分けられません。
カラスaは再びクルミを手放し、歩き去りました。
その間、左奥でもう一羽のカラスcが同様にクルミの実を食事中ですけど、建物の死角でよく見えません。
この後でカラスbが忍び寄ってカラスaの食べ残しを入手できたかどうか、興味深いところです。
しかし、こうした一連のドラマに気づいたのは後で映像を見直してからで、撮影中の私は全く気づかずにすぐ飽きてしまい、撮影を終了してしまいました。
もう少しだけ粘って撮るべきだった…と後悔しても後の祭りです。

カラスがクルミの堅い殻を割るために空中から投げ落として舗装路に叩きつけたり走って来る車に轢かせたりする賢い行動が話題になります。
こうした高度な採餌行動はおそらく仲間(親世代)の真似をして学習し、群れに広まった文化だと思われます。
ところが、私がこれまで何回か撮影したカラスのクルミ割り行動は全て単独行動でした。
今回群れの行動が「固いクルミの実はこうやって割って食べるんだよ。後は自分でやりなさい。」という教育を垣間見れたのだとしたら、ミッシングリンクに近づいたかもしれません。
賢いカラスは仲間に教育してやろうという意識がなくても、結果としてお手本になっているということもありそうです。
「教育」以外で何かもっとふさわしい用語が思いつきません。






2016/01/06

泥巣を閉鎖するヒメクモバチ♀b【10倍速映像】



2015年9月下旬・午後13:11〜14:18

境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#2


ヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の造巣行動をいつか微速度撮影してみたいと思っていました。
絶好の機会にウキウキしながら、境界標の前に三脚を据えて約1時間の長撮りをしてみました。
営巣基質の境界標は地中に打ち込まれているため、いくら風が吹いても「動かざること山の如し」で、微速度撮影の対象として適しています。
育房群の全体を厚い泥で覆い隠そうとしている最終段階を10倍速の早回し映像でご覧ください。
巣材の泥玉を新たに付け足した部位は湿っているので黒点として見えます。
しばらくすると泥が乾いて周囲と同じ色になります。
母蜂は気紛れというか毎回違う場所にせっせと巣材を付け足していることがよく分かります。
ランダムに付け足すことで、乾くまでの待ち時間を節約できますね。
「山」の字の右側の縦溝を主に埋めているのですが、その下の文字「形」の凹みにもときどき巣材を付け足しています。
境界標を歩いて降りるのは巣材集めのためで、飛んで泥巣を離れるのは水を飲むためです。
水を吐き戻しながら土と混ぜて泥玉を作るために、ほぼ採土5回に対して1回の割合で吸水が必要になるようです。
映像の後半になると蜂は造巣を止め、巣上での休息が増えました。

これだけの泥巣を建造するのにヒメクモバチ♀は一体何往復して巣材を運んだのだろうと想像すると気が遠くなります。
ご覧の通り山形県に泥を塗る不届き者の蜂ですけど、洒落の分かる知事さん辺りが鶴の一声で「県の蜂」に指定してくれたら嬉しいなー!…という初夢を見た。

ヒメクモバチは『ファーブル昆虫記』にも登場する由緒正しい蜂です。


ヒトを刺しに来ることはありませんし、大人しくて可愛らしい蜂ですので、成虫や泥巣を見つけても目の敵にしないで暖かく見守ってください。

この母蜂が巣材を集めてくる採土場は意外な所にありました。

つづく→#3:営巣地の直下で採土するヒメクモバチ♀b



ノダケの花蜜を吸うシロスジベッコウハナアブ♀とメスグロヒョウモン♀



2015年9月下旬

林縁の農業用水路沿いの草むらに咲いたノダケシロスジベッコウハナアブ♀(Volucella pellucens tabanoides)とメスグロヒョウモン♀(Damora sagana)が同じ花序で仲良く吸蜜していました。
花から飛び立ったシロスジベッコウハナアブ♀は次に近くのイヌタデの花穂に止まりました。(撮り損ね)

地味な花ですけど、今回初めてノダケという植物の名前を知りました。

多くの図鑑などでは、分布は「本州(関東地方以西)」とあるが、東北地方でも分布が確認されている。(wikipediaより)



