2014/12/31

夜も巣口で警戒するキイロスズメバチの門衛♀【暗視映像】



2014年8月中旬

▼前回の記事
キイロスズメバチ♀日没後の営巣活動:造巣と夜警【暗視映像】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#5

更に夜が更けるとキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀は皆、造巣活動や外出を一切止めて巣内に引っ込んでしまいました。
昼夜の別なく働くモンスズメバチとは異なり、やはりキイロスズメバチは夜行性ではないようです。
普通に考えれば、おそらく明るくないと目が見えないのでしょう。
しかし少なくとも門衛だけは起きていて巣口から外界を見下ろし、警戒しながら身繕いしていました。
そっと近づき巣口にズームしてみると、巣内で蜂がガサゴソ活動する音が聞こえました。
巣口からゴミが落下しました。
胃カメラのようなファイバースコープを差し込んでみない限り巣内の本当の様子は窺い知れませんが、夜のキイロスズメバチは完全に寝静まっている訳ではないようです。
例えば女王蜂の産卵であるとか、外被を内側から削り取りその巣材を再利用して育房や巣盤を作る作業は、夜間も続いていてもおかしくありません。
ただし、もしかすると巣に近づく私の存在を匂いや物音などで感知して、警戒した蜂が目覚めてしまった可能性も考えられます。
暗視可能な無人カメラを遠隔操作して監視すれば決着が付くでしょう。

つづく→シリーズ#6:深夜の総員臨戦態勢


鳥の糞に群がるクロオオアリ♀



2014年9月中旬

里山の遊歩道に生えたオオバコの葉にクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が3匹群がっていました。
何を食べているのかよく分からないのですが、鳥の糞の落とし物でしょうか?
それとも虫の死骸に白カビが生えた物かな?
(そんな感染リスクのある物にアリは寄り付かない気がしますけど。)
鳥の糞に含まれる未消化の虫の残骸なのかもしれません。
途中から1匹が餌から離れ、身繕いを始めました。
獲物を解体するのではなく、その場で夢中になって食べています。

途中から更に1匹の小さなアメイロアリ♀?(自信なし)が近づき、こっそり盗み食いしています。
巨大なクロオオアリの脚先を齧っては逃げるヒットアンドアウェイの嫌がらせを繰り返し、獲物を奪おうとしています。
噛まれる度にクロオオアリはピクッと足を引っ込めます。

息を吹きかけるとアリ達は慌てて走り去りました。
その隙に獲物の全体を記録します。



2014/12/30

キイロスズメバチ♀日没後の営巣活動:造巣と夜警【暗視映像】



2014年8月中旬
▼前回の記事
総員臨戦態勢のキイロスズメバチ移動巣
キイロスズメバチ移動巣の定点観察#4

日が暮れるとキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が営巣する天井裏は暗くなってきました。
手鏡で西日を反射して巣を照らし観察してみたのですけど(映像なし)、しつこくやると蜂が怒り出すかもしれないので自重しました。
同時期に観察したモンスズメバチは夜行性であることをこの目で確かめました。
キイロスズメバチの場合はどうでしょうか?
赤外線で暗視可能なビデオカメラに切り替えて撮影してみました。
照度計で明るさをきちんと測れば定量的な記録になるはずですが、今回は動画に撮っただけです。
ちなみにこの日の日の入り時刻は18:28、月齢23.2でした。
映像冒頭で画面全体がピンク色に映るのは、夕方の自然光が若干残っていたためか、撮影対象物が昼間の余熱を帯びて赤外線を放射していたためでしょう。
気温を測るべきでしたね…。
本格的に暗くなると、ピンク色だった画面はモノクロ(白黒)に落ち着きます。

少し暗くなっても蜂はコロニーの活動を続けています。
飛んで巣に出入りするワーカー♀もいれば、移動巣(第二次巣)に外被を付け足す作業を続ける個体もいます。
巣口から門衛が顔だけ出して外界を見下ろし、警戒を怠りません。
これはコガタスズメバチと同じですね。
明るい昼間に比べると造巣活動に従事するワーカーの数は明らかに減っています。

