2015/12/28

造網前に枠糸を強化するアカオニグモ♀a【蜘蛛:6倍速の暗視映像】



2015年10月上旬・午後18:31〜19:05

アカオニグモ♀の定点観察#13


久しぶりに現場入り。
まず午前中に様子を見ると垂直円網がきれいに張られており、アカオニグモ♀(Araneus pinguis)はいつものように隠れ家に潜んでいました。
破網行動を観察したくて日没後に再訪すると、網は既に取り壊されていて落胆しました…。
どうやら午後から張り込んで見張っていないといけないようです。
残っているのは水平の枠糸と、隠れ家(タニウツギ葉裏)から下草へ斜めに伸びた糸だけでした。
肝心のクモの姿がいつもの隠れ家に見当たらないので焦りました。
私がしばらく呆然としていると、夕闇の右手からクモが綱渡りで登場しました。
円網上部で支える水平の枠糸を
左右に何度も往復して、何重にも強化しています。
このようなメンテナンス行動は初めて見ました。
枠糸の右端を支えるヨモギの茎が秋風で日に日に倒伏しつつあるので、クモは糸の張力で立て直そうとしているのかもしれません。

三脚を立てて微速度撮影で記録したかったのですけど、私が持っている三脚では高過ぎます。
地面すれすれに低く固定できる自由雲台付きのローアングル三脚が欲しい…。


仕方がないので、網の前に座って愚直にビデオカメラ(赤外線の暗視カメラ)を手で持って撮影することにしました。
撮れた素材を6倍速に早回し加工したものをご覧ください。

冒頭でクモは水平の枠糸にぶら下がって左へ綱渡りしています。
タニウツギの葉先に達すると、糸を固定してから枠糸に引き返しました。
逆の右端ではヨモギの花穂に到達すると一休み。
ここから更に糸を引きながらヨモギ群落を右に進みます。
一番右端の花穂に糸を固定してから左へ引き返し始めました。
作業の後半になると、ヨモギ群落の右側には行かなくなり、最短距離で往復します。

枠糸強化をいつから始めたのか不明ですが、少なくともこの映像でクモは3.5往復しました。

つまり、少なくとも計3.5×2+1=8本の糸(始点は左端ですから+1)を追加したことになります。
作業の結果、果たして枠糸の距離は短くなったのか、採寸すべきでしたね。(我ながら詰めが甘い)

距離が分かればクモの綱渡り速度も求められたはずです…。
採寸しなくても定点カメラで微速度撮影していれば、枠糸の長さや傾きが微妙に変化したかどうか映像で記録できたかもしれません。


用語について質問です。
造網性クモが全くの零から網を張る場合、第一段階として水平に張られる糸は橋糸と呼ばれます。
しかし今回の場合、アカオニグモは毎日網を取り壊して作り直すので、水平の枠糸が残っているとみなして良いのでしょうか?

【追記】
いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」で質問したところ、くも子さんときどばんさんに次の文献を紹介してもらい、その解説に納得しました。

新海明 "橋糸はワク糸にならない" KISHIDAIA 107 (2015): 9-11.(PDFファイル)
円網上部の「いわゆる橋糸」正確には「外枠」が作成される.(中略)

私としては,細野先生による「この糸はいったん張り渡すと,めったにこわさない.そして時々ここを見回って補強するから,糸も太く強いものになる.この糸を橋糸と呼ぶ人もある.私も使うけど,それは造網初期に限ることにして,いったん網が出来てしまい,その後も半永久的に利用されるばあいは外枠と呼ぶことにしている」という見解を,今後は採用したいと考えている.ただ,そこまでこだわる必要がない図鑑などの解説なら単に「ワク糸」で良いと思っている.


↑【おまけの動画】
早回し加工する前のオリジナル素材も公開します。
じっくり見たい方はこちらをどうぞ。

つづく→#14:アカオニグモ♀a(蜘蛛)による枠糸強化の仕上げ【暗視映像】


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