2016/01/05

境界標に作った泥巣を閉鎖するヒメクモバチ♀b



2015年9月下旬・午後13:00〜13:10

境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#1


里山の参道沿いに県の境界標が地面に何本も打ち込まれています。
コンクリートで出来た境界標の東側面に刻印された「山形県」という文字の窪みに泥巣を作っている黒いハチを見つけました。
同定のため蜂を採集すべきか迷いましたが、造巣行動をよく観察すると腹部を屈曲して腹端をコテのように使って巣材の泥玉を塗り伸ばしています。
この特徴的な行動からヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)だろうと判りました。
この辺りでは普通種ですけど、これまでに蜂を個体識別して定点観察したり飼育したりと手を替え品を替え何年もしつこく調べ続け、私と付き合いの長いクモバチです。

今回見つけた営巣地は標高360m地点で、周囲の環境はスギと雑木林の混合林。
コンクリート製の境界標を採寸すると、12.5×12.5×40cm。
側面に刻印された「山」の字の第1、3画の縦線(溝)の長さと幅は各々5cm、1.5cm。

おそらく営巣末期で、クモを貯食した育房群の全体に泥を厚塗りして埋めようとしているようです。(泥巣閉鎖)
泥玉を咥えた蜂が境界標の下から登って来ました。
口に咥えた泥玉に水を吐き戻しつつ噛み解しながら泥巣上を歩き回り、触角で泥巣表面を探りながら巣材を付け足す場所を慎重に選定しています。
腹端を叩きつけて巣材を塗りつけると、触角を一拭いして軽く身繕い。

付け足したばかりの新鮮な泥は黒っぽく点のように見えますが、乾くと灰土色になります。
ヒメクモバチ♀は休むまもなく境界標を歩いて下に降り、最後は地面に飛び降りたところで見失いました。

巣材は一体どこで集めてくるのでしょう?


つづく→#2:泥巣を閉鎖するヒメクモバチ♀b【10倍速映像】


泥巣@境界標b・全景
隣の同形の境界標cの裏面

実は同じ参道沿いに数メートル離れたところにもう一本の境界標があり、そこにも別個体のヒメクモバチ♀aが同様に営巣していました。(映像なし)
先に見つけた♀aは泥巣を守るように静止してばかりで殆ど離れないので面白くありません。
活発に造巣している個体♀bに注目して撮影することにしました。
2匹のヒメクモバチ♀はおそらく同じ泥巣から羽化した姉妹ではないかと想像しました。
巣材の盗掘や労働寄生など互いに交流があれば面白そうです。


アキノノゲシの花蜜を吸うモンキチョウ♂



2015年9月下旬

農道の脇に咲いたアキノノゲシの群落でモンキチョウ♂(Colias erate poliographus)が訪花しています。
背後で稲刈りするコンバインの音が聞こえています。



2016/01/04

ヤマシロオニグモ♀アトグロ型(蜘蛛)が垂直円網で身繕い



2015年9月下旬・午前06:53

林縁の農業用水路沿い。
草むらの低い位置に網を張ったクモが見慣れない種類だったので目を引きました。
垂直円網の甑で下向きに占座しつつ身繕いしています。
歩脚で左脇腹を掻きました。
ヤマシロオニグモ♀(Neoscona scylla)アトグロ型ですかね?
wikipediaの解説によれば、ヤマシロオニグモの

腹部の模様には変異が大きい。(中略)全体が白っぽくて葉状紋がなく、中央後方に褐色の斑紋を残すものをアトグロ型と言う。腹面では中央やや後方に一対の白斑があるのが特徴

初めはカメラに背を向けていたのですが、朝日を浴びて白飛びしてしまいました。
網の正面に立って影を作ってから撮ればよかったかもしれません。
網の面に対してやや斜めを向いているのが気になりました。
日光浴のため太陽の方を向いているのかな?
きれいな円網が風になびいていて、その中央部(甑)は円形の穴が開いています。

早朝で先を急ぐ用事があり、じっくり観察する余裕がありませんでした。

円網のサイズも採寸していませんし、外雌器の状態もしっかり接写していません。
腹面の写真を拡大すると、垂体が見えるような…?
場所を覚えておいて後日、造網行動を観察しようと思ったのですけど、このクモは行方不明になってしまい二度と逢えませんでした。




ブルーサルビア?の花で盗蜜するニホンミツバチ♀



2015年9月下旬

民家の花壇にニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
採餌シーンをよく見ると正当訪花ではなく、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
雄しべに触れないため当然ながら、後脚の花粉籠は空荷です。
複数個体を撮影。