映像後半では、ワーカー♀が1匹だけ外被上を足早にひたすらグルグルと歩き回っています。(@9:41〜)
暗くて巣口の位置が分からず迷子になっているだけかと思いきや、ときどき巣口で門衛と挨拶してもすぐにせかせかと徘徊を続けています。
したがって外被をパトロール(夜警)する役目なのでしょう。
やがて天井の梁を伝って1匹のアリが近寄って来ました。(@11:26〜)
巣に侵入された時の防御対応をぜひ観察したかったのですが、残念ながらアリは外被には乗り移りませんでした。
アシナガバチの巣と同様にキイロスズメバチの巣にもアリ避け物質が塗布されているのか、興味があるところです。
映像を見直すと、夜警のキイロスズメバチが梁からアリを追い払ったようです。
地中に営巣するアリは視覚に頼らず活動できますが、完全夜行性とは言えないキイロスズメバチは暗闇でどのようにしてアリの接近を探知したのですかね?
音や振動だけで敵までの方向と距離を正確に掴めるとは思えません。(だから外被を闇雲に走り回っていたのだと思います。)
もしも巣に侵入された!と感じたら警報フェロモンを発して巣内の仲間を総動員し、一気に敵を制圧するのでしょう。

つづく→シリーズ#5:寝静まった巣で警戒する門衛


ミネラル摂取中に飛翔筋をアイドリング♪するヒラタアブの一種♀



2014年9月中旬

山道の休憩所に飛来したヒラタアブの一種♀が、カメラのストラップやザックに止まり口吻を伸ばして舐め始めました。
雨水や私の汗が染み込んでいる所からミネラル摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているため♀のようです。

翅を休めて静止している間も甲高い音を発し続けていることに気づきました。
ハナアブはホバリング(停空飛翔)の名手ですけど、飛行中の羽音よりも高い音でした。
胸部の飛翔筋を高速で伸縮させて、いつでも飛び立てるようアイドリングしているのでしょうか?
この行動の正式名称は?
この日は周囲にうるさい蝉しぐれが無く静まり返っていたおかげで気づけた現象(行動)です。

ヒラタアブ飛翔筋のアイドリングを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードし、適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
すると何やら思わせぶりな声紋が得られました。
飛び立つ前後でスペクトログラムに劇的な変化が現れるかと期待したのですが、低周波成分が少し増えるだけで、素人には違いがよく分かりませんでした。 

※ 16kHz付近に持続する強いシグナルがあり、その半音の8kHzが逆にすっぽり抜けている、という謎の現象はこのビデオカメラに特有のノイズのようです。(何を撮っても毎回出現する波形)

カメラのストラップを舐めている時のアイドリング声紋
ザックを舐めている時のアイドリング声紋
飛び立つ前後の声紋を切り出してみる(3秒〜離陸)

撮影後に逃げられてしまいましたが、戻って来たハナアブを2匹採集しました。
(映像に登場した個体と同一である保証はなく、別種の可能性すらあるかも。)
以下は標本写真。
まずは一匹目の個体♀a。



続いては二匹目の個体♀b。



2014/12/29

総員臨戦態勢のキイロスズメバチ移動巣



2014年8月中旬


▼前回の記事
引越し後の移動巣を急ピッチで作り上げるキイロスズメバチ【微速度撮影】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#3

天井裏に引っ越したキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の移動巣(第二次巣)を観察していると夕刻に突然、在巣のワーカー♀が一斉に外へ出てきて外被を激しく走り回り始めました。
(何に対して警戒しているのか、きっかけは不明です。)
一部の個体は東屋の天井板や垂木を徘徊しています。
外被の増築は中断し、次々と離着陸を繰り返しています。
激しく動き回るのでとても数えられませんでしたが、これほど多くの成虫が巣内に居たとは知りませんでした。
その警戒態勢はかなり恐ろしげで、示威行動だとしても迫力満点です。
興奮したコロニー全体が落ち着きを取り戻すまでに、かなりの時間を要しました。(※下記の追記参照)

