2015/11/13

夜明け前に網を取り壊し不要な獲物を捨てるトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年8月下旬・深夜4:21〜4:28・気温17.5℃(@4:33)

トリノフンダマシ♀の定点観察#10


夜明けが近づき、ようやくトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が網の取り壊し作業を始めました。
隠れ家には食べ残しの蛾eを残したままです。
水平の枠糸(放射糸?)を引き込みつつ糸や付着物(小さな昆虫?)を食べています。
(もしかすると弛んだ枠糸を修復してピンと張り直したのかもしれません。)

次に、クモは水平円網にかかり切れた粘着糸にぶら下がっていた一頭の蛾f(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を吊り上げました。(@2:33)
暴れていた蛾は噛まれるとおとなしくなりました。
驚いたことに、獲物を梱包ラッピングせずに網から惜しげもなく捨てました。
もう満腹らしい。
大事なシーンなのにカメラのバッテリーが消耗していて赤外線が弱く、ピンぼけになりがちでもどかしい…。

クモは放射糸を伝って土手の下の方の茂みに移動し、見えなくなりました。
風で網は激しく揺れています。
戻って来たクモは、網にかかっていたもう一頭の蛾g(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を引き上げました。(@5:25)
擬死していた蛾は身の危険を感じたようで、激しく暴れ出しました。
胸部の辺りを噛み付かれると、クモの毒液で蛾はグッタリおとなしくなりました。
軽く梱包ラッピングした獲物(蛾g)をその場(放射糸)に残して網を右に進みます。(@6:45)
網にかかっていたもう一頭の蛾h(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を釣り上げました。(@7:15)
この蛾は既に死んでいるのか、それとも完璧な擬死状態で観念しているのか、全く暴れません。
クモは周囲の糸を切って不要な獲物を捨てました。
何度か失敗するも根気強くやり直し、ようやく投棄に成功しました!(@8:40)
クモは更に右に進み、網にかかっていたもう一頭の蛾i(ユウマダラエダシャク?Abraxas sp.)を引き上げました。
残念ながら、ここでビデオカメラのバッテリーが完全に尽きてしまいました。

この後も観察を続けると、トリノフンダマシ♀は蛾iも投棄しました。
先程ラッピングした獲物(蛾g)だけをお土産に隠れ家へテイクアウトしました。
持ち帰る獲物はどのような基準で取捨選択したのでしょう?(鮮度? 大きさ?)
食べ残しの蛾eと合わせて計2頭の蛾を昼間に隠れ家でゆっくり捕食するようです。
狩蜂は獲物を麻酔することで植物状態で活かしたまま常温で大量に貯食することができます。
それに対してクモは暑い夏に余剰な獲物を腐らせずに貯食する術を知らないのです。
したがって、食べ切れない量の獲物が網にかかっても、糸を噛み切って捨ててしまいます。

隠れ家の高さは地上130cmでした。
(用水路に向かって急斜面になっている土手は雑草が生い茂りどこが地面か測りにくく、大雑把な計測です。)

予習した通り、トリノフンダマシは日の出前に水平円網を跡形なくすっかり取り壊しました。
桑の幼木の間に水平に張り渡した細い枠糸のみ残されているものの、肉眼では非常に見えにくいです。
ちなみに、この日の日の出時刻は5:04でした。
暗視映像では未だ暗い印象ですけど、肉眼では日の出30分前はもう充分明るいです。
4:36には近くを飛んで塒に帰るコウモリを1頭目撃しています。
デジタル照度計で取り壊し時刻の照度を測ればよかったですね。
クモが周囲の明るさを目で見て破網時刻を決めているとしたら、照明の影響で取り壊し時刻が早まった可能性もあり得ます。
監視中はいつ網の取り壊しを始めるかとやきもきしつつマグライト(懐中電灯)で隠れ家のクモを頻繁に照らしたからです。
それとも周囲の明るさは関係なくて、体内時計で決まっているのでしょうか?

徹夜の観察は疲労困憊しましたけど、充実した撮影ができて満足です。
暗視映像に拘ってかなり根を詰めて撮ったので思い入れのある動画シリーズですけど、冷静になって見直すといまいち説得力のある生態動画が撮れたとは言い難く(ラッピングのシーンなど)、奥が深いですね。
夜行性クモの生態は図鑑や本に短くまとめられていますけど、それを一つ一つ記述するために夜通し観察した先人たちの苦労が忍ばれます。
トリノフンダマシの網にかかった蛾の種類と性別をきっちり同定するのも今後の課題です。(蛾以外の昆虫も捕食しているのか?)

今思うと、クモがラッピングせずに捨てた蛾を採集すればよかったですね。

つづく→#11:トリノフンダマシ(蜘蛛)3個目の卵嚢



【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p93によると、(第12章:トリノフンダマシの夜)
 このクモは網を夜明け前に必ずたたむのですが、このときに横糸にかかったガ以外の小さな昆虫類も居網といっしょに団子状に固め、このクモが昼の間休む葉の裏側の隠れ家付近に持ち帰って食べてしまいます。


観察終了時@4:46

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