空色の花はブルーサルビアですかね?(=サルビア・ファリナセア=ラベンダーセージ;Salvia indigo spires)
花が散りかけで、園芸図鑑と見比べてもよく分かりませんでした。
間近で花や葉を調べたくても他人の庭に勝手に踏み込む訳にいかず、横の公道から望遠で撮るだけなのはもどかしい。
園芸植物は苦手で全く自信がないので、もし間違っていたら教えてください。
濃青い花のサルビア・ガラニチカと並んで花壇に咲いていました。

▼関連記事
サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀

この花壇を定点観察していて、舌が短く盗蜜行動の常習犯であるクマバチクロマルハナバチの犯行現場を目撃しています。
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのクマバチまたはクロマルハナバチでしょう。



2016/01/03

アカオニグモ♀(蜘蛛)未完の網で音叉実験【暗視映像】



2015年9月中旬・午前04:54〜04:56

アカオニグモ♀の定点観察#17


垂直円網を作りかけ(失敗作)のままアカオニグモ♀a(Araneus pinguis)は隠れ家に篭ってしまいました。
この網を失敗作と呼んでよいのか分かりませんが、横糸の張り方が少し下手糞で中央部付近に横糸を欠くだけで、獲物が全く捕れなくなるほどではありません。
横糸が張られた網の外縁部に虫がかかればちゃんと捕食できるでしょう。

クモを隠れ家から誘き出せるかどうか、音叉を使ってみました。
鳴らした音叉を円網に付けた途端に、クモが信号糸を伝って隠れ家から甑まで駆けつけました。
獲物を捕食する気満々ということは、クモが満腹なせいで網を完成させるモチベーションが低いのではないか?という可能性はなくなりました。
(網の振動への反応は空腹状態とは無関係な反射的な行動だったりして…? 要確認)
しかしクモは音叉の位置まで辿り着きませんでした。
音叉の振動が早く減衰して鳴り止んでしまったから、クモは網上の位置を突き止められなかったのでしょうか?
手で音叉を揺らしてもクモは騙されません。
仕方がないので音叉を網から引き剥がします。
造網中に小雨がほんの少し降ったのですが、横糸の粘着性は保たれています。
再び音叉を鳴らしたものの、網に付ける前にクモは隠れ家へ逃げ帰ってしまいました。
更に2回音叉を鳴らして同じ実験を繰り返すも、学習したクモは無反応で隠れ家から出て来ません。
狼少年の人騒がせな偽警報にはもう騙されないようです。

後日、同一個体のクモが正常な垂直円網を張り終えた直後の明るい朝にも音叉の実験を試しています。
音叉に対する反応は今回と同じで、隠れ家から甑までは釣り出せるものの、音叉に噛み付いたり捕帯でラッピングするまでは至りませんでした。

▼関連記事
音叉でアカオニグモ♀(蜘蛛)を騙せるか?

撮影直後(午前4:57)の気象条件は、気温16.3℃、湿度85%、照度0ルクスでした。
10分後の午前5:07には3ルクスまで照度が上がりました。
ちなみに日の出時刻は5:24。

つづく→#18:垂直円網の甑から隠れ家へ逃げるアカオニグモ♀b(蜘蛛)



オオセンチコガネの死骸に群がるクロオオアリ♀



2015年9月下旬

山間部の峠道でオオセンチコガネPhelotrupes auratus)と思われる死骸にクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀2匹が集まっていました。
一匹は死骸の横で身繕いしています。
別種の赤っぽい微小アリも死骸に来ていましたが、名前は分かりません。
2種のアリが遭遇しても、体格差があり過ぎて喧嘩になりません。

死骸は金赤色に輝く美しい糞虫なのに車に轢かれたようで(ロードキル)ぺしゃんこに潰れています。


アカオニグモ♀a(蜘蛛):垂直円網の失敗作?【暗視映像】



2015年9月中旬・深夜4:23〜4:41

アカオニグモ♀の定点観察#16


クモに限らず生き物の行動は得てして教科書通りにはいかず、特に野外ではアクシデントがあったり解釈に困るイレギュラーな行動をすることがよくあります。
枝葉末節かもしれませんが、混沌とした観察結果や謎をなんでも記録に残しておくのが大切だと思います。
定点観察の順番通りではありませんけど、日時を遡って報告します。