巣が固定された天井裏の梁(幅115mm)を引きの絵で写し込みました。
外被の直径を比例計算すると、74.5mmと算出されました。

※ 光量不足で画質が粗くなってしまったので、動画編集時に自動画質補正を施してあります。

巣の下に三脚を立てて長時間撮影しても、こちらが静かにしていればキイロスズメバチは敵とみなして攻撃してくることはありませんでした。
ただし用心のため頭髪は白布で覆い隠しておきます。
巣から飛び立ち定位飛行するワーカーがときどき私に向かって来た時も、ゆっくり後ずさりするだけで凌げました。
気になったのは、キイロスズメバチ♀がカメラの黒いベルト(ストラップ)に対して(襲うほどではないものの)興味を示し少しまとわりついたことです。
スズメバチを特集したTV番組を見ていても、防護服を身にまとい体を張ってレポートする芸人よりも黒いカメラを担いだカメラマンがよく刺されていますね。
カメラのボディが黒い場合は剥き出しのままで使わず、白っぽいビニール袋などで覆った方が安全かもしれません。
当然ながら建物(東屋)の柱などに衝撃や振動を与えれば、巣内のワーカーが一斉に出てきて外被上を激しく走り回ります。

つづく→シリーズ#4:日没後の営巣活動



【追記】
『スズメバチの科学』p110に警報フェロモンの解説が記されていました。
スズメバチのコロニーが哺乳類など大型の外敵に攻撃されたときに示される統制のとれた激しい防衛行動は、敵の襲来を仲間に知らせる化学的コミュニケーションが発達しているためである。(中略)放出と同時に仲間に伝わり、放出が止まればすぐに平静状態に戻れるという点で、揮発性の高い物質が警報物質としての機能をもつというのは適応的。



柳の樹液を吸いに来たコムラサキ♀



2014年9月中旬

水辺に生えた柳(種名不詳)の幹でコムラサキApatura metis substituta)が樹液を探し歩いていました。
翅の損傷が激しい個体で性別が分かりにくいのですが、翅表に光沢が無いので♀だと思います。
おそらくカミキリムシの幼虫が幹の内部から木屑を排出したと思われる穴に辿りつくと、口吻を伸ばして木屑から樹液を吸い始めました。

▼関連記事
柳に穿孔する昆虫が木屑を外に排出する瞬間
するとそこへもう一頭のコムラサキが幹を降りて来ました。
こちらも翅の損傷が激しい♀個体です。
先客と入れ替わるように樹液酒場を占有しました。
力関係が明白なのか、戦わずして交代しました。
先客はすごすごと幹の裏側に回り込みました。
(裏側の幹にも樹液が滲んでいるのか確認していません。)

横から撮ると、伸ばした薄黄色の口吻が見やすくなりました。
翅を開閉しながら樹液を吸汁しています。
退化した棒状の前脚(タテハチョウ科の特徴)が見えます。

この日は水辺で計4頭のコムラサキと出会いましたが、なぜか♀ばかりで♂の姿はありませんでした。



2014/12/28

引越し後の移動巣を急ピッチで作り上げるキイロスズメバチ【微速度撮影】



2014年8月中旬

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#2

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が寄って集って屋根裏に第二次巣を作り上げる様子を2日間に渡り微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧下さい。
これだけ早回し速度が増すと、巣に出入りする蜂の動きは旋風のようにぼやけてしまうため、外被を作る個体の動きだけを追うことができます。
予め巣の設計図がある訳でもなく、建築現場の親方のように女王蜂が細かく司令を出している訳でもないのに、各々が必要と感じた仕事を黙々とこなすだけで結果的に協同作業になっている点が驚異的です。(創発性?)
ワーカーがそれぞれ別の場所から巣材を集めてくるため、結果的に外被は美しいマーブル模様のモザイクになります。
これだけ早い造巣ペースから逆算すると、1〜2日前に引っ越したばかりではないかと予想しました。
外被の増築作業に従事する蜂は、外被ポケットの縁で必ず後退しながら大顎に咥えた巣材のパルプを弧を描くように薄く伸ばしていきます。
付け足したばかりで乾いていない(湿った)外被は、蜂の建築作業に伴いたわんでいますが特に問題ないようです。

巣材が乾くのを待たずにどんどん作業を進めてしまいます。
同時に巣の数カ所で外被を下に伸ばしているため、急ピッチで作業が進みます。


増築中の外被ポケット内に潜り込んでサボっている個体が居るのがとても興味深く思いました。
そのまま外被ポケット内に封じ込められそうになり、慌てて脱出する様が微笑ましいですね。
『働かないアリに意義がある』という新書が近年ベストセラーになりましたが、働かないスズメバチには一体どんな意義があるのでしょう?

