2013/12/08

チャイロスズメバチvsモンスズメバチ:樹液酒場での序列【HD動画&ハイスピード動画】



2013年9月中旬

ミズナラの樹液酒場でチャイロスズメバチを観察していると、後からモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀も1匹飛来しました。
単眼周囲および小楯板が黒いことから、コガタスズメバチではなくモンスズメバチと判明。
体長はモン>チャイロなのに、力関係は逆転しています。
数で勝るチャイロが樹液酒場を制圧しました。

幹の上部に滲み出る数カ所の樹液ポイントはチャイロが占有し、モンスズメバチは近づけません。
追われたモンが同じ木の根元付近に別の樹液ポイントを見つけ、ようやくそこで落ち着いて吸汁しました。
発酵した樹液が白く泡立っていますけど、チャイロが来ていないということは1ランク質の劣る樹液ポイントなのでしょうか。
戻って来る度に近くのチャイロと小競り合いになり、空中戦で追い払われました。

チャイロスズメバチは社会寄生種で、モンスズメバチは寄主の一つです。
そのような寄生関係にあることが樹液酒場での力関係に影響しているのかもしれません。
従って、ここに集まったチャイロもモンも実は同じ巣から通っている可能性もあります。
つまりこのモンスズメバチは、巣を乗っ取られてチャイロのワーカーを育てた奴隷かもしれません。
それなら体表の匂いが似ている筈なので、協同で餌場を防衛しても良さそうなものです。
9月中旬では完全にコロニーを乗っ取られている時期かもしれない、と考えればその可能性は薄くなります。
巣の位置を突き止めれば解明できたでしょう。



チャイロスズメバチ♀の占有行動を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
樹液酒場を独り占めして樹皮を齧ったり吸汁したりしているチャイロは、モンが飛来する度に向き直って警戒姿勢をとります。
モンスズメバチは停空飛翔で偵察するだけで決してチャイロに戦いを挑みません。
怖くて近づけないという印象です。
チャイロvsモンの空中戦は残念ながら撮れませんでした。

今回観察できたスズメバチの序列は本で読んだ記述の通りでした。

樹液の出る場所での、席次争いで強いものから弱いものへの順列は、オオ>チャイロ>コガタ>モン>ヒメ(スズメバチ)
『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』 岩田久二雄・眞野書店 p318 より




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