2012/10/19

林縁で閉鎖した巣穴を押し固めるジガバチ♀:前編



2012年7月下旬

山道で蜂の羽音がするので近くの茂みを探すと、ジガバチ♀が作業中でした。
やや薄暗い林縁でコケの生えた斜面になっています。
周囲は里山の雑木林です(標高600m)。
蜂は巣坑に頭を突っ込んで似我似我♪鳴いています。
ジガバチの有名な鼻歌を聞くのはこれが初めてで、感動しました。
穴の周囲の土を齧り取っては巣坑に埋め、押し固めているようです。
初めはてっきり、掘削作業に手間取っているのかと勘違いしました。
ところが巣坑を掘っているにしては全く捗らず、掘った土を掻き出す仕草も見られません。
おそらく貯食・産卵を終えてから巣穴を念入りに閉鎖している状況だと思われます。

雨が降っても蜂は気にせず作業を続けます。
ジガバチは押し固めに道具の小石を使うことが有名ですけど、よく見えません。
正面から観察したいのに茂みのせいで撮影アングルが確保できず、なんとももどかしい…。
枯れた松葉が巣口に被さっているのも邪魔です。
やがて疲れたのか、蜂は触角を一撫ですると飛び去りました。
近くで雨宿りしながら蜂の帰りを待ちます。


しばらくすると蜂が同じ場所に戻って来て作業を再開。
マクロモードでレンズを近づけ、似我似我♪という鳴き声を間近で録音できました。
蜂は作業を中断すると口に砂粒を咥えて再び飛び去りました(休憩?)。
砂粒を運んだ(捨てに行った?)というよりも大顎に挟まったまま外出した、というのが正しいのかもしれません。

休憩だと思うのですが、作業を中断する度にどこで何をしているのか不明です。
栄養補給のための訪花か、あるいは巣の閉鎖に使う手頃な石鎚を探しに出かけたのでしょうか?

横にはいかにも掘り易そうなの裸地(砂地)が幾らでもあるのに、どうして粘土質の場所を営巣地に選んだのだろう?

  1. ヤマジガバチなのかサトジガバチか見分けられませんが、種に固有の好みで営巣地を選定したのだろうか? (ミカドジガバチの可能性は?) 後日、同じフィールドで捕獲した♀♂はヤマジガバチと写真鑑定して頂きました。
  2. 雨が降ることを予測して、浸水する裸地を避けた?
  3. 天敵の寄生ハエや蟻に邪魔されない場所を選んだというのが私の仮説です。後日、近くの裸地で営巣を試みたジガバチ♀は数多くの天敵に悩まされてひどい目に遭っていました。
後編につづく。

【参考】
基本情報として、サトジガバチの巣は地中掘坑型。造巣先行型で単房巣の狩蜂です。(『狩蜂生態図鑑』p25、42より)

『ハチの生活』p75より

(ジガバチは)大顎で掘り起こすときに、似我似我という音を立てます。これは翅を動かさずに立てる翅音で、ファーブルは鼻歌と読んでいます。
同書p79より
永久の戸締り。入口に近い地面を、大顎でわざわざ掘り起こします。同じ地点を何度も削るので、そこにくぼみができます。
『ファーブル写真昆虫記1ますい針をもつかりうど』p2より
ジガバチは、石灰質の砂に、少しばかり粘土の混じった、崩れにくく、掘りやすい地面を選びます。そういった場所は、小道の脇や、芝草の生えていない、日のよく当たる斜面に多いものです。
『昆虫学五十年:あるナチュラリストの回想』p23より
ちょうど振動コンパクターのように、唸るような断続音をたてる。実際に翅を動かさずに、それを動かすはずの筋肉だけを収縮させて力む時の音である。これは多くのアナバチがとくに力む必要がある時に立てる音で、別に珍しいことではない。



営巣地の全景

更に引きの絵にするとこんな感じです。


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