建設中の外被ポケットに生きながら封じ込められ、人柱のように儀式的な生贄になる…なんて馬鹿げた話はさすがにあり得ないですね。
寄生者が外被ポケットにこっそり潜り込まないよう目を光らせている役目なのかな?
作ったばかりの外被ポケットが乾く前に潰れてしまわないよう中から支えているのでしょうか?
(スズメバチの巣は軽い外被で空気の層を積み重ねることによって優れた断熱効果を発揮します。)

外から見えないだけで、内側から外被を何か加工している可能性はどうでしょう?
それとも特別な意義などは無く、湿った外被が乾くときに気化熱を奪うので、ひんやり涼しくて気持ちが良いのかもしれません。


一方、巣の中の様子は胃カメラのようなファイバースコープが無いと観察できません。
先人の研究によると、スズメバチは中から外被を齧り取って内部空間を拡張すると、その巣材を再利用して巣盤や育房を作り上げることが知られています。(スクラップ&ビルド工法)
それを裏付けるように、外被の中央で中から齧られて穴が開いた(@1:51)箇所を外側から別個体がすかさず補修する様子が映像に記録されていました。

翌朝、巣口のすぐ左の外被がまた中から食い破られ穴が開きました。(@2:58)
この穴もすぐに別個体が外から補修し、無事に埋められました。
この連携プレーも見事です。
もしこの移動巣の外被を人為的に壊しても、少しぐらいの破損なら直ちに修繕する能力がありそうです。
実験してみたいのですけど、防護服を買わないことには危なくて無理ですね。
袋状の外被が細長く下に伸びるにつれてその開口部が小さくなり、最後は巣口の近くで塞がれました。



翌朝は東屋の天井裏が明るくなってからすぐに微速度撮影を再開しました。
巣の急速な発展ぶりは秀吉の一夜城もびっくりです。

以下は2日目の写真




【おまけの映像】


微速度撮影の動画を見て心地良く感じる早回し速度の好みが皆さんそれぞれ違うと思います。
折角なので、30倍速映像↑もブログ限定で公開しておきます。



こちら↑はオリジナルの10倍速映像です。

つづく→シリーズ#3:総員臨戦態勢


夜の外灯で乱舞するマイマイガ(蛾)の大群【HD動画&ハイスピード動画】



2014年8月上旬

夜、郊外の車道の外灯の周囲を白い蛾が大量に飛び回っていました。
大きな蛾は今年の夏に大発生したマイマイガLymantria dispar japonica)だと思います。
他に小型の蛾も飛び回っています。
走光性で激しく乱舞する様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると水銀灯が明滅していますね。
捕食者のコウモリも飛んでいればもっと面白いのになーと欲張った空想をしながら撮影しました。


階段を歩くハクセキレイ♀(野鳥)



2014年9月中旬

堤防の階段をハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が向こうから歩いて来ました。
軽く飛び上がりもう一羽と空中戦を繰り返すのですが、動画に上手く撮れませんでした。
縄張り争いなのでしょうか?
(映像はここから。)
どんどん近づいて来るので、AFピントが合わせ難いです。
最後は上を見上げて飛び立ちました。
私に気づいて逃げたというよりも、空中の虫を捕食するためのように見えました。




2014/12/27

引越し後のキイロスズメバチ移動巣を見つけた!



2014年8月中旬

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#1

登山道の休憩所(東屋)の屋根裏にキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が巣を作っていました。
ここは私も頻繁に利用するのですが、一番最近では15日前に来た時はここに巣はありませんでした。

したがって、創設女王が作った母巣ではなく移動巣(第二次巣)であることは間違いありません。
ごく最近コロニーごと引っ越してきたばかりのようです。

『スズメバチの科学』p171より用語の解説

巣の引っ越し(nest relocation)
モンスズメバチとキイロスズメバチにおいて越冬後の女王蜂によって狭い空間に巣が創設された場合、巣の発達に応じて広い場所に新たな巣を造り移動すること。最初の巣を母巣(primary nest)、後の巣を移動巣(第二次巣:secondary nest)という。