アカオニグモ
♀a(Araneus pinguis)が夜中に造網する一部始終を映像に記録できましたが、一発で撮影に成功したのではありません。
クモが毎晩網の張り替えを始める時刻を把握するのに苦労している頃まで話は遡ります。

深夜4:20頃に様子を見に行くと時既に遅く、クモは横糸を半分ぐらい張り終えたところでした。
赤外線の暗視カメラで撮影を始めた私の気配に警戒したのか、クモは作業を中断して(?)円網の中心部(甑)に戻ってしまいました。
こちらに背面を向けているので口元が分かりにくいのですけど、網の中央を食い破って甑の処理をしているようにも見えました。
その後、甑で下向きに占座しています。
他の種類の造網性クモならごく普通の待機姿勢ですけど、この個体♀aは普段非常に臆病で、必要に迫られなければ昼も夜も常に隠れ家に潜んで居ます。
網の甑にじっとして居るのを見たのは後にも先にもこの時だけでした。
この点でも、いつもと違う(らしくない)異常行動と言えるかもしれません。
やがて甑と隠れ家を数回往復し(1往復半?)、信号糸を張りました。
最後はタニウツギ葉裏の隠れ家に落ち着きました。




一連の行動を見る限り、少なくともクモ自身は円網が完成したと判断したようです。
しかし円網全体をよく観察すると、中央部の横糸がスカスカで、未完状態に見えます。
甑(hub)と捕獲域(capture region)の間にある反転用通路(free zone)がいつもより無駄に広い気がします。

こしきと捕獲域の間には横糸がなく、クモが鎮座する面を反転するための隙間(反転用通路)が空いている。(『クモを利用する策士、クモヒメバチ』p80より)


しかも、それまでに張られた横糸がきれいな等間隔ではなく、隣り合う横糸が所々で融合して捩れています。(‡追記参照)
特に網の右上部分が酷いです。
この程度の乱れは別によくあるミス(許容範囲)ですかね?

円網の出来不出来を見た目による主観ではなく定量的に評価する手法があれば知りたいです。
網の写真を送ればコンピュータが画像解析で計算してくれるWEBアプリなどがあれば理想的です。
どうやら今夜の垂直円網は失敗作のようです。
クモはいつも芸術作品のような洗練された円網を張るという先入観があり、失敗する日がある(猿も木から落ちる)とは知らず意外でした。

もしクモが何か身の危険を感じて横糸張りを中断しただけなら、甑にのんびり居残っていないで隠れ家へ一目散に逃げ込んだり、牽引糸を引きながら網から地面に緊急落下したり
するはずです。
しばらくして警戒を解けば造網を再開してくれるはずです。
しかし、夜が明けるまで待ってもクモは隠れ家に篭ったままでした。

この♀個体はおそらく成体なので、網の作り方が今更未熟であるとは考えにくいです。
何かの本で読んだ私の知識が確かなら、クモの造網は本能にプログラムされた行動であり、経験や学習によって上達するようなものではないはずです。

ひょっとして、亜成体と成体の網の違いですかね?(外雌器をしっかり見ていないのがネックです。)
クモ生理生態事典 2011』サイトでアカオニグモの項を参照すると、
幼体期は黄色で,成体になって数日してから赤色に変化する 腹部の色彩は幼体期から成体になった数日間までは黄色をしているが,その後赤色に変化する. 
今観察している個体♀aの腹背は未だ黄色っぽい状態です。

もしかするとこの日の♀クモは昼間にあまり獲物が捕れず飢餓状態で、体内で糸を作る原料(タンパク質)が欠乏したので網を完成できなかったのでしょうか?
それとも逆に、この日のクモはあまり空腹ではなくて、捕虫装置(罠)である円網をきれいに最後まで張るモチベーションが下がっていたのでしょうか?

