2016/11/29

帰巣時に迷子になったクロマルハナバチ♀



クロマルハナバチの巣:定点観察#3



▼前回の記事
クロマルハナバチ♀の定位飛行【ハイスピード動画】

2016年6月上旬・午後15:10〜15:50

巣穴に出入りするクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀をハンディカムでも動画に撮りました。
プレレコーディング機能をONにしておいて、帰巣する羽音が聞こえたら撮影開始すれば、その10秒前から記録してくれるので無駄に長撮りする必要もなく便利です。
後脚に白い花粉荷を付けて巣に持ち帰る個体や、空荷で帰巣する個体がいます。

興味深いのは、ラストシーンで帰巣時に迷子になる個体がいたことです。
外役に出るのが初めてでも出巣の際に定位飛行して巣穴の位置や周囲の環境を記憶したはずなのに、巣穴とは違う左の排水口の辺りをウロウロと飛び回っていました。
それでもなんとか無事に帰巣しました。
空荷なので、おそらく採餌経験の浅い未熟な(日齢の若い)ワーカーだと思います。

迷子になった原因は幾つか考えられます。
まず第一に、ハイスピード動画を撮るために私が巣穴の前に三脚を立てたので、蜂が定位飛行したときと比べて巣穴周辺の景色が激変したのかもしれません。
第二に問題となるのは、この営巣地が非常に人工的な繰り返し構造になっていることです。
このコロニーは峠道の法面を補強する土留のコンクリート壁面に開けられた排水口の一つに営巣しています。
同サイズ(直径7cm)の排水口が横に1m間隔で30m以上も並んでいます。
コンクリート壁の両端は別として、上下に2個ずつ排水口が並んでいます。
つまり非常に人工的で無機質な繰り返し構造の環境なのです。
これでは蜂も覚え難いのは当然です。
下の側溝から生える雑草であるとか、排水口に詰まった土から生えるコケや草とか、上から垂れ下がっている茎などの微妙な植生の差異を目印にして蜂は巣穴を記憶しているのでしょう。
一方、私は目印のビニールテープを貼った上に、「左から3番めの排水口(上下に穴は並んでいない)」というように、座標の概念で覚えるようにしました。
このような人工的な繰り返し構造の営巣地では、創設女王が迷子になって二巣並行営巣を始めてしまう例をこれまでスズメバチ科で観察しています。
しかし、今回のクロマルハナバチのコロニーは一つの排水口だけで営巣していました。
営巣初期の様子を見逃してしまったのが残念です。

つづく→#4:クロマルハナバチの巣穴に侵入するクロスズメバチ♀の謎【HD動画&ハイスピード動画】


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