キイロスズメバチの古巣はよく見かけるものの、活動期のコロニーを見つけたのは意外にもこれが初めてです。

とてもワクワクしました。
巣の大きさは目測でグレープフルーツぐらいでした。
防護服を持っていないため、危なくて直接測ることは出来ません。
仕方がないので、大きさの目安となる比較対象を採寸することにしました。
巣が固定された天井の梁(太い角材)の幅は115mm、天井板の幅は145mmでした。




映像では6匹のワーカーが外被上で活動しています。
紙製の外被を蜂が歩き回るとガサゴソ、バリバリと足音がします。
真下に作られた巣口の縁を狭く補修している個体がいます。
外被上で2匹が口づけを交わし栄養交換しました。(@1:45)
花蜜もしくは樹液を吸汁してから戻って来たのかもしれません。
巣材集めから帰った♀が(@2:30)巣内に入らず外被上でパルプ玉を噛みほぐしています。
外被を歩き回って増築場所を探しています。

かなり長時間観察しても、肉団子を持ち帰るワーカーを全く見かけませんでした。
おそらく育房内は未だ卵のみで、幼虫が孵化していないため給餌する必要がないのでしょう。
コロニーの総力を上げて外被の増築に専念しています。

樹洞に営巣するモンスズメバチを同時期に並行して観察していました。
(このモンスズメバチの巣も引っ越した後の移動巣ではないかと疑っているのですが、定かではありません。)
樹洞内のモンスズメバチとは異なりキイロスズメバチは巣口で扇風行動を全くしない点が興味深く思いました。
営巣地の立地からも、開放空間に吊り下げたキイロスズメバチの巣は風通しが良くて夏の日差しは屋根で遮られ、いかにも涼しそうです。
巣を冷やす扇風行動が不要なのでしょう。

『スズメバチの科学』p26によると、

・(引越し後の)キイロスズメバチは、家の屋根の軒下などのような開放空間に全体が外被で包まれた楕円形の巣を造るのに対して、モンスズメバチは、大木の空洞などの閉鎖空間に底が抜けた釣り鐘型の外被をもつ巣を造る。
・女王蜂1頭の単独営巣期には敵に見つかりにくく環境も安定している狭い閉鎖空間に巣を造り、多数の働き蜂が羽化し気温も温暖になってから広い場所に引っ越す。
・女王蜂が最初から十分な空間のある場所に営巣した場合には引っ越しを行わない。

つづく→シリーズ#2(造巣の微速度撮影)

夜のゲジ逃走中!【暗視映像】



2014年9月上旬

夜の給湯室で(〜22:30 pm)タイル張りの壁面にゲジThereuonema tuberculata)が張り付いていました。

夜行性らしいので、暗視ビデオカメラの出番です。
赤外線で接写しても、左脚の一本がぴくりと動いただけで逃げませんでした。

次に写真を撮り、採寸したタイルの一辺の長さから比例計算すると、ゲジの体長は23mmと算出されました。
脚が15対あるので成体と判明。
しかしストロボを焚くと閃光を嫌って、張り紙の裏面の縁に隠れてしまいました。
紙に触れると右往左往逃げ惑います。
しつこくやると流し(シンク)に逃走し、見失いました。
次に機会があれば暗闇で獲物を捕食する瞬間を飼育下で観察してみたいものです。

歩行時の歩脚の動かし方をハイスピード動画に撮ってみるのも面白そうです。






オオイヌタデの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2014年9月中旬

休耕地に咲いたオオイヌタデの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
複数個体を撮影。
後脚の花粉籠が空荷の個体と白い花粉団子を付けた個体がいます。


『野草見分けのポイント図鑑』p290によると、総状花序の穂先が垂れるほど大型なのはオオイヌタデという種類なのだそうです。

『昆虫の集まる花ハンドブック』p42




オオイヌタデの群落
オオイヌタデの花
オオイヌタデの葉

2014/12/26

柳の葉で日光浴するコムラサキ



2014年9月中旬

水辺に生えた柳(種名不詳)の灌木でコムラサキApatura metis substituta)が葉に乗って翅を休めていました。
翅表に光沢がないので、おそらく♀だと思います。
構造色の光沢は見る角度によって変わるので、今回は性別判定にあまり自信がありません…。
少し高い枝の葉に止まっていたため、腕を目一杯伸ばしカメラのバリアングルLCDを見ながら撮影しました。
柳はコムラサキ幼虫の食草なので、もしかすると♀が葉に産卵しているのかと期待しました。
しかし、翅を半開きで日光浴しているだけでした。