このとき実は小雨がほんの少しぱらついていました。(雨はすぐに止みました。)
もし網が雨で濡れることによって横糸の粘着性が失われるとすれば、雨天時に造網を強行しても無駄になります。
クモは雨が降るのを予感して造網を中止したのかな?
午前4:38に測定した気象条件は、気温18.1℃、湿度75%、天気は曇りでした。
ちなみに日の出時刻は5:24、月齢6.8(観察中に月は出ていない)。
中断した造網を昼間になってから再開したかどうか、確認していません。

アカオニグモが網をはりかえるのは夜の間だといわれていたが、雨があがり日がさすと、昼間でもいっせいに網をはりかえる姿をぼくはたびたび見た。クモはけっこうゆうずうをきかせて行動している。(『まちぼうけの生態学:アカオニグモと草むらの虫たち』p35より)

大胆な仮説として、アカオニグモ♀が寄生蜂などに体内寄生されていて行動操作されているのか?(網操作)と妄想を逞しくしました。
しかし後日に同一個体が正常な垂直円網を張るのを見ていますから、これは却下しました。

別の可能性として、神経中毒症状(薬物摂取でトリップした状態)で造網したクモの有名な実験を連想しました。
たまたま昼間にアカオニグモ♀が何か毒虫を捕食したり蜂に毒針で刺されたり※した結果、毒が回って造網の足取りが乱れてしまい網の形が乱れ未完に終わったのかもしれません。


※ 2日前に、コガタスズメバチ♀がこのアカオニグモ♀の円網から獲物を強奪していました。
もし私が数時間前に現場入りしていれば、クモが千鳥足で横糸を張る異常行動を動画に撮れたでしょうか?

【参考】:コガタコガネグモに飼育下でカフェイン含有飲料を経口投与して造網への影響を調べた興味深い実験記事「クモを酔わせてどうするつもり」がDPZで公開されています。

このときはアカオニグモが造網する正常例(典型例)をしっかり観察する前に異常例に遭遇したので非常に戸惑い、解釈に尚更悩みました。


未完成の円網を大雑把に採寸すると、甑の高さは地上70cm、円網の直径は30cm。
隠れ家となっているタニウツギの葉先は地上からの高さ85cm。
枠糸の右端の固定点はヨモギの花穂の上端にあり、高さ70cm。
枠糸(水平よりも右下がり)の長さは55cm。
網に触れないよう注意しながらの測定なので、多少の誤差があると思います。

用水路に向かって斜面になっているので、地上からの高さも適当です。



驚いたことにしばらくすると、隠れ家から出てきたアカオニグモ♀が網を取り壊し始めました。

見ている私は益々混乱しました。
網を壊すのはあっという間で残念ながら動画撮影は間に合わず、辛うじて写真で記録しました。
やはり失敗作が気に入らず、作り直すのでしょうか?
しかし網全体を一気に破網するのではなく、下部を扇状に壊しただけで隠れ家に戻りました。
(反省点として、ビデオカメラと写真用カメラそれぞれに内蔵された時計を正確に時刻合わせしていなかったため、写真のタイムスタンプが当てにならず、事件の前後関係が思い出せなくなってしまいました。)



垂直円網を張るコガネグモ科で破網行動をこれまでちゃんと観察したのはオニグモ♀だけです。
このときも一気に破網するのではなく、少し時間を開けて垂直円網の下側→上側の順で取り壊していました。

▼関連記事
円網を下半分だけ取り壊すオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】
円網の上側を取り壊すオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】
観察した例数が未だ少な過ぎるので偶然かもしれませんが、コガネグモ科のクモが破網する作法(下部→上部)に共通性があるのかもしれません。
このアカオニグモ♀が昼間にもう一度網を作り直したかどうか、次の日の夜に持ち越したのかどうか、確認していません。


つづく→#17:アカオニグモ♀(蜘蛛)未完の網で音叉実験【暗視映像】



【追記】
『クモの科学最前線:進化から環境まで』p37を読んでいて、全く違う可能性があることを知りました。
野外で円網を見ていると、横糸が風に煽られて上下に振動している場合があることに気がつく。風が強いと振動が大きくなり、隣接する横糸どうしが絡まってしまい、二本が一本のようになってしまうことがある。こうなると、網は本来の性能を発揮できなくなる。そして、先述したように捕獲域下側の外縁部では隣接する横糸の間隔が狭く、そのままであれば横糸の絡みが生じやすくなる。しかし、縦糸を小さな角度で配置すれば、それだけ横糸が振動する際の振れ幅を小さく抑えることができ、互いに絡みにくくなるだろう。
ただし、撮影した夜が特に風が強かった記憶はありません。


ランダムに記事を読む

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

Smarter Related Posts