コムラサキを9月に見るのは初めてかもしれません。



ショウリョウバッタ♀の死骸に群がるクロヤマアリ♀



2014年9月中旬

砂利が敷かれた農道でショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)の死骸にクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が群がっていました。
おそらく車に轢かれたのでしょう(ロードキル)。
ショウリョウバッタ成体♀の破裂した腹部から黄色い卵が漏れ出ています。
解体しないと運べない大きさです。
1匹のアリが内臓を咥えて力任せに引っ張るとゴムのように伸びました。
そのまま引きちぎって巣に運搬開始。
時間があれば解体ショーを微速度撮影してみたかったのですが、先を急ぎます。
それにしても、立派なショウリョウバッタを見るのはすごい久しぶりでした。
子供の頃は原っぱでよく見かけたのですけど。



2014/12/25

コナラの樹液を群れで占有するチャイロスズメバチ【10倍速映像】



2014年9月上旬

里山の雑木林で苔むしたコナラの樹液酒場でチャイロスズメバチVespa dybowskii)が群れで占有する様子を10倍速の微速度撮影で記録してみました。
同じコロニーから最大3匹のワーカー♀がやって来て交代で吸汁・防衛しているようです。
そのうち1匹の♀腹部の体節にねじれたような横縞模様があることに気づきました。
蛹期の発生(変態)でクチクラにやや異常を来した奇形なのか、それとも例えばスズメバチネジレバネが寄生しているのでしょうか?
この特徴は個体識別に使えそうです。
(来年は樹液酒場に通うスズメバチに個体識別のマーキングをしてみようと思います。)
2匹のチャイロスズメバチが出会うと挨拶のようにキスすることがあります。
口移しの栄養交換と思われます。

樹液の芳香に誘われて種々のハエが周囲に多数集まっており、スズメバチが陣取っている間は近づけずにおとなしく順番待ちしています。
敏捷性はハエの方が圧倒的に優れているので、苛立ったスズメバチに襲われて殺されるようなことはありません。
怖いチャイロスズメバチが居なくなった隙に一斉に樹液に群がります。



ウドを訪花するコアオハナムグリの群れ



2014年9月中旬

畑の隅に植えられたウドの灌木でコアオハナムグリGametis jucunda)が花に群がっていました。
緑色型3匹と赤銅型1匹が花で食事しています。

カメラが影を作らないよう撮影アングルに気を使いました。




2014/12/24

マリーゴールドの花蜜を吸うモンキチョウ♂



2014年9月中旬

道端の花壇に咲いたマリーゴールドの群落でモンキチョウ♂(Colias erate poliographus)が訪花していました。



クロヒカゲの眼状紋はオオスズメバチ♀に通用するか?【ハイスピード動画】



2014年9月上旬

里山の雑木林で1匹のオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀がコナラの樹液を吸っていました。
蜂が飛び立つ瞬間を引きの絵で記録するつもりで240-fpsのハイスピード動画に撮り始めたら、ちょっとしたドラマが始まりました。

幹の下から一頭のクロヒカゲLethe diana)が登って来ました。
少しずつ樹液スポットに近づいて来ます。
正面から対峙し睨み合い。
クロヒカゲは翅裏の眼状紋を見せつけ威嚇しているつもりなのでしょうか?
意外にオオスズメバチも多少たじろいでいる印象を受けました(警戒姿勢)。
日本のスズメバチは天敵であるヒト(日本人)の黒髪や黒い目玉を目掛けて襲い掛かってくることが知られています。

クロヒカゲも万一襲われた時に眼状紋へ攻撃の矛先を逸らして致命傷を避けようとする戦略なのかもしれません。
やがて警戒を解くとオオスズメバチは吸汁を再開。
神経戦に痺れを切らしたオオスズメバチが歩いてクロヒカゲに詰め寄りました。(占有行動)
その迫力に負けたクロヒカゲは飛んで逃げ、幹の背後に回り込みました。
目障りなお邪魔虫を追い払ったオオスズメバチは満足気に身繕いすると、木を登り下りしています。
負けたとは言え、最強のスズメバチに立ち向かっていく強気の蝶がいることに驚きました。

クロヒカゲにしてみれば、ライバルを追い払えなくても口吻を伸ばして樹液に届く距離までなんとか近づければ良い訳です。
眼状紋の有無に関わらず、蝶や蛾の成虫をスズメバチ類が狩って獲物にする例を見聞きしたことはありません。
翅がかさばる割に肉団子になる部分(胸部に詰まった飛翔筋)の割合が少ないので、わざわざ狩る気にならないのでしょう。
したがって、眼状紋の擬態が対スズメバチの自衛戦術として効果があるのかどうか、不明です。

この続きをスローモーションでお見せしても映像的にあまり面白くないので割愛しましたが、実はつづきの未公開映像があります。
クロヒカゲが未練がましくまた飛来して幹の下方に止まりました。
オオスズメバチが油断なく見下ろしている間にクロヒカゲは歩いて幹を登り、別の樹液スポットを見つけて平和に吸汁を始めましたとさ。
めでたしめでたし。


コナラの木を登るスジクワガタ♂?



2014年9月上旬

里山の雑木林で樹液が滲むコナラの幹をクワガタムシが登っていました。
未採集なのでコクワガタと迷うのですが、同じ木の根際で小型のスジクワガタ♂が数匹徘徊していたので、この木登り個体もスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis)かもしれません。
(♀の可能性は?)

ビデオカメラで撮れたのは側面のみで、どうしても背面をしっかり記録できませんでした。
クワガタは休み休みゆっくり登り、二又の幹の合流地点に隠れました。
夜が来るまでここで休むつもりなのでしょうか。
スズメバチ類と樹液酒場で争うシーンを期待したのですけど、予想が外れました。


2014/12/23

ノブドウの花蜜を吸うキイロスズメバチ♀



2014年9月中旬

用水路の脇に蔓延るノブドウの藪でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。



コナラの樹液を吸うルリタテハ



2014年9月上旬

里山の雑木林で苔むしたコナラの幹にルリタテハKaniska canace no-japonicum)が止まり、樹液を吸汁していました。
撮り始めたらすぐに飛び去ってしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。



2014/12/22

逃去した?コガタスズメバチの巣



▼前回の記事
夜は静かなコガタスズメバチの巣【暗視映像】

2014年9月上旬

コガタスズメバチ巣の定点観察#2014-5

今季は他種のスズメバチの観察を優先した結果、コガタスズメバチVespa analis insuralis)の定点観察に頻繁に通えませんでした。
軒下に営巣したコロニーの様子を久しぶりに見に来ました。
まずは朝に立ち寄ると、ワーカー♀が活動している気配がなく静まり返っています。
13日ぶりなのに外被は全く成長していません。
あちこちに小さな穴が開いているのに修復されていない点も気になります。
何らかの原因でコロニーが逃去してしまい、既にもぬけの殻なのでしょうか?
それとも誰かに駆除されてしまったのか(殺虫剤を噴霧?)、安否が気になります。

念の為に同じ日の晩(19:42 pm)に再訪しても、状況は同じでした。
暗視カメラで動画に撮りながら巣の外被を棒で軽く叩いても無反応でした。(良い子は真似をしてはいけません。)

日を改めてこの巣を採集してみるつもりです。
蜂が居なくなった原因を探るために、どうしても巣盤や育房の発達具合を調べてみたいのです。

つづく→シリーズ#6:キアシナガバチ♀@コガタスズメバチ廃巣



ウワミズザクラの枝を登り下りするモモスズメ(蛾)の黄色型幼虫



2014年9月中旬

溜池近くの林縁に生えたウワミズザクラの灌木で見慣れない派手な黄色の芋虫を見つけました。
スズメガ科の幼虫の特徴のひとつである尾角は真っ直ぐ伸びています。
帰ってから調べてみると、モモスズメMarumba gaschkewitschii echephron)の黄色型幼虫のようです。
ウワミズザクラの枝を登ったり下りたり方向転換したりと、なぜか落ち着きなく動き回っています。
本種の食餌植物リストにバラ科が含まれているのですけど、ウワミズザクラの葉を食すシーンは見ていません。
採集するか迷ったのですが、忙しくてとても飼育する余力がありませんでした。



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